世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1083信(2011.10.24)

  • サーカス宣教は司祭にとっても信仰の綱渡り
  • 香港の陳枢機卿が学校の運営めぐり3日間断食
  • グラウンド・ゼロのギリシャ正教会が移転再建へ
  • ケニアの難民キャンプで活動家2人拉致
  • 米女優スーザン・サランドンが教皇をナチス呼ばわり
  • またも外れた「最後の審判」の日
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎サーカス宣教は司祭にとっても信仰の綱渡り

 【CJC=東京】米宣教専門RNS通信が、カトリック教会のサーカス宣教について報じている。
 米マサチューセッツ州ウースターのDCUセンターに設けられた祭壇に特別に変わったところはないが、サーカスの一行がミサに訪れると雰囲気が一変した。ジェリー・ホーガン司祭はライオンやシマウマが描かれた色彩豊かな祭服を身にまとい、『聖体』を執行する際には、非番の出演者たちは大理石の床にひざまずき、祈り、自然にポルトガル語で歌い出した。と言ってこれはサーカスの出し物ではない。
 米国のサーカスは巡業列車に集団で乗り各地を回る。公演も年に数百回に上る。このサーカス団にはカトリック信者が50人いるが、子どもたちと一緒に、司祭や修道女にハグする顔は、喜びに輝いていた。司祭たちはこの日のために準備を進めていたのだ。
 米カトリック司教協議会の『サーカスと移動ショー宣教』部門は、北米で興行している41のサーカスで働くカトリック者4500人と各地で開催されるカーニバル、ロデオ、オートレースなどで働く数千人の信徒に霊的に強める働きをしている。
 サーカスなどは各地巡業が前提となっているため、出演者たちは、ほとんどが教会に来ることが出来ない。それなら教会の方が出向こうという活動だ。そして一般信徒の活動を重視するよう、改善も進めてきた。
 有名な『リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス』は、メンバーの子どもたちのために修道女を教師として雇用した。修道女たちは成人のために宗教活動も行ってきた。今回ドロシー・ファブリッツェ修道女とバーナード・オバカンプ修道女が他のサーカスに同行することになったので、サーカス団員を宗教教育者として訓練、宣教活動維持のために募金も行っている。
 この特別な宣教は、1928年にサーカス列車の祝福が行われたことが起源になっている。その後、ボストンのエド・サリバン司祭がサーカス労働者の結婚式を行ったという。
 ホーガン司祭自身、子どものころにサーカスに魅せられ、1993年に司祭に叙階されて以来、サーカス宣教に献身している。「サーカスで演技が行われている時、そこは聖なる場所なのです。演技者にとっては神殿です。人びとは楽しみ、現実での出来事を一時忘れるために来るのです。私の仕事は、演技者の力向上を支援システムによって助けること」と言う。


◎香港の陳枢機卿が学校の運営めぐり3日間断食

 【CJC=東京】香港カトリック教会の引退司教陳日君枢機卿(79)が10月19日、サレジオ会研究所玄関で3日間の断食に入った。記者会見で、カトリック学校の運営をめぐる裁判所の裁定への悲しみを表明するため行うが、教会は裁定を重んじると語った。ボランテアのヘルスワーカーが心臓疾患のある枢機卿の健康状態を見守った。
 2004年の改定教育条例で、政府助成を受ける学校はそれまでの理事会を廃止し運営委員会の設立を要求された。教会側は適用除外を求めて訴えていたが、このほど最終控訴裁で却下された。
 陳枢機卿は、改定条例は宗教団体が学校を運営する権利を保証する香港基本法に違反しているとして、教会が学校運営の権利を安易に放棄すべきではないが、もしそれを強制されれば、もはやこれまでのビジョンとミッションに従って学校を運営出来なくなる、と言う。
 22日に断食を終えた陳枢機卿は、衰弱はしたものの「歴史に残ることだろう」と語った。


