世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1134信(2012.10.15)

  • カトリック教会の「信仰年」開幕
  • キリスト教国の米国で市民の2割が「無宗教」
  • 米エール大学は男子限定の友好団体認めず?
  • 中国政府は上海教区の司祭・修道女を再教育
  • ポッペラ歌手イム・ヒョンジュが韓国YWCA広報大使に
  • 欧州連合のノーベル平和賞受賞を教界が歓迎
  • ロシアでプーチン大統領批判した女性バンドの1人釈放
  • リトアニアの原発計画に国民投票で反対優勢
  • 《メディア展望》
◎カトリック教会の「信仰年」開幕

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は10月11日、バチカンのサンピエトロトロ広場でミサを捧げ、第2バチカン公会議50周年を祝うと共に、「信仰年」を正式に開始した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、ミサには、世界各国から集まった枢機卿・司教らおよそ400人のほか、正教会のコンスタンティノーポリスのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世、英国国教会のローワン・ウイリアムズ・カンタベリー大主教らも参列した。
 「入祭唱」と共に、現在開催中のシノドスに出席している司教らの行列が続いたが、これは第2バチカン公会議初日に参加司教らが荘厳にサンピエトロトロ大聖堂への入場を行なったことを思い起こすもの。聖書台には、公会議中の儀式に用いられた福音書の復刻版が掲げられた。
 ミサの説教で教皇は、この機会に、同公会議を単に記憶に留めるのでなく、公会議の精神に深く入り込み、それを自分たちのものとしながら、その真の意味を伝えていかなければならないと呼びかけた。
 教皇は、イエスはキリスト教信仰の中心であり、キリスト者は、神の御顔を啓示したイエス・キリストを通して神を信じるのである、と強調した。
 「今日、教会が『信仰年』を催し、新しい福音宣教を提案するのは、公会議開催を記念するためではなく、50年前以上にそれが必要とされているからである」と教皇は述べ、ここ数年間にますます広がった「霊的な砂漠化」を指摘、まさにこの砂漠から旅立つことで、信じることの喜びと大切さを改めて発見できると説いた。
 ミサの終わりに教皇は、第2バチカン公会議の公文書と『カトリック教会のカテキズム』を祝別し、信者代表に手渡した。


◎キリスト教国の米国で市民の2割が「無宗教」

 【CJC=東京】米国の調査機関『ピュー・フォーラム・オン・レリジョン・アンド・パブリック・ライフ』によると、米国の成人の間で「無所属」を主張する人が増加、5年前の15%から20%になった。世代交代による影響と同機関は見ている。65歳以上では9%に留まっているのに、30歳未満では32%に達している。
 さらにプロテスタントと自認する人が減少を続け、ついに48%と過半数を割ったことも分かった。カトリックは22%を維持している。
 40年前の1972年には、プロテスタント62%、カトリック26%、「無所属」7%だった。
 プロテスタントの減少も白人に見られる現象。白人でもボーンアゲインや福音派に属する人は2007年の21%から19%に、一方、白人でもボーンアゲインや福音派ではないとした人は18%から15%に減少している。
 調査機関は、カトリックが微減に留まっているのは、ラテンアメリカ(中南米)各国からの移民が寄与した、と見ている。


◎米エール大学は男子限定の友好団体認めず?

 【CJC=東京】米エール大学が、キリスト教友好団体(フラタニティ)『ベータ・ユプシロン・カイ』(BYX)が設立した支部を、学生団体として認可しない可能性が出て来た。メンバーをイエスを信じる男性に限定する計画のため。
 同大学生新聞は、大学の反差別方針に合わせて、支部が会員規則を変更する必要がある、と報じた。
 エール大学は、学内団体は全て「性、人種、皮膚の色、宗教、年齢、障害、国籍、民族起源」に関する差別を禁止している。ただ『エール・ロー・ウイメン』は男性を排除している。
 『ベータ・ユプシロン・カイ』は米国最大のキリスト教友好組織。「ブラザー」と呼ばれるメンバーはキリスト者として教えを実践することを求められている。


◎中国政府は上海教区の司祭・修道女を再教育

 【CJC=東京】中国政府は、カトリック教会上海教区の司祭80人と修道女80人に、「再教育」に参加、教会と国家の関係について「正しい道を考え、実践」するよう強制している。カトリック通信UCANが報じた。
 上海教区では新たに叙階されたタデウス・馬達欽(マ・ダキン)司教(45)が7月7日に政府の監督下にある中国天主教(カトリック)愛国会を辞任したが、その直後から拘束状態にある。
 「再教育」は司祭と修道女を3グループに分け、上海社会主義研究所で、この9月に3日間、毎日12時間にわたって行われた。
 「再教育」の主題には共産党の宗教観、政策、管理が含まれている。狙いは受講者の国家と、カトリック教会のローマから自立した運営原則への忠誠を強めることにある。


