世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1125信(2012.08.13)

  • 先住民ラジオ普及をキリスト教団体も呼び掛け
  • コプト教会指導者が政府を強く批判
  • ガザのキリスト者は「強制改宗」に不安
  • ナイジェリア中部の教会襲撃で死者19人
  • ナイジェリアで宣教師殺害、『ボコハラム』の仕業か
  • マレーシアで非イスラム教徒への規制強化
  • アルプスの氷河融解に教会の祈りも逆転
  • ロシア副首相がマドンナを「元売春婦」と
  • イラク・ナジャフで古代キリスト教遺跡発掘
  • 《短信》
  • 《メディア展望》
◎先住民ラジオ普及をキリスト教団体も呼び掛け

 【CJC=東京】国連の「世界の先住民の国際デー」に当たる8月9日、『世界キリスト教コミュニケーション連盟』(WACC、本部=カナダ・トロント)は、各国政府や団体に、先住民の民主的な参画と行動的な市民となるための手段としてコミュニティ・ラジオの普及を呼び掛けた。
 国連の2012年のテーマは「先住民のメディア、先住民の声に力を」。
 WACCは声明で、コミュニティ・メディアは参画を実現するための重要な手段であり、特にコミュニティ・ラジオは設置が容易で、社会変革の強力な機関となり得る、と述べている。
 さらに、コミュニティ・ラジオに参画する人の多くばボランテアで、所有や運営が、コミュニティを代表する人によって行われ、多様な地域のニーズが重んじられる、と言う。


◎コプト教会指導者が政府を強く批判

 【CJC=東京】エジプト・コプト教会の代行指導者パコミウス大主教が8月4日、ムスリム同胞団が擁立したムハンマド・モルシ大統領を、キリスト者の市民権を認めず、不公正な扱いをしている、と強く批判した。
 モルシ大統領は政権樹立に際し、コプト教徒と女性を登用する、などイスラム独裁色を弱める融和姿勢を打ち出していたが、新閣僚に選ばれた女性は2人、その1人がコプト教徒という事態に、「不公平だ。新政権ではコプト教徒の閣僚が増えることを期待していたのに」と指摘した。直前政権では閣僚30人中2人を占めており、ほぼ慣例となっていた。
 大主教は、今回少なくともコプト教徒4人が閣僚に選ばれると期待していた、と言う。
 特にコプト教徒が任命された科学研究相は準閣僚扱いだ、と報じた新聞もある。


◎ガザのキリスト者は「強制改宗」に不安

 【CJC=東京】パレスチナ自治政府ガザ地区に少数ながら存在するキリスト者が、同地を支配するイスラム原理主義組織『ハマス』によりイスタム教に強制改宗させられるのではないか、と不安を抱いている。
 7月21日には、ギリシャ正教会の聖ペルフィディオウス教会前でアレキシオウス大主教が抗議集会を開催した。公式な政策としては掲げられていないものの、圧力が強まっているのを感じるという。
 匿名を条件にENIニュースに1人は、「若い人たちが先行き、改宗を強制されるのではないか、心配だ。自分の意思で変わるのなら、それは仕方がないが、家族から引き離すことになるのではないか」と語っている。


◎ナイジェリア中部の教会襲撃で死者19人

 【CJC=東京】ナイジェリア中部のアブージャ南西250キロのオケネ近郊オティテの『ディーパー・ライフ』福音教会を8月8日、イスラム教過激派『ボコハラム』の武装集団が襲撃、聖書を学習するために集まった教会員19人を殺害した。負傷者の数は不明。
 現地コギ州の報道担当は、「女性2人の死亡を確認した。子ども多数負傷している」と語った。


◎ナイジェリアで宣教師殺害、『ボコハラム』の仕業か

 【CJC=東京】ナイジェリア北東部マイドゥグリで8月6日夕、ペンテコステ派福音教会のアリ・サマリ宣教師(57)が自宅で殺害された。過激派『ボコハラム』のメンバー2人の仕業と見られる。現地紙『ネーション』が報じた。
 サマリ氏は今年に入って数回、『ボコハラム』のメンバーから居宅を出るよう警告を受けていたという。サマリ氏は、親しい数人に脅迫のことを話はしたものの、「全能の神が守ってくださる。全てを神の手に委ねる」として無視していた。


◎マレーシアで非イスラム教徒への規制強化

 【CJC=東京】マレーシアのイスラム宗教評議会が、非イスラム教徒が国内でイスラム教徒に自分の信仰を広めようとすることの禁止に乗り出した。国営ベルナマ通信が報じた。
 首相府の高官は、現行の法律に基づくもの、としている。「文書やAV形式のものの配布は、イスラム教徒の不満を招くので許されない」と言う。


