世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1146信(2013.01.07)

  • 2012年キリスト教10大ニュース
  • 教皇が「世界平和の日」記念ミサ
  • 『宗教間・文化間対話のための国際センター』始動
  • 東方教会のクリスマスにコプト教会は緊張
  • シリア反政府勢力がキリスト者男性の首はねる
  • 韓国の民主化運動家呉在植氏がソウルで死去
  • 《メディア展望》
  • 《連絡》
◎2012年キリスト教10大ニュース

 2012年キリスト教10大ニュースを『世界キリスト教情報』が選定した。

☆「不信仰」が今や世界第三の巨大「宗教」に
 米調査機関『ピュー・リサーチ・センター』の「宗教と公的生活に関する部門」が行った調査では、2010年の世界総人口69億人の84%、58億人が何らかの宗教に属している。ただ特定の宗教に属さない「不信仰」者が11億人おり、「宗教」としては第三勢力になっていることがわかった。

☆英国国教会総会は女性主教認めず
 英国国教会は11月20日開いた総会で、女性が主教に就任することを可能とする議案について投票を行い、否決した。

☆コプト正教会の教皇シェヌーダ3世死去、後継者にタワドロス主教
 エジプト・アレキサンドリアのキリスト教『コプト教会』の最高指導者、第117代教皇シェヌーダ3世が3月17日死去した。後継者として11月4日、タワドロス主教(60)が選出された。新教皇の選出は1971年以来41年ぶり。

☆教皇が9月14〜16日にレバノン訪問
 中東地域の緊迫情勢の中で、教皇ベネディクト16世は9月14日から16日までレバノンを司牧訪問した。教皇は「困難な状況に直面する子らに、父として常にそばにいる」ことを伝えたく思ったと述べた。

☆ロシア正教会首脳が中国訪問
 ロシア正教会モスクワ総主教座の対外教会部門責任者ヒラリオン府主教が、6月19日から22日まで北京を訪問した。現在、中国では仏教、カトリック、イスラム教、プロテスタント、道教の5宗教だけが認可されており、正教会は外されている。

☆米豪でも『オルディナリアーティ・ペルソナーリ』発足
 教皇べネディクト16世は1月1日、米国の『オルディナリアーティ・ペルソナーリ』(属人的司教区)を発足させ、その指導を聖公会の前ニューメキシコ主教ジェフリー・N・スティンソン司祭に委ねた。
 教皇ベネディクト16世が、オルディナリアーティの3番目をオーストラリアに6月15日設置した。

☆バチカンがルーテル派にも門戸開く?
 ルーテル派が、カトリック教会との完全相互聖餐関係(フルコミュニオン)に入るため、聖公会の聖職者・信徒のために設けた『オルディナリアーテ』のような組織設立を提案するとなれば、それは検討に値する、とバチカン(ローマ教皇庁)のキリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿が語った。

☆『新求道共同体』に教皇が最終的な承認
 教皇べネディクト16世は1月20日、バチカンのパウロ6世ホールに集まった『新求道共同体』(ネオカテキュメネイト)のメンバー約7000人と接見、同共同体を「聖霊が現代に与えてくれた特別な賜物」と評価、その活動に最終的な承認を与えた。

☆独カトリック教会が信徒に教会税納税を指令
 ドイツ・カトリック司教協議会は9月20日、教会税を納入しない信徒は今後、さまざまな秘跡を受けられず、また教会の諸活動に参加出来ない、という指令と司牧書簡を発表した。

☆ダライ・ラマに2012年度『テンプルトン賞』
 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(76)が2012年度の『テンプルトン賞』を受賞した。ダライ・ラマの「普遍的な倫理、非暴力、世界諸宗教の間の調和のための、全地球を覆う比類なき発言」を評価したもの。

☆『イエスの十字架は紀元33年4月3日の金曜日』
 イエスが十字架に付けられたことは新約聖書に記されているが、その日付に関する最新の研究を『インターナショナル・ジオロジー・レビュー』誌が報じた。
 マタイによる福音書27章に記された地震に着目、『スーパーソニック・ジオフィジカル』のジェファーソン・ウィリアムズ氏らが、死海周辺を調査したところ、紀元前31年と紀元26年から36年の間の計2回大規模地震が発生していることが分かった。それによって十字架による死は、紀元33年4月3日の金曜日の出来事と算出した。

   ※

 2011年の10大ニュースは次のようなものだった。
☆伊アッシジで世界各宗教指導者会議開催
☆カトリックへ英国国教会(聖公会)から転会始まる
☆教皇ヨハネ・パウロ2世の列福式、バチカンに大群衆
☆バチカン・WCC・WEAが「改宗」問題で共通指針
☆離婚者を「真理と慈愛で」受け止める、とバチカン高官
☆米長老教会(PCUSA)が同性愛教職を容認
☆米UCCが教憲から「天におられる父」表記外す
☆エジプトで少数派コプト教徒への抑圧激化
☆英YWCAなどキリスト教団体が宗教色消す名称に変更
☆東日本大震災に世界のキリスト教会が素早く救援


