世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1097信(2012.01.30)

  • キリスト教一致祈祷週間に教皇が夕べの祈り
  • 中国の『家の教会』指導者が突如釈放
  • 独メディア賞候補にユダヤ人団体が抗議
  • モスクワとフィレンツェで交換展示
  • シリア赤新月社のジュベイロ事務局長射殺
  • エジプトで改宗理由にキリスト者女性を収容
  • ロンドンにリオのキリスト像複製が立つか
  • 北朝鮮の康永燮(カン・ヨンソプ)氏死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎キリスト教一致祈祷週間に教皇が夕べの祈り

 【CJC=東京】キリスト教一致祈祷週間最終日の1月25日、を迎えた。教皇ベネディクト16世は、ローマの聖パウロ大聖堂(サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ)で、夕べの祈りを行った。
 キリスト教一致祈祷週間はキリスト教諸教会の間で毎年行なわれるもので、今年のテーマは「わたしたちは皆、主イエス・キリストの勝利によって変えられます」(Iコリント15・51〜58)。
 祈祷週間を締めくくる25日の集いには、ローマのキリスト教教会諸派の代表らが参加、一致の恵みを共に祈った。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は説教の冒頭で、今年は第2バチカン公会議の開幕から50年を記念することに言及。福者教皇ヨハネ23世がこの公会議の開催を予告したのは、1959年1月25日、この聖パウロ大聖堂でのことであったと指摘した。
 ダマスコに向かう途上でのパウロの回心を観想した教皇は、後に偉大な宣教者となるパウロに起きたこの神秘的な変化は、長い思索の結果でも、個人の努力の賜物でもなく、なによりも神の恵みの業のおかげであったと強調した。
 キリスト者は、現在の分裂の痛ましい状況を体験しながらも、キリストの勝利とは、私たちの神と人々との完全な一致を妨げるすべてのものを克服させることと信じ、未来を希望を持って見つめていかなければならない、と教皇は説教した。


◎中国の『家の教会』指導者が突如釈放

 【CJC=東京】不法会合開催と宗教的集会の不法組織を理由に昨年7月逮捕され強制労働2年の判決を受けていた『家の教会』指導者、江蘇省宿遷の施恩浩牧師が1月20日釈放された。米国に本拠を置く中国のキリスト教抑圧監視団体『対華援助協会』が24日明らかにした。釈放理由は不明。
 施氏は中国家庭教会連合会副会長。


◎独メディア賞候補にユダヤ人団体が抗議

 【CJC=東京】ユダヤ人抑圧を監視する相互扶助団体『国際ブネイブリス』が1月27日、『ドイツ・メディア賞』委員会に、ベツレヘムの福音ルーテル派ミトリ・ラヘブ牧師への授賞を再考するよう要請した。ENI通信が報じた。
 ラヘブ氏は2月24日、他の3人の候補と共にバーデンバーデンで受賞の予定。
 同氏は、学校、健康センター、集会場所などをベツレヘムに設置したことが、「出会い、交流、対話」の場を作り出した、と評価されたもので、委員会は「イスラエル市民とパレスチナ市民との間の壁近くに、福音派の牧師が、多くの脅迫や反発を受けながらもキリスト者、イスラム教徒、ユダヤ教徒の相互理解のために立ち上がった。ラヘブ博士の働きは、暴力や先鋭化に取って代るものだ」と声明で述べている。
 この選考に対し、『国際ブネイブリス』が、「ラヘブ博士は、前向きな活動にも関わらず、極端に攻撃的な声明の数々で知られており、有名なドイツの名誉に関わる栄誉を受けるには適していない」という書簡を発表した。「専門家は、ラヘブ博士の見解の中に、キリスト者が神の計画の中でユダヤ人に取って代わり、神のユダヤ人への契約を受け継いだという、ほとんど顧みられなくなった置換神学の影響を指摘している」と言う。
 賞委員会は、『国際ブネイブリス』の書簡についてコメントしていない。同賞はこれまでダライ・ラマ、ネルソン・マンデラ、ヒラリー・クリントン、ボノらが受賞している。


