世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1163信(2013.05.06)

  • 「信教の自由」は悲惨な現状、と米委員会
  • ベネディクト16世がバチカンで新生活
  • 北朝鮮が韓国系米国人に強制労働15年
  • 米テレビドラマ『ザ・バイブル』が映画化
  • 「繁栄の福音」のヒン氏が1人1万円献金呼び掛け
  • ジン・ルシャン上海司教死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎「信教の自由」は悲惨な現状、と米委員会

 【CJC=東京】世界各地で「信教の自由」(宗教の自由)が激しく脅かされている。米国の独立組織『国際宗教の自由委員会』(カトリーナ・ラントス・スウェット委員長)が5月4日発表した2013年の年次報告書が指摘した。同委員会は、大統領、連邦議会、国務省に報告書を提出、政策発動を勧告する。
 信教の自由が脅かされている例として、同委員会はミャンマーのキリスト者やイスラム教徒など少数派への暴行、中国の非公認宗教団体抑圧、イランのキリスト者拘禁などを挙げている。
 「特に懸念する国」(CPC)として同委員会は、ミャンマー、中国、エジプト、エリトリア、イラン、イラク、ナイジェリア、北朝鮮、パキスタン、サウジアラビア、スーダン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベトナムの15国を挙げた。これらの国は前年にも取り上げられていたが、国務省が指定したのは8国に留まっている。
 同委員会はCPCに準ずる「第2段」グループに、アフガニスタン、アゼルバイジャン、キューバ、インド、インドネシア、カザフスタン、ラオス、ロシアを、さらにこの2グループに準じる国として、バーレーン、バングラデシュ、ベラルース、エチオピア、トルコ、ベネズエラと西ヨーロッパ全国を挙げている。
 トルコのように、「信教の自由について前向きになっている」ことを認めてランクから外した国もあるが、ただ全体的に見ると、信教の自由は「悲惨さを増して」おり、それは暴力的な宗教極端主義が盛んになり政府の施策と結び付いているため、と報告書は指摘している。
 信教の自由保護が十分でない方向での憲法修正、反冒とく立法、旧共産圏諸国での信教の自由制限、良心的兵役拒否者の拘禁、非政府組織での信教の自由問題などに対する懸念も報告書に盛り込まれている。


◎ベネディクト16世がバチカンで新生活

 【CJC=東京】名誉教皇ベネディクト16世は5月2日夕、退位後滞在していた、ローマ近郊カステルガンドルフォの離宮からバチカンに戻った。
 2月28日に教皇職を退位した後、2カ月にわたりカステルガンドルフォに滞在していたベネディクト16世は、ヘリコプターでバチカンに到着、枢機卿団主席アンジェロ・ソダノ枢機卿ら関係者の挨拶を受けた。その後、ベネディクト16世は車でバチカン庭園内の観想修道院マーテル・エクレジエに移動した。修道院の入り口では、教皇フランシスコが前教皇を出迎えた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、同修道院では、ベネディクト16世と共に、教皇公邸管理室責任者ゲオルグ・ゲンスワイン大司教と、これまでも身の回りの世話をしていた、在俗会『メモレス・ドミニ』の4人の会員が生活する。


◎北朝鮮が韓国系米国人に強制労働15年

 【CJC=東京】昨年11月に北朝鮮で逮捕され、起訴された韓国系米国人ケネス・ペ・ジュンホ氏(44)に対し、北朝鮮最高裁判所は4月30日、「反共和国敵対犯罪」を行ったと認定、労働教化刑(懲役)15年の判決を言い渡した。
 昨年11月3日に観光目的で訪朝したペ氏は北朝鮮北東部の中ソ国境に近い羅先市を旅行中、「コッチェビ」と呼ばれる孤児となった浮浪児を撮影したことが、体制を転覆しようとしたとして逮捕された。
 ペ氏は中国・大連で北朝鮮専門の旅行会社を運営しているとされているが、「敬虔なキリスト者」として北朝鮮への食糧持ち込みを図り、またその窮状を人道問題として広く訴える行動に出ていたことで、北当局が逮捕をねらっていたとも見られる。宣教団体とのつながりも取り沙汰されている。


◎米テレビドラマ『ザ・バイブル』が映画化

 【CJC=東京】聖書を題材にした米国のドラマ『ザ・バイブル』がヒットになり、劇場公開したいとの要望が内外から寄せられたことから、イエス・キリストの復活に焦点を絞って3時間の映画に再編集が進められている。専門紙ハリウッド・レポーターが報じた。
 『ザ・バイブル』は、米ヒストリー・チャンネルで全10話のミニシリーズとして放送された。第1話の視聴者数は1310万人と、ケーブル局のドラマとして最高の数字を出した。その後も堅調な視聴率を維持し、最終話は1170万人だった。


