世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1144信(2012.12.25)

  • 中国が『全能神』への取り締まり強化
  • 中国・武漢でカトリック教会締め付け強化
  • 教皇が機密漏洩の元執事に恩赦
  • 「クリスマスには深く内省を」と教皇が英経済紙に寄稿
  • 『グーグル』が「聖書写本」を高解像度デジタル公開
  • エジプト新憲法案の承認確実に
  • 乱射事件で「全学校に武装警備員を」とライフル協会
  • 『ユニクロ』がハリケーン被災地で衣料無料配布
  • 偽電話で自殺の看護師を故郷インドで葬儀
  • 《メディア展望》
◎中国が『全能神』への取り締まり強化

 【CJC=東京】中国が宗教団体『全能神』への取り締まりを強化している。共産党機関紙『人民日報』が12月20日、1面で「『世界の終わり』のデマが流れ、少なからずパニックが起きている」と指摘した。9面でも「正常な生活に影響を及ぼすべきではない」という科学者の見解を紹介するなど、異例の扱いが注目された。
 古代マヤ暦に基づいて12月21日を「世界の終わり」とする説が同団体によって流布され、四川省の一部地域でろうそくやマッチの買いだめが起きるなどの混乱に対応したものだが、共産党批判に転じることを警戒したことも理由に上げられる。報道の真のねらいは、終末説を背景に共産党を批判しているとされる『全能神』抑圧だろう。
 同団体は『東方閃電』『実際神』とも呼ばれている。1970年代末に米国から流入した教団『シャウターズ』(呼喊派)から派生、趙維山氏が、キリスト教の一派として東北部・黒竜江省で創始したとされる。
 政府公認の中国基督教協会などは、90年代に中部の河南省から広まったとしている。
 同団体は、キリストが生まれ変わった『閃電』(稲妻)という女性が光臨、人類に審判を下すと宣伝している。「共産党を絶滅させ、全能神が治める国家を打ち立てよ」と呼びかけるところが問題視され 「キリスト教の名を借りて違法活動に従事している」として、国務院国家宗教事務局は「邪教」と認定、取り調べの対象として監視して来た。
 国営新華社通信などによると、13日に摘発を始めた青海省で身柄の拘束が400人に達したほか、福建、広東、四川、湖北、江蘇などで計100人を超えた。新華社は、河南省の農村で刃物を持った男が小学校に乱入し23人の児童に切りつけた14日の事件を詳細に伝えている。
 中国中央テレビや都市紙『新京報』は、当局が20日までに、同教団関係者1000人近く摘発したと報じた。
 都市紙『京華時報』によると、南西部・貴州省ではこれまでに信徒350人以上が拘束された。
 人民日報系の『環球時報』によると、同教団は21日から3日間にわたり「暗黒の日々」が続くと予言、中国共産党を意味する「巨大な赤い竜」を倒せと呼び掛けていた。また、「女性のイエス」が統べる新しい時代が既に到来しており、世界は津波と地震に襲われるだろうとも唱えていた。
 共産党打倒を呼びかけているため、同団体は在米中国人の間でも注目され、「人権」と「政治庇護」を与えるべきと擁護しているグループもある。
 創始者の趙維山氏は黒龍省生まれ、教団の「大祭司」と名乗る。80年代に米国へ移住、「七大長老会」といわれる最高幹部会を組織し中国へ指令している。信徒は数百万人規模と言われる。


◎中国・武漢でカトリック教会締め付け強化

 【CJC=東京】中国・湖北省当局は、天主教(カトリック)武漢教区の司祭2人を解任した。12月13日、司祭15人と修道女7人が省宗教局に集められ、そこでの会合で教区指導陣の交代を告げられた、との情報がカトリック通信『UCAN』に寄せられた。
 当局の指示に従わなかった教区臨時管理者のヨセフ・シェン・ゴアン神父とさらに別の1人が公認の天主教愛国会から除名され、教区評議会も解散させられた、という。
 代わりに、フランシス・キュイ・キンキ神父を長とする5人の運営委員会が設置された。同神父は当局寄りとされている。
 11月29日、武漢教区の司祭23人の中の19人が会合し、独自の司祭配置計画を作成した。消息筋によると、この会合に出席した司祭の中には、当局から会合自体が違法だと伝えられた人もいる。翌30日、シェン神父は警告を無視して司祭の異動をミサの際に発表した。
 当局は、人事阻止をはかり、関係司祭を個別に召喚、現任地を離れて新任地に行かないよう指示している。
 武漢教区では前司教が2007年に死去して以来、当局が選んだ候補を任命しようと図ってきた。教会側の候補者はシェン神父だったが、叙階されなかった。理由は明らかにされていない。当局は同神父を無視する構えを続けている。


