世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1145信(2012.12.31)

  • パレスチナのキリスト生誕の地でクリスマス祝う
  • イスラエルの考古学者がイエス生誕の地に別説
  • 教皇がイブのミサで中東和平呼び掛け
  • ナイジェリア北部でクリスマスの教会襲撃される
  • エジプト新憲法案が国民投票で承認、と発表
  • 「不信仰」が今や世界第三の巨大「宗教」に
  • 世界初の英語・同性愛版『クイーン・ジェームズ聖書』
  • 《メディア展望》
◎パレスチナのキリスト生誕の地でクリスマス祝う

 【CJC=東京】イエス・キリスト生誕の地とされるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のベツレヘムには、クリスマスを祝おうと世界各地から大勢の人々が訪れた。海外からの巡礼や観光客は1万人を越え、ホテルは満員。
 聖誕教会前の馬小屋広場には、キリスト者とイスラム教徒が混じるパレスチナ住民や、エルサレムからやって来た多数の巡礼が詰めかけ12月24日は早くから満員状況。ミュージシャンや聖歌隊が野外ステージで演奏、群衆を楽しませた。
 同日深夜から25日未明にかけて、恒例のクリスマス・ミサが行われた。聖誕教会に隣接する聖カテリナ教会で24日夜行われたミサには、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領も参列した。
 カトリック教会のフォアド・トワル・ラテン典礼総大司教は、「聖地における正義と平和によってのみ、中東および世界の均衡と安定を再び実現できる」と述べ、中東や世界の平和実現を願い、祈りをささげた。同司教は、ミサに先だって、真の自由への道は依然長いが「主キリストの生誕とパレスチナ国家の誕生」を祝う今年のクリスマスは二重の喜びだと語っている。
 パレスチナは2011年10月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に正式加盟した。そして12年6月には、聖カテリナ教会に隣接する聖誕教会と巡礼の道がパレスチナ初の世界遺産に登録され、11月には、国連のオブザーバー資格を「国家」に格上げする総会決議が採択されるなど、記念すべき年となった。
 ただイスラエルは、占領地東エルサレムとベツレヘムとの間を分断する形で入植者住宅地を建設するなど「国家」格上げへの報復措置を打ち出しており、中断している和平交渉の再開は見通しは立っていない。


◎イスラエルの考古学者がイエス生誕の地に別説

 【CJC=東京】イスラエルの考古学者が、イエス・キリストが生まれたのはヨルダン川西岸のベツレヘムではなく、イスラエル北部にあるベツレヘム・ガリラヤだとの結論に達した。
  考古学者アヴィラム・オシリ氏は、同地を10年にわたって発掘してきた。その結果、ベツレヘム・ガリラヤはキリスト時代、ユダヤ人が住んでいたが、ヨルダン川西岸のベツレヘムには当時、ユダヤ人が居住していた証拠がないという。
 またベツレヘム・ガリラヤは、イエスが少年時代を送ったとされるナザレの西方数キロの地点にある、と同氏は指摘する。身重のマリアがナザレから100キロ以上も離れたエルサレム近郊のベツレヘムよりも、ガリラヤのベツレヘムに向かったとする方が自然という見解。


◎教皇がイブのミサで中東和平呼び掛け

 【CJC=東京】クリスマスを迎えた12月24日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場には、南イタリア・モリーゼ州からもたらされたモミノキがそびえ、その横には大型のプレゼピオ(イエスの降誕を再現した馬小屋の模型)が飾られた。
 教皇べネディクト16世は同日夜22時から、サンピエトロ大聖堂で主の降誕を祝う深夜ミサを行い「イスラエルとパレスチナの人々が神の平和と自由の下に生活できるように祈ろう」と述べ、中東和平を呼び掛けた。
 教皇は、キリストの生誕地とされるヨルダン川西岸ベツレヘムに「現在住み、苦しんでいる人たちに思いを寄せるべきだ」と強調した。また紛争が続くシリアやイラクなどにおける平和を願い、「キリスト者とイスラム教徒が共存して、それぞれの国を建設できることを祈ろう」と訴えた。
 85歳と高齢のため体力の衰えが指摘される教皇は、同日のミサでも車輪の付いた台座を従者に押してもらって祭壇に到着した。


