世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1161信(2013.04.22)

  • 教皇フランシスコが枢機卿8人の顧問団設置
  • 米「タイム」が最も影響力のある100人に教皇も
  • メッシが教皇にサイン入りユニフォーム贈る
  • 前教皇ベネディクト16世が86歳に
  • 中国の聖書印刷所から多言語聖書が世界に輸出
  • 米国で4月21日を「ネット福音の日」に
  • 米ボーイスカウト連盟が同性愛容認提案
  • 豪で『エホバの証人』の青年に輸血へ
  • ヘロデ王の墓復元計画が取り止め
  • バチカンでアダルト動画が違法ダウンロード?
  • 《メディア展望》

◎教皇フランシスコが枢機卿8人の顧問団設置

 【CJC=東京】教皇フランシスコが着座1カ月の4月13日、バチカン(ローマ教皇庁)改革のために枢機卿8人による顧問団を設けた。最初の会合は、10月1日から3日と発表されたが、教皇はすでに各枢機卿と連絡を取っているとされ、第1回会合が改革案発表の場になる可能性も出てきた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇が任命した8人は、ジュゼッペ・ベルテッロ(バチカン市国行政庁官)、フランチスコ・ハビエル・エラスリス・オッサ(チリ、サンティアゴ・デ・チレ名誉大司教)、オズワルド・グラシアス(インド、ボンベイ大司教)、ラインハルト・マルクス(独、ミュンヘン=フライジング大司教)、ローラン・モンスウェンゴ・パシンヤ(コンゴ民主共和国、キンサシャ大司教)、ショーン・パトリック・オマリー(米、ボストン大司教)、ジョージ・ペル(オーストラリア、シドニー大司教)、オスカル・アンドレス・マラディアガ・ロドリゲス(ホンジュラス、テグシガルパ大司教)。またマルチェッロ・セメラーロ司教(アルバーノ司教)が、顧問団の「事務局長」に任命された。
 ベルテッロ枢機卿以外は、アジア、北米、中米、南米、欧州、アフリカ、オセアニアから1人ずつで、教皇出身の米州を一つと見ると3人になることが注目される。
 バチカン(ローマ教皇庁)国務省の発表によると、先のコンクラーベ開始前に行われた枢機卿総会で、教皇に助言を行なう枢機卿の顧問団の必要が示され、教皇フランシスコはこの提案を汲んで、顧問団を設立した。顧問団は、普遍の教会の統治と、教皇庁の組織と機能をめぐる使徒憲章「パストール・ボヌス」の見直し計画の準備において助言を行なうことを目的とする。
 バチカン広報事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は、顧問団が「委員会」や「評議会」などの名称を持たず、オープンな性格を保っていること、普遍の教会を統治する教皇が様々な大陸の枢機卿からの意見を得ることが出来る、と指摘した。
 ロンバルディ神父は、顧問団は、助言的性格を持つものであり、決定機関的なものではないと説明、教皇庁の関係について、「教皇庁は教皇を近くから助けるという基本的な機能を有し、各省・評議会の長はその責任と権威を保持すると共に、教皇の日常的な任務の第一の協力者である」、一方、顧問団は「普遍の教会の視点および異なる地域の視点から意見をもたらすことで、教皇が教皇庁の協力の下に進める仕事をさらに補うものとなる」と語った。


◎米「タイム」が最も影響力のある100人に教皇も

 【CJC=東京】米「タイム」誌が4月18日、「世界で最も影響のある100人」(The 2013 TIME 100)を発表した。バラク・オバマ米大統領とミシェル夫人や中国の習近平国家主席らと並んで教皇フランシスコも挙げられている。記事は同誌の4月29日号に掲載される。


◎メッシが教皇にサイン入りユニフォーム贈る

 【CJC=東京】サッカー・スペイン1部リーグの『FCバルセロナ』に所属するリオネル・メッシ選手が、フランシスコ教皇に自身のサイン入りユニフォームを「献上」したことを、バチカン(ローマ教皇庁)が4月17日、明らかにした。信徒評議会のミゲル・デルガド・ガリンド次官補が教皇に手渡した。
 アルゼンチン出身のメッシは、同じくアルゼンチン出身の教皇に宛てて、「親愛の情をこめて」というメッセージとサインを手書きしたユニフォームを贈ったという。
 AFP通信によると、サッカー好きとして知られる教皇がサイン入りユニフォームを贈られるのはこれで3度目。15日にはスペインのマリアノ・ラホイ首相が、選手全員のサインが書かれたスペイン代表のユニフォームを教皇に献上した。
 また3月に行われた教皇着座式典の直後には、アルゼンチン1部リーグのサン・ロレンソ)が「フランシスコ教皇に祈りを。そしてチームにも祈りを」というメッセージが書かれたユニフォームを、南米出身として初めて選出された教皇に贈っている。
 教皇は長年に渡りアルゼンチンの強豪チーム、ブエノスアイレスの『サン・ロレンソ』を応援している。


