世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1101信(2012.02.27)

  • 兵器根絶へ仏カトリック団体が他団体と連携
  • WCC常議員会がシリアの教会に連帯メッセージ
  • 中国が司教に硬軟両様、と伊紙報道
  • 香港の湯漢枢機卿が自由の保護・拡大を要請
  • ナイジェリアのキリスト教会で礼拝中に爆破
  • 韓国教会協議会が「牧師も所得税の納税を」
  • キルギスタンが『統一教会』の活動禁止
  • トルコで1500年前のアラム語聖書発見
  • ▽1500年前の聖書は『バルナバの福音書』か
  • アフガニスタンで米軍のコーラン焼却に抗議デモ
  • エルサレムのバプテスト教会にスプレーで落書き
  • シェバの女王の金鉱跡をエチオピアで発見?
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎兵器根絶へ仏カトリック団体が他団体と連携

 【パリ=ENI・CJC】フランスのカトリック団体『CCFD』(カトリック飢餓対策・開発委員会)が、国連の武器貿易条約に、兵器根絶を盛り込むよう求める運動で『国際アムネスティー』や救援団体『オックスファム』と協力することになった。
 通常兵器の輸出入及び移譲に関する国際条約の存在しないことで、毎年数千もの生命が奪われ、多くの国で開発・発展が妨げられている。「最も厳しい基準に適合するような、壮大でかつ可能な条約が必要だ」とCCFD平和・紛争問題支援担当のゾベル・ベハラル氏は言う。
 CCFDはフランス最大のNGO(非政府関係組織)の一つ。現在、国連が7月締結を目指して準備を進めている武器貿易条約のためニューヨークでロビー活動を行っている。
 「民間人に対して使用されるという重大な危険性のある地域への武器移送阻止に国際的な合意を確保するための歴史的な機会となった」とCCFDなどの関係者は語る。核、化学、生物兵器を除く通常兵器が武器貿易の大半を占めており、その地球規模の拡大がさらに加速し、民間人の危険を増加させている、という。
 国際アムネスティの調べでは、1500人以上が毎日、武力抗争で死んでおり、約30万人が、武力抗争以外に、通常火器の犠牲になっている。


◎WCC常議員会がシリアの教会に連帯メッセージ

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC)常議員会は、シリアの諸教会に宛て連帯の書簡を2月20日送った。シリアではバッシャール・アル=アサド大統領政権による反体制派への大規模抑圧で、犠牲者が増え続けている。
 常議員会は、2月14日から18日までジュネーブ近郊ボセーで開かれた常議員会でメッセージの内容を検討した。
 メッセージには、暴力の終結と紛争から脱するため、正義と平和に基づいた、人権と人間の尊厳、互恵共存を基にした全国的な対話への期待を表明している。
 メッセージはまた、シリア教会の指導者3人が12月に国内諸教会に宛て発した共同書簡を強く支持している。書簡で指導者たちは「いかなる形であれ暴力の使用」を非難、信徒が「恐れず、希望を失わないよう」力づけている。
 WCC加盟教会に対して、メッセージは、この困難な時に「連帯行動を堅くする」よう訴えた。WCC憲章を引用して、「人間の求めに仕え、人々の間の障壁を取り除き、正義と平和の中での一つの人間家族の推進ということに関する諸教会の結束の形として、共通の関心を表明する」と述べている。


◎中国が司教に硬軟両様、と伊紙報道

 【CJC=東京】伊紙『レスプレッソ』によると、中国政府が『天主教(カトリック)愛国会』の指導を受け入れる司教には恩恵を与える一方、受け入れない司教を抑圧している。
 2010年10月に、バチカン(ローマ教皇庁)の承認なしに叙階された洗礼者ヨハネ・リ・スガン司教は、自動的に破門されたものの、現在、中国カトリック者の和解役を自認している。
 北京政府への強硬な姿勢で知られる香港のヨセフ陳日君枢機卿は、先頃、スガン司教を国際会議に招待したことで会議主催者の『聖エジディオ共同体』を非難した。全てのカトリック者は、愛国会と同会の指導者を認めないように、教皇べネディクト16世の指導を受け入れるべきだ、と言う。
 『レスプレッソ』紙は、スガン司教がドイツでの会合に出席することを認められたということ自体が、政府から恩恵を受けていることを示す、と報じている。聖座に忠誠な司教は、教会関係の活動のためローマへ行くことすら認められていない。


◎香港の湯漢枢機卿が自由の保護・拡大を要請

 【CJC=東京】香港のジョン湯漢(トン・ホン)新枢機卿が、教皇べネディクト16世から赤いビレタ(聖職者用の角帽)を受けた2月18日、香港政庁に民主的な自由を保護、拡大するよう書簡で要請した。
 湯枢機卿は、香港の指導者に普通直接選挙実施を呼び掛けたもので、現在、英国から返還された香港に北京政府が実施している「一国二制度」の継続を求めたものと見られる。


