世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1087信(2011.11.21)

  • 教皇、ベナンへ司牧訪問
  • 教皇『アフリカ・シノドス後の使徒的勧告』に署名
  • 『ロメロ大司教トラスト』にエルサルバドル友好賞
  • イラン青年にキリスト教広まる?
  • 教皇がイスラム教指導者とキス!?
  • パキスタンで携帯メールに「イエス・キリスト」禁止
  • 英最古の宗教専門紙『バプテスト・タイムズ』廃刊へ
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎教皇、ベナンへ司牧訪問

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世は11月18日、アフリカのベナンを3日間の日程で訪問した。教皇は、現地時間18日午後、第一の訪問都市、コトヌーに到着、ボニ・ヤイ大統領をはじめとするベナン政府要人、現地の教会関係者らが出迎えた。
 バチカン放送によると、教皇は歓迎式の挨拶で、この訪問が今年記念されるベナンとバチカン間の外交関係樹立40周年と、同国への福音宣教150周年の祝賀の機会に行われることを指摘した。
 教皇は今回の滞在中、2009年10月にバチカンで開催された第2回アフリカのための特別シノドス(代表司教会議)の実りを受けて自ら起草された『アフリカ・シノドス後の使徒的勧告』を司教らに手渡したいと述べ、この使徒的勧告がアフリカの多くの教会共同体の司牧活動を導き、信者たちを大きく成長させることを要望した。最後に教皇は現地語のフォン語で、ベナンに神の祝福を祈った。
 教皇は、歓迎式に続いてコトヌー司教座大聖堂を訪問した。慈しみの聖母に捧げられた同大聖堂で、教皇はベナンの教会関係者らと感謝の賛歌『テ・デウム』を歌い、アフリカの保護者であり、キリスト者の助け、模範である聖母に、アフリカに希望、平和、正義がもたらされるよう取り次ぎを祈った。
 教皇は、19日午前、コトヌーの大統領官邸で、政府関係者・同国駐在外交団・諸宗教代表者ら約2500人と会見した。
 教皇は、「希望」をテーマに、アフリカの未来を勇気付ける講話を行い、腐敗や不正義と戦い、自由を求める人々の未来への希望を断ち切ることがないようにと訴えた。「アフリカは希望の大陸である」と述べた教皇は、これは安易な言い回しではなく、ご自分とまたカトリック教会が実際に感じていることと強調、アフリカに対する否定的な見方や、悲観的な分析が、同大陸の現実に歪んだイメージを与えていると指摘した。
 教皇は、特にアフリカ大陸を単なる搾取すべき巨大な埋蔵地と見なす、一部の人々の矮小的かつ尊重を欠いたビジョンに厳しく警告、また、ここ数ヶ月アフリカ大陸の各地で表明された、人々の自由への渇望、物質的保証の必要、民族・宗教を越えた調和ある市民生活への意欲にも言及、同大陸に人々の求める自由が尊重され、個人の利益ではなく全体の利益を求める透明な政治を推進し、平和と正義に満ちた社会を構築していく必要を訴えた。
 教皇はボニ・ヤイ大統領と個人会談を行なった後、ウィダのサン・ガル神学校を訪問、校内にある故ベルナルディン・ガンティン枢機卿の墓前で祈った。
 神学校で司祭・神学生・修道者と祈りの集いを持った後に教皇は、ウィダの大聖堂でシノドス関係司教らを前に、アフリカ・シノドス後の使徒的勧告『アフリチェ・ムヌス』に署名した。


◎教皇『アフリカ・シノドス後の使徒的勧告』に署名

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は11月19日、司牧訪問先、ベナンのウィダでアフリカ・シノドス後の使徒的勧告『アフリチェ・ムヌス』に署名した。
 バチカン放送によると、この使徒的勧告は2009年10月に行われた第2回アフリカのための特別代表司教会議で採択された57の提案を踏まえ、教皇がシノドス後の指針として起草したもの。
 勧告は二つの部分からなる。第1部は、アフリカ大陸における教会の使命を支える基本構造を確認しながら、和解・正義・平和、そして福音宣教という目標に向かうために必要とされる要素を考察している。
 第2部では、教会の使徒職の現場に教皇は目を向け、司教・司祭・神学生・信徒・助祭・修道者・カテキスタら、教会を構成するそれぞれの人々の使命の認識と育成について触れている。
 また、特に教育・医療・広報メディアなど、使徒職の分野で教会が果たすべき役割、福音宣教の重要さを改めて確認している。


