世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1131信(2012.09.24)

  • 「イエスの妻...」記したパピルスを米歴史学者が公表
  • 教皇、レバノン訪問終える
  • 教皇が一般接見でレバノン訪問振り返る
  • パキスタンで反イスラム映画抗議デモが暴徒化
  • ネットが米誌ニューズウィークの表紙を嘲笑
  • 奴隷制度の歴史直視を、とオランダ教会協議会総幹事
  • 韓国プロテスタント教団総会に空気銃!
  • スペインの「サル」キリスト画に財産権問題
  • 《短信》
  • 《メディア展望》
◎「イエスの妻...」記したパピルスを米歴史学者が公表

 【CJC=東京】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は9月18日、イエス・キリストが自身の「妻」について記されているパピルス断片がローマで開催された国際コプト研究大会で同日公表された、と報じた。4世紀にコプト語で書かれたものをハーバード大のカレン・L・キング教授(歴史学)が解読、発表した。教授は、福音書発見に関する著作がある。
 4×8センチのパピルス断片の片側に8行にわたり、黒いインクで「イエスは彼らに言った。『私の妻は...』」などと書かれていた。「彼女は私の弟子になれるだろう」という文面もあった。
 マグダラのマリアがイエスの妻だったか、イエスに女性の弟子がいたか、などの論議が再燃する可能性が出てきた。女性の宣教における女性の位置、また聖職者独身制などに影響する可能性もある。
 世界的なベストセラー小説で映画化もされた『ダ・ヴィンチ・コード』では、売春婦だったとされるマグダラのマリアとの間にイエスが子どもをもうけたとするストーリーが展開され、当時バチカン(ローマ教皇庁)などが反発した。


◎教皇、レバノン訪問終える

 【CJC=東京】レバノンを訪れていた教皇ベネディクト16世は、9月16日夜、3日間の訪問を終え、ローマ郊外カステルガンドルフォの離宮に戻った。
 ベイルート空港で行われた送別式で、教皇は、政府当局始め他のキリスト教教会、イスラム教関係者にも滞在中の歓迎に感謝を述べた。
 今回の訪問で教皇は、2010年に開かれた『中東のためのシノドス』(代表司教会議)後の指針として自ら記した使徒的勧告『エクレジア・イン・メディオ・オリエンテ』の署名と公布を行なうと共に、レバノンと中東の教会を励ますことを目的としていた。


◎教皇が一般接見でレバノン訪問振り返る

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は、バチカン(ローマ教皇庁)で9月19日、水曜恒例の一般謁見を行った。その際に教皇は、14日から16日までのレバノン司牧訪問を振り返った。
 中東地域の緊迫情勢の中で行われた訪問だったが、教皇は「困難な状況に直面する子らに、父として常にそばにいる」ことを伝えたく思ったと述べた。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 教皇は、訪問の主目的だった『中東のためのシノドス後の使徒的勧告』署名と、ベイルートのミサで行った公布、レバノン各界代表と諸宗教指導者との出会いなど、3日間のレバノン滞在を振り返った。
 教皇は今回のレバノン訪問を、教会関係者にとって感動的な出来事であったと同時に、異なる宗教や共同体間の共存・協力の伝統を誇るレバノンで、未来を見据えた内容ある対話の機会でもあったと振り返り、この訪問を通して、シリアやイラクをはじめ、中東地域で続く人々の苦しみに対し励ましと平和のメッセージを表したと述べた。
 教皇は、レバノンの人々がその宗教・社会的多様性の中で、真の平和に向けての新たな一歩を証しすることを希望し、訪問中の様々なメッセージが、中東における平和構築への確固とした歩みと、キリスト教徒・イスラム教徒間のさらなる理解の助けとなることを要望した。


◎パキスタンで反イスラム映画抗議デモが暴徒化

 【CJC=東京】パキスタンで9月21日、反イスラム的な内容の米映画と仏週刊誌の風刺画掲載に対する抗議デモが各地に広がり、17人が死亡、数百人が負傷した。AFP通信が報じた。
 イスラム教の礼拝日にあたる金曜日の同日、パキスタン政府はイスラム教の預言者ムハンマドをたたえる国民の祝日と宣言していた。
 同国最大の都市カラチでは12人が死亡。北西部のペシャワールでも5人が死亡した。またこの2都市と首都イスラマバードでの負傷者は計229人。パキスタンでは前週、一連の抗議行動で19人が死亡している。
 中東やアジア諸国のイスラム教徒は金曜礼拝の後、反イスラム的な内容の米映画『イノセンス・オブ・ムスリム』と仏紙『シャルリー・エブド』によるムハンマドの風刺画掲載に対して前週から続いている抗議行動に繰り出し、大規模なデモに膨れ上がった。