◎アルプスの氷河融解に教会の祈りも逆転

 【CJC=東京】スイス・アルプスの中腹にある『マリア・ハイムズーフンク』(聖母マリアの御訪問)教会、7月31日午前7時30分には麓のフィーシュ村とフィーシャータール村から集まった信徒約100人を前に、トニ・ベンガー司祭が「氷河は氷、氷は水、水は命です」と、そこより上方にある氷河の融解を止めてくれるよう神に祈った。
 米誌ナショナル・ジオグラフィックのニュースが注目したのは、この祈りが、過去350年の間、氷河を押し戻してくれるよう神に祈ってきた内容を逆転させたから。地球温暖化の影響がアルプス山脈にはっきりと表れるようになった今、バチカンもこの変更を承認しているという。
 両村の上方にあるアルプス最大のアレッチ氷河とフィーシャー氷河の間にあるメィエレンゼー湖に氷河の氷が落ちると、湖の水があふれ、村が水浸しになり、建物が壊れ、死者が出た。村民は、地元の修道会イエズス会の協力を得て、1647年から毎年7月31日に巡礼を行うことを決めたもの。同日は、イエズス会の創立者聖イグナチオ・デ・ロヨラを記念する祝日にあたる。


◎ロシア副首相がマドンナを「元売春婦」と

 【CJC=東京】ロシアのウラジミール・プーチン大統領の退陣を求めて教会で抗議パフォーマンスを行ったために拘留されているパンクバンド『プッシー・ライオット』の釈放を呼びかけたマドンナに対し、ドミトリー・ロゴジン副首相がツイッターで激しく非難した。
 副首相は、「十字架を外すか、パンツを脱ぐのをやめるか、どちらかにしろ」「元売××の誰もが、歳をとるとモラルについて説こうとする。特に、海外でツアーやライブを行っている時に」とツイートしたという。「売春婦」の部分に関しては全ての文字を綴らなかったが、その表現は女性に対する最も侮蔑的なものだった。
 『プッシー・ライオット』を擁護しているのは他にオノ・ヨーコやスティングも数えられ、英国の著名なロックミュージシャンたちも、ロンドン五輪で英国を訪れたプーチン大統領に同バンドのメンバーたちの釈放を求める嘆願書を提出している。


◎イラク・ナジャフで古代キリスト教遺跡発掘

 【CJC=東京】イラクの首都バグダッドの南方160キロにあるナジャフで行われた空港拡張工事の際に1700年前の教会跡が発見されたことが改めて注目されている。
 教会堂、修道院などの遺跡が2007年以来、相次ぎ発掘されているが、これが古代アラブ・キリスト教都市ヒッラと推定されたことから考古学者の関心が高まった。
 発掘に当たっている考古学者アリ・アルファトリ氏は「イラクにキリスト教が存在していた最古のしるし」と、葡萄が描かれた古代の石板を見せながら語った。
 ナジャフはイスラム教シーア派の聖地として知られているが、この発掘でキリスト教徒の巡礼も引きつけられるのでは、との皮算用もありそうだ。かつてはイスラム教徒が共存していたのだから、その再現を現地のキリスト者が夢見ても不思議はない。
 現場が空港敷地脇ということも、発掘品の盗難防止には役立ちそうだ。とはいえ、発掘継続には資金が不足。内戦激化で電力や水道もままならない中で、発掘にあてる資金集めは容易ではない。
 イラクのキリスト者は総人口3100万の内、140万人だったものが、イスラム教側からの抑圧の結果、現在は40万人にまで減少している。


◆短信◆(CJC)

▽ビリー・グラハム氏入院、経過安定=米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏(93)が8月12日、気管支炎の疑いで、自宅近くのノースカロライナ州アシュビルにあるミッション病院に入院した。治療に当たったグレアム・デービッド・プッチ博士によると、病状は安定しているという。
 グラハム氏は2011年11月に、肺炎治療のため入院している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月12日)=https://www.cwjpn.com
★高齢司祭・修道者・信徒の支援は=カトリック医療団体協議会 内容豊かに全国大会
★2012年上半期 司祭受階者=叙階の恵みを受けて
★平和の使徒になぁ〜れ!=宣教司牧活動の新ガイドライン=広島教区
★教皇、シリア内戦に平和回復を再度訴える
★教皇 著作執筆終える

 =キリスト新聞(8月11日)=https://www.kirishin.com
★東京・生と死を考える会セミナー="いのちをはぐくむ"=子どもの悲しみに寄り添うために
★早乙女勝元氏が明治学院大学で講演=「語りつぐ平和への想い」
★イエスの友会夏期聖修会=遠藤正一氏「元気になる教会形成こそ」
★日基教団宣教委小委員会が全国交流会=「東日本大震災を通し障がい考える」
★キャメロン英首相=同性愛者排除する教会に"警告"

 =クリスチャン新聞(8月12日)=https://jpnews.org
★子を外で遊ばせたい=福島・放射能不安=教会が県全域で保養プロジェクト
★「ママ、ボクを殺さないで」=小さないのち巡る実話 舞台化
★「君が代・日の丸」の何が問題?=諸教派共催「強制反対のつどい」東京でも
★14億円流用容疑=波紋呼ぶコン・ヒー牧師逮捕=「繁栄の福音」地元教会も厳しい見方
★日曜礼拝前に教会で職質逮捕=警察庁が「不適切」と認める


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