◎『ロメロ大司教トラスト』にエルサルバドル友好賞

 【CJC=東京】エルサルバドルは11月11日、第1回『アミーゴ・ド・エルサルバドル賞』(エルサルバドル友好賞)をロンドンに本拠を置く『ロメロ大司教トラスト』に授与した。同団体は人権擁護に貢献したオスカル・ロメロ大司教の意思に沿って2007年設立、同大司教の生涯とその働きに関する知見と認識を広める目的で、毎年講演会を行い、ラテンアメリカ地域での人権と正義を確立する動きを支援している。
 エルサルバドルのウゴ・マルティネス外相は、ロンドンでの授賞式で、同団体のジュリアン・フィロソウスキー議長に金メダルを贈呈、授賞は同団体の働きを評価したもの、と語った。
 『アミーゴ・ド・エルサルバドル賞』は、内外に居住する市民に貢献した外国人に授与する目的で設定された。
 ロメロ大司教は、エルサルバドルの12年にわたる内戦の最中、抑圧に反対姿勢を貫いていたが、1980年3月24日、ミサを執行中に殺害された。この5月にはバラク・オバマ米大統領がサンサルバドル大聖堂内にある同大司教の墓を訪れている。
 『ロメロ大司教トラスト』の支援者にはカンタベリー大主教はじめ英国のカトリックや国教会の聖職者も含まれている。


◎イラン青年にキリスト教広まる?

 【CJC=東京】イランのキリスト教通信『モハバト・ニュース』が、イラン青年にキリスト教が広まっている、と報じたことに、テヘランで発行されている政府系の日刊紙『ジョウムホウリ・エ・エスラミ』(イスラム共和国)が、報道は「西側の下劣な政党」が主張しているだけのことだ、と反論している。
 「西側メディアが欧米では人びとがイスラム教に改宗していると報じている時に、「西側の下劣な政党」が、イランの若者はキリスト教に親密感を抱いている、と主張する。それは西側の人たちがイスラム教に向かおうとしている事実を隠そうとするものだ」と言う。


◎教皇がイスラム教指導者とキス!?

 【CJC=東京】伊アパレルブランド『ベネトン』が広告に、各国首脳や宗教指導者らがキスをする合成写真を使用したことに反発が広がった。
 『ベネトン』は11月16日、「アンヘイト(反憎悪)」キャンペーンと銘打って、各国指導者らの合成キス写真広告を各地のベネトン店舗のほか、新聞、雑誌、ウェブサイトなどで展開した。
 バラク・オバマ米大統領は、中国の胡錦濤国家主席とキス。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長、ニコラ・サルコジ仏大統領とアンゲラ・メルケル独首相などの組み合わせの中に、教皇べネディクト16世とイスラム教の有力指導者アフマド・アル・タイーブ師などのキスシーンも展開された。
 教皇の広告はバチカン(ローマ教皇庁)の抗議で同日中に撤去された。AFP通信によると、ベネトン側は「あらゆる形態の憎悪文化に立ち向かうこと以外の意図はない」「信者の皆様方の感情を深く傷つけたことを謝罪する」と釈明したものの、バチカンは17日、「人々の尊厳でなく、信者の感性をも傷つけるものだ」として、問題の写真が出回らないよう法的措置を取ったことを明らかにした。


◎パキスタンで携帯メールに「イエス・キリスト」禁止

 【CJC=東京】『パキスタン・テレコミュニケーション・オーソリティー』(PTA)が、携帯電話各社に、「イエス・キリスト」など「不快」な言葉を含むメッセージの阻止を指示した。
 PTAから禁止される語句と表現を列記した「辞書」が送られてきたことを、『テレノル・パキスタン』と『Uフォン』社が、英公営BBC放送の取材に、確認した。PTAは、メッセージ検閲の11月21日開始をオペレーターに指示したという。
 検閲指示が明らかになったのは、PTAのムハンマド・タリブ・ドゲル氏のものと見られる11月14日付け書簡がメディアに漏れたため。
 『英・パキスタン・キリスト教協議会』のウィルソン・チョウドリ議長が、米宣教通信『アシスト』に、禁止語の中に「イエス・キリスト」がある、と伝えた。
 「リストの中にイエス・キリストの名が含まれているということは、パキスタンでキリスト者に対する強烈な憎悪の一例だ」とチョウドリ氏。「イエス・キリストは、イスラム教の聖典『コーラン』では偉大な預言者とされているのに、それを反イスラム的とする意味が分からない。パキスタンのイスラム教主流派は、自身の預言者の1人に対する愛よりキリスト者への憎悪の方が強いということだろう」と言う。
 チョウドリ氏は「パキスタンでは携帯電話使用が急増しており、その中でキリスト者がメールに「イエス・キリスト」という表現を使う人がどの程度いるか、さらには使った場合の罰がどんなものになるのか、心配だ」と指摘している。


