世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1090信(2011.12.12)

  • 英国国教会は「同性婚」になお慎重
  • 米・キューバの教会指導者、両国関係正常化に注力
  • 教皇、『無原罪の聖マリアの大祝日』に賛美式典
  • 北朝鮮への人道援助は無条件で=国際カリタス
  • 北朝鮮が「クリスマス・イルミネーション」に警告
  • 『オプス・デイ』は脱退会員の情報消去を=スペイン最高裁
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎英国国教会は「同性婚」になお慎重

 【CJC=東京】教会内で同性間の結合式典「同性婚」を挙行することが英イングランドとウエールズで12月5日認められたが、英国国教会は『シノッド』(総会)で承認するまでは式典を行わない、と発表した。
 「同性間の結合」自体は英国では2005年に合法とされたが、12月5日までは一般の会場で挙行されていた。今回の措置は、同性同士のカップルは結婚と呼ぶことは出来ないものの、教会で結婚した異性間のカップルと同等な法的権利を与えようとして実現した。
 英国国教会は、「新しい措置も、総会で承認されるまでは、教会の見解とはならない」と書簡で明らかにしている。
 『シノッド』が、教会境内での同性婚を認める可能性は極めて低い。英国政府自身、同性間結合式典を宗教団体に強制する意図はない、としている。
 英国国教会の法務部門は、標準の結婚と「同性婚」は法的に別のものなので、差別が違法であっても有罪ではない、とする声明を発表した。


◎米・キューバの教会指導者、両国関係正常化に注力

 【CJC=東京】米NCC(教会協議会)とキューバ教会協議会が5日間の協議を終え、12月2日、「わたしたちは、共有した次の確信を宣言する。両国の間の憎悪の半世紀を終わらせなければならない」と、両国間の関係正常化を訴える声明を発表した。
 米国側のプロテスタント、聖公会、正教会指導者で構成された代表は、人道問題をキューバのエキュメニカル(教会一致)運動指導者と協議したが、それはキューバ代表が2010年の米NCC総会に出席した際の結び付きを強化するもの、と宗教専門RNS通信は報じている。
 代表たちは、半世紀にわたる米国の対キューバ経済制裁が「さまざまな相違の解決、経済交流、人々と教会のより完全な関わりにとって大きな障害」であると認めた。
 「わたしたちの、キューバを経済的、外交的に孤立させようとした政策は、政権をわたしたちの好む方に変革しようという目標を、50年以上も達成しなかった。その代わりに、米国を経済的、外交的に孤立させた」とアメリカ改革派教会(RCA)元総幹事のウェス・グランバーグ=マイケルソン牧師は語っている。
 教会指導者たちはバラク・オバマ政権が、1月にキューバ渡航規制を撤廃したことを歓迎したが、「キューバに対する米国の長期的政策を再評価、修正するため」、大統領の公約の「急速で完全な遂行」を要請した。
 両者会談では、「キューバン・ファイブ」として知られるキューバ情報機関員5人の米国での服役、CIA(米中央情報局)の諜報員として、スパイ罪で逮捕されたアラン・グロス氏のキューバでの収監なども取り上げられた。


◎教皇、『無原罪の聖マリアの大祝日』に賛美式典

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は12月8日、バチカンからローマ市内のスペイン広場に向かい、『無原罪の聖マリアの大祝日』の恒例行事、聖母マリア賛美式典を行った。
 教皇は、広場中央に立つ円柱上の聖マリア像に大きな花束を捧げ、無原罪の聖マリアを賛美した。教皇は聖母マリアについて講話、原罪教会もイタリアも全世界も大きな困難に遭遇している、聖母マリアが母としての保護と支えでもって危機を乗り越える力を与え下さるよう願った。
 教皇は、いつの時代にも困難や迫害はあるが神の助けによってそれをのり越えることが出来るとし、神の母としてあらゆる罪の穢れからまぬかれた無原罪の清きおとめ聖マリアの取次ぎによって罪とあらゆる悪から護られるよう祈ろう、と参列者一同を励ました。