◎ポッペラ歌手イム・ヒョンジュが韓国YWCA広報大使に

 【CJC=東京】韓国ポッペラ歌手のイム・ヒョンジュが韓国YWCA連合会の広報大使に任命された。
 所属事務所は10月12日「イム・ヒョンジュが11日、韓国YWCA2次総会でYWCA連合会創立以降、初の広報大使として任命された」と発表した。
 イム・ヒョンジュは「YWCAの活動に責任感をもって賛同したい」とし、「全国52カ所の支部で公演を必要とする場があれば、無償で出演することを約束する」と語った。
 「ポッペラ」は「ポップス」と「オペラ」からできた造語。


◎欧州連合のノーベル平和賞受賞を教界が歓迎

 【CJC=東京】今年度のノーベル平和賞が欧州連合会議に決定した。カトリック教会欧州連合司教協議会会長のラインハルト・マルクス枢機卿は、受賞を「欧州がより良い世界のために貢献出来る明確な徴」として歓迎した。平和賞の決定は、「欧州統合計画が達成されたことで、大陸の平和展開に大きく貢献したことを想起させる。またこの達成にキリスト者の政治的貢献が大きかった。危機に際して欧州連合の重要性が認識された」と言う。
 世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は、ノルウェーのノーベル賞委員会の決定に、WCCが欧州連合とその指導者に祝意を示す、とメッセージを発表した。「数百万人を殺し、地域全体を破壊した二つの世界大戦の後に、戦禍で荒れ果てた大陸に平和と安定をもたらすため欧州連合はその核心であり続けた」としている。


◎ロシアでプーチン大統領批判した女性バンドの1人釈放

 【CJC=東京】ロシア正教会モスクワ総主教座の救世主ハリストス大聖堂でプーチン大統領を批判するパフォーマンスを行い、懲役2年の実刑判決を受けたロシアの女性バンド『プッシー・ライオット』(子猫の暴動)のメンバー3人の上訴審判決が10月10日あり、その中のエカテリーナ・サムツェビッチさんについて裁判所は「警備員に取り押さえられたために祭壇でパフォーマンスができなかった」として、執行猶予2年を認め、サムツェビッチさんは釈放された。残り2人は実刑のまま。
 サムツェビッチさんの釈放について、裁判所は「刑務所でなくても矯正が可能」と判決変更の理由を説明した。
 残る2人について、弁護団は仏ストラスブールの欧州人権裁判所への提訴を検討している。


◎リトアニアの原発計画に国民投票で反対優勢

 【CJC=東京】バルト3国のリトアニアで10月14日、ビサギナス新原発建設の是非を問う国民投票が実施された。反対が62%を占め、賛成の34%を大きく上回った。同日実施された議会選挙でも、野党が優勢で、4年ぶりに政権に返り咲く見通し。
 野党側は建設コストなど計画の再検討を求めていたことから、国民投票に原発建設を止める強制力はないものの、新政権で見直し論議が強まると見られる。
 ビサギナスは、首都ビリニュスの北東約150キロ、ベラルーシとラトビアの国境沿いにある。新原発建設は、日立製作所が受注の優先交渉権を獲得している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月14日)=https://www.cwjpn.com
★信仰年=日本司教団、特別臨時総会で=全信者へのメッセージ採択
★「新しい福音宣教」のためのシノドス=教皇、開会ミサ司式
★国際ミサ どう取り組む?=CTICと上智大学が講演会
★正義と平和協議会=オスプレイ配備に抗議
★信徒向け高齢者施設="ついのすみか"有志発足=鹿児島のNPO法人「聖(ひじり)の郷(さと)ゆらいあい」

 =キリスト新聞(10月13日)=https://www.kirishin.com
★独カトリック司教協議会=離脱者は臨終の秘跡だけ=教会活動への参加制限など指令
★「障がいのある人と向き合う」=赤崎正和監督『ちづる』上映=日基教団埼玉地区アーモンドの会
★季刊「ミニストリー」創刊3周年=読者の集いでファンと交流="編集者、牧師、神学者が遊べる「広場」を"
★三浦綾子80作品を電子書籍化=生誕90周年で三浦記念館と小学館共同企画
★神学生有志のセミナー=後宮俊夫氏が講演

 =クリスチャン新聞(10月14日)=https://jpnews.org
★キリストに妻がいた!?=「証拠のパピルス片発見」の学問的評価は...
★"キリストの妻"古文書は偽物=教皇庁機関紙などが否定
★長期復興支援へ祈り合い=岩手沿岸100キロ超 一堂に
★全焼、震災こえ世界宣教の拠点に=いわきグローバル・ミッション・チャペル献堂
★キリストの愛で人々に仕え80年=長野・小布施の新生病院


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