◎モスクワとフィレンツェで交換展示

 【モスクワ=ENI・CJC】モスクワの『トレチャコフ美術館』とフィレンツェの大聖堂脇にある洗礼堂で所蔵品の交換展示が始まった。ロシア正教会とローマ・カトリック教会は、指導性から神学に至るまでしばしば対立しているが、芸術に関しては共通点の多いことに気づかされる。
 モスクワで展示されるのはルネッサンス期の画家ジョットによる『マドンナと子ども』『聖レパラタ・ポリプティッチ』の2点でロシアでの展示は初めて。トレチャコフ美術館からはロシアで最も有名なイコン作家アンドレイ・ルブリョフの作品などイコン3点。
 「交換展示のアイデアは、両国にとって独自性を示すビザンチン文化という双方に共通するものの根源とその展開を示すものだ」とトレチャコフ美術館のイリーナ・レベデヴァ館長はモスクワでの開会式で語った。
 今回のモスクワ展示は3月19日まで。今年は『ロシア・イタリア文化交換』諸活動が行われるが、その一環として、また東西教会分裂の発端となった第二ニカヤ会議1225周年を記念するもの。
 フィレンツェでは、カトリック教会とロシア正教会の聖職者がイコンの前で祈りを捧げた。
 「イコンが作成されたことを意味する所から切り離され数十年を経て、教会のため、そして祈りのために、しばらくの間のことではあるが博物館から聖なる場所に戻った」とジュセッペ・ベトリ大司教がロシアのタス・テレビに語った。今回展示されたイコンは、略奪、損壊、売却などを経て、1917年のボルシェビキ革命以来、美術館の収蔵品となっていた。


◎シリア赤新月社のジュベイロ事務局長射殺

 【CJC=東京】赤十字国際委員会(ICRC)は1月25日、シリアの首都ダマスカス付近で、シリア赤新月社(イスラム世界で赤十字に相当する組織)のアブダルアルラザク・ジュベイロ事務局長が射殺されたと発表した。
 ICRCによると、地元病院の医師でもある事務局長は、赤新月社を示す赤い月のマークがついた車で移動中に銃撃された。
 シリア国営テレビは「テロリストによる暗殺だ」と報じている。


◎エジプトで改宗理由にキリスト者女性を収容

 【CJC=東京】エジプト・ギーザ県ブーラク・エルダクロウル地区の裁判所が、イスラム教への改宗意向を表明したとして、誘拐された16歳のキリスト者女性を家族のもとへ返せとの要求を退け、国営救護所への入所を命じた。
 「彼女は18歳になるまで国営救護所に収容される」との決定にコプト教徒の間に批判が広まっている。未成年のキリスト者をイスラム教に改宗させるための誘拐を認めるものだ、とマリ・アブデルマッシ記者が『アッシリア国際通信』で報じている。
 「判決は検事の主張に沿ったもので、これでは検事が犯罪者で、法律が共犯者だ」とコプト教会の活動家オリバー博士。「この検事がやったことは犯罪だ。児童誘拐と監禁を合法化した」と言う。
 『アルアズハル・イスラム研究所』によると、18歳に達するまではイスラム教に改宗は出来ない。


◎ロンドンにリオのキリスト像複製が立つか

 【CJC=東京】ブラジル・リオデジャネイロの名物、巨大な『コルコバードのキリスト像』の複製をロンドンのプリムローズ・ヒルに建設する極秘構想がロンドンの新聞『カムデン・ニュー・ジャーナル』によって明らかになった。
 同紙によると、計画はまだ市当局に示されていないが、2012年のロンドン五輪閉幕と16年のブラジル・リオデジャネイロ開催を記念して建造するというもので、ブラジル政府が出資の予定という。
 プリムローズ・ヒルは高さ78メートルの丘でロンドンの高級住宅街。市中央部が見渡せる。
 計画では、レプリカの高さは30フィート(約9メートル)で相当離れた場所でも高台からは見えることになろう。
 景観が冒されるというので、地区審議会への計画説明の前に、早くも住民から反対の声があがっている。住民の中には、一時的なものなら反対しないという人もいるが、地区のクリス・ネイラー議員は、必要だとは思えない、と言う。
 リオデジャネイロのキリスト像は1931年にブラジル独立100周年を記念して建てられた。高さ30メートル、左右28メートル。


