世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1172信(2013.07.08)

  • オバマ大統領が南ア訪問、マンデラ氏面会断念
  • 「マンデラ氏は植物状態」か
  • 教皇フランシスコが初の回勅「信仰の光」
  • 教皇ヨハネ・パウロ2世とヨハネ23世を列聖
  • バチカン銀行の2幹部を聖職者逮捕がらみで「更迭」
  • ドーラン枢機卿が07年に5700万ドル隠匿
  • 「シャイロック」から「ユダヤ人」で謝罪
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎オバマ大統領が南ア訪問、マンデラ氏面会断念

 【CJC=東京】アフリカ各国を歴訪したバラク・オバマ米大統領は6月28日、南アフリカのヨハネスブルグに到着した。オバマ氏はネルソン・マンデラ元大統領(94)との面会を求めていたが、同氏が危篤状態に陥ったため、入院先の病院は訪れなかった。
 オバマ氏は29日、反アパルトヘイト(人種隔離)政策闘争の拠点で、マンデラ氏も住んでいたヨハネスブルク郊外の旧黒人居住区ソウェトを訪問、同地の大学で若者約500人との対話集会に参加し、危篤状態のマンデラ氏を励ました。またヨハネスブルクでマンデラ氏の家族と面会した。
 オバマ氏は30日、マンデラ氏がアパルトヘイト時代に収監されていたケープタウン沖のロベン島を家族と訪問した。オバマ氏はマンデラ氏が収監された刑務所の独房を見学した後、「英雄たちは、足かせも独房も、人間の精神にはかなわないことを教えてくれる」などと記帳したという。
 オバマ氏は7月1日、南アから最後の訪問先のタンザニアに移動、3日帰国した。
 今回の歴訪では、オバマ氏の父親の出身国ケニアを訪問しなかった。国際刑事裁判所(ICC)に訴追されたウフル・ケニヤッタ氏が4月にケニア大統領に就任したことを懸念したものと見られる。


◎「マンデラ氏は植物状態」か

 【CJC=東京】南アフリカの首都プレトリアで入院を続けるネルソン・マンデラ元大統領(94)が「植物状態」にあると、家族が裁判所に提出した資料に書かれていることがわかった。AFP通信が報じた。
 担当医らが、マンデラ氏は「持続的植物状態」にあるとして家族に生命維持装置を停止するよう助言していた。AFP通信が7月4日に入手した6月26日付の裁判所への提出文書で明らかになった。
 医師団がマンデラ氏の容体について「永久的な植物状態」にあり、生命維持装置によって呼吸をしていると説明したという。
 マンデラ氏が死去した場合の埋葬地を巡り家族間で対立があり、法廷闘争に発展。その中でマンデラ氏の容体についての資料が提出された。文書には「彼(マンデラ氏)は持続的植物状態にあり、生命維持装置を使って呼吸を補助している。家族は医療関係者から、生命維持装置を停止すべきとの助言を受けた。家族は、苦しみを長引かせるのではなく、この選択肢を極めて現実性の高いものとして検討している」と書かれている。
 一方、政府側は4日、マンデラ氏の現在の容体について、「危篤だが、安定した状態にある。医師団は、元大統領が植物状態にはないと判断している」との声明を発表した。


◎教皇フランシスコが初の回勅「信仰の光」

 【CJC=東京】教皇フランシスコは7月5日、最初の回勅「信仰の光」を発表した。回勅は4章からなり、現代人に最も必要とされる信仰について様々な観点から語っている。
 この回勅は前教皇ベネディクト16世によって書き始められ教皇フランシスコの手によって完結された。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、第1章ではイスラエル民族の信仰から始まり、キリスト教徒の信仰そして信仰の教会的側面などについて解説し、第2章で、信仰と真理、信仰と理性、信仰と神学などの相関関係について語っている。第3章で、信仰の母とも言える教会について、そして信仰の伝達、宣教やまたその手段である秘跡などについて解説している。最後に第4章では信仰と共通善に着いて、信仰と家族、また信仰と自然との関係などについて解き明かしている。
 回勅は、信仰を一種の幻想、人間の自由を制限するものととらえる傾向の強い現代にあって、信仰は決して人を現実から分離するものではない、かえって信仰は現実のより深い意味を理解するのを助けるものである、と強調している。そこで教皇はこの世の歴史を正しい方向に導く神の限りない憐れみに無条件に謙遜に信頼する必要性をも説いている。
 この後教皇は信仰と真理や愛との関係を説明し、回勅の最も根本的な教えの一つである福音化についても解説している。キリスト者の顔を照らし輝くキリストの光は信仰の証しを通して世紀にわたって伝達され続ける、として教皇は、神から戴いた大きな恵みである信仰の伝達福音宣教の必要性を強調した。


