世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1158信(2013.04.01)

  • 教皇が復活祭メッセージと祝福
  • 教皇が少年院で「主の晩餐のミサ」
  • イスラム改宗者がカトリック教会脱退
  • フラー神学校はカトリックとの関係に前向き
  • 「トリノ聖骸布」のiPadアプリ登場
  • テキサス石油王が仏の13世紀教会に950万円寄付
  • 《メディア展望》

◎教皇が復活祭メッセージと祝福

 【CJC=東京】復活祭(イースター)前夜の3月30日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で、「復活徹夜祭」を行った教皇フランシスコは、一夜明けた31日朝、「復活の主日のミサ」をサンピエトロ広場で捧げた。
 教皇は、朝のミサに続き、正午に「ウルビ・エト・オルビ(ローマと世界に向けた教皇の祝福とメッセージ)」を大聖堂の中央バルコニーから送った。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコの復活祭メッセージは要旨次の通り。
     ◇
 「キリストは復活された」この知らせを皆さんに伝えることは、わたしにとってどれほど大きな喜びでしょう。特に、すべての心にこの大きな喜びが届くことを望みます。なぜなら神はまさしくその心の中にこそ、この「善い便り」の種を蒔くことを望んでおられるからです。
 イエスが復活したということは、神の愛は悪よりも、死よりも強いということです。それは、神の愛はわたしたちの生命を変容させ、わたしたちの心に存在する荒れ果てた場所にも花を咲かせるということです。
 神の御子が人となり、謙遜の道を極みまで歩み、自分自身を完全に与え尽くし、神との別離の淵にまで下らせたこの愛、この憐れみの愛そのものが、死に横たわるイエスの身体を光で満たし、変容させ、永遠の生命へと移行させたのです。
 イエスは以前の生命、地上の生命に戻ったのではありません。そうではなく、神の栄光の生命の中に入られたのです。その神の生命の中に、わたしたちの人間性をもって入られました。こうして、わたしたちにも未来の希望を開いてくれたのです。
 これが復活です。それはあの「出エジプト」のような一種の「脱出」です。罪と悪への隷属から、愛と善の解放に向かう「過ぎ越し」なのです。なぜなら、神は生命、生命そのものであり、神の栄光は、わたしたち「生きている人間」だからです。
 今日でも、人類はどれほどの「荒野」を越えなければならないでしょうか。神への愛が、隣人への愛が欠ける時、創造主なる神が我々に託したすべてを保護することへの自覚を欠く時、彼の中には荒野が広がっています。
 しかし、神の憐れみは、いかなる不毛の地にも花を咲かせ、干からびた骨にすら生命を再び与えることができるのです。
 キリストの復活の恵みを受け入れましょう! 神の慈しみに新たにされ、イエスに愛されながら、その愛の力にわたしたちの生活をも変容させましょう。そして、復活のイエスに願いましょう。死を命に、憎しみを愛に、復讐を赦しに、戦争を平和に変えることができますようにと。そうです。キリストはわたしたちの平和です。キリストを通してわたしたちは全世界の平和を祈り求めるのです。
 中東に平和を。特に和平の道を模索するイスラエルとパレスチナ間で、いまや長く続きすぎた闘争に終止符を打つための勇気と取り組みの姿勢を当事者たちが取り戻しますように。
 いまだ血なまぐさい闘争の舞台であり続けるアフリカに平和を。多くの人々が自分の家を離れ、まだ恐怖の中に暮らしています。
 アジアに平和がありますように。特に朝鮮半島で、不一致を乗り越え、刷新した和解の精神を再び育むことができますように。
 安易な利益を求める人々の強欲によって分裂し、人間の命と家族を脅かす利己主義によって傷ついた世界に平和がありますように。人を物のように扱うエゴイズムは、現代世界に最も広がった奴隷制です。
 親愛なる兄弟姉妹の皆さん、そしてローマや世界でわたしに耳を傾けているすべての皆さんに、詩編の言葉をおくります。「恵み深い主に感謝せよ。慈しみはとこしえに。イスラエルは言え。慈しみはとこしえに」。
 教皇はこのメッセージの後、聖ペトロ広場に集った巡礼者たちと、テレビやラジオ等の中継を通して参加している人々に、「復活されたキリストが皆さんと全人類を、正義と愛と平和の道のりにおいて導いてくださるように」と挨拶した。


◎教皇が少年院で「主の晩餐のミサ」

 【CJC=東京】教皇フランシスコは聖木曜日(洗足の木曜日)の3月28日午後、ローマ北西部郊外のカサル・デル・マルモ少年院で、「主の晩餐のミサ」を捧げた。
 同少年院は、宿舎に、学習・スポーツ・職業訓練などを行なう教育設備を併設したコミュニティ様式の施設。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、礼拝堂で行われたミサには、この施設で生活する青少年50人(うち11人は少女)と、40人のボランティア、そして、イタリアの法相をはじめ法務関係者ら、合わせて約120人が参列した。
 ミサ中の「洗足式」で、教皇は少女2人とイスラム教の少年数人を含む計12人の若者たちの足を一人ずつ洗った。
 説教で教皇は、イエスが最後の晩餐で弟子たちの足を洗った出来事を思い起こしながら、イエスがこの行為を通して、人に奉仕すること、互いに助け合うことを教えてくれたと、少年たちに説明した。