◎ネットが米誌ニューズウィークの表紙を嘲笑

 【CJC=東京】イスラム世界で広がる流血の抗議行動を取り上げた米誌『ニューズウィーク』9月24日号の表紙が、インターネットのツイッター上で議論が交わされ、嘲笑も巻き起こしている。
 表紙には、怒れるイスラム教徒の抗議者たちが叫んだりこぶしを空に掲げたりしている写真が掲載された。その上に「イスラムの激情」と見出しが書かれ、副題には「私がいかにして生き残ったか、私たちがいかにこれを終わらせるか」と記されている。
 同号トップ記事の執筆者アヤーン・ヒルシ・アリ氏はオランダの元下院議員。ソマリア出身の活動家で、イスラム教を批判したことで殺害の脅迫を受けているという。
 アリ氏は、イスラム教を放棄した経験を語っている。イスラム社会における女性の短編映画をオランダのテオ・ファン・ゴッホ監督と作成したが、それが原因で同監督が殺害されたことに触れている。
 AFP通信によると、ツイッターの間には、別種の反発が起きたようだ。「有名な反イスラム活動家を呼んで、いかにして『イスラムの激情』を終わらせるかというトップ記事を書かせるとは」というコメントも。
 一方、ニューズウィーク誌は、表紙について「この一週間で実際に起きた出来事を正確に描いた」と反論している。


◎奴隷制度の歴史直視を、とオランダ教会協議会総幹事

 【CJC=東京】オランダの教会は、奴隷制度の歴史を直視、検証すべきだ、と同国教会協議会のクラアス・ファン・デル・カンプ総幹事が、奴隷制度廃止150周年を来年に控え、呼び掛けた。
 同国のキリスト教各派の連携組織がロッテルダムで開催した会合で9月17日述べたもの。教会は「自らの過去に対して誠実であるべき」として、今日もなおオランダ社会には偏見が残っている、と指摘した。


◎韓国プロテスタント教団総会に空気銃!

 【CJC=東京】韓国プロテスタント教団『大韓イエス教長老会イェジャン合同総会』の定期総会に9月17日、空気銃が持ち込まれ、ボディーガードが大量に動員されて、取材を阻止するという事態が繰り広げられた。朝鮮日報(日本語電子版)が報じた。
 総会は大邱市達西区竜山洞のソンミョン教会で行われた。役員選挙の際、総務担当の牧師が「身辺保護のため空気銃を携行し、ボディーガードを配置した」と語った。
 当日、総会会場には、ボディーガード約150人が配置され、出入り口には「記者の立ち入り禁止」という立て看板が置かれた。
 同派は韓国国内に1万1000教会があり、信徒300万人の韓国プロテスタント教会では最大とされている。
 数年前から教団内部の地位をめぐる争いがあり、不透明な財務運営をめぐる疑惑などが、キリスト教メディアで報じられていた。


◎スペインの「サル」キリスト画に財産権問題

※配信番号324関連
 【CJC=東京】スペイン北東部ボルハの教会にイエス・キリストが描かれていた約100年前の絵画を、80代のアマチュア女性画家セシリア・ヒメネスさんが善意で「修復」したところ、子どものお絵かきのような目にマンガめいた鼻がつき、血の気のない顔の周りをサルのように毛皮が覆っているかに見えるものだったところから、世界中で報道された。
 問題作をひと目見ようと、スペイン内外から、ボルハを訪れる人が急増した。絵を見た観光客は「素晴らしい絵だ。奇跡だよ」と話す。
 教会は、これまでは無料だった入場料を徴収し始め、絵をTシャツやカップなどにプリントしたものが、インターネットで販売されるようになって、思わぬ問題が浮上した。
 「修復」を担当したヒメネスさんが、絵の知的財産権を主張、Tシャツなどの販売で得られる収入の一部を受け取る権利がある可能性を探り、弁護士が調査を始めたという。
 ヒメネスさんは、この収入を難病治療のための基金に寄付するとしている。


◆短信◆(CJC)

▽米教会協議会がリストラ計画を採択=米教会協議会(NCC)常置委員会は、ニューヨークで9月17〜18日に会合、組織改革、実効的な計画を含む再検証とリストラ計画を承認した。
 『タスクフォース』からの提案を採択したもの。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月23日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=レバノンを訪問=「平和の巡礼者」として=キリスト者の役割を強調
★正平協=新しい「のぼり」で=脱原発アピールを
★信者も反対の声=オスプレイ普天間配備計画=沖縄・東京
★パキスタン=豪雨1カ月 壊滅的被害=カリタス、緊急支援に動く
★「世界難民移住移動者の日」教皇メッセージ=移住者のために祈りと支援を

 =キリスト新聞(9月22日)=https://www.kirishin.com
★日本賛美歌学会=ニュージーランドのC・ギブソン氏迎え=オリジナル曲を日本語で
★「ふくしまHOPEプロジェクト」=子ども守るため保養プログラム提供
★キリスト教出版販売協会夏期例会=瀬間勉氏="社会の事象と交わりを"
★「いのり☆フェスティバル」=29日に開催=岡田斗司夫さんら招き中継も
★北星学園大学後援会・同窓会=パイプオルガンを寄贈

 =クリスチャン新聞(9月23日)=https://jpnews.org
★三浦綾子全作を電子化=絶版38作品も順次配信=「3・11後の今こそ読まれる」
★岡山で「6時間ぶっとおし賛美フェス」=賛美なしにリバイバルはない!
★放射線避け 外遊びうれしい=「子ども保養プロジェクト」長期化へ協力体制=福島県諸教会と支援機関が結集
★受刑者の回復と社会復帰を支援=獄中で聖書読み 回心した元受刑者=支えられた経験生かし「マザーハウス」設立
★イラン=死刑判決の牧師を釈放=背教罪、刑法規定あいまい


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