◎ナイジェリアのキリスト教会で礼拝中に爆破

 【CJC=東京】ナイジェリア中部ナイジャ州スレヤで2月19日、キリスト・エンバッシー教会で朝の礼拝中に爆弾が破裂、5人が負傷した。内1人は重傷という。イスラム教過激派集団『ボコハラム』のメンバーが教会前に留めてあった自動車に仕掛けた爆弾が破裂したもの。
 『ボコハラム』は、ナイジェリア全土にイスラム法『シャリア』を強制しようとしている。当局は同日中に容疑者数人を逮捕した。
 爆発現場近くに『トライアンファント・ミニストリーズ・国際教会』があるが、同教会も爆破する計画だったと見られる。『ボコハラム』の犯行とすると同市内では6回目。


◎韓国教会協議会が「牧師も所得税の納税を」

 【CJC=東京】『朝鮮日報』(日本語版)によると、『韓国教会協議会』(NCCK)が、教団連合レベルでは初めて、牧師による自発的な所得税納付の推進に乗り出した。
 キム・ジョンフン会長(メソジスト教会監督)は2月23日「透明な教会財政運営と牧師の納税により、教会内外の信頼を回復しなければならないという要望が、いつになく高い。関連セミナーや所属教団の決議を経て、制度的仕組みを整備する案を話し合っている」と語った。
 韓国は、宗教関係者への所得税賦課を慣例的に免除しており、一部の牧師だけが勤労所得税を自発的に納付している。なおカトリック教会関係者は1994年から所得税を納めている。
 協議会には、長老派、メソジスト、救世軍大韓本営、聖公会、ペンテコステ派、ルーテル教会、正教会など計9教団が加入している。教会数は2万126、信者数642万5987人という。


◎キルギスタンが『統一教会』の活動禁止

 【CJC=東京】キルギスタンの裁判所が、『統一教会』の国内での活動を禁止した。
 『ラジオ自由ヨーロッパ』によると、『世界平和統一家庭連合』として知られている統一教会は、正規の登録をせず、非伝統的な宗教を強制的に広めることで国家の安全の脅威となった、という。
 ロシアの『RIA・ノボスチ』通信は、この1月、統一教会への入信を拒否した市民が虐待を受けたことが、禁止の原因になったと報じている。


◎トルコで1500年前のアラム語聖書発見

 【CJC=東京】トルコ文化観光省のエルトゥグルル・グナイ長官は、アンカラの裁判所から1500年前のものと見られる聖書が移管されたことを明らかにした。トルコのアナトリア通信が報じた。
 裁判所の保管庫で発見されたこの聖書、イエスが話していたとされるアラム語で書かれているという。今後、修復作業の後、一般公開される予定。


◎1500年前の聖書は『バルナバの福音書』か

 【CJC=東京】トルコで話題になった1500年前のアラム語聖書。18世紀初めにイタリア語本が発見された『バルナバの福音書』ではないか、と現地メディアの推測が飛び交う中、バチカン(ローマ教皇庁)が調査を要請した、と保守系紙『ザマン』のウエブサイトが伝えている。
 問題の聖書、トルコ警察によって、2000年に密輸捜査の際に地中海地方で発見され、アンカラの民族博物館に引き渡された、とも報じられた。問題の聖書はアラム語で書かれ、動物の皮にシリア文字で記されているという。
 『バルナバの福音書』の現存する最古の写本は16世紀のものでイタリア語とスペイン語で記されている。
 『バルナバの福音書』は、イエスが預言者ムハンマドが地上に来ると予言した、などイエスに関する記述がイスラム教側の見解の下に立っており、正典としての新約聖書と反する所から、キリスト教会側ではその真正性が疑問視されている。
 ただ密輸の対象にされるだけあって、警察に押収されなければ4000万トルコ・リラ(約12億円)で売られたとの推定もある。
 現在、アラム語を話すのはダマスカス近郊の小村に居住する少数。


◎アフガニスタンで米軍のコーラン焼却に抗議デモ

 【CJC=東京】アフガニスタンの首都カブール北方のバグラム米空軍基地内で2月20日、イスラム教の聖典『コーラン』が焼却されたとして、地元住民2000人以上が21日、基地周辺で抗議デモを行った。
 アフガン駐留国際治安支援部隊(ISAF)のジョン・アレン司令官は「心から謝罪する」という声明を発表した。


◎エルサレムのバプテスト教会にスプレーで落書き

 【CJC=東京】イスラエル警察のミッキー・ローゼンフェルド報道担当は2月20日、エルサレムのバプテスト教会を暴徒が襲い、スプレーで落書きした、と発表した。近くに駐車していた自動車3台のタイヤも切り裂いたという。
 同様の襲撃はこれまでパレスチナ自治区ウエストバンク地区のモスク(イスラム教寺院)を対象にしていたものが、最近になってイスラエル内のモスクや軍事基地、キリスト教関係の施設などに広がっている。2月初めには、エルサレムのギリシャ正教会修道院や学校も襲撃された。


◎シェバの女王の金鉱跡をエチオピアで発見?

