世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1148信(2013.01.21)

  • キリスト者迫害がアフリカで強まる
  • エジプト大統領が3年前にユダヤ人侮辱発言
  • バチカンの同性婚反対に女性がトップレス抗議
  • パリで同性婚反対大規模デモ
  • 教皇がフィンランドのエキュメニカル使節と会見
  • 教皇がトゥィッターにラテン語アカウント
  • ロンドンに無神論者の「教会」出現
  • 映画『レ・ミゼラブル』の関係者がロケ地教会に救いの手
  • イタリアでも犬が飼い主葬儀の教会に日参
  • 665年続いた「殺人の代償」は無効とスイス裁判所
  • エルサレムをインターネットで巡礼
  • ティッサ・ベラスリヤ神父死去
  • 《メディア展望》
◎キリスト者迫害がアフリカで強まる

 【CJC=東京】キリスト者に対する迫害が2012年には、イスラム過激派の台頭に伴ってアフリカで増大している。キリスト教宣教団体『オープン・ドアーズ』(本部・米カリフォルニア州)が明らかにした。
 このほど発表された年間報告によると、アフリカのキリスト者迫害増加には、イスラム教過激派組織『ボコ・ハラム』によるナイジェリア教会攻撃で多数のキリスト者が犠牲になったことが関心を呼んだが、各国政府に過激派の影響増加も見逃せない。
 北朝鮮が『調査では迫害国のトップに11年連続で上げられている。続いてサウジアラビア、アフガニスタン、イラク、ソマリアが並ぶ。
 北朝鮮では、キリスト者であるというだけで約7万人が投獄されている、との推測がある。聖書を持ち歩くだけで処罰されるという。
 中国では、キリスト者の処遇は改善されており、迫害度は、2011年度の第21位から12年度37位にまで低下した。5年前まではトップ10位にいたことからすると大変動。なお100人以上のキリスト者が獄中にあり、政府の監視は厳しいものの、「家の教会手入れ、聖書やキリスト教書の密輸取り締まりは大規模には行われなくなった」と『オープン・ドアーズ』は指摘する。
 抗争が激化しているシリアが「特別関心国」となった。迫害度が11年の36位から12年は11位に浮上している。
 シリアのキリスト者は、反体制勢力からの圧力にさらされるだけでなく、キリスト教抑圧を目指してシリアに入って来たイスラム聖戦主義者による抑圧も受けている、と『オープン・ドアーズ』のロン・ボイド=マクミランCSOが指摘する。


◎エジプト大統領が3年前にユダヤ人侮辱発言

 【CJC=東京】米紙ニューヨーク・タイムズが1月15日、エジプトのムハンマド・モルシ大統領が就任前の2010年にユダヤ人を侮辱し、エジプト人が憎悪を維持するよう呼びかける発言をしていた、と報じた。モルシ氏の発言を記録したビデオが2本見つかったという。
 1本は、イスラエルのガザ封鎖に抗議する集会で、ムスリム同胞団幹部だったモルシ氏が「我々は子や孫を、ユダヤ人、シオニストに対する憎悪で育むことを絶対に忘れてはいけない」などと述べている。別の1本は、テレビインタビューでシオニストを「パレスチナ人を攻撃する吸血動物。戦争をしかける猿と豚の子孫」と呼んでいる。


◎バチカンの同性婚反対に女性がトップレス抗議

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)の同性婚反対に抗議して女性4人が1月13日、教皇べネディクト16世の日曜日恒例の祈りを目当てにサンピエトロ広場に集まった人たちの前でトップレスになった。警察が素早く取り押さえ、教皇の祈りも中断されることはなかった。
 4人の背中には「ゲイを信ず」とか「黙れ」などと描かれていた。ヌードになった中の1人、インナ・シェフチェンコさんは「今日ここにいるのはホモフォビア(同性愛嫌悪者)に抗議するため」と語っている。


