世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1114信(2012.05.28)

  • 英国国教会でいよいよ女性主教実現へ
  • 米教会協議会が財政難克服へ「経過総幹事」任命
  • 中国の人権「悪化続く」と米国務省人権報告書
  • 中国は『米国の人権記録』を発表
  • イタリア北部震災に『カリタス』など救援
  • 教会もコミュニケーション再検討が必要
  • 米国で妊娠中絶容認派が41%と最低に
  • 「ベツレヘム」と刻まれた最古の遺物発見
  • 《メディア展望》
  • 《短信》

◎英国国教会でいよいよ女性主教実現へ

 【CJC=東京】英国国教会はヨークで開催した主教会で5月21日、女性の主教叙階の制度化を採択、将来の女性主教の権能を明確に薄めようとする提案を否決した。『テレグラフ』紙が報じた。神学上の理由で女性主教に反対している保守的福音派と『アングロ・カトリック』への留保条項にも合意している。
 これで理論的には、この7月の同派総会が最終決定を行う準備は整った。とは言え、これで全てが満足する訳ではなく、英国国教会の不安定さが増す可能性もある。主教会の決定が、伝統派のローマ・カトリック教会や分離グループへの大量脱出を引き起こす可能性もないではないからだ。
 それは女性主教擁護派も同様で、女性が「二級主教」にさせられるのではないか、と懸念している。
 すでに小教区や教区では女性主教を強く支持する態度を固めている所が多数だが、伝統派の優勢な所は、神学的立場から女性主教の権能を受け入れられないのだ。
 女性主教を拒否し、特に男性主教の管轄下に入りたいという要求を認めるための複雑な手段も採択された。その代替主教の権能は、女性主教から独立したものではなく、その「代理」と理解され、法的拘束力を持つことになった。
 しかし一方で、伝統派の小教区が代替主教に関する発言権が強まれば、女性主教の権能を損なうことにつながり兼ねない、とも見られる。


◎米教会協議会が財政難克服へ「経過総幹事」任命

 【CJC=東京】米教会協議会は理事会を5月21、22日にシカゴで開催、「経過(インテリム)総幹事」にペグ・バーク氏を21日選出した。同氏は「変革管理」コンサルタントとして知られる。ミネソタ州ミネアポリスの『インテリム・ソリューションズ』社会長兼CEO。同市にあるプリムス・コングリゲーショナル(会衆派)教会会員。
 今年1月にマイケル・キンナモン総幹事が健康上の理由で退任以来、クレア・J・チャプマン副総幹事が暫定総幹事を務めている。
 同氏は、福音ルーテル教会(ELCA)のマーク・S・ハンソン会長を委員長とする選考委員会が提案した。
 「経過総幹事」は18カ月にわたって、「NCCの新しいビジョンと明確な使命を」探る目的で理事会、スタッフと協働する。今回の措置は、収入減に伴う財政難から、理事会が「再検討、再構築」を目指してタスクフォースを組織、経過的なリーダーシップを発揮しようとするためのもの。
 バーク氏は、ミネソタ州を中心に、大学、財団などの財政再建に活躍して来た。
 NCCは、プロテスタント、聖公会、正教会、福音派、アフリカ系アメリカ人教会など37教会が加盟、全米で10万教会、信徒4000万人を擁している。


◎中国の人権「悪化続く」と米国務省人権報告書

 【CJC=東京】米国務省は5月24日、世界200カ国の人権改善への取り組みをまとめた2011年版の人権報告書を発表した。人権をめぐる状況は毎年公表しており、中国では「悪化し続けている」と懸念を示した。当局は個人や団体の「政治的な動きに敏感」で、自宅軟禁やネット監視などにより、言論や結社、宗教の自由が制限されていると非難した。
 中国当局が言論の自由や報道規制、インターネットへの接続制限を強化しており、法的手続きのない死刑や拷問なども横行しているという。
 北朝鮮については、「60数年間、金氏一家によって統治されてきた独裁国家」とし、3代世襲体制を批判した。脱北者の証言を基に、北朝鮮内では、司法手続き無しの処刑や無断拘禁、政治犯逮捕や拷問などが行われており、政治犯や強制送還された脱北者・反政府人物らは、公正な裁判すら受けず、処刑されていると指摘した。
 日本についても、女性への雇用差別などがあると指摘した。