◎北朝鮮への人道援助は無条件で=国際カリタス

 【CJC=東京】カトリック救援団体『国際カリタス』の関係団体、ドイツ、日本、米国、韓国の各カリタス代表がソウルの韓国司教協議会で12月5日、今後の計画について協議した。『国際カリタス』は協議の後、北朝鮮人道援助を無条件で継続すべきだ、と声明で訴えた。
 声明は、『カリタス』が朝鮮半島の平和を推進し、北朝鮮への人道援助を「無条件で」継続する、と述べている。
 韓国司教団の最初の公式外国援助団体『韓国・国際カリタス』北朝鮮部門の責任者ジェラルド・ハモンド神父(メリノール宣教会)は、北側との接触を継続する必要を強調した。「もしも韓国が、食糧割り当てを監視するなど配布システムの透明性を要求する立場を維持し続けるなら、無条件援助計画に否定的な影響を与える。わたしたちは北朝鮮を理解する必要があり、忍耐強く待たなければならない」と言う。
 韓国は、2010年5月に北朝鮮が韓国の哨戒艦「天安」を攻撃、沈没させたとして、人道的なもの以外は全ての接触を禁止した。また援助に関しては厳格な監視が必要だとしている。軍支援に転用されることを懸念してのもの。
 『韓国・国際カリタス』代表のシメオン・リー・ジョンケオン神父は「わたしたちは小麦粉400トンと1億3000万ウォン(約880万円)相当の医薬品を今年北朝鮮に送った」と言う。リー神父は、他のカリタス組織の援助と共に『カリタス韓国』は、政府の禁止にも関わらず、外国を通じて間接的に北朝鮮に援助物資を送ることも出来る、と強調した。


◎北朝鮮が「クリスマス・イルミネーション」に警告

 【CJC=東京】北朝鮮は12月11日、韓国が南北軍事境界線付近の鉄塔にクリスマスのイルミネーション点灯計画は、北朝鮮に対する「卑劣な心理戦」だと非難した。点灯された場合には「敵の好戦者たちは、自ら招いた予期せぬ事態への全責任を負うことになる」「これは、見過ごすことのできない問題だ」と警告し、報復を言明している。AFP通信が報じた。
 韓国国防部は、ソウルのキリスト教団体の要請で、非武装地帯の愛妓峰に立つ鉄塔をクリスマスツリーに見立ててイルミネーションを点灯する計画を発表している。
 韓国メディアによると、鉄塔に取り付けられた数千個の電飾が点灯すれば北朝鮮の開城からも見えるという。


◎『オプス・デイ』は脱退会員の情報消去を=スペイン最高裁

 【CJC=東京】保守的な姿勢で知られるカトリック宣教団体(属人区)『オプス・デイ』会員が脱退した場合、要求があれば在籍中の個人的な記録を削除しなければらない、とスペイン最高裁が12月3日判示した。
 全国管区裁判所が、女性の氏名、加入・脱退の日付をデータベースから削除するよう命じた判決を支持したもの。
 『オプス・デイ』側は、スペインと聖座(バチカン)との間に1979年締結された協約で、記録の不可侵が保障されている、と主張した。しかし裁判所は、元会員の憲法で保障された権利は、協約の合意に優先する、と指摘した。
 『オプス・デイ』は、ホセマリア・エスクリバー司祭により、1928年、スペインで創設された。47年に当時の教皇ピオ12世の認可を受けた。


◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。
≪欧州≫
▽教皇ベネディクト16世は12月7日、イタリア・ウンブリア州グッビオの山に400個の電球で描かれた「世界最大のクリスマスツリー」を、バチカンからタブレットPCを使った遠隔操作で点灯した。AFP通信が報じた。
▽バチカン郵便局が、教皇べネディクト16世の2010年に行われた司牧訪問をテーマとした記念切手を発行した。中の1種は福者ジョン・ヘンリー・ニューマン枢機卿を取り上げている。

≪北米≫
▽ヒラリー・クリントン米国務長官は12月6日、ジュネーブの国連欧州本部で、同性愛者など性的少数者の人権保護に取り組むNGO(非政府組織)を支援する国際基金を設置すると発表した。米政府が300万ドル(約2億3千万円)を出資する。
▽米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏(93)は肺炎のため入院していたが、12月6日退院、ノースカロライナ州モントリートの自宅に戻った。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(12月11日)=https://www.cwjpn.com
★横浜教区=記念の年始まる=開国後初の天主堂献堂150年
★「自死された方々に捧げる」ミサ=幸田司教らが司式=東京・麹町教会
★カリタスジャパン=仙台市と合意=9100戸に暖房器具を提供
★教区宣教大会開く=高松=地区超え一致へ第一歩
★改定「入管法」学ぶ=難民委 外国人信徒も参加

 =キリスト新聞(12月10日)=https://www.kirishin.com
★政治学者・姜尚中氏が立教大学で講演=「幸福主義」の粉砕を
★救世軍が漁船を寄贈=女川町="出身者"の声で実現
★旧約学会=「旧約学と説教」テーマにシンポ=礼拝での位置づけと活用
★被災地に思い寄せ=毎週金曜の祈りを続ける「キンパチ」
★日本バプテスト連盟=第57回総会=「福島原発震災の今を生きる私達の声明」

 =クリスチャン新聞(12月11日)=https://jpnews.org
★被災地に新教会=地元から信仰決心者も
★被災地教会 明るく目立つ=日韓共同でLED十字架プロジェクト
★救世軍が国際的連帯生かし=女川町漁協に作業30隻寄贈=津波被害の復興は漁業再生から
★「神様の日本への愛」届ける=ヨイド純福音教会から被災地復興へ


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