◎「繁栄の福音」のヒン氏が1人1万円献金呼び掛け

 【CJC=東京】米国のテレビ伝道者ベニー・ヒン氏は「繁栄の福音」を説いて信奉者を多数獲得している。「神はあなたが富を持つことを望んでおられるが、あなたはまず、このことを語る人には誰であれ献金して、十分な信仰を持っていることを示さなければならない」というもの。
 そのヒン氏、中米トリニダード・トバゴのポートオブスペインで4月13、14日に行った「奇跡の癒やし礼拝」で、参加者約1万2000人に、2日間の集会開催費用を負担するため、1人あたり1万円相当の献金をするよう呼び掛けた。
 ヒン氏は、自分が贈り物を受け取るのではない、献金は自分のためではなく「神の国のため」なのだ、と語ったと言う。現地メディアは、ヒン氏は献金を「種を蒔くこと」だとし、献金することが生涯に繁栄をもたらすと説明した、と報じている。出席者の多くが献金したという。


◎ジン・ルシャン上海司教死去

 【CJC=東京】中国カトリック教会は、4月26日死去したアロイジウス・ジン・ルシャン司教の葬儀ミサを29日、上海市徐匯区の聖イグナチウス大聖堂(徐家匯天主堂)で行った。参列者は1000人を超えたが、タデウス・マ・ダキン補佐司教は出席しなかった。教会筋は「上海社会主義研究所での教育のため2週間前に連行された。葬儀ミサ司式をさせないためだろう」と語っている。
 「マ司教が、死去した高位聖職者に別れを告げるために同僚の聖職者を指揮出来ないということは、後継者として遺憾なことだ。わたしたちはこの無礼な抑圧者に言葉もなく、怒り、悲しんでいる」とある信徒が中国版ツイッター『微博』に書き込んでいる。ただ司祭の1人は匿名で、マ司教が結局は復職するとの希望は失っていない、とUCAN通信に語った。
 葬儀ミサは教区の司祭約80人が共同司式したが、ミサ執行を伝えられたのは前日のことだったという。司教は誰も参加せず、他教区の司祭も祭壇には上がらなかった。
 葬儀は死後3日以内に行うのが上海の慣習だが、今回のニュースは驚きをもって受け止められた。ただ政府の介入を避け、また「違法」司教の参加を阻止するための措置と思う、と見る教会筋もいる。


《短信》

◎マレーシア政権党が総選挙を控え、反キリスト教の掲示板。
◎キリスト教宣教師に「カシミール地区を離れなければ重大な結果」とイスラム教武装勢力が警告。
◎イラン系米国人のサイード・アベディニ牧師(32)がキリスト教信仰を理由に禁固刑8年に処せられ、「平和的な沈黙抗議」の結果、厳重な拘禁状況下に。
◎死海沿岸で13年前に発見された古代の石板がこのほどエルサレムで公開された。高さ1メートルで大天使ガブリエルについて87行に渡って記されている。
◎教皇フランシスコが1日、バングラデシュの首都ダッカ近郊で起きたビル崩壊事故で死亡した労働者数百人の状況は「奴隷労働」だと非難した。
◎教皇フランシスコがイスラエルのペレス大統領と4月30日会談。聖地訪問招請を受け入れ。
◎教皇フランシスコのトゥイッター・フォロワーが600万人に。ベネディクト16世の330万人からほぼ倍増。
◎カトリック超保守派でバチカン非公認『聖ピオ10世会』のベルナール・フェレー総長が教皇フランシスコを批判したとの報道を同会が否定。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月5日・休刊)=https://www.cwjpn.com

 =キリスト新聞(5月4日)=https://www.kirishin.com
★ベトナムで空爆受けたキム・フックさん="「赦し」学び、苦しみから解放"=西南学院主催で来日講演
★クリスチャンセンター神戸バイブル・ハウス10周年=教派超え、聖書普及の拠点として
★作家・曽野綾子氏が講演=「聖書のこの世を見る眼」
★日基教団渋谷教会で木田献一氏葬儀=旧約学の"先達"偲ぶ
★教皇フランシスコ=枢機卿8人の顧問団設置

 =クリスチャン新聞(5月5日)=https://jpnews.org
★憲法守り平和実現を=全国のメノナイト有志ら呼びかけ
★異端の活動で韓国教界混乱=相談所協議会会長=ロビー活動の実態語る
★ホームレスの人々招き食事会=富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル
★「神」は「創造主」=初の訳し換え『創造主訳聖書』刊行=日本人に福音を伝わりやすく
★宣教の最前線基地は東京から=埼玉の単立教会牧師が協力開始=お茶の水クリスチャン・センターで東京メトロポリタンチャペル


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