世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1138信(2012.11.12)

  • 第105代カンタベリー大主教にダラム教区ウエルビー主教
  • 前途は多難?新カンタベリー大主教
  • 後任に「聖書と新聞読め」と現カンタベリー大主教
  • コプト教会新教皇が「宗教憲法」には反対意向
  • べネディクト16世がコプト新教皇に祝電
  • タワドロス新教皇をWCC総幹事が歓迎
  • 世界YWCA会長が「北朝鮮女性の人権改善に努力」
  • エルサレム近郊の『平和センター』6回目の取り壊し
  • 教皇がツイッター始める?
  • 《メディア展望》
◎第105代カンタベリー大主教にダラム教区ウエルビー主教

 【ロンドン=CJC】エリザベス英女王は、第105代カンタベリー大主教にダラム教区のジャズティン・ウエルビー主教(56)選任を承認した。10年間在任したローワン・ウイリアムズ大主教が12月末に引退するのに伴い、後任となる。着座式は2013年3月21日、カンタベリー大聖堂で行われる。
 ウエルビー主教は「これまでの流れから出て来たことに、わたし以上に驚いた人がいるとは思わない。わたし自身が知っていること以上のことを経験し、読んだ。『カンタベリー』に指名されたことにも圧倒され驚いている。......ダラムを離れることが最も辛いことの一つだ。そこで素晴らしい先輩や注目すべき聖職者や信徒と共に働いた。ダラムは英国の素晴らしい一部だ。......多くの点で、英国のキリスト教発祥の地とされて来た。ダラムは機会の場所であり、過去よりも偉大な未来がある」と述べた。
 ローワン・ウイリアムズ大主教は「『カンタベリー』へのジャスティン・ウエルビー師の任命を喜ばしく思う。様々な場合に密接に共に働く特権を持って来ており、この経験で常に豊かにされ、力づけられた。......彼に全ての祝福を願い、英国国教会と聖公会共同体が、この任命に際して私と喜びを共にし、祈りと愛とをもって彼を支持するよう希望する」という声明を発表した。


◎前途は多難?新カンタベリー大主教

 【CJC=東京】次期カンタベリー大主教に任命されたジャスティン・ウエルビー大主教は11月9日、ランベス宮殿での記者会見を「聖霊よ来たれ」との祈りで始めた。開会声明でベネディクトの豊かさとイグナチウスの霊性、崇敬、沈黙の祈り、そしてカトリック教会の社会教説を称賛した。
 英国国教会を分裂に導きかねない問題に触れ、女性の主教叙階への強い支持を表明した。同性婚を合法化する政府の計画に関しては、慎重な言葉使いではあるが、「民法上の結合」を支持、同性愛には反対し、自分の考えを「注意深く、深い祈りをもってのこと」としている。
 英カトリック教会司教協議会会長のビンセント・ニコルズ大司教は、新大主教任命のニュースに歓迎の意向を示し、密接な協力を進める、と語った。
 ウエルビー氏の次期カンタベリー大主教選出は、本人も言う通り、大方の予想を裏切ったもの。最終決定に手間取ったことも、その間の事情を伺わせる。家族自身も全面的な歓迎とは行かないようだ。
 有力候補として当初話題にされたのはヨークのジョン・センタム大主教であり、コベントリー、ノリッチ、リバプールの主教の名も上がっていた。
 ウエルビー氏は1956年1月6日生まれ。ケンブリッジ大学イートン校、トリニティ校卒。石油業界で11年活躍した後、1980年代末に「召し」を感じ、高給を捨てて89年聖職叙階、2011年ダラム主教になったばかり。
 前任者がいずれも学者、聖職者として長くまた顕著な経歴の持ち主が多かったことから見ても、異色ぶりが目立つ。
 ケンブリッジ卒で、会員制の紳士クラブとして有名な『ペルメル・クラブ』の会員ではあるが、支配層の人間とは見られていなかった。
 神学的には、福音派の伝統に立ち、英国国教会の中では聖書理解が保守。しかし礼拝形式の近代化の熱心な支持者でもある。


