世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1160信(2013.04.15)

  • WCC総幹事が朝鮮半島の緊張強化の終結呼び掛け
  • 韓国司教協会長が「北」の攻勢に見解
  • 教皇が国連の役割を事務総長に評価
  • 教皇「性的虐待に断固対応」を表明
  • 「フェミニズムは危険」とロシア正教会キリル総主教
  • エジプト・コプト教会教皇がモルシ大統領に抗議
  • リック・ウォレン牧師の子息自死
  • 「世界最大」のヨハネ・パウロ2世像がポーランドに
  • 1500年前のワイン工場をイスラエルで発掘
  • カストロ・WCC元総幹事死去
  • 《メディア展望》


◎WCC総幹事が朝鮮半島の緊張強化の終結呼び掛け

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事が、朝鮮半島の緊張が強まっていることに終止符を打ち、関係者が平和、和解、再統一に向けて対話へ即時動くよう呼び掛けた。
 朝鮮半島の事態に、WCCは関心を強めている。それは南朝鮮の加盟教会が受ける衝撃だけでなく、北朝鮮の朝鮮基督徒連盟にとっても衝撃だからと見ているため。同連盟とWCCはこれまで長らく対話とさまざまな関係を樹立してきた。
 WCCは第10回総会を今年10月30日から11月8日まで南朝鮮の釜山で開催する計画。総会は7年に1回開かれるもので、全世界からキリスト者が集まる。諸教会の集まりとしては最も多彩なもの。
 トゥベイト総幹事は「総会を開くには釜山をおいて他にない。総会の主題『生命の神、正義と平和へ導け』だ。朝鮮半島は正義と平和のメッセージを必要としている」と語る。
 「総会が朝鮮で開催されるということ自体、わたしたちからすれば、世界に広がる諸教会と朝鮮の諸教会にとって、平和と和解を推進すたための希望の表現なのだ。朝鮮半島の平和は敵意さえなければ可能だ」と言う。
 「最近の事態は、6者会談が緊急に必要なことを示している。6カ国政府は、北東アジアの平和と人間の安全保障のため、協定と信頼樹立というかつての道に立ち戻る責任がある」として「地域全体、特に南北朝鮮双方に居住している人のために、WCCと加盟諸教会は、今なお続く脅威と威嚇を終わらせるよう呼び掛ける。それらは検証され、終わらせられなければ、誰もが欲しない破滅に終わることになる」とトゥベイト総幹事はジュネーブのWCC本部でこのほど語った。


◎韓国司教協会長が「北」の攻勢に見解

 【CJC=東京】韓国カトリック教会司教協議会のペテロ・カン・ウイル会長(済州司教)は4月9日、北朝鮮の最近の攻撃的な脅威は、威信を保ちつつ外国からの援助を引き出そうとする試みであろう、と米カトリック通信CNSに語った。
 カトリック司教は、北朝鮮により引き起こされている緊張が「全世界を不安にしている」ことを「非常に遺憾」としている。
 南朝鮮の人たちが「平穏を訴え」ているが、双方の間の雰囲気がエスカレートしていることには不安を感じていじょう。南朝鮮の人たちは脅威には慣れているであろうが、「不測の軍事衝突の可能性を誰も否定できない」と言う。


◎教皇が国連の役割を事務総長に評価

 【CJC=東京】教皇フランシスコはバチカン(ローマ教皇庁)で4月9日、潘基文国連事務総長と会見した。
 会見後に発表された声明によると、教皇は、世界の平和と、人類の共通善の推進、基本的人権の擁護に対する国連の中心的役割を評価した。またシリア、朝鮮半島、アフリカ大陸など、平和と安定が脅かされている地域の紛争状態と重大な人道危機について話し合った。会談では女性や、難民・移民に対する人権問題にも言及したという。
 教皇フランシスコは、他の国際組織と並んで、総合的な人間の尊厳に寄与し、出会いの文化を育てるカトリック教会のアイデンティティーとその固有の方法を指摘した。
 「素晴らしい会合で、希望に満ちたものだった。教皇フランシスコは平和と意志を持った人」と事務総長は記者団に語った。
 事務総長は、この後、バチカン国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿およびアントワン・カミレリ外務局次長と会談した。