◎グラウンド・ゼロのギリシャ正教会が移転再建へ

 【CJC=東京】10年前、ニューヨークのワールド・トレード・センターが同時多発テロで崩壊した際、そのあおりを受けて近くのシーダー・ストリートにあった『セント・ニコラス・ギリシャ正教会』も壊滅した。1916年にギリシャ移民によって建設された同教会、『グラウンド・ゼロ』と名付けられた跡地に存在していた唯一の宗教建造物だった。
 同地での建物再建を規制していたニューヨーク・ニュージャージー港湾局を相手どって訴訟に持ち込んでいた教会が、このほどアンドリュー・クオモ市長の仲介を受け入れ提訴を取り下げた。ENIニュースが報じた。
 10月14日に明らかにされた合意によると、教会はリバティ・ストリート沿いの敷地に4100平方フィート(約380平方メートル)の新会堂と超教派の慰安センターを2013年から建設する。費用や工期は未定。


◎ケニアの難民キャンプで活動家2人拉致

 【CJC=東京】ENIニュースによると、ケニア北部ダダーブ難民キャンプで『国境なき医師団』の補給担当者モンセラット・セッラ氏(40)とブランカ・シボーさん(30)が10月13日、自動車で物資を輸送中、武装暴徒に襲われ拉致された。運転主も銃撃され負傷した。9月にも救援団体『ケア・インターナショナル』の運転手が襲撃を受け拉致されている。いずれも今日まで所在不明のまま。
 同地の難民キャンプの収容規模は9万人。実際には50万人以上が流入している。
 今回の事件に、多くの救援団体は、遺憾の意を表明したものの、残留と活動継続を決めている。
 「キャンプは平静を取り戻し、生活必需品の供給は継続している。保安状況が改善された」とルーテル世界連盟のアン・ワンガリ地区担当は18日語った。カトリック救援団体『カリタス・ソマリア』のスザンナ・トカレク地区担当も「最高の保安手順に従い、活動を継続する」と述べている。
 アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、ソマリアに連れ去られたと見られる2人の捜索は継続中として、拉致を非難、「彼らを拉致の対象にすることは全く受け入れられない。即時安全復帰を関係者に要請する」と13日語った。


◎米女優スーザン・サランドンが教皇をナチス呼ばわり

 【CJC=東京】「ウォール街を占拠せよ」デモに参加したことでも知られるベテラン女優スーザン・サランドン(65)が10月15日、ニューヨーク郊外で開かれた『ハンプトン国際映画祭』に出席した際、教皇べネディクト16世を「ナチス」と呼んだと報じられた。スーザンは映画『デッドマン・ウォーキング』に、死刑廃止論者であるカトリックの修道女役で主演、オスカー主演女優賞を受賞している。
 米紙『ニュースデー』によると、映画の原作は、実在した修道女ヘレン・プレジャンさんの著作。それをかつてローマ教皇に送ったことがある、と説明したスーザンが、「前の教皇に送った。今の"ナチスのほう"ではない」と語った。スーザンの「ナチス」コメントにインタビュアーがたしなめたが、スーザンは同じことを繰り返したという。
 これについて、全米最大のカトリック市民権団体『カトリック連盟』は声明でスーザンを激しく非難、「彼女の無知は意図的で、憎悪に満ちており、真実を理解しようとしていない。べネディクト16世は当時、敢えてヒトラー・ユーゲントの会合参加を拒否し、後に放棄してさえいる」と指摘した。
 『ヒトラー・ユーゲント』は、ナチス政権下のドイツの唯一の青少年団体。


◎またも外れた「最後の審判」の日

 【CJC=東京】米カリフォルニア州オークランドのキリスト教系ラジオ・ネットワーク『ファミリー・ラジオ』のハロルド・キャンピング主宰者は、「最後の審判」の日を自ら予言して米社会に反響を呼んできた。
 今年に入ってからは5月21日午後6時に、大地震とともに神に選ばれた地上のキリスト教徒が天に挙げられる「携挙」が起きるという予言をしていた。それを真実と信じて全財産を売り払った人も出たが、何事もなかった。その際、キャンピング氏は気を取り直して今度は10月22日と予想したものの、これも外れた。さすがに今回混乱は報じられていない。
 『ファミリー・ラジオ』自体は今のところ何の声明も出しておらず、メディアを避けている。
 キャンピング氏の娘は「落胆させて申しわけないが、メディアやプレスには話さないように言われている」とクリスチャン・サイエンス・モニター紙の電子メールによる問い合わせに答えた。
 キャンピング氏には、もう予言の力があるとは見られないが、この世の終わりがいつ来るか、をめぐる議論は米国では絶えることがない。
 2012年終末説もある。米航空宇宙局も結構真面目に対応している。ウエブサイトには「2012年に地球には何も起こらないだろう。地球は40億年以上にわたって大事に至ることがなかった。世界の科学者が2012年に結び付く危機は起こらないと考えている」と言う。


◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽香港のカトリック英字週刊紙『ジ・エグザミナー』によると、司祭がミサで使用する祈祷書をインターネットで検索する機会が増え、特にiPadアプリケーション『iBreviary』は最も頻繁に参照しているものの一つ。全世界でのダウンロード件数はこれまで20万件以上にのぼるという。

≪インド亜大陸≫
▽インドの『ナブバーラト』紙によると、ムンバイのカトリック教会司祭もiPadを積極的に導入しようとしている。アップル製品を扱う家電店を訪れていた1人は「テクノロジーと宗教は決して水と油の関係ではない」と話している。
▽インド・マハラシュトラ州プネーの売春組織に拘束されていた少女2人が10月13日、キリスト教救援組織『インディアン・レスキュー・ミッション』と警察によって解放された。

≪中東≫
▽トルコ東部ワン県で10月23日午後、マグニチュード7・2の地震があった。少なくとも50が死亡。被害は拡大する可能性がある。

≪欧州≫
▽教皇ベネディクト16世は10月16日、2012年10月11日に『信仰年』を開始すると発表した。同日は第2バチカン公会議50周年に当たる。
▽世界教会協議会(WCC)は10月18日、エジプトが民主化へ向かう中、カイロで発生した抗争で死者25人を出すに至ったのを受け、キリスト者(コプト教徒)の正義、暴力否定、対話への願いを支持する、との声明を発表した。

≪北米≫
▽世界キリスト教コミュニケーション連盟(WACC=本部トロント)は、デニス・スミス理事長を理事会で再選した、と発表した。任期3年。
▽米公民権運動指導者マーティン・ルーサー・キング牧師の業績をたたえる記念碑がワシントンに完成、10月16日の落成式にはバラク・オバマ米大統領始め
▽米調査団体『バーナ・グループ』の調べでは、教会に通う人の93%が地球規模の貧困に関心を抱き、さらにその3分の1は「特に関心がある」と答えている。若者世代の関心が特に強い。
▽ロックミュージシャン、アリス・クーパーは反キリストと非難されたこともあるが、毎週、オフの日は地元の教会へ通い、聖書のクラスを受け持っているという。英紙『ザ・サン』に「アリスは単なるキャラクターだ。アリスは教会へ行くのを嫌っているが、俺は毎週日曜日通っている」と語った


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月23日)=https://www.cwjpn.com
★震災受け「危機管理」研修=学校理事長ら率直に意見交換=カトリック学校法人理事長研修会
★南相馬市で鎮魂の祈り=原町教会でミサ=関東からも参列
★「世界宣教の日」=教皇、メッセージで=連帯なしに福音化はできない
★「世界宣教の日」=教皇庁宣教援助事業=日本事務担当の報告=昨年の献金2500万円超=国内外の宣教活動に
★教皇=キリスト者襲撃を非難=民主化に向かうエジプトで死傷者

 =キリスト新聞(10月22日)=https://www.kirishin.com
★第3回9条アジア宗教者会議に参加200人超=沖縄から軍事基地の撤廃訴え
★太平洋放送協会=60周年で記念式=教会のパートナーとして=初代理事長 羽鳥明氏も出席
★「反原発」集会後、在特会と小競り合い=教団牧師が"傷害罪"で逮捕=滋賀
★『侍とキリスト』の著者来日="ザビエルは最初の特派員"
★「光の旅の礼拝」でキャンドル・ジュンさん="原発なくさなければ"

 =クリスチャン新聞(10月23日)=https://jpnews.org
★福音主義医療関係者協議会有志ら=被災地で体も心も医療支援=地域連帯だけで癒されない霊的必要
★親子で走って、跳んで、汗流し=チア・にっぽんオリンピック
★盛岡月が丘キリスト教会=無牧でも被災者に奉仕=被災地支援の牧師らも教派超え応援
★地域との距離縮まった=一致祈祷会でWEA特使も激励=震災から7か月=塩釜・大友幸一牧師が報告
★国連加盟問題でバチカン代表演説=パレスチナ・イスラエル両立を主張


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