世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1121信(2012.07.16)

  • ハルビン司教破門、上海司教は逮捕
  • 独誌が教皇風刺、バチカンが反発
  • 教皇の毎週のミサを電子書籍に
  • 英国国教会が女性主教実現に足踏み
  • 英合同改革派教会が同性婚祝福へ進む
  • 米ミズーリ・シノッドがチェコのルーテル派と協働
  • ロンドン五輪の選手村に『スポーツ聖書』
  • パラリンピックは英国の教会へ「挑戦」
  • 米ワシントンに大規模『聖書博物館』実現?
  • サンパウロで福音派が大規模集会
  • ソウルで第7回『アジア神学者会議』
  • 《短信》
  • 《メディア展望》
◎ハルビン司教破門、上海司教は逮捕

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は7月10日、聖座(バチカン)の承認なしに司教に6日叙階された中国黒龍江(ハルビン)教区のヨセフ岳福生(ユエ・フシェン)神父は「教会法1382条に基づき課された制裁を、自動的に招いた」とする声明を発表した。聖座は岳氏を司教とは認めず、ハルビンの司祭は同氏の指示に従う義務はない、と言う。
 声明はまた、タデウス・馬達欽(マ・ダキン)神父の上海教区補佐司教叙階を称賛、7日の式典を「力付けられ、歓迎すべき」だった、としている。馬司教は聖座と中国政府双方の承認の下に司教に叙階された。
 ただ馬司教は、式典の中で、政府公認の天主教愛国会脱退を表明、参列者の熱烈なかんげいを受けた。またカリス(聖杯)を、政府承認だけで叙階した司教たちと共に捧げることはしなかった。
 叙階直後、馬司教は当局に拘留され、翌日に予定されていたミサ執行にも姿を見せなかった。神学校で「休息中」とも報じられた。友人たちは、馬司教は囚人扱いされ、拘留も数カ月にわたると見ている。
 バチカンの声明は、ハルビンで行われた違法叙階について、7月6日の式典に参列した司教は「聖座に釈明しなければならない」としている。
 バチカンは非承認の司教叙階は無効であり、その司教だけでなく、叙階式典に列席した司教は自動的に破門処分となる、と警告してきた。ただバチカンは、司教が列席を強制された場合、自動破門は発生しない、とも指摘している。
 馬神父には、司教候補として聖座は承認しないし、承認のないままに司教叙階を受け入れないように警告していたという。


◎独誌が教皇風刺、バチカンが反発

 【CJC=東京】独の月刊風刺雑誌『ティタニック』7月号が教皇ベネディクト16世(ドイツ人)の股間を黄色く汚した加工写真を表紙に使ったのに対し、バチカン(ローマ教皇庁)はハンブルクの裁判所に、写真掲載差し止めを申請、同裁判所は発売禁止の仮処分を出した。
 同誌は、バチカンの内部告発文書がメディアに流出する事態が相次いだことを取り上げ、情報漏れにひっかけ「漏れている」という見出しと共に写真を掲載した。
 これに対し、バチカン国務省総務局局長代理ジョヴァンニ・アンジェロ・ベッチウ大司教がドイツの弁護士に「必要な法的手段」を取るよう指示した。


◎教皇の毎週のミサを電子書籍に

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世が毎週行っているミサを固定レイアウト形式『Eブック』で電子書籍化したものの販売が始まった。現在は、イタリア語版を『アイブックストア』だけで入手出来る。米国の電子出版制作会社『アプトラ』が7月11日発表した。
 2006年3月以降の300回を超える教皇の演説が図版入りで13巻に収められた。印刷版のページ構成を保持するため、アップルの固定レイアウト・フォーマット形式を採用した。
 バチカン(ローマ教皇庁)は電子書籍には積極的で、べネディクト16世の著書『ナザレのイエス』も『キンドル』で昨年から販売している。
 『バチカン出版』代表のジュセッペ・コスタ司祭は「教会にとって、新しいコミュニケーション手段を活用することは重要」と語った。
 『アプトラ』のデヴ・ガネサンCEOは、「グーテンベルク以前に設立された機関によって『Eブック』が採用されたことは画期的」とコメントし「何世紀にもわたる印刷技術の伝統を持つカトリック教会による電子出版に貢献できたことはこの上ない名誉」と述べている。


