世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1096信(2012.01.23)

  • 米長老派に保守的な新教派『ECO』
  • 『新求道共同体』に教皇が"青信号"
  • エジプト人民議会議員にコプト教徒5人も
  • 米教会協議会暫定総幹事にチャプマン氏
  • ナイジェリア北部バウチ州でテロ、キリスト者にも犠牲
  • ポール・サイモンの「霊的な旅」
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎米長老派に保守的な新教派『ECO』

 【CJC=東京】米国の保守的長老派教職・信徒が1月19日、『PCUSA』は健全な教会育成よりは内部抗争に終始している、として新たに『エバンジェリカル・カブナント・オーダー・オブ・プレスビテリアン』(ECO)を発足させた。「この『新改革派』は、伝統的な教会、奉仕するための主流派であるための新たな道を切り開くことを意図している」と発起趣意書は述べている。
 フロリダ州オーランドでの会合には2000人以上が参加したが、『PCUSA』を離脱するかどうか検討中だ、と『プレスビテリアン・アウトルック』誌は報じている。
 米宗教専門RNS通信によると、『PCUSA』が2011年にこれまで禁止していた同性愛聖職を容認したことが、『ECO』創設につながった。創設趣意書には同性愛に関する記載はないものの、保守的神学と聖書の不謬に立つことは示されており、それは同性愛聖職を許容しないことを示している。
 『ECO』に加盟する教会は、『PCUSA』に留まったまま並行加盟することも、離脱して完全加盟することも認められる。
 すでに『エバンジェリカル・プレスビテリアン教会』(EPC)に加盟するため『PCUSA』を離脱する教会も出ているが、『EPC』とは異なり、『ECO』は女性聖職を完全に認めている。
 『PCUSA』は会員約200万人で、今も米国長老派では最大教派ではあるが、1998年から2009年の間に50万人以上、会員が減少している。
 『PCUSA』の指導者は、同性愛聖職問題で緊張が高まっていることを認める一方で、保守派に離脱しないよう訴えている。


◎『新求道共同体』に教皇が"青信号"

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世は1月20日、バチカンのパウロ6世ホールに集まった『新求道共同体』(ネオカテキュメネイト)のメンバー約7000人と接見、同共同体を「聖霊が現代に与えてくれた特別な賜物」と評価、その活動に最終的な承認を与えた。
 教皇は、共同体のメンバーが復活のキリストを、「母国を離れてまで、個人的なまた物質的な安全を犠牲にしても」伝えようとしていることを称賛した。
 カトリック教会内の信徒運動として発足した『新求道共同体』は、これまでの典礼とは異なる様式で行われていることから反発を招く一方で、追随者が増え、教勢が伸び悩む中で「成功」という評価も受けてきた。
 『新求道共同体』は、初期のキリスト者共同体をモデルにした緊密な小集団を基盤としており、司祭の指導の下に霊的成長を遂げてきている。
 教皇は、共同体が行っている夕方に行うミサについて、管轄教区司教の承認を得、広く公開されることという条件付きながら執行を承認した。さらに、小教区で分裂行動をしないようクギはさしている。
 教皇は『新求道共同体』を、特に世俗主義が「神意識を失わせ、キリスト教的価値を覆い隠している現代のための聖霊の「特別な賜物」と称賛、『新求道共同体』の運動は、キリスト者が自らの信仰の「美」を再発見することに役立つ、と評価した。
 『新求道共同体』が行っている世俗的なコンテキストでの説教重視は、べネディクト16世が重視している、信仰が弱まっている西側諸国への「再福音化」重視に呼応する。
 特別接見の最後に、べネディクト16世は『新求道共同体』の宣教を担う17チームを送り出した。派遣先は仏、ベルギー、スロベニア、オーストリア、エストニア、英国などヨーロッパ各国と米国。それぞれのチームは3ないし4家族と司祭1人で構成されている。
 カトリック教会の宣教は各司教に委ねられており、同共同体の活動を禁止する司教も各国に出ている中で、共同体の創設者キコ・アルゲイヨ氏は、今回の教皇の承認至るまでに受けた「多くの障害」を越えた「歴史的な時」だったと語っており、司教たちの対応が注目される。
 教皇は、『新求道共同体』に、教区司教と密接に協力し、メンバーが小教区が行う通常の典礼に参加するよう奨励すべきた、と勧告している。


◎エジプト人民議会議員にコプト教徒5人も

 【CJC=東京】エジプトの『中東通信』によると、暫定統治を担う軍最高評議会のムハンマド・フセイン・タンタウィ議長が1月21日、人民議会(国会)議員10人を任命した。キリスト教の一派、コプト教徒5人や女性2人を含むという。
 議員定数508のうち10人は大統領の任命枠だが、今回は現在の軍政のトップを務めるタンタウィ氏が任命した。


