世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1095信(2012.01.16)

  • 米女子修道会などへの使徒的巡察が最終報告
  • 教皇、バチカン駐在外交団と新年挨拶
  • ロシアにキリスト教政党創設構想
  • ソマリアで改宗女性が公開ムチ打ち
  • タンザニア・ザンジバルで教会襲撃相次ぐ
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎米女子修道会などへの使徒的巡察が最終報告

 【CJC=東京】米国のカトリック女子修道会・宣教会に対する『アポストリック・ビジテーション』(使徒的巡察)の最終報告書がバチカン(ローマ教皇庁)に提出された。
 使徒巡察を実施者に任命されたマザー・メアリー・クレア・ミレアが調査結果を提出したもの。
 マザーは、声明で3年間にわたる調査の完了を発表、「支持と配慮を必要とする懸念が修道生活に見られた」と指摘した。
 使徒巡察の実施が発表された時、そのこと自体が論議にさらされた。当時の奉献・使徒的生活会省長官フランク・ロデ枢機卿は、米国の女子修道会・宣教会調査が必要なのは、「修道生活が行われていないことや共同体が消滅しているのを黙認していた」り、「カトリック教会の中にあってキリストと共にある共同体から離れる道を選んだ」ことがあったからだ、と語った。
 初期の報告が、反体制的な会の取り締まりを主張したことに対し、著名な修道女が相次いでバチカンの調査に協力する必要はない、と主張するなど激しい反発の声が上がった。2009年から10年に掛けて調査は難航した。
 米国出身のジョゼフ・ウィリアム・トビン大司教が同省局長に就任してから風向きが変わった。同局長は米国の指導者たちへ共感のサインを送った。2011年1月に長官に任命されたジョアン・ブラス・ジ・アヴィス大司教も、前任のロデ枢機卿の改革の必要を強調する姿勢とは距離を置いている。
 長官は、「かつて取っていた立場」のために失われた信頼を、同省は回復しなければならない、として、トビン局長の発言に沿って、使徒的巡察の報告を受けても、劇的な変革はないだろう、と語っている。


◎教皇、バチカン駐在外交団と新年挨拶

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世は1月9日、バチカン駐在外交官と新年の挨拶を交わした。教皇は席上、約180カ国の外交官に対し、同性間の結婚が「人類の未来」を損ね、伝統的家族の在り方に対する脅威の一つだと表明、同性婚への強い反対姿勢を改めて示した。異性間の結婚は「単なる社会的慣例ではなく、あらゆる社会の根本を支えるものだ」とし、「子どもの教育において、適切な家族形態は極めて重要」だと強調した。
 また教皇は、日本の原発事故などに触れて環境や生態系を守ることの重要性を訴えた。教皇は福島原発事故のほか、東南アジア各地での洪水などの天災に触れ、「環境を守ったり、気候変動や貧困と闘ったりすることは、人類全体の発展にとって大切な問題だ」と語った。
 同性婚についてはカトリック教会は、同性婚合法化の動きに反対を表明しているが、すでにスペインやオランダなどでは合法化されている。


◎ロシアにキリスト教政党創設構想

 【CJC=東京】ロシア正教会モスクワ総主教座の政治関係報道担当フセフォロド・チャプリン大司祭が、キリスト教政党創設構想を明らかにした。
 宗教政党が法律で禁止されていることを認めながら、宗教関係と正式に登録せずに政党を結成する方法を検討中、と大司祭は語った。ヨーロッパ各国の『キリスト教民主党』を先例として挙げている。
 そのような政党は正教会の明白な支持を得られないとしても、キリスト者の政治活動原則を具体的に実施出来るとしている。


◎ソマリアで改宗女性が公開ムチ打ち

 【CJC=東京】米宣教専門『コンパス』通信によると、ソマリア南部ジャナーレのソフィア・オスマンさん(28)が2011年11月、キリスト教に改宗したとしてイスラム教過激派に拘束され、12月22日には「外来の宗教」を受け入れた罰として公衆の面前を引き回された後、ムチ打ち40回を受けた。これは釈放を意味するもの、と同通信は報じている。
 「オスマンさんは午後3時に40回ムチ打たれた。過激派に拘束されている間に虐待さえたことについては語っていない」と目撃者の1人が語った。ムチ打ちで出血し、「気絶したのが分かった。死んだと思ったが、すぐに意識を取り戻し、家族が連れ去った」という。
 オスマンさんは自宅で治療を受けたものの、ボーっとした感じで話し出そうとしなかった、と伝えられる。その後、別の場所に移動したという。