◎前教皇ベネディクト16世が86歳に

 【CJC=東京】前教皇ベネディクト16世は4月16日、86歳の誕生日を迎えた。「名誉教皇」として初めての誕生日。
 前教皇は、現在ローマ郊外カステルガンドルフォの離宮で祈り主体の生活を送っている。バチカン市国内の修道院の改築終了後に、同所に移る予定。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコは16日朝、サンタマルタ宿舎の礼拝堂でのミサの冒頭で、「このミサをベネディクト16世のために捧げましょう」と述べ、前教皇のために祈った。
 サンピエトロ大聖堂主席司祭アンジェロ・コマストリ枢機卿は、ベネディクト16世はその引退生活の中で、教皇フランシスコがその任務のために注いでいる多大な努力を祈りを通して支えており、前教皇は沈黙の中にあってもわたしたちと常に一致している、と語った。


◎中国の聖書印刷所から多言語聖書が世界に輸出

 【CJC=東京】キリスト教、特に「家の教会」への抑圧ニュースが流れることもある中国で、聖書印刷が2012年には1200万部になったことに英週刊誌『エコノミスト』が着目、「初めに表意文字があった」と題する記事をこの3月30日号に掲載している。
 現在、中国のキリスト者は全人口の5%、6700万人と米国の調査機関『ピュー・リサーチ・センター』。。1億人との推定もあり、そうなると中国共産党の党員約8200万人とほぼ同数のキリスト者が存在することになる。
 公認キリスト教組織『中国基督教協議会』が南京で運営している『愛徳基金会』が聖書協会世界連盟(UBS)の支援を受けて聖書やキリスト教文書の印刷所『愛徳印刷所』を設けたのが1988年。初年度に印刷した聖書は50万部だったが、2008年の北京五輪前に完成した新印刷所は、今では従業員600人、年間で1800万部の聖書を印刷出来るまでになった。言語も中国語だけでなく英語、スワヒリ語、ズールー語、ロシア語など90以上になり、点字版も印刷可能という。『エコノミスト』誌は、昨年達成した1億冊目の記念聖書が印刷所のロビーに展示されている、と報じる。
 世界教会協議会(WCC)の国際関係教会委員会が2012年6月に上海と南京で開催された際、愛徳印刷所を訪問したオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事には、8000万冊目の聖書が贈られている。
 中国で聖書を印刷、出版しているのは『愛徳印刷所』だけ。中国人に聖書を供給したいとの願いで設立された印刷所が、独占と低コストの上に聖書輸出で利益を得ている、との批判もあるとエコノミスト誌。
 2011年に印刷された聖書の約3分の2は輸出されていると見られる一方、国内販売は年間で約400万冊と横ばい。これでは中国の増大するキリスト者には聖書が十分に行き渡っていないのではないか、という批判も出ている。聖書を持てない中国のキリスト者のために「聖書密輸」をしようと、一般渡航者にまで協力を求めていた状況は今どうなっているのか。
 三自愛国会が、聖書販売を「公認教会」5万5000カ所に限定していると指摘するのは、米国に本拠を置く中国のキリスト教抑圧監視団体『対華援助協会』のボブ・フー会長。キリスト者が聖書を買おうにも、数十万カ所あると見られる「地下教会」には愛徳印刷所の聖書は出回らないと言う。
 「地下教会」と言っても、公認教会と会員が重なっている所や、公然と活動している所もあり、その境界はあいまいになりつつある。当局は非認可の「地下教会」に登録を求めているが、当局の管理を嫌って非認可のままでいる教会も多い。
 『エコノミスト』誌は、米国のキリスト教団体『アジア・ハーベスト』のポール・ハッタウエー氏が、1990年代末から行っている聖書密輸を紹介している。これまで「家の教会」の組織を通じて配布した聖書は600万冊を超えた。
 同誌は最後に、安徽省の「ミスター・ルー」の話を紹介している。今では「家の教会」指導者の同氏は、事態が完全に良くなったわけではないが、1990年代半ばから聖書を手に入れやすくなり、今では自分の周辺の「家の教会」の会員は皆1冊は聖書を持っている、と言う。それは皆『愛徳印刷所』発行のものだそうだ。


◎米国で4月21日を「ネット福音の日」に

 【CJC=東京】米国でインターネット伝道に力を入れているミシガン州のロビー・リチャードソン牧師(インターネット・エヴァンジェリズム・コーリション主宰者)やキリスト教放送網(CBN)協力者のクレイグ・フォン・ブセック牧師がカナダ、オーストラリア、英国などの同志と『インターネット・エヴァンジェリズム・デイ』(ネット福音の日)を打ち上げている(https://www.InternetEvangelismDay.com/)。
 毎年4月最後の日曜日をその日にすることにし、2012年は21日だった。ただどこかで大会を開催するなどのことはなく、全てはネット上でやりとりされる。そのため経費も少なく、ボランテア活動で済むという。ただしサイトには設立の経緯、歴史などは紹介されていない。


