世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1143信(2012.12.17)

  • イスラム主導のエジプト新憲法案にキリスト者ら反発
  • 米小学校乱射の動機解明へ「有力な証拠」?
  • 米教会協議会が改めて銃規制に取り組む
  • 現地のカトリック聖職者も「緊急出動」
  • 中国で『全能神』教団幹部ら摘発
  • 教皇が初のツィートで信者からの質問に回答も
  • 日本人ツイッターが教皇に暴言してブロック?
  • 《メディア展望》
◎イスラム主導のエジプト新憲法案にキリスト者ら反発

 【CJC=東京】イスラム主導のエジプト新憲法案の是非を問う国民投票が12月15日始まった。ムハンマド・モルシ大統領に近いイスラム主義者が起草を主導したことからイスラム色が強まることへの懸念が高まり、世俗・リベラル派や人口の約1割を占めキリスト者(コプト教徒)らが反発している。ただ投票には参加、反対票を投じたものと見られる。
 新憲法案は、旧憲法(1971年制定)、革命後の軍政が出した憲法宣言(暫定憲法)に代わるもの。
 全国の判事でつくる『判事組合』が11日、モルシ大統領の独裁的手法に反発、投票の監視任務のボイコットを表明、判事の9割がボイコットしたことから、モルシ大統領は同日夜、国民投票を15日と22日の2回に分けて行うことを決定した。選挙を監督する判事の人数不足への対応を示したもの。
 カイロ、アレキサンドリアなど都市部を中心とした1回目の投票が15日に行われ即日開票された。有力紙『アルアハラム』(電子版)の非公式集計によると、賛成票が56・5%、反対が43・5%だった。公式結果は22日の2回目投票後に発表される。
 新憲法案は、有権者約5100万人の投票数の過半数で承認される。22日の2回目投票は保守的で賛成派が優勢とみられる農村部が大部分で、新憲法案は賛成多数で承認される公算が大きい。
 『アルアハラム』による各地の開票所などからの結果集計として、共同通信が報じるところでは、第1回投票では賛成約460万票、反対約353万票、投票率は33%だった。1回目が実施された10県のうち、首都を含むカイロ(反対56・9%)など2県では反対が上回った。
 新憲法案が成立しても、反大統領派の連合体『国民救済戦線』はモルシ政権との対立姿勢を続けると見られる。今回の国民投票についても選挙違反などを理由に不正投票と非難を強めており、混乱は収まりそうにない。その中で存在感を高めているのがエジプト国軍。再び大きな衝突が起きれば軍が介入するとの見方もある。


◎米小学校乱射の動機解明へ「有力な証拠」?

 【CJC=東京】米コネティカット州ニュータウンのサンディフック小学校で児童たち26人が死亡した12月14日の銃乱射事件で、州警察は15日、犠牲者全員の名前を公表。児童20人は6〜7歳の男児8人、女児12人だった。大人6人は全員女性。
 州検視官は、犠牲者全員がライフルで2発以上撃たれ、これが死因となったことを明らかにした。
 また、州警察当局は、事件を起こしたとされるアダム・ランザ容疑者(20)の動機の解明につながる「非常に有力な証拠」を押収したと明らかにした。ただ具体的な説明はしていない。
 バラク・オバマ大統領は、遺族を慰め、現地の高等学校での超教派の「通夜」に参列するためワシントンを出発した。その際、州警察は付近の『セント・ローズ・オブ・リマ』カトリック教会を爆破するとの予告があったとして、同教会を捜索したが危険物は発見されなかった。ただ安全確保のため、同教会を終日封鎖した。


◎米教会協議会が改めて銃規制に取り組む

 【CJC=東京】米教会協議会(NCCUSA)のカスリン・ロール議長は、コネチカット州ニュータウンの小学校で起きた児童ら射殺事件に「ショックと深い悲しみ」を表した。「母親と父親が今夜抱いている悲しみを、私は親として担えない。我が子を抱きしめたいというオバマ大統領の思いを今夜は特に分かち合いたい。それがもはや出来なくなった両親が、コネチカット州にたくさんいることを思うと胸が張り裂ける」と語った。
 ロール議長は、ニュートン射殺事件のような悲劇は、神学者や聖職者にとって説明出来ない、として「しかしわたしたちは、神が愛の神であること、そして神も今夜深く悲しまれておられるという信仰において慰めを求めている」と語った。
 同議長は、教会協議会が、長年にわたって銃による暴力に懸念を示して来た、と指摘。協議会が2010年発表した決議『銃暴力の終結、行動への呼び掛け』で問題に取り組むため、教会、政府、個人が協力するよう要請している。