◎英国国教会が女性主教実現に足踏み

 【CJC=東京】英国国教会は7月6日から10日までカンタベリーで総会を開催、重要議題の一つ、女性主教実現については最終決定を、11月にロンドンで開催する会議で行うことにした。
 主教会は、女性の権威に反対する教会は代わりの男性を求められるとの修正案を提出していた。ただそれには、英国で差別立法を認めることになる、との批判も出ている。主教会は、9月に提案再検討のため会合する。


◎英合同改革派教会が同性婚祝福へ進む

 【CJC=東京】英合同改革派教会(URC)はイングランド北東部のスカーバラで大会を開催、同性のカップルの民法上の結合を宗教的に認知出来るという教規変更を7月7日採択した。結合式典を主宰するかしないかの判断は各教会に委ねられ、同性間結合に同意しない教会や聖職者に義務付けはしない。
 教会が同性間の結合や同性婚を祝福しても、英国では法的認可は得られなかった。2005年に同性間結合は法的に認められたが、そこには宗教的要項は盛り込まれなかった。
 2011年に、イングランドとウエールズでは、同性間結合の式典を宗教施設で行うことを認めるよう法律が修正された。最初の結合式はこの5月、リバプールのユーレットロード・ユニテリアン教会で行われた。
 現在、同性間結合式典を主宰する計画があるのは、『フレンド協会』(クエーカー)、『ユニテリアン大会』とフリー・クリスチャン教会。その中で合同改革派教会は最大規模。
 合同改革派教会は1972年、イングランド長老教会と『イングランドとウエールズの会衆派連合』内の大多数の教会が合同して結成、その後に改革派プロテスタントの伝統に立つ教会も加わり、現在1529教会、会員約10万人。


◎米ミズーリ・シノッドがチェコのルーテル派と協働

 【CJC=東京】米ルーテル教会ミズーリ・シノッド(LCMS)とチェコの『アウグスブルグ信条福音教会』(ECAV)がチェコの首都プラハで7月11日、『協働合意』に調印した。
 合意の内容は、両教会間の対話を継続し、LCMSがプラハで英語集会を運営することを認めるというもの。


◎ロンドン五輪の選手村に『スポーツ聖書』

 【CJC=東京】ロンドン五輪とその直後に開催されるパラリンピックに参加する選手を対象に、聖書協会が聖書を配布する。記念に作成された英語版3000冊を選手村の宗教サービス・センターで歓迎ギフトとして提供する。また各国語聖書も全世界の聖書協会の協力で用意する。
 英語版の記念聖書は『スポーツ福音聖書』と『スポーツ福音・ルカによる福音書』の2種類。選手たちがスポーツと信仰の関係を考える時の助けになるよう配慮した記事も盛り込まれている。


◎パラリンピックは英国の教会へ「挑戦」

 【CJC=東京】ロンドン五輪を控え、英国の諸教会は、その直後の8月29日から9月9日まで開かれる『ロンドン・パラリンピック』への協力準備にも力を入れている。ただ、教会自身が身体障害者を視野に入れた対応をどのように進めているのか、と言った反省の声も上がっている。
 信仰共同体に障害者を迎え入れようと訴える超教派福祉団体『スルー・ザ・ルーフ』のティム・ウッドCEOは「この大会のために準備された施設や催しに比べると、ほとんどの教会の現状は全く対照的だ。教会員の中の身障者の割合も低い」と言う。
 公共施設では車イス用の傾斜路とか特別な駐車場などが用意されているが、半分以上の教会にはそういった設備はない。


◎米ワシントンに大規模『聖書博物館』実現?

