世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1089信(2011.12.05)

  • 中国の新司教誕生にバチカンが硬軟両様の対応
  • 「気候変動に対し責任と連帯ある回答を」と教皇、国連に訴え
  • 世界改革教会連盟が通貨変動に伴う財務問題検討
  • 宗教信者は無神論者を信用できない!?
  • ジョニー・デップの楽曲にキリスト教団体が抗議
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎中国の新司教誕生にバチカンが硬軟両様の対応

 【CJC=東京】中国四川省宜賓のカトリック教区補佐司教にペテロ・ルオ・スエガン神父(47)が11月30日叙階された。今回の叙階はバチカン(ローマ教皇庁)の事前の承認を得て行われた。
 バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は、同神父の補佐司教叙階を歓迎したものの、バチカンから破門されたパウロ・レイ・シイン神父が参列したことを非難した。
 「教皇の委任なしに行われた最近の叙階の後に、新たに司教が教皇と世界の全司教との交わりの中で誕生したという事実は確かに建設的だ」という。しかしレイ・シイン神父が参列したことは、「信仰者の間に不一致と困惑を招き、さらに司式司教として参加し、聖体を共に行ったことがさらなる問題を生じた。教会の定めに常に従わないことは、自身の教会法上の地位を不幸にもさらに悪化させる」と批判した。
 「通常の状態では、レイ・シイン司教の出席は完全に排除されるべきであったし、他の参加司教にも教会法上の措置を科しても当然である」として、「今回の環境では、非常な困難を伴わなければ、それを阻止出来なかった。いずれにせよ聖座(バチカン)は、より広くまた詳細な情報を得た時にこの問題についてより良い評価が出来るようになろう」と言う。
 香港の引退司教ヨセフ陳日君枢機卿は、レイ司教の参加は、「北京が私達の教会内部の規則を重んじない」ことをまたも示したもの、と語った。


◎「気候変動に対し責任と連帯ある回答を」と教皇、国連に訴え

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世はバチカン(ローマ教皇庁)で11月27日、日曜正午の祈りを信者と共に唱えた。降誕祭を準備する待降節に入ると共に新しい典礼年が開始したこの日、教皇は神を「目覚めて待つ」ことの大切さを説いた。
 教皇は、地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)が南アのダーバンで始まることに言及。地球温暖化という、この複雑で懸念される現象に対し、貧しい人々や未来の世代を考慮しつつ、すべての国が責任と信頼性、連帯の精神に満ちた回答を見出すことができるようにとの願いを表明した。


◎世界改革教会連盟が通貨変動に伴う財務問題検討

 【CJC=東京】世界改革教会連盟(WCRC)は理事会を11月20、21日にジュネーブで開催。ユーロや米ドルがスイス・フランに対して弱くなることで、スイス・フラン建てで設定された財務事情が悪化している問題を検討した。
WCRCの2010年の収入は138万8000スイス・フラン(約1億1800万円)と前年の160万1000スイス・フラン(約1億3600万円)より大幅に減少している。
 理事会は議長、各地区から選出された副議長、財務担当、総幹事で構成されている。
 『神学、宣教、交わり』部門のダウエ・ヴィッサー担当は、2012年の活動には、カトリック教会、改革派教会それぞれの神学者による対話の第2ラウンド、6月8日から7月1日までインドネシアのジョクジャカルタで神学生のためのセミナーが含まれる、と説明した。
 セトリ・ニョミ総幹事は、世界の金融制度に焦点を当てて2012年に開催する会議に関する計画についえ報告した。準備会議は12月11日から16日までジュネーブで開催される。

※関連短信
▽キューバの神学者・牧師のドーラ・アルセ=ヴァレンティン氏が世界改革教会連盟(WCRC)正義と提携プログラム責任者に任命された。2012年1月から活動を開始する。


◎宗教信者は無神論者を信用できない!?

 【CJC=東京】宗教を信仰している人は、世界で推計5億人いる無神論者を、強姦犯と同じくらい信用していないとの研究結果が12月2日、専門誌『ジャーナル・オブ・パーソナリティー・アンド・ソーシャル・サイコロジー』に掲載された。
 論文の主執筆者、カナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学博士課程のウィル・ジェルベー氏(心理学専攻)は、「宗教を信仰している人びとが多数派の場所、つまり世界のほとんどで、無神論者は最も信用できない人びとのグループに入る」と述べた。AFP通信が報じた。
 研究によると、神への信仰を表に出す人は、信頼できる人として見られるのだという。特に「神に監視された方が人間は善行をすると考える信者」の間でこの傾向が強かった、と共同執筆者のエイラ・ノレンザヤン氏は語る。
 研究チームは、米国の成人350人とカナダの学生420人を対象に、複数の仮定にもとづいた質問やシナリオを出した。その結果、「信用できない人」は、キリスト者やイスラム教徒、同性愛者の男性、フェミニスト、ユダヤ人よりも、無神論者である可能性が高いと考えられていることが分かった。無神論者と同程度に「信用できない」人びとは強姦犯だけだった。
 研究チームは、信仰者の無神論者に対する偏見は、嫌悪感や反感よりも、不信感によって動機付けられていることが分かったと結論づけている。