◎米教会協議会暫定総幹事にチャプマン氏

 【CJC=東京】米教会協議会(NCC)理事会は1月20日、暫定総幹事にクレア・J・チャプマン総幹事代行を任命した。チャプマン氏は、2011年12月31日にマイケル・キンナモン総幹事が辞任して以来、代行を務めていた。
 米NCCは、プロテスタント、英国国教会、正教会、福音派など37教派が加盟、教会数は10万以上、信徒総数4500万人を擁している。


◎ナイジェリア北部バウチ州でテロ、キリスト者にも犠牲

 【CJC=東京】ナイジェリア北部バウチ州で1月21日夜から22日にかけ、武装集団がキリスト者グループを銃撃し9人が死亡、10人以上が負傷した。武装集団の正体は不明。
 北部カノ州のナイジェリア第2の都市カノでは20日、地元警察本部などを狙った連続爆破テロや銃による攻撃があり、ロイター通信は少なくとも178人が死亡したと伝えた。犠牲者は少なくとも215人とする地元紙の報道もある。イスラム過激派『ボコ・ハラム』(西洋の教育は罪)が犯行を認めた。州当局は20日、24時間の外出禁止令を出していた。


◎ポール・サイモンの「霊的な旅」

 【CJC=東京】米国の著名なシンガーソングライター、ポール・フレデリク・サイモンが、半世紀にわたるこれまでの活動の中に、いつも霊的な側面があると語るが、最近のアルバム『ソー・ビューティフル・オア・ソー・ホワット』には自身もびっくりしている、と言う。神、天使、創造、巡礼、祈り、死後、などについての曲なのだ。
 米宗教専門RNS通信によると、宗教的なテーマは意図したものではなかった、。サイモン自身、信仰深いとは言っていなかったが、米公共放送(USPBS)のプログラム『宗教と倫理ニュースウイークリー』のインタビューで、霊的なものには魅了される、と語っている。
 「霊的感覚といったものがある。わたし自身の中に認め、それを楽しんではいるが、全く理解していないものだ」と言う。


◆短信◆(CJC)

≪中東≫
▽『カトリック教会のカテキズム』のカテキズムがヘブライ語に=『カトリック教会のカテキズム』の最初の3巻がヘブライ語に翻訳された。バチカン(ローマ教皇庁)機関紙『ロッセルバトレ・ロマノ』が報じた。
▽イスラエル高裁がパレスチナ人配偶者に市民権与えず=イスラエル高裁は、パレスチナ人配偶者を例外措置とする「市民権法」の特例規定改正を求める人権団体らの請求を反対6、賛成5で棄却した。非ユダヤ系人口の増加を安全保障上の脅威と考えてのものと見られる。朝日新聞報道。

≪欧州≫
▽教皇、レバノンを9月訪問か=教皇べネディクト16世が9月にレバノンを訪問する、とローマの『Iメディア』通信が報じた。バチカン(ローマ教皇庁)は確認していない。

≪北米≫
▽米共和党の大統領候補を目指すギングリッチ元下院議長を元妻が告発=米共和党の大統領候補を目指すギングリッチ元下院議長を、2番目の妻マリアンヌさんが「大統領にふさわしい倫理観に欠ける」と批判した。福音派の支持に影響が出そうだ。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月22日)=https://www.cwjpn.com
★常任司教委員会=追悼と復興のため=震災後1年を前に決定=公式祈願、司教ミサ、超教派祈祷集会
★梅村司教、「トークライブ」会場であいさつ=司教団メッセージを紹介=脱原発世界会議=横浜
★虐待・性暴力で研修=社会司教委員会=東京=「ガイドライン」作成に向けて開催
★"多国籍"で祈り合う=共同体づくり始める=震災後派遣のフランシスコ会司祭=青森・大湊教会
★教皇=各国外交使節への年頭あいさつ=「宗教を動機とするテロ行為」非難

 =キリスト新聞(1月21日)=https://www.kirishin.com
★映画「"私"を生きる」東京・大阪で限定公開=普遍的に生き方を問う
★カトリック信徒が電子書籍を個人出版="シスター知るきっかけに"
★被災地に「スイーツ」を=日本ナザレン教団=業界団体と提携
★和歌山・ピースプロジェクト=自殺防止にTシャツ販売
★米国=「属人的司教区」が発足=指導は前聖公会司祭に委ねる

 =クリスチャン新聞(1月22日)=https://jpnews.org
★白浜レスキューネットがPIECE PROJECT開始=自殺者14年連続3万人超で防止運動
★復興トラクト=被災地で印刷へ=被災した愛隣印刷社が印刷機導入へ募金を開始
★「きみは愛されるため...」被災の3県へ=CD「希望のうたごえ」贈呈運動広がる
★超教派で「仙台食品放射能計測所」開設=一般の人々が利用しやすくし「平安得てほしい」
★野田首相らの伊勢神宮参拝に抗議=教界関係団体が声明


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