世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1088信(2011.11.28)

  • 修道会員は規制に従え、とポーランド・マリア会
  • 教皇、一般接見でベナン司牧訪問を総括
  • 性的虐待に揺れたボストン教区のロー枢機卿「引退」
  • 対立者襲撃指示したアーミッシュの「暴君」起訴
  • 韓国で牧師と信徒に姦通罪で実刑判決
  • ワシントンで反格差占拠運動参加者に感謝祭の食事
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎修道会員は規制に従え、とポーランド・マリア会

 【CJC=東京】ポーランドのカトリック修道会『マリア会』は、アダム・ボニエツキ元総長(77)にメディアでの発言を禁止する、と11月3日決定したことで同神父支持者数千人から11日に抗議嘆願を受けたが、禁止決定を21日再確認した。
 「全ての修道者と同様に、マリア会士は、貞潔、清貧、服従という三つの誓いを行なっており、テレビ局とは編集部とか団体、官庁の所有物とはなりえない」とパウエル・ナウモビッツ現総長は公開書簡で明らかにしている。
 ボニエツキ神父は10月31日、テレビのインタビューで、反教会的な政党にによって触発された議論は「教会にとって必要だ。教会は、自らの友人や信者の輪の外に、教会を非常に批判的に見ている人が多くいることに気づかなければならない」と語った。反教会政党は、10月の総選挙で第三党となり、議事堂から十字架を撤去するよう要求している。
 別のテレビ・インタビューで、同神父は、一司教がカトリック信者に、音楽番組に悪魔崇拝とされているロックスターが出演したことに抗議して聴視料を支払わないよう呼び掛けたことは「過剰反応」と思う、と語っている。
 ナウモビッツ総長は、11月18日の書簡で、修道会員それぞれの「使徒的働きの状況」を決定するのは修道会であると指摘している。
 ボニエツキ神父は1993年から2000年までマリア会総長。メディア・パーソナリティーとして知られている。教皇ヨハネ・パウロ2世の要請を受けてバチカン機関紙ロッセルバトレ・ロマノのポーランド語版を創刊した。カトリック週刊紙の編集長を12年間務め、今年1月引退した。
 ボニエツキー神父は「非常に多数の人たちのガイド」として知られており、修道会の規制はヨハネ・パウロ2世の「対話と理解の文化を作ろう」という訴えに反する、とマリア会への嘆願書に署名した人たちは指摘している。「この精神に反対する行為は、教会に対する誤ったイメージを強くする」という嘆願書にはカトリック系雑誌編集者を始め信徒7860人が署名した。


◎教皇、一般接見でベナン司牧訪問を総括

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は11月23日、水曜恒例の一般接見を行った。講話で教皇は、18日から20日まで行ったアフリカ・ベナン司牧訪問について総括的に報告した。バチカン放送が報じた。
 教皇はベナン南部のコトヌーとウィダを訪れた。訪問の目的は、ベナン福音宣教開始150年を祝うこと、2009年10月にバチカン(ローマ教皇庁)で開催した第2回『アフリカのための特別シノドス』(代表司教会議)の成果を受けて起草した『アフリカ・シノドス後の使徒的勧告』を現地司教らに託すことだったと教皇は説明した。
 教皇はまた、今回の訪問で、ベナン出身の、同国とアフリカで広く尊敬されている故ベルナルディン・ガンティン枢機卿(1922〜2008)の墓所を訪ね、祈ることを望んだと述べた。
 特別シノドスでも強調されたように、アフリカのキリスト教共同体は今、信仰を新たにしながら、和解・正義・平和に奉仕するように招かれていると述べた教皇は、この和解がまず自分自身の内部に行われることで神の慈しみの喜びを伝える道具となり、その精神的豊かさ、和解の精神をもって、社会や、政治・経済に希望を与えることができるようにと述べた。
 教皇は、ベナンで小教区と共に、神の愛の宣教者会の運営する児童福祉センターを訪問したことにも言及。この出会いがアフリカの未来を担う新しい世代の歓喜と活気に触れ、恵まれない子どもたちに対する愛と連帯がキリストの力と愛情を現存のものとする様子を見る機会になったと指摘した。


◎性的虐待に揺れたボストン教区のロー枢機卿「引退」

 【CJC=東京】ローマにある『サンタ・マリア・マッジョーレ』大聖堂の主司祭にサントス・アブリル・イ・カステーヨ大司教が任命された、とバチカン(ローマ教皇庁)報道事務所が11月21日発表した。今回のバチカンの発表は、前任のバーナード・ロー枢機卿について言及しないという異例のもので、同枢機卿が辞任したとの報道についても触れていない。
 同大聖堂主司祭は名目的な地位とされ、2004年以来、米ボストン大司教を02年12月に辞任していたロー枢機卿が任命されていた。
 ボストン大司教時代、ロー枢機卿は、教区司祭による性的虐待問題で矢面に立たされていた。現地紙『ボストン・グローブ』の調査では、同枢機卿は虐待の事実を知りながら、関係司祭を別の職務に異動、不正の証拠を隠蔽していたという。
 主司祭への任命自体が、性的虐待の被害者の間に論議を招いた。不名誉な状況で辞任した高位聖職者に名誉的な地位を与えることが問題視されたもの。


