世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1170信(2013.06.24)

  • バチカンとルーテル世界連盟が17年に「宗教改革500年」記念
  • 「同性愛」に取り組んで来た『国際エクソダス』が活動停止
  • 英ガールスカウトが「神への誓い」外す
  • 教皇が各国駐在バチカン大使と会見
  • 教皇がサンピエトロ広場でバイカーたちを祝福
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎バチカンとルーテル世界連盟が17年に「宗教改革500年」記念

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)とルーテル世界連盟(LWF)は、双方の違いよりも、共通の信仰を強調して「宗教改革500年」を2017年に記念する計画。バチカン・キリスト教一致推進評議会議長のクルト・コッホ枢機卿とLWFのマルチン・フンヘ総幹事がジュネーブで6月17日、共同文書『争いから交わりへ』を発表した。文書は、数世紀にわたる「争い」を掘り返すためのものではない、としている。
 コッホ枢機卿は、教会の一致への働きは「宗教改革自体の働きの実質的な完成」としたが、ルーテル派に対して、宗教改革がカトリックにとって苦痛に満ちた出来事であったことを理解するよう求めた。
 ドイツ・プロテスタント教会(ルーテル派)の創設者マルチン・ルターは1517年10月31日、「95個条の提題」と呼ばれるものをウイッテンブルグの教会の扉に貼り出した。これがいわゆる「宗教改革」の始まりで、西方教会をカトリックとプロテスタントに分裂させることになった。
 共同文書では、両教会が、エキュメニズムとグローバリゼーションの時代に、記念には新しいやり方が必要であり、相互に罪を認め、この50年間に進められてきたルーテル派とカトリックの対話の進展を浮かび上がらせる必要を指摘している、
 「分裂」という出来事をどのように扱うかは、ローマ(カトリック教会)では微妙だ。分裂を記念する必要はない、と思っている人もいる。ルーテル派にとっても、記念に勝利感を持ち込むこと、それがカトリック側の不快感を呼ぶようなことには慎重にならざるを得ない。
 共同文書は「宗教改革」の歴史とそれが生み出した分裂を再検証し、ルターには「新しい教会を設立する意図はなかったが、改革のための広範・多面的な志向の一部ではあった」と強調している。
 「この真理のための闘いは、16世紀にあっては、西方キリスト教の一致喪失につながり、教会史の暗いページになった」と文書は述べている。「2017年に、わたしたちは、教会の一致を損なったことでキリストの前に罪をおかしてきた、と明確に告白しなければならない」と言う。
 共同文書は、今日の世界で、大多数のキリスト者が南半球に住んでおり、その人たちが「16世紀の信仰上の争いを自分たち自身の争いと見ることは難しい」としている。
 ヨーロッパなどの「旧世界」でも「16世紀の争いは過ぎ去ったことという認識がルーテル派とカトリックに見え始めている。互いの信仰を非難し合う前提は棚上げされるようになった」と文書は指摘する。
 何世紀にわたり互いの信仰を嘲笑しあって来たのち、カトリック教会が行った第二バチカン公会議の近代化改革によって双方の間に誠実な神学的な対決が始まった、という。
 さらに文書は、ここ数十年のエキュメニカルな対話によって、ルーテル派とカトリックは「自分たちを分裂させるものよりも一致させるものを認めるようになった」としている。
 1999年、双方は16世紀の教会分裂の根拠となった「義認」という神学問題に関する正式な合意に署名した。
 今日、双方は信仰の核心的な問題について共通理解に達したものも多いが、教皇の役割、女性叙階、同性愛などについては意見は分かれたままだ。


◎「同性愛」に取り組んで来た『国際エクソダス』が活動停止

 【CJC=東京】『国際エクソダス』(本部・米フロリダ州オーランド)理事会は6月19日、活動を停止し、新たな宣教活動を始める、とウエブサイトで公表した。キリスト教信仰から同性愛を問題として1976年以来取り組んで来たが、自らの使命を有害、無知なものだったとして、これまで推奨してきた性的指向を転換させる「転換療法」を受けていた人たちに謝罪した。
 信仰と同性愛の問題に取り組んで来た宣教団体の多くが、自らの手法に効果がなく、有害でもあったと認めて活動を停止する中で、米国で最古、最大とされる『エクソダス』の規模と影響力から見て、今回の方向転換がキリスト教界に与える影響は大きい。
 各地の関係団体はそれぞれの判断で活動を継続するが、『エクソダス』の加盟団体の名では行わないことになる。


