世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1123信(2012.07.30)

  • 国連の武器貿易条約、合意できず
  • キャメロン英首相、同性愛者排除する教会に"警告"
  • 英国で初めてスコットランドが同性婚を容認へ
  • イスラム過激派がダマスカスでキリスト者襲撃
  • シリア最大都市アレッポでも激戦続く
  • 「黒人だから」と米ミシシッピ州の教会が挙式拒否
  • シンガポール教会で多額の資金流用疑惑
  • 《短信》
  • 《メディア展望》
◎国連の武器貿易条約、合意できず

 【CJC=東京】戦車や小型兵器など通常兵器全般の輸出入規制を目指した武器貿易条約(ATT)国連会議は、194カ国が参加してニューヨークの国連本部で4週間にわたり行われたが、期限の7月27日までに合意に達しなかった。条約案は国連総会に報告され、引き続き交渉は続くとも見られる。
 最大の武器輸出国である米国が、大統領選を控えオバマ政権が国内の銃規制反対論に配慮した。議長案は、弾薬を規制品目から外し、国際人権法など取引の許可基準運用を各国の判断に委ねる方針を強調するなど、米国の主張にほぼ沿った内容だったが、米国は27日午前の会議で、「時間が足りない」と議長案への不同意を表明。第2の武器輸出大国・ロシアも採択の先送りを主張した。北朝鮮やキューバまでが相次いで同調した。
 会議は全会一致が原則で、ロベルト・ガルシア・モリタン議長(アルゼンチン)が27日夕、「より良いフィナーレでないことを残念に思う」と述べ、全会一致での合意が見通せないとして、条約案の採決をしなかった。
 条約案をベースにした交渉継続を求める共同声明を約90国が発表した。
     ◇
 『世界教会協議会』(WCC)、『世界福音同盟』(WEA)、『国際パックス・クリスティ』、『カリタス』が7月20日、武器貿易条約(ATT)国連会議に参加した各国が、違法な武力抗争が日々行われ、犠牲者が教会運営の病院や教会境内に運び込まれる現実を、人間が犠牲になっている「コスト」、と諸教会と教会員が証しする、と言う趣旨の共同声明を発表、同条約の成立を呼び掛けていた。


◎キャメロン英首相、同性愛者排除する教会に"警告"

 【CJC=東京】英国のデービッド・キャメロン首相は、レスビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの集会で演説、同性婚合法化へ進むことを強調、「諸教会内にも議論が出てくることは明白」と語った。カトリック通信CWNが報じた。
 「わたしが運営している組織=保守党=は長年に渡ってこの議論の間違った側に立っており、結果として同性愛支持者を党から閉め出して来た。だから、この問題を教会にも柔軟に提示出来ると思う」と言う。
 「もちろん、これは諸教会にとり、とてもとても複雑で困難な課題だが、全ての組織は平等になるためには、この課題に目覚める必要があり、教会というところは、ゲイの人、バイセクシュアルなりトランスジェンダーの人が完全な教会員になれないようにすべきではないと確信する。それは多くの人がキリスト教的思想に深く根ざしておりつつゲイでもあるからだ。保守党が、組織として人々を閉め出すという過ちを犯してきたことから見て、諸教会が同じことをやる危機にあると思う」
 「文化を変革するということは、法を変えることより困難」として、同首相は、「わたしが出来る約束は、この連立政権は法を変え、文化を変えるために動くということであり、保守党は完全にそれを支える。これは私が個人的にも情熱を感じるものなのだ」と語った。


◎英国で初めてスコットランドが同性婚を容認へ

 【CJC=東京】スコットランド政府は7月25日、同性婚を2015年にも容認する、と発表した。実現すると、英国内では最初になる。
 『スコットランド教会』(長老派)とカトリック教会は同性婚に反対しているが、容認キリスト教団体は発表を歓迎している。
 エジンバラの『オーガスチン合同改革教会』フィオナ・ベネット牧師はENIニュースに「喜んでいる。来るべき時が来たのだ」と語った。同教会は性差別をしておらず、レスビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスセクシュアルの共同体をも友好関係にある、と言う。


◎イスラム過激派がダマスカスでキリスト者襲撃

 【CJC=東京】シリアの反政府勢力が、首都ダマスカスでイラクからの難民を襲撃している、とカトリック系CNA通信が報じた。その多くはキリスト者でバッシャール・アル=アサド大統領側と見られているため。
 反政府勢力はワッハーブ派系の『リワ・アルイスラム』(イスラム団)で、政府軍首脳殺害をも認めている。同集団が7月23日朝、ダマスカスでキリスト者のナビル・ゾレブ氏一家を皆殺しにしたことも認めた。
 ダマスカスの状況は悪化する一方で、住民はガソリンや食糧を求めて行列している。またすでに数千人規模で、隣国レバノンへ脱出している。同市を離れた住民はすでに20万人に上ると見られ、多くは戦闘を避けて国内各地を転々としている。
 救援も戦火の中、『カリタス・シリア』、中東教会協議会、ギリシャ正教会総主教庁、『聖エギディオ共同体』などによって進められている。
 青年キリスト者がボランテアとして、ゴミ収集に従事しているが、酷暑の中で健康にも不安が出ている。
 超教派の非暴力運動『ムッサラハ』(和解)は、政府側、反政府側双方が、武力によらないという条件で一致出来る、として家族、部族、種族、共同体の各レベルでの和解を主張している。