◎教皇ヨハネ・パウロ2世とヨハネ23世を列聖

 【CJC=東京】教皇フランシスコは7月5日、福者ヨハネ・パウロ2世教皇(本名=カロル・ヴォイティワ、在位1978〜2005年)と福者ヨハネ23世教皇(本名=アンジェロ・ロンカリ、在位1958〜63年)を列聖(聖人に列する)する教令発布を承認した。元教皇2人が聖人の列に加わることが決定した。
 ヨハネ・パウロ2世は、1981年2月、歴代教皇として初めて日本を訪問している。2011年5月に「福者」に列副された。死後8年で列聖が決まったのは初めて。
 ヨハネ23世は、1962年に『第2バチカン公会議』を招集、カトリック教会の革新に貢献した。2009年9月に列福された。
 列聖式の日程は発表されていないが、教皇庁広報事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は記者会見で、今年中に行われるだろうと語った。


◎バチカン銀行の2幹部を聖職者逮捕がらみで「更迭」

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は7月1日、カトリック教会への寄付金を管理する『宗教事業協会』(バチカン銀行)の幹部2人が辞任したと発表した。スイスからの現金不正持ち込み疑惑で6月28日に高位聖職者が逮捕されており、幹部2人の辞任はこれに絡んだ事実上の更迭とみられる。
 辞任したのは、パオロ・チプリアーニ事務局長と、マッシモ・トゥリ副局長。2人は多額の銀行資金の移動について、逮捕された高位聖職者と定期的に連絡をとっていたことが通信傍受で判明したという。


◎ドーラン枢機卿が07年に5700万ドル隠匿

 【CJC=東京】ニューヨーク大司教のティモシー・マイケル・ドーラン枢機卿が2007年、ミルウォーキー大司教時代に教区通常会計から約5700万ドル(約57億円)を『セメトリー・トラスト・ファンド』に寄託していた。ミルウォーキー教区が6000ページにも及ぶ関係文書を発表した、とニューヨーク・タイムズ紙が7月1日報じた。聖職者による性的虐待の被害者からの訴訟に備え、教区資産の一部を隠匿したものと見られる。
 ドーラン氏は同日声明で隠匿について「古くさく、取るに足らない批判」と強調した。ただ文書にはドーラン氏がバチカン(ローマ教皇庁)に2007年送った書簡も含まれている。書簡では資産移転を「訴訟や債務から資産を保護するため」と事情を説明しており、バチカンの承認も速かったことも示されている。
 ミルウォーキー教区のジェローム・E・リステッキ現大司教は、教区の信徒に、文書が信仰を揺さぶるかも知れない、と警告し、被害者に謝罪すると同時に教会指導者の行動について説明している。
 ドーラン氏自身が虐待に直接関係してはいないものの、批判から教会を、特にミルウォーキー大司教としての在任中に、守るため助力したのでは、と流されていた噂を裏付けることとなった。米司教協議会会長で次期教皇候補に擬せられたほどの同氏、米国教会の混迷を改めて浮き彫りにした形だ。