◎米ボーイスカウト連盟が同性愛容認提案

 【CJC=東京】米ボーイスカウト連盟は4月19日、同性愛者隊員に関する禁止措置の撤回を提案した。ただし成人同性愛者が隊員としてスカウト運動を指導することは認めない。同性愛の青年はスカウト隊員になれるが、成人になったら辞任を強制されることになる。提案は5月に指導者投票で最終決定される。
 米国のボーイ・スカウトは2000年に、同性愛者排除の権利を連邦最高裁で認められた。
 関係者の反応は、猛反対から条件付き賛成まで一様ではない。最大の隊組織を持つモルモン教会(末日聖徒イエス・キリスト教会)は、提案を検討中で、指導者投票での態度は未定としている。一方、同性愛者の権利擁護団体は、成人同性愛者への禁止措置は受け入れられないが、ユースへの変更は歓迎する、と言う。
 現在、米国のスカウトは青年隊員が260万人以上、成人隊員が約100万人。隊の7割以上は宗教団体がスポンサーになっている。


◎豪で『エホバの証人』の青年に輸血へ

 【CJC=東京】豪シドニーの児童病院で、17歳の少年が『エホバの証人』の信徒であることを理由に輸血を拒否していたが、管轄のニューサウスウェールズ州最高裁のイアン・グゼル判事は3月28日、同病院の医師に輸血を命令した。ただ命令は、少年が成人に達するまで10カ月間だけ有効としている。成人は自己の判断で輸血を拒否出来る。
 現地紙『シドニー・モーニング・ヘラルド』は、少年がホジキンリンパ腫だと報じた。少年は医師に、輸血されるのは性的虐待を受けるようなもの、と語っている。


◎ヘロデ王の墓復元計画が取り止め

 【CJC=東京】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のヘロディオンで2007年発掘された遺跡がヘロデ王の墓と推定され、原初の姿を復元する計画が進められていたが、撤回された、と現地紙『ハアレッツ』が報じている。
 発掘した考古学者のエフード・ネッツェル氏は再現を熱望していたが、計画が発表されると批判が強まり、公園当局や首相府は公聴会を現場近くで開催したところ反対が圧倒的だった。考古局のエルサレム地区担当だったアモス・クロネル教授は、発掘がなお継続中で、これまで発見されたものは極めて僅かで、正確に復元するには次期尚早だと語った。
 エルサレムのヘブライ大学のジョセフ・パトリック教授も、ネッツェル氏が発見したのが本当にヘロデの墓なのか意見が一致していない、と言う。
 ネッツェル氏は3年前に死去している。


◎バチカンでアダルト動画が違法ダウンロード?

 【CJC=東京】「バチカン市国」でアダルト動画が違法ダウンロードされていた。そう主張するのは、ポルノ女優ティファニー・スターさんとリー・レクシスさん。2人は、自らが出演した作品がバチカンでダウンロードされていると主張している。しかも、それは著作権を侵害した違法なものだ、と米ネットニュース『ハフィントン・ポスト』で訴えている。
 違法ダウンロードが判明したのは、著作権などに関するニュースを発信するサイト『トレント・フリーク』が、バチカンのIPアドレスからダウンロードされたファイルを調べたため。ダウンロードされたファイルのなかには、アダルトコンテンツが多数含まれており、かなり過激なものもあったという。
 スターさんは「バチカンの人も私の作品を見ていると思うと良い気分。自分のやっていることを恥じはしない」と語っている。レクシスさんも「敬虔な人々も、本当はポルノを見ている。バチカンでダウンロードがあったことはそれを証明していると思う」と言う。
 彼女たちが問題視しているのは、バチカンの人もアダルト動画を見ているということではなく、このダウンロードが著作権を侵害していること。
 ただバチカンのIPアドレスからダウンロードされていても、それが聖職者やカトリック教会などと関係があるとは限らない。バチカン市国の「住民」は800人おり、聖職者がポルノを見ている、と決めつけられない。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月21日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=国連事務総長と会談=朝鮮半島情勢に触れる
★韓国司教協会長が指摘=北朝鮮の威嚇行為には援助引き出しの狙いも
★ロシアで強制捜索=小教区や教会団体を弾圧
★淡路島=震度6弱=兵庫・洲本教会=食器棚倒れる
★「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」編集=聖職者による子どもへの性虐待=対応マニュアル発行=カトリック中央協議会から

 =キリスト新聞(4月20日)=https://www.kirishin.com
★平山正実氏らが提唱=自死遺族等の名誉と尊厳守る=東京でシンポ
★第22回実践神学の会=WCC釜山総会への貢献討議
★復活書店「古書バザール」=4月22・23日で"休止"
★世界の神学教育をオンライン検索
★同志社理事長に水谷誠神学部長

 =クリスチャン新聞(4月21日)=https://jpnews.org
★韓国NCC=北朝鮮緊迫で祈りの連帯要請=軍事力によらぬ主の平和を
★「大震災で全壊...祈り・協力と出会いで奇跡の再建」=泉聖書バプテスト教会=喜びの献堂式
★同盟基督第64回総会=10年越し機構改革、信仰告白新たに=全教会議員制から代議制総会へ
★玉川聖学院=魅力ある中高科目指し=教会と協力し共に学ぶ
★元牧師の暴行・暴言「被害防止できず反省」=仙台ラブリ教会役員会が謝罪声明


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