◎教皇が「世界平和の日」記念ミサ

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は1月1日、バチカンのサンピエトロ大聖堂で「神の母聖マリア」の大祝日のミサを行った。カトリック教会の典礼暦は、1年の最初の日を「神の母聖マリア」に捧げると共に、「世界平和の日」を記念する。
 ミサ説教で教皇は、広がる貧富の差や、利己主義・個人主義的傾向、節度の無い資本主義、様々な形のテロリズムや犯罪など、未だ世界に緊張をもたらしている原因を列挙した。こうした中で、平和は神の賜物であり、人間は平和のために作られていると述べた教皇は、世界で行なわれている様々な平和実現への取り組みを、人類の平和に対する召命を証しするものとして励ました。バチカン放送(日本語電子版)が伝えた。
 「世界平和の日」は1968年、ベトナム戦争が激化する中、時の教皇パウロ6世が、平和のために特別に祈る日として制定した。46回目となる今年のテーマは、「平和を実現する人々は幸いである」。


◎『宗教間・文化間対話のための国際センター』始動

 【CJC=東京】『宗教間・文化間対話のための国際センター』が新年からウイーンで活動を始めた。同センターはサウジアラビアのアブドラ・ビン・アブドゥルアズィーズ国王が提唱、サウジ、スペイン、オーストリアの3政府が共同で設置した。
 運営には、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、仏教などの代表が参加する。キリスト教からはバチカン(ローマ教皇庁)も協力している。
 同センターは、各宗教指導者の研修や各宗教が他地域のメディアでどう扱われているかについても研究する。開設費約1500万ユーロ(約17億円)と、3000万〜4500万ユーロと見込まれる3年間の運営費はサウジ政府が全額負担する。
 サウジは国内で厳格な宗教政策をとっており、センターにもサウジ色が前面に出たことから、地元オーストリアでは反発の声も上がった。


◎東方教会のクリスマスにコプト教会は緊張

 【CJC=東京】ユリウス暦を採用する東方教会のクリスマスは今年はグレゴリオ暦では1月7日。エジプトではコプト教会信徒たちが6日夜から7日未明にかけ、クリスマスイブの深夜ミサに参加した。
 エジプトではイスラム組織『ムスリム同胞団』出身のムハンマド・モルシ大統領が誕生後初めて迎えたクリスマス。同大統領は、新憲法施行を図るなど、社会のイスラム化を進めている。
 コプト教徒はイスラム教を国教とするエジプトで、人口約8300万人のうち1割弱を占めてはいるものの少数派として抑圧の対象とされて来た。
 保守的なイスラム教徒が多い南部などでは両教徒間の抗争も続発している。コプト教徒への敵対的な発言も繰り返され、将来さらにイスラム化が進むことへの不安などで、エジプト出国を考えている信徒もいる。


◎シリア反政府勢力がキリスト者男性の首はねる

 【CJC=東京】シリア反政府勢力が、キリスト者男性の首をはね、死体をイヌのえさにした、と英紙『メール』が12月31日報じた。
 レバノン・カトリック修道会カルメル会のアグネス=ミリアムドラクロワ修道女(60)が伝えたもの。シリア北部トルコ国境近くのnラス・アルアインのタクシー運転手アンドレイ・アルバシェ氏(38)が反政府勢力に襲われ、首を切断された死体は路傍に捨てられ、野犬が群がっていたという。
 同修道女は、「アルバシェ氏の罪といえば、兄弟が反政府勢力を批判し、山賊のような活動だ、と非難したことだけだ」と語っている。
 同修道女は、英国など西側諸国が、人権侵害の事実が明らかなのに、反政府勢力を支持している、と非難する。殺人、誘拐、性的暴行、略奪が当たり前になっている、と言う。
 シリアではアル・アサド政権への反抗が抗争化した2011年3月以来、4万4000人が殺害された、とメール紙は報じている。


◎韓国の民主化運動家呉在植氏がソウルで死去

 呉在植氏(オ・ジェシク=韓国の民主化運動家)が1月3日、ソウルのソウル大学病院で死去した。79歳。葬儀は、韓国キリスト教協議会によって7日、同病院で行われた。
 民主化活動に取り組み、朴正熙(パクチョンヒ)軍事政権を告発した月刊誌『世界』(岩波書店)の連載「韓国からの通信」の筆者・池明観氏に情報提供した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月6日)=https://www.cwjpn.com
★教皇「世界平和の日」メッセージ=平和を実現する人はいのちを守る
★アジア司教協議会連盟=第10回総会=20数カ国から参加=ベトナムで初開催 
★広島教区の山口・下関ブロック、長崎純心大学=献金活用し人送る=「ありがたい」被災地支援の方法
★被災生徒受け入れ=「看護師として働きたい」=京都・舞鶴=日星高等学校の学費・寮費免除制度
★佐賀・鳥栖カトリック幼稚園=教職員が全員信者に=園児も増え続け、200人超す

 =キリスト新聞(1月5日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(1月6/13日)=https://jpnews.org
★慰め、癒し、恵みの御手を被災地に=南三陸町で祈りの行進「追悼記念会」
★改憲の動き 危機訴え=投票前=日本バプテスト連盟 理事長が異例のアピール=「総選挙にキリスト者市民の責任を」
★有志呼びかけ緊急祈祷会=震災を悪用 平和憲法骨抜きに
★JECA北関東=「原子力発電に関する見解」公表=世界管理への命令違反悔い改め
★JEA信教の自由セミナー=「天皇元首化」を警戒=現実は皇室伝統と体系併存


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