世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1127信(2012.08.27)

  • スリランカ少数宗教抑圧を世界福音同盟が懸念
  • セイロン聖書協会が創設200周年
  • イスラエル入植地産品をカナダ合同教会ボイコット
  • 米国の有権者は中絶問題の判断に悩む
  • 教皇のレバノン訪問予定は変わらず
  • 被災地の少女合唱団が教皇に感謝の歌声
  • スペインで修復「サルのような」キリスト画に人気
  • 《メディア展望》
◎スリランカ少数宗教抑圧を世界福音同盟が懸念

 【CJC=東京】世界福音同盟(WEA)宗教の自由委員会のゴドフリー・ヨガラジャ委員長が、スリランカの多数派仏教徒による少数宗教抑圧への懸念を表明した。同委員長がコロンボからENIニュースに8月20日語ったもので「多数派による暴行の取り締まりを政府に要請している」と言う。
 スリランカ福音同盟は17日、「少数派共同体に対する宗教的不寛容の事態続発への懸念を表明」する声明を発表したが、同委員長の発言はそれに関連するもの。
 声明は、具体例を紹介しており、『アセンブリーズ・オブ・ゴッド』派の牧師夫妻が南部デニヤヤ付近で襲撃された件も紹介されている。牧師は仏教僧侶のいる前で殴打され、乗っていたオートバイは破壊された。
 メソジスト教会の女性活動家の居宅が襲撃されたり、別の教会活動家が脅迫された例も挙げている。
 「キリスト者だけがこのように襲撃されているわけではない。イスラム教のモスクも襲撃されている。これらの多数派による少数派への襲撃はスリランカにとって良い兆候ではない」とヨガラヤ氏。
 スリランカでは、シンハラ語を話す仏教徒が総人口2000万の約7割を占めており、タミル語を話すヒンズー教徒が15%、キリスト者とイスラム教徒が残り15%を占めている。
 仏教の高僧と私服の軍将校に率いられた暴徒が、アンパライ東部パナマイのヒンズー教寺院から像を取り除く例も取り上げている。何世紀もの歴史のある像は仏教寺院のパゴダに移し変えられた。ヒンズー教側の抗議にも関わらず警察は手を出さなかったという。


◎セイロン聖書協会が創設200周年

 【CJC=東京】セイロン聖書協会は1812年創設。今年200周年を迎えた。同国の登録組織としては最古の歴史を誇るが、活動も順調。
 2011年を見ても、聖書7万3592冊、新約9884冊、分冊2万4569冊を売り上げた。タミル語、シンハラ語、英語の各版に加え、点字版、オーディオ版も提供している。
 コロンボの救世主キリスト大聖堂で行われた記念式典には各派指導者が参列、マルコルム・ランジス枢機卿が講演、トリニティ大学のハレルヤ・コーラスや伝統舞踊などで盛り上がった。


◎イスラエル入植地産品をカナダ合同教会ボイコット

 【CJC=東京】カナダ合同教会がパレスチナ自治区内に設けられたイスラエル入植地の産品をボイコットするという提案を採択した。イスラエル政府に入植地拡大を停止させ、占領を終結させる狙い。
 同教会常議員会がオタワのカールトン大学で開いた大会で8月17日採択した。大会は代議員350人が出席して8日間の日程で開催され、18日閉会した。
 ボイコット提案は、イスラエルとパレスチナの間の平和実現に貢献する手段としてイスラエル・パレスチナ政策作業グループが一連の提案を行った中の一つ。
 同グループの準備した報告では、占領を「地域の暴力を支える不義にたいする基本的な要因」とし、イスラエルの入植を平和への「重大な障害」としている。
 RNS通信によると、討議の中で、『カナダ・キリスト教ユダヤ教コンサルテーション』のビクター・ゴールドブルーム氏は、中東紛争の平和的解決を探る教会を称賛したが、同時に「目的には賛成するが、手段には賛成しない」と警告した。
 イスラエル関係企業への投資撤回や教会の投資引き上げなどの動きは、米国で合同メソジスト教会、聖公会、長老教会(PCUSA)などで見られたがいずれも成果を上げていない。
 カナダ合同教会は会員300万人で同国最大のプロテスタント教派。1925年にメソジスト、長老派、会衆派が合同結成した。
 常議員会大会は16日、新議長にゲイリー・ピーターソン牧師を選出した。同派で同性愛であることを公表した指導者は同氏が初めて。記者会見で、性的指向が問題にならかったことに歓迎の意を表明した。