◎後任に「聖書と新聞読め」と現カンタベリー大主教

 【CJC=東京】ジャスティン・ウエルビー大主教の次期カンタベリー大主教選出に当たって、後任者への助言を求められたローワン・ウイリアムズ現大主教、訪問先のニュージーランド・オークランドで11月6日、神学者カール・バルトを引用して、新大主教は、説教する時は「片手に聖書を、もう一方の手には新聞を持って」と語った。自らのメッセージを現代社会に関係づけて語り、新聞を読むようにすることが大事だ、と言う。
 「いつも事柄を相互参照し、『聖書の中の人間と社会の洞察を、貧困、欠乏、暴力、紛争といった問題へどのように展開するか』と語るべきなのだ」として「新聞で読んだことを、聖書が問題を提起し、指針を示していることにつなげなければならない。『わたしを助けるところはどこか』と。そこでわたしは、聖書を読むことを好み、同時に新聞を読むことが好きな人なら、良いスタートを切れると思う」と述べた。
 現大主教は10月下旬からニュージーランドを訪問、現地で初めて開催された『全聖公会協議会』に出席した。


◎コプト教会新教皇が「宗教憲法」には反対意向

 【CJC=東京】エジプト・コプト教会の新教皇に選出されたタワドロス主教(60)は11月5日、現在草案作成が進められている憲法について、宗教的色彩があからさまなものとなる限り、イスラム教支配が強化されることになるので、キリスト教徒と非宗教グループを結集して反対に動く、とインタビューで語った。
 教皇として、キリスト教社会が、選挙以外にも政治、公共分野に参画することを奨励する、と言う。これまでキリスト教社旗は少数派として「意図的に」疎外されてきた、と指摘している。


◎べネディクト16世がコプト新教皇に祝電

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世は、このほどエジプト・コプト教会で選出されたタワドロス新教皇に11月6日祝電を送った。
 「著名な前任者シェヌーダ3世と同様に、あなたの民にとって真に優れた霊の父となり、平和と調和の下で新しいエジプト建設へ市民の優れたパートナーとなって、全中東の、また普遍的な『善』にあなたが仕えるであろうことを確信する」と教皇は述べている。
 メッセージの最後で、べネディクト16世は、タワドロス新教皇のアレキサンドリアの教皇職と聖マルコの座の総主教としての働きの上に「平和と力」を願った。


◎タワドロス新教皇をWCC総幹事が歓迎

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC、本部ジュネーブ)のオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は11月5日、エジプト・コプト教会が新たに選出した教皇タワドロス2世に歓迎の書簡を送った。
 トゥベイト総幹事は「キリスト教会間の友愛のために歓迎する。神に感謝する。エジプトの多彩な社会の中で、一致と愛に向けて努力されていることを思い、この不安定な時代にあなたの宣教が自由、平等、正義、平和への探求の中で強められるよう祈る。堅固なコプト正教会の声が、あなたの導きと主への証しのもとに強く保たれること、またそれが長く栄誉あるコプト正教会の歴史に新しい息吹をもたらすことと信じる」と述べた。
 トゥベイト総幹事はさらに、コプト正教会が、故シェヌーダ教皇がたゆみなく推進した正義と平和への努力を重ねることで、WCCとの強固なエキュメニカル(教会一致を目指す)関係を継続するように、との期待を述べた。


