世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1098信(2012.02.06)

  • 訪中のメルケル首相、広州の甘俊邱司教と会談
  • 中国で地下カトリック教会司祭5人逮捕
  • グローバル・クリスチャン・フォーラム代表がバチカンと会談
  • ベネチア大司教に教皇側近のモラリア司教
  • コーラン侮辱容疑の青年に保釈認められず
  • イランで長期拘束のサボクロ牧師衰弱
  • コプト教会のシェヌーダ教皇の病状悪化
  • 聖書に反する、と米国で闘鶏反対運動
  • 米国では映画館より教会へ行く!
  • キャスター『エルマノ・パブロ』死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎訪中のメルケル首相、広州の甘俊邱司教と会談

 【CJC=東京】ドイツのアンゲラ・メルケル首相は2月4日、2日からの中国公式訪問を終えた。
 プロテスタントのメルケル首相だが、今回の訪問では公認カトリック教会のヨセフ甘俊邱・広州司教との会談を希望しており、4日に実現した。甘司教は公認教会に属しているが司教叙階は教皇の承認を得ている。
 同司教は、教区をメルケル首相に案内し、質問には出来るだけ答えるよう、当局に要請されたと言う。香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は「外国の指導者は中国の現状を把握するために特定の宗教を取り上げるのが普通だ」と同司教が語った、と報じている。
 首相は、リベラルな論調で知られる中国紙『南方週末』の編集局も訪問しようとしたが、実現しなかった。南方週末は「多忙で接待できない」と断ったと伝えられた。同紙編集者によると中国政府からの圧力を受けていたという。首相と編集幹部らとの間で報道の自由や人権問題などが話題になるのを避ける狙いがあったとみられる。
 メルケル首相にとって首相就任以来5回目の中国訪問だが、首相の意図は中国側の厚い壁にさえぎられた格好だ。北京の人権派弁護士、莫少平氏が公安当局に首相主催の夕食会への出席を阻まれたとも報じられた。
 メルケル首相の訪問は今回が5回め。これまでの訪問では2006年に上海のアロイジウス金魯賢司教と会談した。同司教はドイツ語を話す。
 西側の首脳が中国訪問の際、「宗教」に関係するのはメルケル首相が初めてではない。2008年に当時のジョージ・ブッシュ米大統領が北京のプロテスタント教会の礼拝に出席している。


◎中国で地下カトリック教会司祭5人逮捕

 【CJC=東京】中国内モンゴル自治区エレンホトで、地下カトリック教会スイユアン教区のヨセフ・ガオ神父、ヨセフ・バン神父と教区司祭3人が1月30日、警察に拘束された。カトリック系UCAN通信が報じた。ガオ神父は教区長、バン神父は神学校長。
 エレンホトの信徒宅で人事検討の会議をしていたところを警察と政府当局者30人の手入れを受けたもの。
 内モンゴルの中部と西南部を管轄するスイユアン教区では、司祭30人が信徒宅に住んで秘密裏に司牧を行ってきた。


◎グローバル・クリスチャン・フォーラム代表がバチカンと会談

 【CJC=東京】『グローバル・クリスチャン・フォーラム』(GCF)のラリー・ミラー幹事が1月末、バチカン(ローマ教皇庁)キリスト教一致評議会当局者とローマで会談し、「全教会をつなぐ橋を架けるための歩みを強化する」ことを確認しあった。ENIニュースが報じた。
 GCFは多彩なキリスト教共同体、伝統、組織をつなぎ、地球上のキリスト教のあらゆる流れを捉えようとしている。『世界教会協議会』(WCC)、『世界福音同盟』(WEA)、『ペンテコスタル世界フェローシップ』、バチカン(ローマ教皇庁)キリスト教一致推進評議会などが支援している。
 教皇べネディクト16世は、ローマ市内の『場外の聖パウロ聖堂』で行った夕べの祈りの際に、今回の訪問を歓迎する意向を示した。
 キリスト教一致推進評議会のブライアン・ファレル局長は、GCFの善意とビジョンを、初めは不可欠ではないと見ていたが、今では深く受けとめている、と語った。
 GCFの存在と発展は明確であり、その働きを神学的、プログラム的に評価することが重要だ、として「エキュメニカルな作業、神学的対話を、結果を生み出すために根気よく続けなければならない」と指摘した。
 GCFのフベルト・ファンベック前幹事は、在任中に始まった地区協議推進などのため今後もコンサルタントとして活動する。