◎北朝鮮の康永燮(カン・ヨンソプ)氏死去

 康永燮(カン・ヨンソプ)氏(朝鮮基督教連盟中央委員会委員長)が心臓麻痺で1月21日死去した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信が22日伝えた。同氏は北朝鮮最高人民会議第12期代議員。
 北朝鮮最高人民会議常任委員会、朝鮮宗教人協議会、朝鮮基督教連盟中央委員会は共同名義の死亡広告で、「彼が生の最後の瞬間まで、民族の和解と団結、祖国統一のために積極的に努力し、祖国統一偉業遂行に尽くした彼の功労は久しく残っているだろう」と述べている。
 康氏は、康良煜(カン・リャンウク)元国家副主席の息子。南北キリスト教交流で知られてるほか、世界教会協議会には、キャンベラ、ハラレ、ポルトアレグレの総会に出席、2009年10月に香港で開催された東山荘プロセス25周年記念協議会では、基調講演を行うなど、北朝鮮のプロテスタント指導者と見られていた。11年9月、韓国の宗教代表団が北朝鮮を訪問した時、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と行った万寿台議事堂での会談に同席している。
(CJC)


◆短信◆(CJC)

≪インド亜大陸≫
▽パキスタンの女性キリスト者告発は偏見から=パキスタンのキリスト者で5人の子持ちのアシア・ビビさんはイスラム教侮辱罪に問われ死刑判決を受けているが、米宣教専門アシスト通信によると、告発者のクアリ・サラム氏が告発は証拠に基づくものではなく個人的偏見によるものだ、と語った。

≪欧州≫
▽独ザクセン州の福音ルーテル教会が同性愛牧師の同棲認める=ドイツ東部ザクセン州の福音ルーテル教会は1月21日、同性愛牧師が相手と同棲することを認める、と決定した。
▽バチカンが教皇の9月レバノン報道の確認拒否=バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所は、教皇べネディクト16世がこの9月にレバノンを訪問するとの報道に、確認を拒否している。ただ否定はしていない。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月29日)=https://www.cwjpn.com
★岩手・大船渡=大阪教会管区の支援拠点=「地ノ森いこいの家」開所
★26聖人列聖・再宣教150年で=列聖列福特別委=メッセージ発表=先人の信仰 現代に脈々と
★カトリック児童福祉の日=日本の献金、昨年はアフリカ諸国などへ
★テーマは「共同司牧」「震災」=修道会宣教会フォーラム=大阪
★被災地のフィリピン人妻に介護ヘルパー2級=資格取得を支援=日本聖公会のプロジェクト=宮城・南三陸町=受講生は全員カトリックの信徒

 =キリスト新聞(1月28日)=https://www.kirishin.com
★公益法人改革 教界団体揺さぶる
★SIGNIS JAPAN="今手にしてるものに感謝"=「教会とインターネット」セミナーで熊谷雅也氏
★ワイズメンズクラブ 東日本区元事務所長が私的流用=「任意団体」の責任問われる
★米女子修道会などを対象=使徒的巡察が最終報告

 =クリスチャン新聞(1月29日)=https://jpnews.org
★「君が代」処分に歯止め=1次訴訟最高裁判決=減給以上は慎重な考慮必要
★地元クリスチャンバンドの「終わらない夢」=Jリーグ・札幌応援ソングに
★チェルノブイリ体験証言=ウクライナから被爆牧師を招請=福島未来会議2=福島に貢献したい青年50人公募
★震災10か月3・11祈祷会=33か国ボランティア延べ1万人=いわき=神の愛を土台に村づくり提唱


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
cjcpress@gmail.comまで。
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