◎米国の有権者は中絶問題の判断に悩む

 【CJC=東京】米国の有権者は妊娠中絶問題の判断に当惑し、中絶合法化に関しても考えが分裂している。
 調査機関『ピュー・リサーチ』の最新調査では49%が中絶については民主党が自分たちの意見を代表している、と見る一方、共和党の主張に同意するのは33%に留まっている。
 ただ回答者の20%、民主党支持者では26%が、中絶はどんな状況下にあっても合法とされるべきだ、と信じている。女性の民主党支持は52%で不支持の32%に大差を付けている。ただ無制限の中絶合法化については男性の51%に対し55%と僅かに賛成が上回っている。
 合法的妊娠中絶反対の立場が、中絶を最重要課題と考える有権者には共通していることも、調査で判明した。あらゆる状況下での中絶に反対する人の中で73%はその問題を非常に重要としている。一方、中絶を制限しないことに賛成する人で、それを非常に重要としているのは33%だった。


◎教皇のレバノン訪問予定は変わらず

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世の9月レバノン訪問計画に変更はない、とバチカン(ローマ教皇庁)報道事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父が8月20日の記者会見で明らかにした。予定通りに実施する方向で準備を進めている、という。
 予定では、教皇は9月14日にベイルートに到着、16日まで滞在する。
 レバノンからの報告で、隣国シリアの内戦が国境を越えてレバノンに波及し教皇の訪問を妨害するのでは、との懸念が示されたことへの対応として、ロンバルディ神父は、教皇専用車がすでにベイルートに向けて輸送中であることを明らかにした。


◎被災地の少女合唱団が教皇に感謝の歌声

 【CJC=東京】イタリア・ローマ郊外カステルガンドルフォの夏の別荘で8月22日、福島・南相馬市を拠点に活動する合唱団『MJCアンサンブル』が、教皇ベネディクト16世の恒例の水曜一般接見に参加、被災地支援への感謝の歌『祈り』を披露した。
 接見には世界各国から4000人以上が集まっていた。同アンサンブルからは、団長・太田絵菜さん(15)が代表して登壇、教皇に直接接見した。メンバーは「被災地への温かい言葉と支援ありがとうございました」と、南相馬市からのプレゼントを教皇に手渡した。
 教皇は、『祈り』に対して、十字架のネックレスと拍手を、そしてメンバー1人ひとりに手を振って応えた。


◎スペインで修復「サルのような」キリスト画に人気

 【CJC=東京】スペイン北東部ボルハの教会の柱にイエス・キリストが描かれていた約100年前の絵画を、80代のアマチュア女性画家セシリア・ヒメネスさんが善意で「修復」したところ、全く異なる絵になってしまった。
 この絵は、スペイン人画家エリアス・ガルシア・マルティネスが1910年に描いた『この人を見よ』。特に名画とはみなされていなかったが、マルティネスは教会の柱に直接絵筆を走らせ、十字架にかけられる際にいばらの冠をかぶって天を見上げるキリストの姿を2時間で描きあげたと伝えられていた。
 ヒメネスさんは、原画の上に直接、絵を描いた。しかも「修復された」絵は、子どものお絵かきのような目にマンガめいた鼻がつき、血の気のない顔の周りをサルのように毛皮が覆っているかに見えるものだった。
 地元の宗教的美術作品を管理する団体が8月上旬に、絵が"修復"され、全く違う絵のようになってしまったのを発見した。
 ヒメネスさんは「何年もかけて修復してきたけれど、完成を目前にしてあきらめなければならなかった」などと、つじつまの合わない説明をしているという。
 スペイン国内メディアで大々的に取り上げられたこの「修復」問題、ニュースサイトやSNSでも「国民的ジョーク」扱いでユーザーからのコメントが殺到しており、静かな町だったボルハを訪れる人が数百人規模に急増している。
 公共テレビ放送のインタビューに、ある女性は、「以前の絵も大変素晴らしかったけれど、わたしは本当にこれ(修復後の肖像画)が気に入っています」と語った。
 原画を復元する計画を思いとどまるよう求めるオンライン嘆願書も既に1万8000人の署名が集まっているとか。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月26日)=https://www.cwjpn.com
★被災地2度目の夏=中高生、ボランティアで訪れる
★カリタスジャパン=パキスタンを視察=防災、教育事業など支援
★福島の高校生と交流=長崎被爆者がメッセージ
★元受刑者が支援団体=獄中の人ら手助けへ=マザーハウス
★バチカン裁判所、元教皇執事らを文書窃盗等で起訴

 =キリスト新聞(8月25日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(8月26日・休刊)=https://jpnews.org


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