◎中国は『米国の人権記録』を発表

 【CJC=東京】中国国務院新聞弁公室は5月25日、新華社通信を通じて恒例の『米国の人権記録』を発表した。同記録の公表は13年連続。
 昨年ウォール街でデモの参加者が多数逮捕され、大衆の集会・デモ、言論の自由行為が踏みにじられた、などと指摘した。
 外務省の洪磊・副報道局長は「改革・開放以来、30年以上にわたり中国の人権状況は世界中で注目される成果を上げた」と述べ、「中国の人権状況については中国国民に最も大きな発言権がある」として、他国への内政干渉の道具にすべきではないと強調した。


◎イタリア北部震災に『カリタス』など救援

 【CJC=東京】イタリア北部ボローニャ周辺で5月20日早朝、マグニチュード(M)6・0の地震が発生、7人が死亡し、負傷者は50人に上った。これだけの規模の地震は1570年以来という。雨の中住民約1万1000人がテントや自家用車、宿泊施設などに避難した。
 地震は現地時間20日午前4時ごろに発生し、同日を通じて余震が続いた。政府当局によると、この地震で避難した1万1000人のうち、3000人はテントや宿泊施設に身を寄せている。
 カトリック救援団体『カリタス・イタリア』のドン・フランチェスコ・ソッドゥ氏は、「被災者の家族のために祈っている。現地の教会のため援助を進めている」と語った。イタリア赤十字も救援に乗り出している。
 由緒ある教会や城が崩壊した。サンフェリチェ・スル・パナロでは町内の主要3教会が崩壊、ミランドーラでは大聖堂の屋根が崩落した。サンタゴスティーノでは教会の鐘が落下した。地震が昼間だったら、日曜ミサに来た会衆に被害が続出するところだった。


◎教会もコミュニケーション再検討が必要

 【CJC=東京】「コミュニケーション」の世界は、この20年で激変した。教会にとって、不正、紛争についてどのように発信して行くべきか、再検討する時だ......。韓国・釜山でキリスト教コミュニケーターの会議が行われ、参加者が一致した結論。ENIニュースが報じた。
 釜山は2013年10月30日から11月8日まで、世界教会協議会(WCC)大会が開催される。コミュニケーターの会議では、大会主題「生命の神、正義と平和にわたしたちを導いてください」(仮訳)に関する声明草案を作成した。
 大会開催韓国ホスト委員会のチョン・ユンチョル報道担当は、「この前にWCCがこの世界とどのようにコミュニケートするかという問題を議論したのは1983年のバンクーバー大会だった」と指摘する。「ソーシャル・メディアや市民ジャーナリストが登場したのは、それ以後のこと。教会が協力して、不正や環境破壊についてのニュースを集め伝えなければならないという新しい機会を探求する時だ」と言う。
 今回の会議は、ホスト委員会の企画に、WCCと『世界キリスト教コミュニケーション協会』(WACC)が協力した。韓国のキリスト教メディアを始めインド、ドイツ、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、スイスの教会ジャーナリストやコミュニケーション専門家が参加した。
 声明草案はWCCに提出され、この8月に行われる中央委員会で検討される。


◎米国で妊娠中絶容認派が41%と最低に

 【CJC=東京】人工妊娠中絶を容認する「プロチョイス」と自認する米国市民は41%、と調査機関『ギャラップ』が発表した。これまでの最低だった2009年5月時点を1%ポイント下回った。昨年7月は47%。
 胎児の生命を重視する「プロライフ」と「プロチョイス」のいずれの立場に立つか、は米国市民にとって重要関心事。『ギャラップ』は1995年から調査を始めた。最初は「プロチョイス」が多数だったが、98年から2008年までその差が縮小、2009年5月調査では少数になった。この結果が一時的なものか、永続的なものかの判断は示されていない。


