世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1120信(2012.07.09)

  • バチカン教理省長官に独レーゲンスブルクのミュラー司教
  • 中国でバチカン破門のレイ司教が司祭4人叙階
  • 中国ハルビン教区でバチカン非承認の司教叙階
  • ケニアのガリッサで2教会襲われる
  • ナイジェリアでキリスト者58人殺害か
  • ブラジルは福音派増えカトリック減少明確に
  • ホテルの聖書も電子化?
  • 『神の粒子』発見は神学とは無関係とバチカン天文台
  • 解放の神学者ホセ・ミゲス・ボニーノ氏死去
  • ゴスペルでも知られた米俳優アンディ・グリフィス死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》
◎バチカン教理省長官に独レーゲンスブルクのミュラー司教

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は、バチカン(ローマ教皇庁)教理省長官ウィリアム・ジョセフ・レヴァダ枢機卿の定年引退を認め、その後任に独レーゲンスブルク教区のゲルハルト・ルートヴィッヒ・ミュラー司教を任命、同時にミュラー氏を大司教とした。聖書委員会委員長、エクレジア・デイ委員会委員長、国際神学委員会委員長にも任命した、
 教皇はまた教皇庁家庭評議会議長のエンニオ・アントネッリ枢機卿の定年引退を認め、新議長としてイタリアのテルニ=ナルニ=アメリア教区のヴィンチェンツォ・パリア司教を任命、同氏を大司教とした。
 教皇が決定した人事は、他に次の通り。
▽バチカン図書館・機密文書館館長=ジャン・ルイ・ブルグ大司教(教育省局長)
▽典礼秘跡省局長:アーサー・ロシュ司教(英リーズ教区司教、今回大司教に)
▽福音宣教省局長補佐=プロタス・ルガンブワ司教(タンザニア・キゴマ教区司教、今回大司教に)


◎中国でバチカン破門のレイ司教が司祭4人叙階

 【CJC=東京】中国天主教会(カトリック)四川省楽山のレイ・シイン司教が6月29日、助祭4人を司祭に叙階した。同司教は1年前に教皇べネディクト16世の承認なしに、中国教会が独自に司教に叙階しており、自動的にバチカン(ローマ教皇庁)から破門されている。
 現地教会筋の情報としてUCAN通信が伝えるところでは、教区が自動車と15万人民元(約190万円)を提供する。別の助祭は、叙階を勧められたが、破門された司教であることを理由に辞退したという。


◎中国ハルビン教区でバチカン非承認の司教叙階

 【CJC=東京】カトリック系CWN通信によると、中国当局は7月6日、天主教(カトリック)三自愛国会のヨセフ・ユエ・フシェン副会長をハルビン教区司教に叙階した。バチカン(ローマ教皇庁)承認の司教5人も列席した。
 バチカンは非承認の司教叙階は無効であり、その司教だけでなく、叙階式典に列席した司教は自動的に破門処分となる、と警告してきたが、それを無視して叙階した。ただバチカンは、司教が列席を強制された場合、自動破門は発生しない、とも指摘している。
 今回の式典では、バチカンが認めていない中国司教協議会の叙階承認文書を当局が読み上げた。
 式典の直後、警察は拘留していた教区使徒座管理者ヨセフ・ザオ・ホンチュン神父と助手のザン・シシェン神父を釈放した。2人は今回の叙階に反対していた。


◎ケニアのガリッサで2教会襲われる

 【CJC=東京】ケニア東部のガリッサで7月1日、武装集団が教会2カ所を襲撃、17人が死亡、負傷者も60人以上出た。
 襲撃されたのはカトリック教会と『アフリカ内陸教会』。覆面姿の男数人が両教会の入り口に立つ武装警察官2人を射殺し、自動小銃を奪って教会内で乱射、手投げ弾も投げるなどの攻撃を加えた。教会内部には遺体が散乱し床は血だらけだったという。
 ソマリアとの国境から約140キロに位置するガリッサは、ソマリア系のイスラム教徒が住民の多数を占める。
 ケニア政府は昨年10月、イスラム武装勢力『シャバブ』を掃討するためソマリアに軍を派遣、『シャバブ』は報復を宣言していた。
 ケニアでは首都ナイロビでも爆発が相次ぎ、『シャバブ』は高層ビルの爆破も予告している。