◎ベネチア大司教に教皇側近のモラリア司教

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世がベネチア大司教にフランチェスコ・モラリア司教(ラスペジア=サルザーナ=ブルナート教区)を任命した。
 モラリア司教はジェノア生まれ。1977年司祭叙階。教皇べネディクト16世の側近として知られる。由緒あるベネチア大司教には通常は司教省の議論が長引いていたが、今回はそれがなかった。
 前任のアンジェロ・スコラ枢機卿は次期教皇の有力候補の1人と見られており、昨年6月にミラノ大司教に任命された。


◎コーラン侮辱容疑の青年に保釈認められず

 【CJC=東京】コーランを冒涜したとしてパキスタンのラホール近郊シャーダラの警察が証拠もなしにキリスト者のクラム・マシさん(23)を2011年12月5日逮捕した。お茶の用意をするためにコーランを数ページ燃やした、と雇い主のズルフィカル・アリ氏が訴えたもの。マシさんの保釈は認められなかった。米宣教専門コンパス通信が1月31日報じた。
 マシさんは雇い主と口論しただけで不当逮捕だ、と語っている。
 パキスタンの侮辱法では意図的にコーランを侮辱したり、不敬な引用を行ったものは終身刑という規定がある。
 マシさんの弁護士は、証拠もなしに伝聞だけで逮捕したとして、保釈を請求した。しかし予審判事は、宗教感情を考慮し、不慮の事態を引き起こさないためにも保釈は認められないと請求を拒否した。


◎イランで長期拘束のサボクロ牧師衰弱

 【CJC=東京】イラン南部アフヴァーズで2011年12月23日クリスマス礼拝を司式中、公安当局に逮捕されたアッセンブリーズ・オブ・ゴッド教会のファルハド・サボクロ牧師が拘束されたままで健康が気遣われている。米宣教専門アシスト通信がイランのキリスト教通信『モハバト・ニュース』によるとして報じた。
 サボクロ牧師と同時に逮捕されたナセル・ザメン=デフズリ、ダブウド・アリジャニ両氏は、市内カロウン拘置所に移送された。サボクロ牧師は白内障の治療を受けていたが、眼科医の接見も認められないまま。
同牧師の夫人シャナズ・ジェイザンさんが1月27日、短時間の面会を許されたが、健康状態が心配だ、と語っている。牧師は独房内で祈りと断食で大半を過ごしており、健康状態は極度に悪化、体重も減少している、と言う。同時に逮捕された2人の状況は不明のまま。


◎コプト教会のシェヌーダ教皇の病状悪化

 【CJC=東京】コプト教会の霊的最高指導者シェヌーダ教皇(88)の病状が悪化している。同派協議会が1月31日明らかにした。長年の間、腎臓病と糖尿病に悩まされてきたが意識はあり、ヘルワンのバサンティ主教は、教皇が昏睡状態だといううわさを否定した。、
 エジプトではコプト派キリスト者は総人口の約9%と少数派で、ホスニ・ムバラク大統領追放以来、イスラム教過激派の攻撃にさらされている。ただ中東全域で見ると、コプト教会は最大の教会で、エジプトの他、ヨーロッパ、カナダ、米国、ケニア、ジンバブエ、ナミビア、南アなどに信徒が存在する。
 教皇が死去した場合、聖評議会の主教150人が、後継者が決まるまでの代行司教を任命することになる。慣例では最高齢の主教が代行に就任することになっており、今回はアシウトのミカエル主教だが、辞退した場合はベヒラのバカミオウス主教になると見られる。


◎聖書に反する、と米国で闘鶏反対運動

 【CJC=東京】米国で神学的には保守の立場のキリスト教指導者が、動物の権利擁護者と提携して闘鶏反対に乗り出した。雄鶏が死ぬまで戦うのを見物したり、賭けの対象にするのは、聖書の示す価値に反するという。ENI通信が報じた。
 南部バプテスト連盟倫理・宗教の自由委員会は1月24日発表した声明の中でリチャード・ランド委員長が「キリスト者は、神がつくられたものに対する不快な虐待というこの野蛮な行為を阻止するために立ち上がらなければならない」と指摘している。
 問題とされた闘鶏はサウスカロライナ州で行われているもの。闘鶏は全米50州で違法とされるものの、サウスカロライナ州など11州では軽犯罪扱い。
 米動物愛護協会は闘鶏を、「軽犯罪の最高の罰金を払ってでも勝てば儲かるというカネ目当ての犯罪」として、この「血のスポーツ」と呼ばれる闘鶏への規制を強めるため、サウスカロライナ州のキリスト教支援団体『パルメット家庭会議』などと協力している。
 同会議のオラン・スミス会長は、サウスカロライナ州が闘鶏を見物し、勝敗に賭けたい人たちをますます引き付けている、として「州の威信の問題として、法規制を強化しなければならない」と言う。
 『パルメット家庭会議』は闘鶏反対のビデオを作成した。
 神は人間と契約を立てると共に地のすべての獣と契約を立てる、と記された創世記9・9〜10を引用して、ビデオは闘鶏が聖書に全く反している、と主張するもの。
 ビデオの中で、ランド委員長は、人類が「生きるもの全てを尊敬するよう求められている。闘鶏は暴力のポルノだ。観戦する人はそれによって冒されるのだ」として、「宗教指導者は、19世紀に人道運動で重要な役割を果たした。21世紀の今日、他の被造物に対する厳粛な責任がわたしたちにあることを想起させる」と述べている。