 【CJC=東京】米ワシントンに大規模な『聖書博物館』が4年以内にも実現しそうだ。オクラホマ州の資産家グリーン一族が集めたコレクションを展示する場所として、テキサス州ダラスやニューヨークも検討したが、やはり首都ワシントンが最適だ、ということになったもの。
 運営を委託された『聖書博物館』の運営責任者ケリー・サマーズ氏は、正式名と設置場所の詳細は発表しなかったが、今夏中には場所は決まるだろうと述べている。入場料は有料の予定。同氏によると、ワシントンでは有名なスミソニアン博物館が無料だが、他の博物館は有料でも成功している、という。
 サマーズ氏は、ケンタッキー州の実物大の『ノアの箱船』計画のコンサルタントも務めた。


◎サンパウロで福音派が大規模集会

 【CJC=東京】ブラジルのサンパウロで7月14日、『イエズス行進』が行われ、国内各地から福音派キリスト者100万人以上(警察推定)が参加、市内の目抜き通りをゴスペル音楽と共に行進した。組織者『キリストによる再生教会』は「世界最大のキリスト教集会」と主張する。
 ブラジルはカトリック信徒数では世界最大とされているが、プロテスタント各派も近年急速に成長している。
 『イエス行進』は1993年以来、毎年開かれているが、同市で行われる同性愛者の集会に対抗するねらいもある。


◎ソウルで第7回『アジア神学者会議』

 【CJC=東京】ソウルで7月1日から6日まで開かれた第7回『アジア神学者会議』(CATS)を終え、72人の参加者は「神は全創造物の究極の主であり、わたしたちはイエス・キリスト、諸教会、諸宗教および創造物を通して神の「ホスピタリティ」の受け手であり代理人であるというわたしたちの信仰を確認する」との声明を発表した。ENIニュースが報じた。
 声明は特にアジアを焦点にしたものだが、その中でも来年10月30日から韓国・釜山で開催される第10回世界教会協議会(WCC)大会を視野に入れている。
 CATSは、1997年設立されたアジア全域の神学者会議。2〜3年に1回会議を開催している。


◆短信◆(CJC)

▽英国国教会ヨーク主教座聖堂主任司祭に女性任命=英国国教会はヨーク主教座聖堂主任司祭にヴィヴィエンヌ・ファウル氏を任命した。4月に引退したキース・ジョーンズ司祭の後任で、9月に就任する。
 2002年、レスター主教座聖堂主任司祭に就任。同派で初めての女性就任だった。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月15日)=https://www.cwjpn.com
★「聖誕教会」世界遺産に=管理上の関係、複雑化=現地教皇使節が指摘
★大阪教区=DV、性暴力テーマに=司牧者ら「研修会」で学ぶ
★「正義と平和全国集会」プレ企画講演会=長崎=信仰の基本は愛=聖書や公文書から考察
★事件から何を学ぶか=偏見を排し、信教の自由守る=神奈川・貝塚教会事件
★ケニア司教団=政府に治安強化求める=2教会襲撃事件受けて

 =キリスト新聞(7月14日)=https://www.kirishin.com
★能装束で舞うイエス=二十六世観世宗家・観世清和さんインタビュー="いつか教会の荘厳な空間でも"
★カトリック教会定例司教総会=貝塚教会での捜査・逮捕に対し「要望書」
★ドキュメンタリー『相馬看花』="加害者の立場で何をするのか"=松林要樹監督
★「聖誕教会」=世界遺産に
★プーチン大統領=イスラエル訪問

 =クリスチャン新聞(7月15日)=https://jpnews.org
★ホーリネス弾圧70年=獄中経験を反省の機会に=記念聖会20年「伝えられた信仰の継承」確認
★アフリカから被災地に希望の歌声届けに=ワトト・チルドレンズクワイアー
★クリスチャン県人会が発足=同郷の絆深め 宣教ネットワーク化
★一般財団法人JMC(ジャパンミッションセンター)が発会式=F・グラハム大会を機に諸教会が宣教協力
★内部被曝軽視に警鐘=独の放射線専門家ら=NCC平和・核委主催の来日講演で


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
cjcpress@gmail.comまで。
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