◎教皇が機密漏洩の元執事に恩赦

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は12月22日、バチカン(ローマ教皇庁)の機密文書を外部に漏らした罪で禁錮18月の実刑判決を受けたパオロ・ガブリエレ元執事に恩赦を与えた。ただバチカンからは永久的に追放され、復職やバチカン市国内での居住は認められない。
 恩赦は「長年にわたり日常的に親交があった」元執事に対する教皇の意思表示とされる。
 元執事は、教皇に近い存在だったが、バチカン内の「悪や不正」根絶を目的に内部告発し、機密文書を外部に漏らしたと主張していた。


◎「クリスマスには深く内省を」と教皇が英経済紙に寄稿

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が12月20日付の英経済紙『フィナンシャル・タイムズ』に寄稿し、クリスマスは社会の課題と向き合って内省する時だ、と呼びかけた。教皇が一般紙に寄稿するのはこれが最初と見られる。
 教皇は「クリスマスには聖書を読んで学ぶべきだ。政治や株式市場など俗世のできごとにどう関わるべきかの啓示は、聖書の中に見出せる」とし、「貧困と闘わなければならない。資源を公平に分かち合い、弱者を助けなければならない。強欲や搾取には反対すべきだ」と呼びかけた。
 ベネディクト16世は、司教時代、バチカン(ローマ教皇庁)教理省長官時代や教皇に着座してからも、著作を重ねている。イタリアの宗教誌などに寄稿したこともあり、今回『フィナンシャル・タイムズ』紙からの寄稿要請を「喜んで受け入れた」という。


◎『グーグル』が「聖書写本」を高解像度デジタル公開

 【CJC=東京】インターネット・サイト『グーグル』は、古文書などの重要な資料をスキャンし、高解像度のデジタルファイルで公開する「資料館」を進めているが、このほど旧約聖書の写本断片を『レオン・レビ死海文書デジタル・ライブラリー』で高解像度デジタル画像として公開した。
 十戒や創世記第1章などの断片で、利用者は高解像度1215dpiの画像を通して、文字、紙の質感など細部まで観察することが可能。今回公開される聖書写本の画像は約5000枚という。


◎エジプト新憲法案の承認確実に

 【CJC=東京】エジプトの新憲法案の是非を問う国民投票は12月22日、2回目の投票が締め切られ即日開票された。政府系紙『アフバル』とムスリム同胞団は23日、非公式集計として賛成63.9%、反対36.1%だったと発表した。
 新憲法案の承認は確実だが、反大統領派の連合体『国民救済戦線』が異議申し立てやデモなどの抗議行動を激化させる可能性もある。
 新憲法案作成は、ムハンマド・モルシ大統領の出身母体であるイスラム組織『ムスリム同胞団』が主導した。「信仰の自由」や「機会均等」の原則が盛り込まれたものの、男女同権や少数派コプト教徒の十分な権利擁護は明記されず、保守的なイスラムの価値観が反映されたものとなっている。
 新憲法案が承認されれば、約2カ月後に下院(人民議会)選が行われる。