◎パリで同性婚反対大規模デモ

 【CJC=東京】フランスのフランソワ・オランド政権が計画する同性婚合法化に反対する大規模デモが1月13日、パリ市内のエッフェル塔周辺で行われた。主催者発表で80万人、警察発表で34万人が参加した。
 右派で野党の国民運動連合(UMP)のほか、カトリック教会や福音派、イスラム教団体などが参加、計画の撤回を要求した。
 オランド大統領は2012年5月の大統領選の際にも同性婚の合法化を公約として掲げていた。国民の半数強は同性婚に賛成している。
 パリ大司教のアンドレ・ヴァントロワ枢機卿は、参加者にメッセージを送り、支持と激励を表明、フランス市民が「同性婚について本当に考えていることを行進で示すように、との期待を述べた。
 主催者側は、地方からの参加者のため、高速列車5本とバス900台を確保したという。
 政権は同性婚を認める法案を月内にも提出する方針。


◎教皇がフィンランドのエキュメニカル使節と会見

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は1月17日、フィンランドのキリスト教各派関係者からなる使節と会見した。この使節は、フィンランドの保護者とされている聖エーリックの祝日19日を機会にバチカンを訪問した。
 教皇は会見で、18日から始まる『キリスト教一致祈祷週間』を前に、キリスト者として祈りの中に一致し、共に聖性を追求すること、さらに神学的対話や協力を深めていく必要がある、と述べた。
 聖エーリックは、12世紀のスウェーデン王で、当時フィンランドを征服、北欧におけるカトリックの布教に大きな役割を果たした。現在、フィンランド国民の大半は福音ルーテル教会に属している。


◎教皇がトゥィッターにラテン語アカウント

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は1月17日、トゥィッターにラテン語のアカウントを開設した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 教皇のラテン語アカウント(@Pontifex_ln)は、英語、スペイン語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、ポーランド語、アラブ語に続いて9番目。
 教皇自身のラテン語トゥィートはまだ公開されていないが、開設されたページには、「教皇ベネディクト16世のトゥィッター公式ページへようこそ」と、ラテン語で記されている。
 教皇は2012年11月、ラテン語とラテン文学、ラテン語の使用についての研究を目的に、教皇庁立ラテン語アカデミーを設立している。


◎ロンドンに無神論者の「教会」出現

 【CJC=東京】英国で最初の無神論者の「教会」がロンドン北郊イズリントンの『ザ・ネイブ』で1月6日最初の会合を開いた。参加者約200人。『ザ・ネイブ』は教会堂跡を公演スペースに衣替えした場所。
 現地紙『イズリントン・ガゼット』によると、「神のいない教会」を設立したコメディアンのサンダーソン・ジョーンズとピッパ・エヴァンスは、無宗教の人たちが集まって、互いに啓発出来る場所が欲しかったという。
 「日曜集会」とも呼ばれるこの「教会」は、教会に幻滅した元信者や懐古趣味的な無神論者、さらには「善意を実行に移そう」とする共同体感覚を求めている人なら誰にでも、チャンスを与えようというもの。


◎映画『レ・ミゼラブル』の関係者がロケ地教会に救いの手

 【CJC=東京】映画『レ・ミゼラブル』の制作者と出演者が、撮影場所になった英南東部オックスフォードシャーのエウェルムにある『処女聖マリア教会』の窮状を知って、1万ポンド(約140万円)を寄付することになった。
 教会に新しい暖房施設を設置するための費用で、主演の俳優ヒュー・ジャックマンが映画のプロデューサーたちに掛けあった結果という。ジョナサン・メイヤー牧師は英紙『デイリー・スター』の取材に「作品のスピリチュアルなメッセージが皆の心を一つにした」と語っている。


◎イタリアでも犬が飼い主葬儀の教会に日参

 【CJC=東京】イタリア南部プーリア州ブリンデイジ南方のサンドナーチで、飼い主マリアさん(57)が2012年11月に死んでからも、毎日のように葬儀の行われた『サンタ・マリア・アッスンタ教会』に通う12歳のジャーマンシェパードの雑種トミーが現地の話題になっている。
 「野原のマリア」と呼ばれていた飼い主は一人暮らしで、トミーの他にも救助犬3匹を飼っていた。トミーたちは散歩や買い物に行くマリアさんの後を、いつもついて回っていたという。
 トミーはマリアさんの葬儀の日に葬送の行進に加わり、教会でもひつぎのそばを離れなかった。その後は毎夕、ミサを知らせる鐘が鳴ると、欠かさず教会に行き、祭壇の前に陣取っている。
 教会のドナート・パンナ神父が、トミーがいなくては何も進まない、と言うまでになった。