◎ナイジェリアでキリスト者58人殺害か

 【CJC=東京】ナイジェリア中部ジョス近郊のキリスト者主体の村落数カ所を7月7日、警察官の服装で防弾チョッキも着込んだ暴徒ら数百人が襲撃、少なくとも58人が殺害された、という。
 当局側が応戦し、警官2人が殉職したほか、市民14人、襲撃者21人を含め37人が死んだ、と報道担当が公表した。またナイジェリア赤十字社は、死者56人、焼け出された人が300人以上と発表している。


◎ブラジルは福音派増えカトリック減少明確に

 【CJC=東京】ブラジルがこのほど行った国勢調査で、カトリック信徒が減少する一方、福音派が増加していることが明らかになった。ALC通信が報じた。
 これを受けて、ポルトアレグレのラジオ局『ガウチャ』が放送した座談会で、ルーテル派のワルテル・アルトマン牧師が調査結果に懸念を示した。同氏は世界教会協議会(WCC)の中央委員会議長を務めている。
 国勢調査は『地勢研究所』(IBGE)が行った。それによると、福音派が2000年の15・4%から2010年には22・2に増加した。
 ただ、福音派と自認している人の60%はペンテコステ派だと考えており、「福音伝道者」とする人は18・5%、21・8%(920万人)は「決まっていない」と答えている。この分類を研究所自身が正確な分類ではないとしてろり、福音派にはルーテル派、メソジスト、長老派、狭義の福音派の他プロテスタント諸派も含まれているという。
 アルトマン牧師は、この結果だけでは、ブラジルのルーテル派が信徒を増やしたのか減らしたのかが、判らないと言う。
 カトリック教会のイリネウ・ラブスケ司祭は、2010年の調査結果は教会にとって予想外のものでは無かった、と言う。カトリックは最初の国勢調査が行われた1872年には唯一の教派だったが、それ以後も信徒数減少は記録されてきた、と指摘している。
 『アセンブリー・オブ・ゴッド』のエリエゼル・モライス牧師は、同派が成長した原因はその簡素さにある、と語った。「わたしたちは、宗教改革から継承した、救いの恩寵、信仰、聖書のみを伝えている」と語った。「聖職者が支配する礼典はなく、働きは簡素に、ブラジル人の現実に関わり、それを聖書を忠実に読むことによって行っている」と言う。
 アルトマン牧師は、ブラジルが極めて宗教的な国であり続けるだろうが、調査に示された結果は、世界の他の場所でも起こっていることではないか、と指摘した。


◎ホテルの聖書も電子化?

 【CJC=東京】ホテルの客室で『国際ギデオン協会』の聖書を見かけることも多いが、『インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ』(本社・ロンドン)は7月2日、傘下のホテルチェーン『ホテル・インディゴ』で各部屋に電子書籍端末『キンドル』備え、貸し出す実験サービスを始めた。第1号はイングランド北東部ニューカッスルのホテルで、148の客室に聖書をダウンロード済みの端末を配置した。
 自分の好きな電子書籍をダウンロードして読むことも可能。代金は宿泊費に合わせて請求されるが、聖書以外の宗教書は5ポンド(約620円)まで無料となる。ただし、購入にはホテルのアカウントを使用するため、チェックアウト後に読むことはできない。『キンドル』を持ち帰った場合は、バスローブなどと同様に代金が宿泊客のクレジットカードに課金される。
 実験の結果、今後『キンドル』をそのまま客室の備品にするか、ほかのホテルにサービスを拡大するかを決めるという。


◎『神の粒子』発見は神学とは無関係とバチカン天文台

 【CJC=東京】欧州合同原子核研究所(CERN)で実験を続ける国際チームが7月4日、世の中の最も基本的な粒子の一つで、物に重さを与える『ヒッグス粒子』とみられる新粒子を発見したと、発表したことに、バチカン(ローマ教皇庁)天文台報道担当のギー・コンソルマーニョ修道士が「科学の素晴らしい成果」と、5日語った。
 同氏は、ヒッグス粒子が『神の粒子』とも呼ばれることについては、米国の実験物理学者でノーベル物理学賞を受賞したレオン・レーダーマンの著書『神がつくった究極の素粒子』から出たものであり、神からの贈りものではあるが、比喩としての表現で、「発見は神学とは無関係」と述べている。