◎ジョニー・デップの楽曲にキリスト教団体が抗議

 【CJC=東京】映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』で知られる俳優のジョニー・デップが、英国のロック・バンドと一緒に録音した歌の内容をめぐり、米福音派宣教団体『フォーカス・オン・ファミリー』や『クリスチャン・コーリション』などから抗議を受けている。
 問題となったのは、ジョニーがギターで参加している『ザ・ジーザス・スタグ・ナイトクラブ』という曲。イエス・キリストによく似た外見の男がストリップクラブで酔いつぶれるという歌詞の内容が反感を呼んだ。
 「私たちはデップ氏の態度に吐き気がする。なぜこんな歌を録音する必要があったのか。世界中のキリスト者に平手打ちをするもの」と『フォーカス・オン・ファミリー』の報道担当は言う。
 『クリスチャン・コーリション』のメンバーは「彼はきっと自分では面白いと思っているだろうが、ただ恥ずかしいだけのこと。いつの日か、ジョニー・デップとその仲間たちは主の審判を受け、地獄で焼かれるだろう」と怒っている。


◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽米国に本拠を置く中国の人権監視団体『対華援助協会』のボブ・フー会長が欧州議会で、中国に於ける人権と宗教の自由の状況は、1989年の天安門広場での学生デモ抑圧以来の最低状況にある、と語った。
▽ネパールのカトマンズ市中央部クポンドレ地区にある『アセンブリーズ・オブ・ゴッド』派ナヴァジワン教会の入り口に11月27日夕、不審な袋が置かれていたのを管理人が発見。警察が付近一帯を立ち入り禁止にして、中にあった爆弾の起爆装置を取り外した。

≪中東≫
▽エルサレム神殿の西壁はヘロデ王が建設したものとされていたが、ハイファ大学のロニー・ライチ教授とイスラエル考古局のエリ・シュクロン氏が、定説に疑問を投げ掛ける発掘を行ったことを11月23日、記者会見で明らかにした。

≪欧州≫
▽バチカン(ローマ教皇庁)から非難されているカトリック保守派宣教会『聖ピオ10世会』総長のベルナール・フェライ司教は、バチカンから提示された教理面での指示に合意しない、と宣言した。
▽独ライプチヒの連邦行政裁判所は、ベルリンの学校がイスラム教の生徒が昼休みに祈祷するのを禁止したことを容認した。
▽独書店チェーン最大手『フェラーグスグルッペ・ウェルトビルト』社が出版環境激変の影響を受け、大株主のカトリック教会は数年前から売却を検討していたが、ついに決断した模様。ただ具体策は明らかにされていない。
▽反格差運動「ロンドンを占拠せよ」のメンバーが英国国教会の主教に手紙を送り、各教区の主要教会に「占拠の旅」を行う、と通知した。
▽スコットランド政府の同性愛者間の結婚許容に、地域最大の長老教会が反対の姿勢を強調した。

≪北米≫
▽米国の著名な大衆伝道者ビりー・グラハム氏(93)は肺炎のため11月30日、ノースカロライナ州モントリート近郊アッシュビルのミッション・ホスピタルに入院した。12月4日現在、病状は回復しているという。
▽米カリフォルニア州オレンジ郡のメガチャーチ『クリスタル・カテドラル』が資金難で売りに出されていたが、結局カトリック教会オレンジ教区が購入することになった。
▽米国の宗教事情調査機関『バーナ・リサーチ』がこの8月に行った調査では、最も影響力のあるキリスト教指導者の名前を挙げられなかった人が41%だった一方、8%がバラク・オバマ大統領だと思っていることが分かった。
▽カナダの諸教会が11月22日、トロント大学で開いた会議で、『多宗教世界にあってのキリスト者の証=行動指針』を発表した。世界教会協議会、バチカン(ローマ教皇庁)諸宗教対話評議会、世界福音同盟が共同で提案した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(12月4日)=https://www.cwjpn.com
★東北3県550キロの旅=カトリック学4校の先生4人=被災地ときずな結ぶ
★日本カトリック信徒宣教者会=宣教者2人派遣式=来春からモンゴルで活動
★「宣教地司祭育成の日」=献金額、前年を上回る
★カトリック関係者ら受賞=本年度の「社会貢献者表彰」
★外国人被災者は今=「東北ヘルプ」と「外キ協」がシンポ=仙台

 =キリスト新聞(12月3日)=https://www.kirishin.com
★日の丸・君が代=「強制NOで一致を」=キリスト者「祈りの会」で松浦悟郎司教
★大阪「教育基本条例案」に反対=超教派で170人が集い
★上智大学聖書講座で雨宮慧氏="現実認める時、目が開かれる"
★宮城県亘理=日本国際飢餓対策機構が支援=被災者の住宅が教会に
★OCC=進藤龍也牧師「ザアカイの家」開所="犯罪者の心が変わらなければ"

 =クリスチャン新聞(12月4日)=https://jpnews.org
★「連帯して脱原発活動を」=日本、韓国、モンゴルのクリスチャン同時記者会見
★感謝の歌声♪ 街中に=復興音楽祭典♪仙台ゴスペルフェスタ
★津波の恐怖語る=陸前高田キリスト教会・森田為吉牧師=8か月目の3・11一致祈祷会
★「君が代」強制に信仰の苦悩共有=超教派キリスト者が会合
★宣教フォーラム・秋田=地方の視点を次期伝道会議へ=大震災後の課題も視野に


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