◎「ベツレヘム」と刻まれた最古の遺物発見

 【CJC=東京】イスラエルのエルサレム旧市街の南壁のすぐ外側にある遺跡『ダビデの町』で、「ベツレヘム」という単語がある小さな粘土製の印章が発見された。考古局は5月23日、「聖書で言及されている都市ベツレヘムの存在を具体的に示す証拠を含む初の古代遺物が、このほどエルサレムで発見された」と発表した。AFP通信が報じた。
 発見されたのは文書などに封をする際に使われた『ブラ』(公文書用印章)と呼ばれる粘土製の印章の一部。大きさは1・5センチほどで、印章の表面には古代ヘブライ文字で「ベツレヘム」と書かれている。紀元前8世紀後半から紀元前7世紀にかけてのユダ王国の税制の中で、ベツレヘムからエルサレムの王に送られた税務文書に使用されていたものだという。
 発掘作業を指揮したエリ・シュクロン氏は、「聖書以外で、第一神殿時代に書かれたものからベツレヘムという名前が見つかったのは初めて。ベツレヘムは確かにユダ王国の都市であったこと、さらにそれ以前の時代から存在していた可能性を示す証拠だ」と述べている。
 ヨルダン川西岸にあるベツレヘムは、旧約聖書『創世記』で族長ヤコブの妻ラケルが埋葬された地として初めて登場する。新約聖書ではイエス・キリストの生誕地とされている。


◆短信◆(CJC)

《アジア》
▽WCC釜山大会へ『平和列車計画』=世界教会協議会(WCC)釜山大会が2013年10月に開催されるのを控え、韓国教会協議会(NCCK)が、ベルリンからモスクワ、北京を経由して釜山まで『平和列車』を運行する計画を進めている。朝鮮半島の平和・統一への関心を高める狙いで、北朝鮮内にも列車を走らせたいという。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月27日)=https://www.cwjpn.com
★横浜教区=「第16回 障害 共に歩む集い」=信徒の体験聞き学ぶ=一人一人を大切にする環境整備への努力を
★施設を退所した子の「雇用先」増やしたい=東京・千代田区=自然食品の店「レマーニ」
★日本カトリック映画賞受賞作=『エンディングノート』の監督に聞く=死後"残るもの"映像に
★NCCドイツ委員会・富坂キリスト教センター=災害弱者に教会は?=東京でセミナー
★米国司教協議会=「時代遅れの」核政策=変革求める請願に参加

 =キリスト新聞(5月26日)=https://www.kirishin.com
★青山学院大学神学科同窓会基督教学会が初のシンポ=今日における伝道者養成
★庭野平和賞=マヤ民族のカトリック人権活動家=ロサリーナ・ベラスケス氏=実践する精神性を強調
★マンガ・アニメ聖書展in東京=1千万人に知ってもらいたい
★鉄川与助が目指した教会建築=川上秀人氏「信徒の物語に思い馳せて」
★いつ・どこでも読める聖書アプリ=ダウンロード5000万

 =クリスチャン新聞(5月27日)=https://jpnews.org
★新改訳 大改定の翻訳編集作業が佳境へ=第一次改定案 新約ほぼ出そろう
★南三陸町に教会できる=志津川でクリスチャンセンター=6月8日に開所式
★復興したら地域との関係逆戻り=宮城宣教ネット=阪神大震災の教訓学ぶ=大橋秀夫氏が講演="講"のようなネットワーク型教会に
★女川町に「希望の鐘商店街」=米企業からの献金を救世軍が仲介
★聖書協会=新聖書翻訳者を公表


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