◎英最古の宗教専門紙『バプテスト・タイムズ』廃刊へ

 【CJC=東京】現存する英国の宗教専門紙では最古の週刊『バプテスト・タイムズ』が今年いっぱいで廃刊することになった。同紙は1855年創刊、1970年代には発行部数3万5000部に達していたが、その後減少し、現在はスタッフ3人で発行部数5000。
 業界紙『プレス・ガゼット』によると、発行部数減と広告収入減から、大英バプテスト連合への依存を強めなければならなくなり、それが長年続いていた。この7月、連合理事会は、同紙への助成を来年春で停止することを決めた。
 同紙は、紙版の発行は止めるものの、ウエブ上では存続する。新編集長と副編集長はバプテスト連合によって再雇用されることになろう。


◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽ベトナムの「家の教会」アガペ・バプテスト教会の指導者が11月13日、ハノイ近郊のライ・タオ村で霊的刷新の集会を行なっていたところを襲撃され、牧師1人が意識不明の重傷を負った。
▽北朝鮮への緊急援助物資輸送が、10月末から11月初めに掛けて韓国の教会指導者数人は平壌を訪問した際に行なわれた。

≪インド亜大陸≫
▽パキスタンのカラチで11月16日、伝道者ジャミール・サアワン氏が、イスラム教過激派と見られる男に射殺された。

≪欧州≫
▽『グーテンベルグからグーグルへ』が2017年の『宗教改革』500周年には重大テーマになる、と準備を進めているルーテル世界連盟委員会が想定している。
▽ウイーンのカトリック教会統合に伴い、閉鎖される教会堂をセルビア正教会に譲渡するとのクリストフ・ションボルン枢機卿の決定に反対の声が上がったが、バチカンの承認を得て譲渡が正式に決まった。
▽ウイーン大司教クリストフ・シェンボルン枢機卿は、改革要求勢力との対話に踏み込む姿勢を見せている。
▽イタリアのグッビオでは町を見下ろす丘に、2000フィート(約600メートル)の高さのクリスマスツリーをかたどったイルミネーションを設置、12月7日に教皇べネディクト16世がバチカン(ローマ教皇庁)からiPadを使って点火する。

≪北米≫
▽米連邦破産判事は11月17日、クリスタル・カテドラルの売却先にチャプマン大学ではなくカトリック教会オレンジ教区を選定した。
▽米聖公会の聖職・信徒でカトリック教会とフルコミュニオン(完全相互聖餐)関係に入ることを望む人たちで来年1月1日、カトリック教会内に独自の教区『オルディナリエイト』を結成する。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月20日)=https://www.cwjpn.com
★「いますぐ原発の廃止を」=司教団がメッセージ発表
★日韓司教交流会 仙台で開催=犠牲者・被災者のため祈る=環境、原発事故問題学び、意見交換
★イエスのカリタス修道女会=南スーダンへ会員派遣=最も貧しく、助けを必要としている国へ
★新教皇庁大使=仙台市長を表敬訪問=震災義援金手渡す
★さぬきうどんを仮設住宅へ=岩手=高松教区サポートセンター

 =キリスト新聞(11月19日)=https://www.kirishin.com
★聖学院大学総合研究所シンポ=神学的にどう受け止める?=「壁のない教会」こそ
★日本福音振興会が顕彰式=日野原氏、泉田氏に功労賞
★ソウル日本人教会から吉田耕三氏招く=埼玉=元「慰安婦」の"痛み"を
★映画『ゲーテの恋』主演 フェーリングさん="なんてステキな生き方"
★英国国教会ロンドン・セントポール大聖堂=「反格差デモ」への対応苦慮

 =クリスチャン新聞(11月20日)=https://jpnews.org
★冊子で被災者・支援者をケア=クリスチャン臨床心理士、精神科医、カウンセラーら総力結集
★巨大な輪転機にビックリ!=新生宣教団聖書印刷工場見学
★大阪府「君が代」強制条例に危機感募る=「神以外が良心の主になってはならない」=反対集会に6教派170人
★福音功労賞に日野原重明氏、泉田 明両氏
★キリスト教功労者に加藤常昭氏、西野和子氏


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