◎乱射事件で「全学校に武装警備員を」とライフル協会

 【CJC=東京】米コネティカット州ニュータウンの小学校で児童20人などが犠牲になった銃乱射事件を受け、『全米ライフル協会』(NRA)は12月21日、記者会見し、「すべての学校に、武装した警備員を配置すべきだ」との考えを表明した。
 市民の武器所持を認める憲法上の権利を広く解釈し、「銃犯罪を防ぐためには、銃規制は逆効果」と、NRAは従来から主張して来た。しかし今回の銃乱射事件では、その見解を求める圧力が強まったことから、「意味のある貢献をする用意がある」として記者会見を開いた。NRAのサイトやフェースブックには怒りの反応が殺到、ページを一時削除したり、『ユーチューブ』のコメントを受け付けなくするなどの経緯もあった。
 NRAのウェイン・ラピエール副会長は、事件後初となる記者会見で、「銃を手にした悪者を止められるのは、銃を手にした善人だけだ」と主張し、「議会に対し、武装警備員を全学校に配置するために必要な手段の承認に向け、迅速に行動するよう求める」と述べた。総額20億ドル(約1600億円)の支出が必要と見られる。
 同副会長は、NRA側には配置する警備員の訓練支援や、警備体制の強化に向け教師や保護者と協力する用意がある、とも述べている。会見は途中で2回、「NRAが子どもを殺している」という抗議で遮られた。
 今回の武装警備員配置提言については、保守的な政治家からも疑問が上がっている。
 銃規制を求めてきたニューヨークのマイケル・ブルームバーグ市長は会見を受けてさっそく、「NRAは自分たちが生み出してきた問題に向き合わず、万人が武装し、どこも安全でない、より危険で暴力にあふれた米国のビジョンを示しただけ」と批判した。


◎『ユニクロ』がハリケーン被災地で衣料無料配布

 【CJC=東京】カジュアル衣料店『ユニクロ』を運営する『ファーストリテイリング』が、米国法人『ユニクロUSA』を通じ、大西洋岸各地を襲ったハリケーン「サンディ」により深刻な被害が報告されている被災地で、ヒートテック約10万着、ウルトラライトダウン約1万着の総額約1億9000万円(約230万ドル)相当を無料配布する。
 『ユニクロUSA』は、12月8日から2013年2月上旬まで毎週土曜日に従業員及び一般ボランティアスタッフ約25〜50人が、衣料をニューヨーク州及びニュージャージ州の被災地で被害者に無料で手渡す。
 12月22日には、ニューヨーク市クイーンズ地区ロッカウエーの住民約5000人に、軽量のダウンジャケットなどの衣料計1万1000着を無料配布した。同社の今回の慈善活動では最大規模となった。
 従業員、一般公募のボランティアなど34人が現地入りし、『チャーチ・オブ・ナザリーン』教会の敷地内で袋詰めした衣料品を配布した。


◎偽電話で自殺の看護師を故郷インドで葬儀

 【CJC=東京】英国のキャサリン妃が入院していた病院にかかってきた豪ラジオ局の番組司会者からの偽電話を取り次ぎ、その後、首つり自殺した女性看護師ジャシンサ・サルダナさん(46)の葬儀が12月17日、故郷インド南西部のカルナタカ州シルバ村のカトリック教会で行われた。AFP通信が報じた。
 葬儀には親戚や地元住人ら約2000人が参列した。
 葬儀の後、サルダナさんの夫、ベネディクト・バルボザさんは、「先週起きた悲劇で私たちの人生は打ち砕かれた。悲しむ気力さえほとんどない」と語った。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(12月23日)=https://www.cwjpn.com
★スリランカを視察=カリタスジャパン=再開した海外援助
★反原発=東京で集会・デモ、教会団体参加
★国内初の外国人専門=法律事務所、東京で開所
★「原子力」で国際会議=国内外の宗教者 福島へ
★28年前のクリスマスに受洗=袴田巌さんの再審を=今春のDNA鑑定結果が希望に

 =キリスト新聞(12月25日)=https://www.kirishin.com
★礼拝は"巻き込まれる"出来事=説教塾25周年記念シンポにヘリット・イミンク氏
★日本聖書協会・聖書事業功労賞=神戸バイブル・ハウスに
★北村慈郎氏裁判・口頭弁論が終結=法律上の争訴にあたるか判断へ
★日本キリスト教詩人会創立20周年=「言葉を紡ぐ責任」祝辞で加藤常昭氏
★日本ペンテコステ・ネットワーク発足=諸団体の窓口的役割として

 =クリスチャン新聞(12月23/30日)=https://jpnews.org
★被災地に立ち続ける主イエス=「資金続く限り救援活動続けたい」=日基教団東日本大震災救援対策本部がメッセージ
★日基教団総会=石橋秀雄議長を再選=新総幹事に長崎哲夫氏
★「暴言・暴行」主張平行線=藤本光悦・元牧師パワハラ裁判大詰め
★救世軍=女川漁協に31隻目の漁船贈呈=必要に合った支援=漁業再開励ます


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