◎シリア最大都市アレッポでも激戦続く

 【CJC=東京】内戦が続くシリアで、7月29日には、最大都市アレッポの掌握を目指す反体制派と政府軍の激戦が続いた。国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長によると、アレッポと周辺地域からは29日までの2日間で20万人あまりが戦闘を逃れて脱出した。
 アラブ連盟のナビール・アル=アラビー事務局長は同日の声明で、アレッポ情勢について国連安全保障理事会の緊急会合開催を求める反体制派の訴えを支持すると表明した。さらに、アレッポで戦争犯罪が行われているとの認識を示し、シリア関連決議で拒否権を行使しているロシアと中国に、アラブ連盟の高官が両国を訪問して姿勢の転換を促すと述べた。
 アレッポ以外の地域でも戦闘は続いており、反体制派の『地域調整委員会』によると、シリア全土でこの日の死者は114人に上っている。


◎「黒人だから」と米ミシシッピ州の教会が挙式拒否

 【CJC=東京】米ミシシッピ州クリスタルスプリングの教会で結婚式を挙げようとしたカップルが、黒人だからとの理由で白人の牧師から挙式を拒否されていたことが、ABCテレビの報道で7月28日、明らかになった。
 同市の『ファースト・バプティスト教会』のスタン・ウェザーフォード牧師がABCに、同教会では1883年の創立以来、黒人の結婚式を執行したことは一度もないと語った。
 チャールズ・ウィルソンさんとテアンドレア・ウィルソンさんは同教会で20日挙式する意向だったが、白人信者の一部が強硬に反対、牧師を追い出すとの警告も受けたことから、牧師は2人に黒人信者が多い別の教会での挙式を提案、2人は21日にそこで結婚したという。
 地元住民の中には、牧師の対応にショックを受けた人もいる。AFP通信は、その1人テレサ・ノーウッドさん(48)が、「2人にとって、あの教会は心のよりどころでした」と述べ、「キリストなら正しいと判断して、間違いなく2人の挙式をしたでしょう。わたしたちはみな神の子どもなのですから」とコメントしたと報じている。


◎シンガポール教会で多額の資金流用疑惑

 【CJC=東京】信徒数3万3000人の巨大教会、シンガポールの『シティー・ハーベスト教会』の資金流用疑惑で、現地検察は6月、教会創設者で主任牧師のコン・ヒー(康希)容疑者ら5人を告発した。教会資金2400万シンガポール・ドル(1ドルは約63円)を債券に投資したと見せかけ、コン容疑者の妻でポップ歌手のホー・ヨースンさんの売り込みに使った容疑。さらに欠損金を埋めるため2660万ドルを流用した。
 『カリスマ運動』系の同教会は慈善団体として登録しているが、平均礼拝出席者約2万3000人。関係教会をアジア各地に展開している。


◆短信◆(CJC)

▽ロシア正教会総主教の訪問にトップレス抗議=ウクライナの首都キエフの空港で7月26日、ロシア正教会のキリル総主教の同国訪問に反対する女性権利団体『フィーメン』のメンバーがトップレスで抗議した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月29日)=https://www.cwjpn.com
★日本カトリック障害者連絡協議会=創立30周年記念名古屋大会=「神の国」はあなたがたの間に=世代交代の節目 率直に意見交換
★作家の加賀乙彦さん/岡田武夫大司教=現代日本の宣教考える=信仰年控え対談=東京・神田教会
★岩手県大会に800人=設立75周年の仙台教区
★比出身信徒も作業=被災地のがれき分類=重装備でも時給高く人気=岩手
★香港教区=2枢機卿も行動=圧力下の上海新司教援護

 =キリスト新聞(7月28日)=https://www.kirishin.com
★田川建三・大貫隆氏らが講演=国際聖書フォーラムに延べ2千人
★NCC=「警察の妨害行為」に声明
★東京基督教大学が韓国・総神大学校と合同シンポ=「東日本大震災と日韓の教会」
★日本信徒前進宣教大会=「震災で何を見たか」=福島の佐藤彰氏講演
★宗教者が原発廃止求め声明=「命の尊厳重んじられる世を」=京都

 =クリスチャン新聞(7月29日)=https://jpnews.org
★カルト集団「摂理」の性犯罪=脱会元幹部らが証言=教祖収監後も中高生ら物色=出獄後の被害になお警戒を
★同盟基督理事会=「原発は聖書に反する」=見解公表=原子力によらない社会へ祈り、行動
★東北教役者会=「震災後の心のケアと宣教」焦点に=悲しみに向き合う意味学ぶ
★福音主義神学会東部研究発表2=教会は大震災にどう関わったのか=従来型の宣教論を乗り越えたい
★隆盛の秘訣は涙と信仰の祈り=ムラサキスポーツ創業40年


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