◎解放の神学者ホセ・ミゲス・ボニーノ氏死去

 【CJC=東京】解放の神学者ホセ・ミゲス・ボニーノ牧師(メソジスト)が7月1日、アルゼンチンのブエノスアイレスで死去。88歳。
 1924年、サンタフェ生まれ。59年、ニューヨークのユニオン神学校から神学博士号取得。
 第2バチカン公会議オブザーバーとしてラテンアメリカのプロテスタントとしてただ1人招かれ、教皇ヨハネス23世、パウロ6世とも個人的に対話した。また68年にはコロンビアのメデリンで開催された第2ラテンアメリカ司教会議にもオブザーバーとして招かれた。
 世界教会協議会(WCC)議長を75年から83年まで務めた。


◎ゴスペルでも知られた米俳優アンディ・グリフィス死去

 【CJC=東京】米俳優アンディ・グリフィス氏が7月3日朝、ノースカロライナ州の自宅で死去した。86歳。死因は不明。1926年、同州生まれ。60年から68年までCBSテレビで放映された人気コメディー番組『アンディ・グリフィス・ショー』(邦題『メイベリー110番』)で妻を亡くした保安官役を演じた。『スパイ・ハード』(96年)などの映画にも出演している。
 同州マウント・エアリーで生まれ育つ中、日曜学校に通い、「主われを愛す」をあまりに大声で歌って注目されるほど敬虔なキリスト者として知られ、ゴズペル音楽を歌い成功を収めるまでになった。
 運動神経の障害で四肢に力が入らなくなる『ギラン・バレー症候群』に悩まされた時も、「どんな状況にあっても、神は苦難ではなく慈しみを、それまで以上に高い所に導いてくださる力と平和を与えられる」と語った。
 音楽生活の始まりは同州ゴールズボロの第一バプテスト教会聖歌隊指揮者。69歳の時、『物語をしたい=愛唱讃美歌25曲』を発表した際にも、イエスがもう一度わたしを歌手にした、と語っている。


◆短信◆(CJC)

▽教皇、カステルガンドルフォの離宮へ=教皇ベネディクト16世は7月3日、バチカンからローマ郊外カステルガンドルフォの夏の離宮に移動した。
 教皇は夏の間、特に7月中は休暇のため、特別謁見および一般謁見は行われない。日曜正午の祈りの集いは定期的に行う。

▽ビリー・グラハム伝道の協力者ハストン牧師死去=ビリー・グラハム伝道協会北米クルセード担当のスターリング・ハストン氏がガンと闘病の後6月29日、ニューヨーク州ロチェスターで死去した。74歳。
 ビリー・グラハム氏は、「スターリングは、最も身近な仲間であり、そのビジョン、独特な賜物、福音への強力な関わりは、わたしのクルセード宣教に欠かせないものだった」と語っている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月8日)=https://www.cwjpn.com
★教会敷地内捜査・逮捕に対する要請書=池長潤大司教=公安委員長に手渡す
★初の外国人信徒集会=震災経て今、そして今後へ=仙台教区=福島市
★東京で大規模デモ=原発 再稼働に反対
★エジプトでイスラム教徒の大統領選出=キリスト者は警戒感
★新世代育成目指す=バチカン 司祭職召命で指針

 =キリスト新聞(7月7日)=https://www.kirishin.com
★キリスト教文化講演会=教文館主催=芳賀力氏="信仰が本物か問われている"
★日本キリスト教教育学会大会フォーラム=「震災を語り継ぐ希望の教育とは」
★庭野平和財団=宗教団体の社会貢献活動に関する調査=被災地支援に対する評価も
★新島学園短期大学にドリアン助川さん="原発問題に目をそむけるな"
★日基教団西東京教区社会部委員会=原発再稼働に抗議

 =クリスチャン新聞(7月8日)=https://jpnews.org
★シリア・エジプト=キリスト教会弱体化=「ムスリムのための祈り」独裁体制崩壊各国の状況報告
★着ぐるみショー「マイティシープ」初公演=「みことばでやっつけろ!」=子どもたちも大喜び
★「寄り添う宣教」=被災地から問われる全人的姿勢=仙台開催アンテオケ宣教会世界宣教セミナーで焦点に
★三浦綾子生誕90年=新刊など続々=記念文学館=資料データベース化で未完の原稿500点を発掘
★社会で普通に生きたい人のための聖書講座=バイブルワークショップ好評


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