◎イスラム改宗者がカトリック教会脱退

 【CJC=東京】エジプト出身のイスラム教徒イタリア人マグディ・クリスチアノ・アッラム氏(61)は、著名なジャーナリストで公然イスラム教を批判、注目されていた。2008年3月22日に当時の教皇ベネディクト16世から直接洗礼を受け、カトリック教会員になったが、この3月25日、右翼系日刊紙『イル・ジオルナーレ』で、教会を脱退する、と発表した。
 改宗後、同氏は右翼政党を結成したが、昨年4月の総選挙で手痛い敗北を喫した。カトリックへの改宗は、ベネディクト16世の引退により「終わった」と考えていると、説明している。
 3月29日、教皇フランシスコが、各宗教、特にイスラム教との対話に力を入れる、と語ったことが直接の引き金になった。同氏はイスラム教を「本質的に暴力思想」としており、宗教的相対主義、特にイスラム教を本物の宗教として正当化したことが教会を脱退する主な理由だ、としている。今後もキリスト者ではあり続けるものの、「もう教会を信じない」と言う。
 バチカン(ローマ教皇庁)との宗教間対話に関わったイスラム教の指導的知識人アレフ・アリ・ナイェド氏は、公にされた改宗を「勝利主義者の点数稼ぎ」と批判、カトリック教会の対イスラム教方策に「深刻な疑義」をもたらす、と語っていた。


◎フラー神学校はカトリックとの関係に前向き

 【CJC=東京】米カリフォルニア州パサデナの福音派系『フラー神学校』校長にこの7月就任するマーク・ラバートン教授(説教学)が3月15日、リチャード・マウ現校長の進めてきたカトリック教会との関係強化を引き継ぐつもりだ、とCNA通信に語った。「目標はグローバルであり、フラー神学校は健全でグローバルなエキュメニズムの触発者でありたい」と言う。
 ラテンアメリカ(中南米)ではペンテコステ派とカトリック教会とは緊張関係にあるが、双方の間に良好な関係を築こう、というマウ氏が力を入れた業を受け継ぎたい、とラバートン教授は語った。
 「マウ校長の力点は、福音派とカトリックの対話であったが、それを継続出来ることを確信する」として教授は、「カトリック教会への深い敬意」を表明、カトリック教会の「緊張があり、挑戦を伴う表明」と「包括的な一致」に感動している、と述べた。
 「教皇選出に際して、グローバルな応答と関心が払われたこと自体、明らかにそのことの明白な表れであり、そのような方法でグローバルな教会に衝撃を与えられることがプロテスタンティズムの中にないのも事実だ」として、教授は、教皇フランシスが教皇職の前面に社会正義への関心を打ち出し、それを常にキリストに結び付けていることに、特に力付けられたと語った。


◎「トリノ聖骸布」のiPadアプリ登場

 【CJC=東京】伊映像制作『ハルタデフィニツィオーネ』社が、イースター(復活祭)に合わせ、十字架で処刑されたイエス・キリストの遺体を包んだとされる「トリノ聖骸布」をコンピューター上で高画質画像として閲覧できるiPadアプリ「Shroud2・0」を3月29日公開した。
 同日はカトリック教会では「聖金曜日」とされている。
 アプリはiPhone用もある。無料で日本でもダウンロード出来るが、説明は英語。アンドロイド向けは準備中という。
 有料版では最高解像度のものを利用出来る。3・59ユーロ(約430円)。
 カトリック教会トリノ大司教区と、聖骸布を研究する『インターナショナル・センター・オブ・シンドノロジー』による解説とともに、真偽論争の絶えない聖骸布の詳細が分かる。


◎テキサス石油王が仏の13世紀教会に950万円寄付

 【CJC=東京】米テキサス州ヒューストン在住の石油王夫妻が、フランス南西部オーリニャックにある13世紀建造の教会の屋根を修繕するために、と10万ドル(約950万円)を寄付した。
 この夫妻は昨年、娘の結婚式に出席するためにオーリニャックを訪れ、町のとりこになったとAFP通信。石油王の名は報じていない。
 フランスの友人は、夫妻からオーリニャック教会の「天井の水漏れに気づいたので屋根の修繕に使ってほしい」と書かれたクリスマスカードとともに、10万ドルの小切手が届いた時にはとても驚いたと言う。
 オーリニャック市長は、住民1400人の町は歴史には豊かだが資金に乏しいと述べ、寄付を「とても幸運だ」と述べた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月31日)=https://www.cwjpn.com
★主キリストは復活された
★教皇就任=3月19日 聖ヨセフの祭日=「"弱者"を守って」
★「神への渇きを絶やしてはなりません」=新教皇、諸宗教代表者との会見で
★復活--苦しみのただ中に届くイエスのラブコール=福島・南相馬市=原町教会 狩浦正義神父に聞く
★創文社=『神学大全』全巻を贈呈=「父との約束」果たし教会に

 =キリスト新聞(3月30日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(3月31日)=https://jpnews.org
★被災地状況「むしろ悪化」の声=JEA震災対策室=「震災3年目に向けた祈り」呼びかけ=支援継続これからが正念場
★日・台両政府に脱原発求む=日本基督教団・台湾長老教会=神の創造の秩序回復の祈り深める
★全人的ケアめざし教会と福祉が協働=やすらぎの介護シャロームで牧師交流会
★備後イースターフェスティバル=渡辺和子氏講師に
★新教皇、非欧州から選出=WCC=正義と平和の巡礼者に期待


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