◎対立者襲撃指示したアーミッシュの「暴君」起訴

 【CJC=東京】米国で伝統的生活を続ける『アーミッシュ』の指導者『ビショップ』らが10月4日から数日の間に襲撃を受け、ひげを剃られたり、髪を切られたりした。事件に絡み逮捕された容疑者サミュエル・マレット・シニア(66)が、教えに反する者に暴行を加えたり、鶏舎に拘束したり、既婚女性に性的な儀式を行う「暴君」だったことが明らかになった。AFP通信が報じた。
 宗教的な憎悪犯罪(ヘイトクライム)の実行と共謀の罪で起訴されたのは、サミュエル・マレット被告の他、3人の息子のジョニー、ダニエル、レスター、義理の息子のエマニュエル・シュロック、信者のリーバイ、エリ・ミラーら7人。
 オハイオ州ベルゴルツの小さな共同体で、マレット被告は、自らの判断に異議をとなえた対立者らのヒゲと髪の毛をそるよう息子と信者らに命令したとされる。襲撃者らは刃渡り約20センチのはさみと電動式バリカンを手に、被害者らの自宅を夜に訪れ、拘束した上で男性のひげと女性の髪の毛をそり落としたという。アーミッシュの男性のひげ、女性の長い髪は神聖視されており、それをそられることは究極の屈辱と考えられている。
 米連邦捜査局(FBI)の捜査後に発表された宣誓供述書によると、マレット被告は「ベルゴルツの人たちの生活のすべて」を管理していたという。「ベルゴルツでは、マレット氏の許可がなければ、いかなる判断も下されず、訪問者も認められなかった」と、宣誓供述書には述べられている。「アーミッシュの教えと聖書を軽視して、マレット氏は、コミュニティー内で彼に反対する者に対して強烈な罰を与え、肉体的負傷を負わせた」。「さらに、マレット氏はグループ内の既婚女性たちに『カウンセリング』を行い、女性たちを自宅に連れ込んで、悪魔から身を清めると述べて性的な行為をしていた」という。
 マレット被告は2003年にベルゴルツ・グループの『ビショップ』に就いたが、マレット被告の指導に合意できないとして、8家族が2年後、ベルゴルツを離れた。
 マレット被告はこの8家族を破門した。しかしペンシルベニア州ユリシーズで開かれたアーミッシュの宗教指導者の会議で、マレット被告の行いとベルゴルツ・グループで起きたことの対策を検討する会合が持たれ、破門の撤回が決定された。
 この判断にマレット被告が激怒したことが襲撃につながったと見られる。襲撃された『ビショップ』らは破門撤回に関与していた。


◎韓国で牧師と信徒に姦通罪で実刑判決

 【CJC=東京】韓国・清州地裁は11月27日、姦通罪で在宅起訴された牧師A被告(50)に対し懲1年6月、相手のB被告(41)に対し同1年の判決を下し、法廷内で身柄を拘束した。朝鮮日報が報じた。
 憲法裁判所で違憲立法審査が進められている姦通罪の最高刑は懲役2年だが、最近は執行猶予が付くケースが大部分を占める中、今回の判決では異例。
 李俊明〈イ・ジュンミョン〉裁判長は判決文で「牧師のA被告は、B被告と告訴人(夫)の婚姻に当たって主礼(日本の仲人)を務めており、夫婦が幸せな家庭を築けるよう祈願する立場にあった。」と述べた。
 また「A被告は、B被告夫妻が長い間通った教会の担任牧師として、信頼を背景に、戒律に従って、信徒たちを正しい道に導かなければならない立場にあった。社会的な規範をないがしろにし、周囲の人々に強い不信感を与え、社会に少なからぬ傷を付けた被告人らを厳罰に処すのは妥当だ」と付け加えた。
 A被告とB被告は、B被告夫妻の1991年の結婚7年後の98年から昨年4月にかけ、13年にわたって互いの婚姻関係を維持しながら、不倫を続けていたとして在宅起訴され、共に懲2年を求刑されていた。


