世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1104信(2012.03.19)

  • コプト正教会の教皇シェヌーダ3世死去
  • カンタベリー大主教ウイリアムズ氏が年末退任
  • 米ワシントン大司教区で同性愛者への聖体授与拒否
  • 十字架は信仰のシンボルではない?
  • ドイツ大統領にヨアヒム・ガウク牧師選出
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎コプト正教会の教皇シェヌーダ3世死去

 【CJC=東京】エジプト・アレキサンドリアのキリスト教『コプト教会』の最高指導者、第117代教皇シェヌーダ3世が3月17日死去した。88歳。肺や肝臓の疾患で長く闘病生活をしていた。
 1971年11月着座以来、約40年にわたって教皇を務め、ホスニ・ムバラク政権が打倒された後は、激化するイスラム過激派による攻撃から信者を守ることに努めた。
 18日にはカイロのサンマルコ大聖堂で木製の玉座に据えられた遺体が公開され、教皇との最期の別れをするために大勢の信者が集まった。教会前にできた信者の列は1キロに及び、軍が警備に当たったが、熱射病などで倒れる人も出ている。
 大聖堂内部では、遺体を一目見ようとする信者が押し合いになり、3人が圧死、、、50人が負傷した。国営テレビは信者に対し、遺体は葬儀が行われる20日まで公開されているので無理に押しかけないよう呼びかけている。
 遺体は遺言に基づきカイロ北西のナイル川デルタにあるワディ・ナトルーンの聖ビショイ修道院に埋葬される。シェヌーダ3世は1970年代、アンワル・サダト政権のイスラム教過激派対策を批判、79年にはイスラエルとの平和条約締結に反対したことから、サダト大統領は81年、教皇をこの修道院に一時幽閉した。
 シェヌーダ3世の死を悼み、ローマ・カトリック教会の教皇べネディクト16世は追悼の祈りを捧げた。またバラク・オバマ米大統領は、シェヌーダ3世の寛容さと他宗教との対話姿勢をたたえるメッセージを発表した。
 教会は後継者選びを始めている。市評議会から候補3人が選出され、3人の名が書かれたものを箱に入れ、幼児がそこから取り出した1人が後継者になる、という。後継者が、故教皇に続き、エジプトで圧倒的に優勢なイスラム教徒の融和への道模索を迫られることは確か。
 コプト正教会は中東最大のキリスト教派で、信者はエジプトの人口の約9%にあたる700万人と推計されている。


◎カンタベリー大主教ウイリアムズ氏が年末退任

 【CJC=東京】カンタベリー大主教ローワン・ウイリアムズ氏(61)が3月16日、2012年末に退任し、13年1月にケンブリッジ大学マグダレン・カレッジの『マスター』に就任する、と発表した。年末までは引き続き義務と責任を果たす。
 ウイリアムズ氏は2002年に大主教に任命された。後任は『王室指名委員会』が首相に候補2人を推薦、首相の助言のもとに女王が任命する。


◎米ワシントン大司教区で同性愛者への聖体授与拒否

 【CJC=東京】米メリーランド州ゲイサーズバーグ在住のバーバラ・ジョンソンさん(51)が2月25日、『セント・ジョン・ニューマン・カトリック教会』で行われる母親の告別ミサの前、司式者のマーセル・ガルニーゾ神父に、同性愛の相手を紹介したところ、同神父は、同性愛関係は教会から見れば罪であるという理由で、ミサで聖体を受けることは出来ない、と告げられた。
 同性愛者の権利を巡る問題はメリーランド州では激しい論議にさらされており、同性婚を合法化する規定が2月採択されたものの、2013年までは施行されず、11月の選挙で覆される可能性もある。
 ジョンソンさんは、ガルニーゾ神父に書簡を送り、責任を取ってほしい、と警告した。小教区での司牧活動から排除されなければ満足しない、と言う。
 管轄のワシントン大司教区の司牧・社会問題担当ウイリアム・バーン神父は3月1日声明で、司祭には「秘蹟を重んじる義務がある」として「誰もが聖体を受けられるものではなく」、秘蹟に預かることは「祝福であり恵み」なのだ、と指摘した。


◎十字架は信仰のシンボルではない?