◎教皇「性的虐待に断固対応」を表明

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)教理省は4月5日声明を発表、聖職者による子どもへの性的虐待問題について、教皇フランシスコが「断固とした対応をとる」と表明したことを明らかにした。
 教皇は、バチカン教理省長官のゲルハルト・ルートヴィヒ・ミュラー大司教との接見で、前教皇ベネディクト16世が打ち出した対応策に沿って、性的虐待の被害者を保護するとともに、罪を犯した者に厳正な法的手段をとることを要請した。また各地のカトリック司教協議会が指導的な立場でこの問題に関わるよう求めた。
 ベネディクト16世は、被害者に直接謝罪するなどしたものの、教理省長官時代に事件を把握しながら加害者の神父の処分を見送っていたとして批判されていた。


◎「フェミニズムは危険」とロシア正教会キリル総主教

 【CJC=東京】ロシア正教会の最高指導者キリル総主教は4月9日、女性が家事や子育てを超えた役割を担うことを促す「プロパガンダ(宣伝活動)」を公然と批判し、フェミニズムの危険性について警告した。発言内容は10日、ロシア正教会のサイトに掲載された。
 AFP通信によると、キリル総主教は「フェミニズムと呼ばれる現象は非常に危険だと思う」と述べ、「フェミニスト団体は、女性は結婚や家庭といった枠組みの外で自己実現すべきという見せ掛けの自由をうたっている」と非難した。
 総主教は「男性は(家の)外での物事に力を注ぐべきで、働いて金を稼がなければならないが、女性は常に子どもや家庭など内側に注意を向けるべきだ」と主張した、とAFP通信。その上で「こうした非常に重要な女性の役割が果たされない場合、他のすべて──家族、広い意味では母国──の破壊を招く」と警告した。


◎エジプト・コプト教会教皇がモルシ大統領に抗議

 【CJC=東京】コプト正教会の最高指導者タワドロス2世教皇が、エジプトでは少数派の同教会信徒を政府が保護しないことで、ムハンマド・モルシ大統領に抗議した。
 モルシ大統領は、カイロの聖マルコ大聖堂の保護を約束していたが、「実際には保護しなかった」とタワドロス教皇。大聖堂は4月6日、イスラム教過激派に攻撃され、80人が負傷した。礼拝中の信徒に石がなげつけられても、警察は介入しなかった、と言う。タワドロス教皇は、事件が「たいしたことではない、と重大視されなかった」と指摘している。
 教皇は、昨年11月に着座以来、イスラム教の宗教的影響が増大していることにしばしば警告を発してきた。前任のシェヌーダ3世教皇は、ホスニ・ムバラク前大統領と友好関係を維持していたが、ムバラク政権崩壊以後、少数派キリスト教徒に対する暴行が明らかに増加している、とカトリック通信CWN。


◎リック・ウォレン牧師の子息自死

 【CJC=東京】「パーパス・ドリブン・チャーチ」(PDC)運動で知られる米国の著名なリック・ウォレン牧師の子息マシューさん(27)が4月5日午前自死した。同牧師が主宰するカリフォルニア州レイクフォレストのサドルバック教会が翌日発表した。
 「今わたしたちが感じている痛い悲しみに言葉もない。27歳で、サドルバックの誕生以来の会員だった末っ子のマシューが今日死んだ」とウォレン牧師は声明で述べている。
 「マシューは生まれた時から精神疾患と闘ってきた。うつ状態にもなり、自死という考えにも陥ったことがある。アメリカの最良の医師にかかったり、カウンセリングを受けたり、癒やしを祈ったりしたが、重荷は消えなかった」として「お父ちゃん、天国に行こうとしていることは分かるよ。なぜ今死んで、この痛みを終わらせることが出来ないの」と昔言っていたことが忘れられない。しかしそれから10年も生きていたのだ」と回想している。
 自死はショットガンによるもの。当初、警察も入手経路不明としていたが、マシューさんが、インターネットで購入したと見ている。ショットガンの登録番号は削り取られており、販売者の特定は困難とされている。
 サドルバック教会は、ウォレン牧師によって書かれた『人生を導く五つの目的』で注目を集め、PDC運動も世界中の教会へ広まった。
 ウォレン牧師は2009年1月、バラク・オバマ大統領就任式で開会の祈祷を務めた。