◎ワシントンで反格差占拠運動参加者に感謝祭の食事

 【CJC=東京】米ワシントンの『ニューヨーク・アベニュー長老教会』で11月23日、格差に抗議する占拠運動の参加者たちに感謝祭の食事が振る舞われた。AFP通信が報じた。
 会堂地下室で、ローストターキーやマッシュポテト、トウモロコシ、パンプキンパイなど500人分が提供された。ユダヤ教徒の戒律に沿った食事やベジタリアン用の食事も用意された。
 各宗教の人たちが1カ月前に立ち上げた『オキュパイ・フェイス・DC』(首都ワシントンの信仰占拠運動)という組織が企画したもの。これまでにもデモ隊が集まっている市内のマクファーソン広場とフリーダム・プラザで炊き出しや備品の提供、精神的なサポートなどを行っている。
 貧富の格差や企業の政治介入に抗議する占拠運動は、発祥地のニューヨークなど米各地では逮捕者が出るなど事件化しているが、ワシントンでは当局が容認し、逮捕者は出ていない。


◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽米国の『ウォール街を占拠せよ』運動に刺激されてか、カトリック教会が優勢なフィリピンで11月後半になって、人口制限立法を要求する声が高まっている。

≪インド亜大陸≫
▽インド東部ジャルカンド州で採炭業界に搾取され貧困にあえぐ現地人を援助する活動に従事していた『イエスとマリアの愛徳姉妹会』のヴァルサ修道女(53)が11月15日、暴徒50人に殴打、殺害された。18日の葬儀にはキリスト者500人以上が参列した。

≪中東≫
▽パレスチナ市民は、ベツレヘムの町を世界遺産にユネスコ(国連教育科学文化機関)が認知することを期待しているが、聖地管理に当たっているカトリック修道会『フランシスコ会』のピエルバッティスタ・ピッザバッラ修道士は、観光地ではない、と指定に消極的だ。

≪欧州≫
▽スペイン・バルセロナの『サグラダファミリア』と設計者アントニオ・ガウディの芸術、科学、霊性を主題にした展示がバチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場を囲むコロネードの一部で2012年1月15日まで開催される。
▽アイルランドではデリー教区のシームス・ヘガティー司教(71)が辞任した。健康上の理由としているが、病状は明らかにされていない。これで同国26教区のうち7教区が司教不在となる。
▽ドイツ・カトリック教会が、所有している『ウエルトビルト出版グループ』の株を即時売却する、と11月22日発表した。同社はドイツ最大の出版社だが、ポルノ関係書を2500点近く発行していたことが分かったためという。
▽カトリック教会の国際神学委員会が11月28日から12月2日までバチカンで開催される。
▽この7月に死者77人を出したテロ事件を受けてノルウェー教会エキュメニカル・国際関係協議会とイスラム教評議会が、宗教的極端主義を「わたしたちの宗教の教えに反する」と非難した声明を11月22日発表した。

≪北米≫
▽米サンフランシスコのカトリック教会モースト・ホーリー・レディーマー小教区は、同性愛には寛容な姿勢で知られているが、11月30日のミサに公然同性愛者の聖公会引退主教のオッティス・チャールズ氏に司式を委嘱した。c
▽米連邦議員に宗教問題でロビー活動を行う団体が、1970年には40以下だったのに、今では200を超えている。ピュー調査センターが明らかにした。

≪南米≫
▽リオデジャネイロの高さ38メートルのキリスト像。ブラジル独立100周年を記念して作成され今年80周年にあたるのを記念して、ブラジル国内各地と日本を含む世界20カ国余りで、約4メートルのレプリカ像と写真が展示される『キリスト像を世界のすべての人々へ』展が計画されている、


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月27日)=https://www.cwjpn.com
★震災経て広報の役割問う=弱者への視点持ち、福音宣教を=カトリック広報全国会議
★大分教区=設立50周年祝う=ミサで"金祝"の司祭、修道者、夫婦も祝福
★教皇 ベナンを訪問=教会はアフリカの和解のモデルに
★長崎教会管区の被災地支援で派遣=九州から岩手北端へ=久慈教会を手伝う伊東成晃神父
★ふれあいマーケットで被災者との憩いの時間=協力者も各地から=宮城・亘理教会

 =キリスト新聞(11月26日)=https://www.kirishin.com
★グリーフケア・サポートプラザ10周年で講演=山形孝夫氏「祈りの中で死者に聞く」
★原発体制を問うキリスト者ネット=日・韓・蒙で同時会見
★出版販売協会出版部会主催=公開パネル「震災とキリスト教ジャーナリズム」=被災地を忘れないために
★カトリック司教団がメッセージ="いますぐ原発廃止を"
★聖職者の性的虐待=「教会に責任」と英裁判所

 =クリスチャン新聞(11月27日)=https://jpnews.org
★今こそクリスチャンの出番=クラッシュジャパン=心のケア・ボランティア募集
★「日本は一つ」の危うさ=第23回信教の自由セミナー
★NPOグリーフケア・サポートプラザ=悲しみとどう向き合うか=自死遺族を支え続けて10年
★復興支援で疲れた信徒ら励ましたい=日韓教会協力で「信仰回復聖会」=仙台で第1回開催
★hi-b.a.代表スタッフ=荒井恵理也氏逝去


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