 【CJC=東京】英紙『デイリー・メール』は、英政府がキリスト教信徒の労働者に、就業時間中は信仰の証として十字架を身に付けない指示を図っている、と報じた。労働者側がストラスブールの欧州人権裁判所に救済を訴えたが、政府側はリン・フェザーストン平等相の指示に基づき、救済要請却下を求めている。
 政府の措置に対しては、平等相や命令を発した裁判所を非難、キリスト教が排除されつつあることの兆候だと反発する声が、前カンタベリー大主教ケアリー卿始め強まっている。
 デービッド・キャメロン政権にとって、同性婚容認をめぐって国教会、カトリック教会と対立したのに続く、教会との抗争。
 また平等問題に関しては、『平等・人権委員会』が、就業中の労働者が自身の信仰のシンボルを身に付けることは法律上保護されるべきだとして欧州人権裁判所に提訴しており、政権内のきしみを露呈する形となった。
 政府は、十字架を身に付けることは「信仰の必須条件」ではない、という立場だが、ケアリー卿は「皮肉なことに、政府や裁判所がキリスト者に十字架問題は重要なことではない、と言えば言うほど十字架が重要なシンボルとなり、信仰の表明になる」と言う。


◎ドイツ大統領にヨアヒム・ガウク牧師選出

 【CJC=東京】ドイツで、クリスティアン・ウルフ前大統領の汚職容疑に伴う辞任を受けた大統領選挙が3月18日、連邦議会(下院)議員と州代表で構成する連邦大会議で行われ、主要各党が推す旧東独出身の福音ルーテル教会牧師ヨアヒム・ガウク氏(72)が圧倒的多数で選出された。任期は5年。旧東独出身の候補者がドイツの大統領になるのは初めて。
 ガウク氏は東西ドイツ統一後に東独の秘密警察『シュタージ』が残した文書の管理庁の初代代表を務めた。文書を一般市民が閲覧できるように努力、10年間にわたって秘密文書のアーカイブを監督した。
 2010年6月の連邦会議では、野党の社会民主党と緑の党の候補となったが、連立与党のキリスト教民主・社会同盟と自由民主党が推すウルフ氏に敗れた。
 国民の信望も厚く、公共放送ARDの世論調査では59%がガウク氏の選出を支持した。ウルフ氏の疑惑で傷ついた大統領職への信頼回復が最初の課題となる。
 自身も旧東独出身のアンゲラ・メルケル首相は、ベルリンの壁崩壊から23年近くを経てドイツが変貌を遂げたことを示す出来事だとして、ガウク氏の勝利を歓迎した。
 率直な物言いでも知られるガウク氏は、苦労して手に入れた自由には重い責任が伴うということを、大統領になってもドイツ国民に訴えて行きたいと語っていた。聴衆を鼓舞する演説の名手ともされている。
 ドイツの大統領は連邦議会議員と各州代表で構成する連邦会議による間接選挙で選ばれる。


◆短信◆(CJC)

《欧州》
▽教皇とカンタベリー大主教がローマで夕の祈り共催=教皇ベネディクト16世とジョージ・ウイリアムス・カンタベリー大主教が3月10日、『サン・グレゴリオ・マーニョ』記念の夕の祈りを、『カマルドリ共同体』のローマの『聖ジョルジョ・アル・チェリオ修道院』で共催した。
 ウイリアムス大主教は、キリスト教一致について言及、カトリックと英国国教会の間の再建のエキュメニカルな関係が「不安定で不完全だ」と指摘した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月18日)=https://www.cwjpn.com
★神の助け、人々の支えを=大震災から1年目の祈り
★全国から青年ら集い=仲間との絆 考える=ネットワークミーティング
★プロテスタント諸教会と各地で=「追悼と再生を願う合同祈祷集会」
★原発問題で講演会=正義と平和協議会 全国会議
★「シナピス」と阪神地区社会活動委=「自死について」学習会=兵庫・仁川教会で開催

 =キリスト新聞(3月17日)=https://www.kirishin.com
★キリスト教カウンセリングセンター=山中正雄氏講演会="側面援助が牧会の役割"
★関西学院大=神学セミナー=「自死」を教会の問題として
★イスラームとの対話にも注力=NCC/カトリック対話集会で司祭ら
★新作能「ルター」(試作)を京都で=伝統文化で宗教改革表現
★チャリティで「心の訪問」=BCJコンサート

 =クリスチャン新聞(3月18日)=https://jpnews.org
★震災ボランティア=生活の証しが力に=「東北・希望の祭典」に仮設からも参加者続々
★東北・希望の祭典:新しいスタイル+変わらぬ大衆伝道
★強い「講」の結束 震災で解散も=支援諸団体「南三陸町の文化と風土」学ぶ


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