◎世界YWCA会長が「北朝鮮女性の人権改善に努力」

 【CJC=東京】世界YWCAのデボラ・トーマス=オースティン会長(52)が、「今年から2015年にかけ、北朝鮮の女性、子どもたちの人権改善を重点課題の一つとして進める」とソウルで語った。現地紙『朝鮮日報』(日本語電子版)が報じた。「国連報告書などを通じ、北朝鮮の女性に対する人権侵害の深刻さが世界的に知られるようになったが、北朝鮮は国際社会の人権改善要求に全く応えようとしていない。世界YWCAは脱北女性の人身売買、乳児殺害、強制送還された女性に対する過酷行為などを是正するため、特に関心を傾け努力する」と強調している。
 オースティン会長は、11月8〜13日に韓国で開催される『女性暴力の追放に向けた2012年世界YWCA国際指導力トレーニング』に出席するため韓国を訪問した。
 同氏は「女性に対する身体的・性的暴力は毎年増加を続けており、これは韓国だけでなく世界的な問題になっている」として、「戦時に性的奴隷として搾取された女性の問題をはじめ、経済的・社会的に困難な状況に置かれたり、差別を受けたりする女性の声を代弁するとともに、被害女性たちが声を上げ、ゆくゆくはリーダーに成長できるよう手助けするのが私たちの役目だ」と語った。


◎エルサレム近郊の『平和センター』6回目の取り壊し

 【CJC=東京】エルサレム近郊の『ベイト・アラビヤ平和センター』が11月1日早朝、イスラエル軍によって取り壊された。パレスチナ系住民、イスラエル市民、各国からのボランティアによって建設された同センターが取り壊されるのはこれで6回目。
 同センターで活動しているサリム・シャワムレ氏は現場で、「取り壊しではなく、地震に見舞われたようだ。これは憎しみだ」と語った。イスラエル軍は、パレスチナ系住民に「出て行けと言っている」という明白なメッセージを示したのだ、と言う。
 タイルのほとんどは破砕され、浴室の配管は使用不能になるまでにねじ曲げられている。野良犬2匹の遺体が見つかったが、建物倒壊の下敷きになった、と見られる。
 イスラエル当局は、パレスチナ系住民には建築許可をまず出さない。94%が却下されるとも言われる。また許可料も40万円相当と高額だ。
 無許可のまま建築すると、イスラエル軍によって取り壊され、住民はその費用まで負担させられる。


◎教皇がツイッター始める?

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)が11月9日、教皇ベネディクト16世が年内にもマインターネットのツイッター公式アカウントから世界中のフォロワーに向け定期的なツイート(つぶやき)投稿を始めると発表した。フェデリコ・ロンバルディ広報事務所長は公式ユーザー名について「後日改めて発表する」としている。
 公式アカウントへ教皇が直接つぶやくのではなく、バチカン関係者が執筆して、教皇の承認を得たものが発信される。教皇の教えや、講話へのリンク、苦難の中にある国々への連帯の呼びかけなどを投稿する予定という。
 ベネディクト16世の名をかたる偽アカウントは幾つかある。教皇をからかう内容のものもある。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月11日)=https://www.cwjpn.com
★救いの故に将来を楽観=「新しい福音宣教」のシノドス・メッセージ
★歴史やビジネス、信徒に学ぶべき=イエズス会総長が指摘
★全国広報担当者会議=中央協議会への要望出す=教区広報の課題と現状討議
★大丈夫? 信仰の自由=正平協20条の会がシンポジウム=名古屋
★「死刑」で国際シンポ=冤罪の元死刑囚など廃止訴え=東京で開催

 =キリスト新聞(11月10日)=https://www.kirishin.com
★聖エジディオ共同体が東京で国際シンポ="いのちなきところ正義なし"=政治家・活動家ら死刑制度廃止訴え
★キリスト教功労者=倉松功氏・西原由記子氏を顕彰=キリスト教文化協会
★日本宗教者平和協議会結成50周年="教派、信条の違い超え連帯"=「国際シンポ」「福島祈りの旅」を実施
★「リディア会」を組織=ビジネスウーマンへ参加呼びかけ=キリスト実業人会

 =クリスチャン新聞(11月11日)=https://jpnews.org
★震災で問われるまるごとの福音=JEA宣教フォーラム=仙台で「支援と伝道」討議
★収穫はでっかいぞお!=支援教会の子ら 南三陸町で芋掘り
★教会で福祉の働きを=TCUケアチャーチプロジェクト始動
★第2バチカン公会議から50年=カトリック教会「信仰年」を開始
★グラハム父子=ロムニー候補支持=モルモン教「カルト指定」削除で物議


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