◎「世界最大」のヨハネ・パウロ2世像がポーランドに

 【CJC=東京】ポーランド出身の故教皇ヨハネ・パウロ2世の像が4月13日、同国南部チェンストホバに完成した。高さ13.8メートルで、世界最大のヨハネ・パウロ2世像という像は、故教皇を敬愛する個人投資家が建立した。
 1978年にイタリア人以外では455年ぶりの教皇となったヨハネ・パウロ2世は、2005年に84歳で死去した。
 チェンストホバは、黒い聖母をまつるヤスナ・グラ修道院で知られ、毎年1千万人もの巡礼者が世界各地から集まる。


◎1500年前のワイン工場をイスラエルで発掘

 【CJC=東京】イスラエル考古局の学者が1500年前のワイン工場跡を発掘した。南部ハメイヨアブ付近で、規模100平方メートル。十字架のあるミニチュアの教会をかたどった陶器の燭台が発見されたことから、工場所有者はキリスト者だったと推測される。
 ぶどう園から持ち込まれたぶどうを発酵させる部屋や絞る装置があり、ワインや絞りかすから食酢や安価なワインを作るための樽も置かれていた。
 考古局のサーアル・ゲイナー氏は「同様な装置はエルサレム南方から地中海岸の港湾都市アシュケロンへ向かう路上で3カ所発見されている。そこから地中海全域にワインが輸出されたのだろう」と言う。


◎カストロ・WCC元総幹事死去

 【ジュネーブ=CJC】WCC(世界教会協議会)元総幹事のエミリオ・カストロ氏(85)が4月6日、ウルグアイのモンテビデオで死去した。
 ウルグアイ福音メソジスト教会牧師としてカストロ氏は1973年、WCCの世界宣教伝道委員会(CWME)委員長に就任、その後約20年間にわたり世界教会運動に参画、1985年から92年までは総幹事を務めた。
 ウルグアイが1970年代の軍事政権下にあった際、カストロ氏は対立する政治勢力の対話推進に主要な役割を果たし、民主派の広範な連合体『フレンテ・アンプリオ』創設に貢献した。80年代にはラテンアメリカ(中南米)での人権擁護に努めたことが評価され、チリ政府から勲章『オルデン・デ・ベルナルド・オヒギンス』を受章している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月14日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=「女性に特別な役割ある」=愛で信仰を証しする使命
★教皇、教理省長官に児童性虐待問題への「断固とした」対応促す
★神戸地区社会活動委員会・カリタスジャパン=「自死」考えるセミナー=兵庫・神戸中央教会で開く
★原因は「音程感覚」=教皇が歌わず英語話さない訳
★南アのツツ大主教にテンプルトン賞贈る

 =キリスト新聞(4月13日)=https://www.kirishin.com
★「苦難に寄り添い前に向かう教会」=DRCnet、聖学院大、東京基督教大が合同シンポ
★岩手の若井和生牧師が講演=放射能問題と向き合って=「信仰者であるがゆえの鈍感さ」指摘
★アジア・カルヴァン学会・日本カルヴァン研究会=「創造論」テーマに合同講演会
★創建当時の姿よみがえる=同志社礼拝堂の改修完了
★"キリストはわたしたちの平和"=教皇が復活祭メッセージ

 =クリスチャン新聞(4月14日)=https://jpnews.org
★フラー神学大学院マウ学長が来日講演=東日本大震災国際神学シンポ第2回=「苦難に共感するキリスト」
★「他の信仰を持つ人々の中でキリストの愛を生きる」には=東日本大震災からの宣教課題でシンポ
★原発問題など祈る=第13回国家晩餐祈祷会=渡部信氏「祈りつつ天の雨を待つ」
★モンゴル民主化直後から21年=北村彰秀、萬里子宣教師帰国=日本で旧約聖書の翻訳を継続
★クリスチャンペンクラブ理事長池田勇人氏逝去


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