◎タンザニア・ザンジバルで教会襲撃相次ぐ

 【CJC=東京】タンザニアのウングジャ島ザンジバル近郊ムトゥファニ・ムウェラで、イスラム教過激派が『アフリカ・ペンテコスタル・エバンジェリカル・フェローシップ』の教会堂2カ所を2011年12月3日夕、破壊した。損害は150万シリング(約71万円)に上る。同教会のユリウス・マコホ牧師が米キリスト教専門『コンパス』通信に語った。
 教会員の1人は匿名で「彼らがここには教会はいらない、と叫んでいるのを聞いた」と語っている。犯人は未だ逮捕されていない。
 11月26日には付近のキアンガで、イスラム教過激派100人以上がシロアム教会に「アラーは偉大なり」と叫びながら押し掛け、3時間にわたって施設を破壊した。
 ウングジャ島ほかザンジバル諸島の人口は70万人と推定される中、キリスト教会は60カ所あるが、6月以降、教会襲撃事件が続発している。


●米国聖公会元主教でカトリックに改宗したポープ氏死去

 米国聖公会元主教でカトリックに改宗したクラレンス・ポープ氏が長期にわたる闘病の後1月9日、ルイジアナ州バトンルージュで死去した。81歳。
 1984年、テキサス州フォートワース主教を引退、カトリック教会に転会した。ただカトリック司祭として叙階されなかったので、翌年に聖公会に復帰した。
 2007年、ポープ氏はまたカトリック教会に戻ったが、聖公会に復帰したのは、思考が鈍っていたからだ、と説明している。当時薬物治療を受けていたことも影響したという。(CJC)


◆短信◆(CJC)

≪アジア≫
▽中国の反体制キリスト者が米国亡命の道探る=中国では最も著名な反体制キリスト者ユー・ジエ氏が1月13日、ロイター通信に、米国亡命の道を探っている、と語った。習近平副主席の訪米を控え、虐待について近く米議会で証言する。
▽フィリピンの『ブラック・ナザレ』祭は今年も大混乱=フィリピン・マニラで1月9日、黒い実物大のキリスト像が付けられた十字架をかついで市内を行進する恒例の伝統行事『ブラック・ナザレ』祭が行われた。このキリスト像に触れるとご利益があると信じられており、多数が像に殺到、周囲は大混乱した。AFP通信が報じた。

≪亜大陸≫
▽カルナタカ州はキリスト者にとってインドで最も危険=インド南部カルナタカ州ではキリスト者への襲撃が続発しているが、クリスマスから新年に掛けて勢いが加速、同州は3年連続してインドで最も危険な州になった。
▽パキスタン州政府がカトリック教会の建物を取り壊す=パキスタン東部パンジャブ州政府は、カトリック教会が運営する看護の家、女子学校、修道院、聖堂などを取り壊した。聖書、式服など関係物品も破壊した。

≪中東≫
▽『ダビデ王博物館』がテルアビブで開館=『ダビデ王博物館』がテルアビブで1月9日開館した。王の残したもの、その生涯や統治に関するものなどを展示する。王の末裔と称するスーザン・ロス氏が設立した。
▽イスラエルのキリスト者人口の伸び最低=イスラエル中央調査局が1月6日発表したところでは、総人口の中でキリスト者人口の伸びが最低だった。

≪欧州≫
▽教皇が『新求道共同体』指導者と1月20日に会見=教皇べネディクト16世が1月20日、バチカンで『新求道共同体』指導者と会見する。その際に、同派が行っている独自様式のミサを修正を加えて承認するか、禁止するか、何らかの決定があると見られる。
▽『バチカン秘密文書』の中から約100点が3月1日公開=『バチカン秘密文書』の中から約100点が3月1日からローマのカピトリーノ美術館で展示される。9月9日まで。

≪アフリカ≫
▽ナイジェリアで『ボコハラム』がキリスト者4人殺害=ナイジェリア・ヨベ州のポチスクムで武装した『ボコハラム』のメンバーが1月12日、イグボ族のキリスト者男性4人を射殺した。英国に本拠を置くキリスト教抑圧監視団体『クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド』が報じた。
▽赤十字が武装組織の妨害でソマリア食料輸送を停止=ソマリアの支援をめぐり、赤十字国際委員会(ICRC)は1月13日、食糧輸送を停止すると発表した。昨年12月、ソマリア南部へ配る米や豆など24万人分の食糧を、首都モガディシオの北で、シャバブ支配の地元当局が押収したため。

≪南米≫
▽リオデジャネイロのプロテスタント教会堂が創設150周年=ブラジル長老教会(IPB)が初めてリオデジャネイロに教会堂を建設したのが1862年1月12日。創設150周年を迎えて記念式典が行われた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月15日)=https://www.cwjpn.com
★福島・いわき=支援拠点「もみの木」開所=被災者の自立へ新たな一歩
★被災地ボランティア急募=サポートセンター緊急アピール
★仮設住宅を訪問し=クリスマスの集い=宮城・石巻ベース
★「世界記憶遺産に」=登録に向けて動き=仙台市博物館の「慶長遣欧使節」資料
★枢機卿 新たに22人=教皇発表、アジアから2人

 =キリスト新聞(年始休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(年始休刊)=https://jpnews.org


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