◎665年続いた「殺人の代償」は無効とスイス裁判所

 【CJC=東京】AFP通信によると、スイス北東部グラールス州で1357年に起きた殺人事件の代償として、地元住民らが教会に毎年支払いを続けてきた聖体ランプの燃料費約70スイス・フラン(約6600円)について、同州の裁判所は2012年12月、住民に今後の支払い義務はないとの判断を下していた、とスイス公共放送局RTSが1月8日報じた。
 この取り決めは1357年にコンラート・ミューラーという男が起こした殺人事件がきっかけで始まった。被害者の魂を救済し遺族による復讐を防ぐためにミューラーは地元の教会にランプを贈り、その燃料費を「永遠に」支払い続けると約束したという。


◎エルサレムをインターネットで巡礼

 【CJC=東京】キリスト者にとってエルサレムは聖地。巡礼として訪問したいと思っても、イスラエルとパレスチナとの対立、ユダヤ教とキリスト教の対立、さらには費用の問題もあって、夢の実現は容易ではない。
 2012年、技術と信仰のために150万米ドル(約1億3500万円)を投じて設立された『エルサレム・コム』(Jerusalem.com)が、インターネット上で仮想の巡礼を実現させた。
 米アップル社のタブレット『iPad』にダウンロードするか、オンラインで『エルサレム・3D・ツアーズ』(Jerusalem 3D Tours)にアクセスして利用出来る。巡礼地として有名な聖墳墓教会、生誕教会や『嘆きの壁』(西壁)、ゲッセマネなどを訪問出来る。説明はあるが英語。
 コンピューター・グラフィック技術を駆使しているだけに、同種のインターネット案内に比べて、「自由に歩き回れる」のが特徴という。
 また実写を利用したものにインターネットのサイト『3D・イスラエル・コム』(3DISRAEL.COM)がある。そこに『エルサレム・バーチャル・ツアーズ』(Jerusalem Virtual Tours)が設けられており、約30カ所の名所に入り込んだカメラが天地周囲をくまなく写しとったものを、カーソルを操作しながら見ることが出来る。動画ではなく、各名所で撮影場所は1カ所だけだが、あたかもそこに立って天地周囲を連続して見る気分にさせられる。


◎ティッサ・ベラスリヤ神父死去

 ティッサ・ベラスリヤ神父が長年にわたる闘病の後、1月17日、スリランカのコロンボで死去した。88歳。宣教会オブレート会士。
 1990年に刊行した著作『マリアと人間解放』でカトリック教会と対立、94年、スリランカ司教団が警告を発し、バチカン(ローマ教皇庁)教理省から、同書で主張されている論議の撤回を求められたが拒否、信仰に関する声明への署名にも拒否したため97年1月に破門された。その後、署名を受け入れたため、98年1月に破門は撤回された。
 論議となった問題には「原罪」「無原罪の懐胎」「救済におけるイエスの掛け替えのない役割」が含まれている。
 葬儀ミサは18日、ファティマ教会で行われた。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月20日)=https://www.cwjpn.com
★神の愛に「心を開いて」=平和実現へ--教皇、外交使節への年頭演説で促す--
★フランス=非正規滞在者が闘争への支持求め=バチカン大使館占拠=政府に「より人間的な扱い」を要求
★「『さようなら原発』=1千万署名市民の会」記者会見=新政権の動き 深く懸念
★東京教区=避難所を開設=難民ら対象 神父が実家寄贈
★「カトリック新聞オンライン」スタート!

 =キリスト新聞(1月19日)=https://www.kirishin.com
★大阪高裁=大谷隆夫牧師らの威力業務妨害罪=一審支持し控訴棄却
★カトリック中央協議会が小冊子=HIV/AIDSの予防啓発に
★日基教団東日本大震災救援対策本部=活動継続へ献金訴え
★竹下ユキさんCD「街角のマリアたち」=キリスト教書店も扱う
★キリスト生誕の地でクリスマス=ベツレヘムに1万人訪れる

 =クリスチャン新聞(1月20日・休刊)=https://jpnews.org


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