 【CJC=東京】聖書列王記上や歴代誌下に出てくるシェバの女王は、エルサレムにソロモン王を訪ねる時に「多くの金」を持参したという。4トン半との説もある。女王の統治圏は今のエチオピアとイエメンの2説あるが、このほどエチオピア北部ゲラルタ高原で神殿跡と古代の金鉱が発見された。
 遺跡の入り口は、太陽と三日月が彫り込まれた高さ20フィート(約6メートル)の石で覆われていた、と発掘指導者のルイーズ・ショフィールド夫人。「毒蛇コブラがいるとされた石の下に潜ると、女王が話したを思われるサベア語の碑文が見つかった」と言う。


◆短信◆(CJC)

《太平洋》
▽インドネシアのイスラム教徒は結婚の際に植樹=インドネシア北スマトラ州メダンで、イスラム教団が、教徒の結婚の際、夫婦となる2人が木を1本植えることを条件としたという。

《欧州》
▽独メディア賞のラヘブ牧師受賞をWCCは歓迎=世界教会協議会(WCC)はベツレヘムの福音ルーテル派ミトリ・ラヘブ牧師が2011年度『ドイツ・メディア賞』を受賞したことを歓迎している。同賞は、ラヘブ牧師の和平に向けての個人的な活動に止まらず、パレスチナ人教会の貢献も評価して授与された。授賞式は2月24日、バーデンバーデンで行われた。
▽宇宙補給機5号機を『ジョルジュ・ルメートル』と命名=『欧州宇宙機関』(ESA)は2月16日、国際宇宙ステーションへの補給機5号機(ATV-5)について、有名な天文学者にちなんで、『ジョルジュ・ルメートル』と命名したことを発表した。
 ルメートルはベルギー出身の天文学者・宇宙物理学者で、ビッグバン理論の提唱者として知られている。カトリック司祭。

《北米》
▽ケネディ元大統領の演説に「吐き気」とサントラム候補=米大統領選の共和党有力候補であるリック・サントラム元上院議員が2月26日、政教分離を打ち出したジョン・F・ケネディ大統領の1960年9月12日の演説を読んで、吐き気を催しそうになったと嫌悪感をあらわにし、宗教保守派であることを強調した。
▽『クリスチャン・エイド』の新CEOにボート牧師=米国に本拠を置くキリスト教援助団体『クリスチャン・エイド』理事会は、ボブ・フィンリー・CEOの後任にランディ・ボート牧師を選任した。
▽『アシスト通信』などが優秀メディア賞受賞=米宣教団体『オープンドアーズ』が設定している優秀メディア賞に今年度は『アシスト通信』、『ムーディ・ラジオ』、『ミッション・ネットワーク・ニュース』、『クリスチャン・ポスト』が選ばれた。同賞は、世界各地で迫害されているキリスト者の実態を報じるメディアを対象に設定されている。

《南米》
▽『教皇立ペルー大学』にバチカンが改善指示=バチカン(ローマ教皇庁)は、リマにある『教皇立ペルー大学』に対し、カトリック大学として定められた基準を、この復活祭の4月8日までに満たすよう改革を指示した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月26日)=https://www.cwjpn.com
★東日本大震災1周年を前に=大使と現役全司教ら 共にミサ=教皇も連帯を表明
★2011年度臨時司教総会=震災被災地支援で報告=日本26聖人列聖150年=長崎「西坂」日本の巡礼所に
★日本カトリック海外宣教者を支援する会「勉強会」=派遣国での体験語る=帰国中の2宣教者=東京
★英和対訳で「神道入門」=著者は国際派神職=バチカンも訪問=奈良・宇陀市三島神社=山口智さん
★シリア情勢で教皇=市民の要求に対応促す

 =キリスト新聞(2月25日)=https://www.kirishin.com
★歴史の真実に目を背けるな=同盟基督教団 信教の自由セミナーで山崎龍一氏
★カトリック大阪カテドラル=高山右近列福祈願シンポ
★酪農学園大学の交友歌がCDに=土、人、神を歌う「酪農讃歌」
★江原元塾長「解雇は無効」=東奥義塾 理事会が上告断念
★溝部前高松司教 「新求道共同体」に懸念="ローマの権威使い圧力"

 =クリスチャン新聞(2月19日)=https://jpnews.org
★君が代予防訴訟=最高裁判決、敗訴の原告ら批判=教訓から預言者の使命を
★ウガンダ子どもたちの歌と踊り 被災地でも=「希望のコンサート」主催者募集中
★2・11集会「君が代」問題など焦点に
 信仰内面化の危険を警告=同盟基督関東地区で山崎KGK総主事
 教育統制で国家神道徹底=大阪・教育基本条例案に危機感
 "第2の敗戦"にもごまかし=戦争の生き証人 渡辺信夫氏が見た3・11


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