◎現地のカトリック聖職者も「緊急出動」

 【CJC=東京】米コネチカット州ニュータウンの小学校で12月14日発生した児童らの大量射殺事件に、付近を管轄するカトリック教会ブリッジポート教区の『セント・ローズ・オブ・リマ』教会司祭は現場に急行、被害者や関係者の問安に当たった。同教会はニュータウンでは唯一のカトリック教会。
 同教区のブライアン・ウォレス広報担当は、「小教区(教会)は大きく、活動的だが、とにかく現場に近かった。事件発生直後にボブ・ワイス神父は現場で家族たちと救援活動を行った。他の司祭にも急報して呼び寄せた。事態が判明するにつれて、周辺の全聖職者にも呼び掛けた」とカトリック通信CNAに語った。


◎中国で『全能神』教団幹部ら摘発

 【CJC=東京】中国・青海省公安当局が、宗教集団『全能神』の摘発に乗り出し、12月13日夜、幹部37人の身柄を拘束した。国営新華社通信や人民日報などのメディアが16日伝えた。
 『全能神』は中国が共産党という「赤い竜」に支配されているとして、共産党の「絶滅」に向けた決戦を呼びかけていたという。
 政府公認の中国基督教協会などによると、『全能神』は1990年代に河南省から広まった。イエス・キリストが生まれ変わった『閃電』(稲妻)という女性が「光臨」、人類に審判を下すと宣伝、「共産党を絶滅させ、全能神が治める国家を打ち立てよ」と呼びかけた。
 現在の信徒数は不明。国務院宗教事務局が「邪教」として取り締まりを強めていたという。


◎教皇が初のツィートで信者からの質問に回答も

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は、12月12日行われた一般接見の席で、初めてツィッターを通じてメッセージを発信した。
 教皇の最初のツィートは、イタリア語、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語、ポーランド語、アラブ語の8言語。フォロワーは、この日すぐに100万人に達し、翌13日朝には170万人となった。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、一般接見中、教皇は関係者の説明を受けながら「親愛なる友人の皆さん、喜びのうちに、ツィッターを通し皆さんと一致します。心から皆さんを祝福します」と最初の言葉をツィートした。
 この機会に、教皇に向けた信者からの質問が公募されていた。教皇は「信仰年をより良く過ごすために日常生活をどのように過ごすべきか」という質問に、ツィッターを通して、「祈りの中でイエスと対話し、福音の中でイエスがあなたに話しかけることに耳を傾け、必要に迫られている人々の中におられるイエスと出会うこと」と回答した。
 さらに、「希望のない世の中で、どのようにイエス・キリストにおける信仰を生きることができるか」との質問には、「神を信じる者は決して独りぼっちではないという確信を持つこと。神は人生を築く上での確かな岩であり、神の愛は常に誠実」と答え、「仕事や、家庭、世の中の問題で頭が占められている時、祈りにより適した状態にあるためにはどうしたらよいか」に対しては、「自分が行なうすべてのことを主に捧げ、日常生活のあらゆる場面で主の助けを仰ぎ、神がいつもあなたのそばにいることを思い出してほしい」と回答した。


◎日本人ツイッターが教皇に暴言してブロック?

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世がツイッターを始めたニュースは、宗教の壁を越えるものとして、世界のメディアの関心をひき、リツイート(ツイッター上での返信)も多数に上っている。
 その中には、他のツイッターと同様、からかいの書き込みも多い。日本語が混じった表現から日本人発と見られるもので、教皇に対し「あまりに失礼」な発言もあった。これが日本のネット上でも取り上げられ、教皇に謝罪の書き込みをした人も出ている。
 教皇に「Shine!」、続けて「死ね」と英語で書き込んだものまで現れた。この書き込みは、その後バチカンによってブロック(阻止)されたと見られる。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(12月16日)=https://www.cwjpn.com
★「『新しい創造』基本計画、第3期に向けて」発表=来春以降3年間の復興支援=仙台教区
★「心のともしび運動」創立60周年=ラジオ放送1万5千回=記念ミサ 東京カテドラルで
★自死者のための追悼ミサ=回を重ねて広がり見せる=東京・麹町教会で司教司式
★教皇の公式「ツイッター」=一致への"橋渡し役"に
★フィリピン南部の台風被害=カリタスが救援急ぐ

 =キリスト新聞(12月15日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(12月16日・休刊)=https://jpnews.org


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