◎「シャイロック」から「ユダヤ人」で謝罪

 【CJC=東京】米トリビューン・メディア・シンジケートが作成、全米のメディアに配信、28日には掲載されたクロスワードで「JEW」と書き入れる箇所のヒントを「シャイロック」にしたことに、反ユダヤ監視団体『名誉毀損防止同盟』(ADL)が「無感覚だ」と抗議、シンジケート側が謝罪文を6月30日配信した。JTA(ユダヤ通信)が報じた。
 クロスワードの配信先は4000カ所。読者は1000万人と見られている。
 「シャイロック」はウイリアム・シェークスピアの戯曲『ベニスの商人』にユダヤ人の金貸しとして登場する。
 JTAによると、「おそらくパズルの製作者は、シャイロックを描き出したシェークスピアの手法が反ユダヤ主義に長年にわたって連動してきたことに気づかなかったのだろう」とADLのナショナル・ディレクター、エイブラハム・フォックスマン氏はトリビューン・メディア・サービシズに送った書簡で指摘している。「JEWという答えを引き出すためにシャイロックを選ぶということは、文化的な無知と感受性が全くないことを示している。不注意だったにしても、そのような結び付け方は、ユダヤ人を悪魔でカネに飢えているとする古典的な反ユダヤの固定観念を永続させる」と言う。


《短信》

◎韓国カトリック教会が非武装地帯近くに教会堂
 韓国カトリック教会は6月25日、南北軍事境界線上の板門店近くに教会を奉献した。朝鮮戦争63周年を記念するもの。外観は中朝国境の新義州にあった教会を模している。同教会は戦争の際に破壊された。(CJC)

◎コプト教徒がモルシ政権崩壊歓迎
 エジプト人口の約1割を占めるコプト教徒は、イスラム系のモルシ氏の大統領職解任を歓迎し、暫定政権支持を鮮明にした。コプト教会はモルシ支持派の報復を恐れ、厳戒態勢を敷いている。
 3日夜、解任を発表した軍最高評議会のアブドルファッターフ・アッ=シーシー議長(国防相)のそばに、コプト教会の教皇タワドロス2世がいたという。(CJC)

◎教皇の一般接見は9月4日から再開
 教皇フランシスコの8月の予定を、教皇公邸管理部が発表した。
 8月中の水曜日の教皇一般接見(7日、14日、21日、28日)は休止される。これで7、8月の両月は、教皇の一般接見は行われないことが確定された。9月4日から再開される予定。(CJC)

◎米テレビ伝道者バッカー夫妻の子息がミネソタで新方式伝道へ
 タットゥーとピアシングで知られたジェイ・バッカー牧師は、著名な米テレビ伝道者ジム・バッカー、タミー・バッカー夫妻の子息、ニューヨークでの7年近くの伝道を踏まえ、故郷ミネソタ州で「エマージング・チャーチ・ムーブメント」に沿った新方式の伝道を始める。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月7日)=https://www.cwjpn.com
★東日本大震災仙台教区=復興支援全国担当者会議=福島復興の「困難」再認識=支援の工夫、喜びも分かち合う
★戻れるのは いつ?=あいまいな「帰国支援事業」=デカセギ第2世代の訴え
★シリア北部で司祭殺害=反政府勢力の襲撃受け
★カトリックとルーテル教会=共同で新文書発表=4年後に「宗教改革」500周年
★"老い"を支える教会へ=「顔が見える」関係づくりを=家庭集会が広げたネットワーク

 =キリスト新聞(7月6日)=https://www.kirishin.com
★バチカンとルーテル世界連盟=2017年に「宗教改革500年」記念
★聖公会出版=「日本語インタープリテーション」再スタート=月本昭男氏ら総合監修
★日本クリスチャンアカデミー関東・今日的課題プログラム=中島浩■(寿の本字に竹冠)氏「死・いじめを読み解く」
★「現代社会に伝道する牧師」=日本伝道協議会全国大会=東京
★福祉専門家目指すキリスト者選抜

 =クリスチャン新聞(7月8日)=https://jpnews.org
★友愛平和の風:憲法論を友愛で論じ合う=異なる考えの他者と対話して熟議
★JECA=キリストの平和で一致が大事=「改憲の危機」講演会
★バチカンとルーテル派が共に記念=2017年=プロテスタント宗教改革500周年で誓約
★ホーリネス教団=「立憲政治の遵守を」=弾圧受けた立場から首相に要請
★「爆発伝道」(EE)日本でも機能=東京・お茶の水クリスチャンセンターで講習会


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