◎ナイジェリア北部でクリスマスの教会襲撃される

 【CJC=東京】ナイジェリア北部ヨベ州とボルノ州で12月24日、クリスマス・イブの礼拝を行っていた教会2カ所を武装集団が襲い、牧師など少なくとも12人が死亡した。ナイジェリアは北部にイスラム教徒が多く、南部はキリスト者が多数派を占める。
 ヨベ州では、武装グループがポティスクム近郊のフィリ村をクリスマス早朝に襲撃、『クライスト・イン・ネーションズ』教会の徹夜礼拝をしているところを牧師など6人を殺害した。『クリスチャン・ソリダリティー・ワールドワイド』(CSW)によると、教会と住居20棟が焼失した。
 隣接したボルノ州でも、州都マイドゥグリの第一バプテスト教会でイブ礼拝を行われている所を武装集団が襲撃、教会役員ら6人を殺害した。
 北部では2011年のクリスマス当日にも、イスラム過激派組織『ボコ・ハラム』がキリスト者を狙ったとみられる襲撃が相次ぎ、30人以上の死者が出た。今回の襲撃も『ボコ・ハラム』によるものではないか、と見られる。
 グッドラック・ジョナサン大統領は23日の声明で、治安の改善を改めて約束していたが、繰り返される襲撃事件に、国民は不満を募らせている。警察と軍は教会防護対策を立て、北部での治安強化に乗り出したものの、大都市カノなどではクリスマス当日にも信徒の姿は見られなかった。
 教皇ベネディクト16世は、例年行っているクリスマス・メッセージの中で、「残虐なテロ行為が、キリスト者を多く含む人々の命を奪い続けているナイジェリアに、平和が訪れるように」と述べている。
 『ボコ・ハラム』による襲撃とそれにからむ一連の暴動による死者は、2009年以降、治安部隊に殺害された者も含め3000人に上るとされている。国際人権団体『ヒューマン・ライツ・ウォッチ』によると、同国北部と中部では10年以降、教会襲撃事件が少なくとも18件発生している。


◎エジプト新憲法案が国民投票で承認、と発表

 【CJC=東京】エジプトの選挙管理委員会は12月25日夜、イスラム色の濃い新憲法案が国民投票で63・8%の賛成を得たと発表した。投票率は32・9%。
 新憲法案は、大統領任期を4年として旧憲法の6年より短縮し、無制限だった再選も2期8年に限定した。ただし、旧憲法が定めた男女平等の記述が削除されているなど、世俗リベラル派は批判を強めている。
 エジプト民主化の焦点は今後60日以内に実施される下院(人民議会から改称)選に移る。


◎「不信仰」が今や世界第三の巨大「宗教」に

 【CJC=東京】米調査機関『ピュー・リサーチ・センター』の「宗教と公的生活に関する部門」が230以上の国・領土を対象に行った調査では、2010年の世界総人口69億人の84%、58億人が何らかの宗教に属している。ただ特定の宗教に属さない「不信仰」者が11億人おり、「宗教」としては第三勢力になっていることがあきらかになった。調査結果は12月18日発表された。
 宗教グループの最大はキリスト教で22億人(32%)、第2位がイスラム教16億人(23%)、続いてヒンズー教10億人(15%)、仏教5億人(7%)、ユダヤ教1400万人(0・2%)、その他アフリカ、中国、米国先住民、アボリジンなど民俗宗教・伝統宗教に属す人が4億人。さらにバハイ教、ジャイナ教、シーク教、神道、道教、天理教、ゾロアスター教などの信徒が約5800万人(1%未満)と推定される。
 世界人口の16%に当たる11億人が宗教と無関係のグループを構成し、宗教集団として見ると第3位につけていることも明らかになった。世界のカトリック者に匹敵する規模。この中には、無神論者や不可知論者などの他、神や普遍的な霊を信じているという人も含まれている。
 地域的な分布では、キリスト者が最も広範囲。ユダヤ教徒は北米と中東に集中している。
 「不信仰」の76%はアジア・太平洋地域、特に中国に集中している。文化大革命当時に宗教が抑圧されたことが影響したと見られる。


◎世界初の英語・同性愛版『クイーン・ジェームズ聖書』

 【CJC=東京】英語聖書では世界初の「同性愛聖書」が、オンライン書店『アマゾン』で先頃発売された。販価34ドル95セント(約3000円)。
 『クイーン・ジェームズ聖書』という表題の同書、編集者は『キング・ジェームズ聖書』(欽定訳)を、「神の言葉について、同性愛嫌悪的な誤解を避ける」ように再訳出した、と述べている。
 アマゾンで販売されてはいるものの、発行者、編集者、訳出者などが明らかにされていない。著者は「神」とされており、貢献者(コントリビューター)の項は「イエス・キリスト」と表示されている。
 英語圏では、早くも否定的評価が出されているが、肝心の責任者が匿名とあって、実像探しの方が関心をひきそうだ。


《メディア展望》
 キリスト教界紙は年末休刊しています。


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