◎英ガールスカウトが「神への誓い」外す

 【CJC=東京】英『ガール・ガイド』(ガールスカウト)は6月19日、創設以来100年以上、「神を愛し、王/女王に仕える」と誓約して来た「神への誓い」を外す、と発表した。一般の無信仰の家庭の子どもにも呼び掛けるため、という。
 この9月から、善良で有能な市民となることを約束した新メンバーは「自らに誠実で、自らの信仰を育て......女王と国に仕える」と誓約することになる。
 これに対し、英国社会にキリスト教色を反映させることに努めている団体『クリスチャン・コンサーン』のアンドレア・ミニキエロ・ウイリアムス代表は、忠誠の誓いから神を外すのは誤りだ、と抗議した。
 しかし『ガール・ガイド』のジル・スロコンブ代表は、今回の決定が約4万4000人と協議の後に行われたもの、と指摘している。神に言及することで「少女やボランティアが加入意思をそがれる」可能性がある、とし、今回の改定で「ガイドラインのことを考えていなかった少女や成人女性に呼び掛ける助けになる」と言う。
 英『ガール・ガイド』は隊員50万人以上。世界組織『ガールガイド・ガールスカウト世界連盟』には、144国と地域が加盟し、メンバー総数1000万人と推定される。


◎教皇が各国駐在バチカン大使と会見

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月21日、世界各国に駐在する教皇大使と会見した。
 大使たちは、「信仰年」を機会にバチカン(ローマ教皇庁)に集まり、2日にわたって会合した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコは、日頃の任務において教皇とバチカンを代表する立場である大使たちに対し、節制と犠牲、自己から離れることによって神との絆を強め、派遣された場所でその国と人々、教会に愛を込めて奉仕していくようにと励ました。
 さらに教皇は、世俗的な精神に陥る危険を避け、自分が置かれた環境の中で司祭・司牧者であることを忘れず、すべての人の善と教会の善のために尽くして欲しいと、大使たちに要望した。


◎教皇がサンピエトロ広場でバイカーたちを祝福

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月16日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で開いた日曜のミサで、世界中から集まったハーレー・ダビッドソン愛好家のバイカー数百人を祝福した。愛好家たちから歓声と拍手が上がった。
 専用車「パパモビル」に乗った教皇は、ハーレー・ダビッドソン創立110周年記念祝賀行事の一環としてローマに集まったバイカーたちを祝福した。
 教皇は12日、バイカーたちからハーレー・ダビッドソン2台とジャケットを贈られた。


《短信》

◎慰安婦めぐる国連委勧告「従う義務なし」と内閣
 内閣は6月18日、旧日本軍の慰安婦問題に関する国連の拷問禁止委員会の勧告について、「法的拘束力を持つものではなく、締約国に従うことを義務づけているものではない」とする答弁書を閣議決定した。(CJC)

◎プーチン大統領がシリア反体制派への武器供与に反対
 ロシアのプーチン大統領は16日、欧米諸国によるシリア反体制派への武器供与は「数百年にわたり欧州で伝えられてきた人道的価値観とは無関係だろう」と述べた。(CJC)

◎「ルルドの泉」が鉄砲水で閉鎖、AFP報道
 仏南西部のルルドを流れる川で6月18日、鉄砲水が発生、オートガロンヌ県当局は、予防的措置として「ルルドの泉」がある『マッサビエルの洞窟』を閉鎖したと発表した。AFP通信が報じた。(CJC)

◎救世軍のリンダ・ボンド万国総督が引退
 反省と祈りの末に、役職返上を決断した。6月13日から、アンドレ・コックス参謀総長が職務を代行している。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月23日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=「神と隣人への愛」生きる信者に
★教皇、聖公会新指導者と会談
★岡田大司教=会長に就任=諸委員会役員人事も決める=2013年度定例司教総会
★『地上の平和(パーチェム・イン・テリス)』学ぶ=危機時代の精神、司教ら研修
★「ケセン語」訳聖書の訳者=山浦さんに有功十字勲章=大震災後の活動など幅広く貢献

 =キリスト新聞(6月22日)=https://www.kirishin.com
★「遅すぎたと言わないために今、何をなすべきか」=日本バプテスト連盟靖国問題委講演会
★新島学園短大チャペルアワー=ドラマ「八重の桜」音楽担当=中島ノブユキさん=「賛美歌がルーツ」
★「ヴォーリズと武蔵豊岡教会展」=埼玉県内唯一の設計を評価
★「東日本大震災復興支援コンサート=3・11を忘れない=メサイア2013祈り」
★創立63年経て「第一種教会建設式」=日基教団上星川教会

 =クリスチャン新聞(6月23日)=https://jpnews.org
★JEA第28回総会=震災で問われた福音に焦点=被災地支援を継続=福島で宣教フォーラム
★ヘボン塾から150年=人格教育を繋ぐ礼拝
★JEA=韓国基督教総連合会との宣教協力を解消=異端容認で混乱など受け
★県人会近畿=関西人から天国人へ=大阪市長のためにも祈る
★救世軍・山谷少佐の名誉棄損裁判が佳境に=原告・被告尋問でクリスチャン・トゥデイ社長の証言に矛盾


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