◎米国では映画館より教会へ行く!

 【CJC=東京】米国人の教会出席率43・1%とギャラップ調査社が2010年6月に発表していた。子どもも数えると、アメリカ人3億1290万人の中で毎週教会の礼拝・ミサに出席する人は1億3486万人だった。
 さらに調査機関『バーナ・グループ』の11年7月の調べによると、成人の3661万人は日曜学校にもきちんと出席しており、さらに4637万人は教会での奉仕に時間を割いていることが分かった。
 一方、エンターテインメント業界紙『バラエティ』1月4日号によると、11年に一般の週で映画を見に出掛けた人は子どもを含めても僅か2458万人に留まっている。


◎キャスター『エルマノ・パブロ』死去

 ラテンアメリカ(中南米)で『エルマノ・パブロ』として広く知られたキリスト教キャスター、パール・フィンケンビンダー氏が1月27日、米カリフォルニア州アーバインで死去した。90歳。葬儀は2月4日、同州サンタアナのテンプロ・キャルバリオ教会で。またネットで中継される。(CJC)


◆短信◆(CJC)

≪欧州≫
▽列聖省のネズミ講投資報道にバチカン報道事務所反論=伊日刊紙『コリエーレ・デラセッラ』は、バチカン(ローマ教皇庁)列聖省がジャンフランコ・ランデ氏運営のネズミ講に160万ユーロ(約1億6000万円)を投資した、と報じた。
 バチカン(ローマ教皇庁)広報事務所は、出資したのはドミニコ会修道士のフランチェスコ・マリア・リッチ司祭で列福候補推薦のために行ったものであり、列聖省として行ったのではない、と発表した。同司祭は列聖省には関係していない、という。

≪アフリカ≫
▽スーダンで誘拐された神父2人解放される=スーダンで1月15日誘拐されたカトリック教会のヨセフ・マクウェイ神父とシルベスター・モッガ神父の2人が解放されたことが31日明らかになった。
 ハルツームではガブリエル・ズベイル・ワコ枢機卿が2人の釈放を待ち受けていた。身代金は支払っていない、と教会側は語っている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月5日)=https://www.cwjpn.com
★カトリック東京ボランティアセンター=福島に寄り添う支援=年配者も参加 被災者と顔なじみも
★被災者と「茶の湯」=福島・松木町教会の活動=カトリック東京ボランティアセンターも支援
★震災後1年に向け「心一つに」=池長司教協議会会長が談話発表
★自死遺族の集い=CLC主催=長崎で初の開催
★女性専用ギャンブル依存症回復施設「ヌジュミ」=デイケアセンター開所=横浜教区も支援=新居で「お披露目会」
★南スーダン=教会関係者ら平和建設に努力=「あきらめない」

 =キリスト新聞(2月4日)=https://www.kirishin.com
★日基教団改長協=中国プロテスタント教会から王教授招く="公認教会の課題直視"
★日本聖書協会セミナーに佐藤優氏=「新共同訳」の役割評価
★カナンの園IN東京=『共に生きる』決意新たに
★「君が代」訴訟で最高裁 戒告超える処分に「歯止め」
★米長老派に保守的な新教派「ECO」 同性愛聖職容認が契機

 =クリスチャン新聞(2月5日)=https://jpnews.org
★スタッセン教授らフラー神学校派遣=大震災100年先の教会を見据えて=日米神学者ら合同シンポ
★実話を基にした感動映画 DVDに=がんと闘う少年が宛てた神様への手紙の奇跡
★大震災焦点に断食祈祷=「原発事故は人間のおごり」
★高齢化する在日外国人=葬儀習慣の違いをサポート
★求道者とネットで対話セミナー開始=ジーザス・ネット・ジャパン


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