世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1070信(2011.07.25)

  • 『キャンパス・クルセード・フォー・クライスト』が『Cru』に
  • ノルウェーのテロ容疑者は「キリスト教原理主義者」?
  • バチカン開発援助促進評議会が創設40周年
  • ベネディクト16世の兄が新著『わたしの弟、教皇』
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎『キャンパス・クルセード・フォー・クライスト』が『Cru』に

 【CJC=東京】ビル・ブライト牧師とヴォネット夫人が米フロリダ州オーランドで1951年に創設した学生伝道団体『キャンパス・クルセード・フォー・クライスト』が、60周年を迎え、名称を『Cru(クルー)』に変更することを決めた。コロラド州フォートコリンズで7月19日開催したスタッフ会議で決定したもので、これまでの名称では不都合な事態になったため、という。
 キリスト教宣教・伝道団体やメディアなどでは、「つわもの」「騎士」「旗」や「軍」とか、「平和」と相容れない名称を使っている例が多い「クルセード」もずばり「十字軍」だ。原理主義など、他宗教排撃を当然とする人からは異議が出そうだが、「平和」を志向する動きの中で、さらには活動の実態から外れてきたとか、奉仕活動のようにキリスト教の枠をはみ出した場合など、改称を考え、実行した所も出ている。
 米YMCAは2010年に『ザ・Y』に改称、また英YWCAも『プラットフォーム51』に改称した。
 『キャンパス・クルセード・フォー・クライスト』米国担当のスティーブ・セラーズ副会長は「キャンパス」と「クルセード」の双方に問題が出てきた、と言う。
 「キャンパス」に関して見ると、すでに学校に留まらず家庭、アスリート、軍、都市などの各分野で伝道を展開している。
 「クルセード」と言えば、かつては著名な大衆伝道者ビリー・グラハム牧師がスタジアムなどで開催した大規模伝道を意味していた。
 「今日では、クルセードというと、歴史的な意味合いが強く、十字軍時代を想起させ、中東がらみでは使用することが適切ではなくなってきた」と言う。
 「クルセード」という言葉を避けようとしているのは、『Cru』だけではない。グラハム牧師の母校イリノイ州の『ホイートン大学』は2000年にマスコットを変更している。グラハム牧師の子息フランクリン氏は「フェスティバル」を使っている。
 教会名自体の変更も、メリーランド州ロックビルの『クルセーダー・ルサラン』教会が『リビング・フェイス・ルサラン』教会のような例がある。
 『Cru』となると「キャンパス」や「クルセード」だけでなく「クライスト(キリスト)」もなくなってしまうではないか、とウエブサイトで指摘され、「キリスト教色の強い名称ではそっぽを向くような人ともキリストについて、議論も可能になる。わたしたちの世界に対する働き掛けやコミュニケーションが最高の名誉であり、キリストの栄光を称えるものである、と信じる」と回答している。
 『Cru』はすでに大学のキャンパスでは使用されている。またカナダの提携団体では『パワー・トゥ・チェンジ』、ヨーロッパでは『アガペ』を名乗っている。ただ包括団体『キャンパス・クルセード・フォー・クライスト・インターナショナル』は今のところ改称の予定はない。
 「最初から、ビルは名称変更にはオープンだった。石に刻み付けたものだなどと思ってもいなかった。20年か25年前に、自分でも名称変更を考えていた。人々がこれまでに生きた中で最も重要な人イエス・キリストについて聞くことのためにはどんな障害も取り除きたい」とヴォネット夫人も声明で述べている。


◎ノルウェーのテロ容疑者は「キリスト教原理主義者」?

 【CJC=東京】ノルウェーの首都オスロと郊外のウトヤ島で7月22日発生した爆発と銃乱射事件で逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)は、弁護士に「非道だが、自分の中では必要なことだったと思っている」と話している。
 同容疑者は、爆弾の製造過程などを記した約1500ページに上る文章を犯行直前にインターネットに掲載、少なくとも2009年秋からテロを計画していたと見られる。また動画投稿サイトにも自らを「聖戦の騎士」と位置付け、共産主義やイスラム教への戦争を呼び掛ける内容の映像を掲出していた。
 ノルウェー警察はブレイビク容疑者を「キリスト教原理主義者」だとしている
 同容疑者の素顔について、大量殺人や爆弾製作に携わっていない時はビデオゲームに興じたり、ブログで発信したり、ポップ・ミュージックに興じたりしていたことが分かっている。また日曜夜には母親と食事を共にするのが常だったという。
 細心の注意を払って、目立たない存在であるように振る舞い、自ら名付けた「殉教者作戦」に取り組むという二重生活を送っていたと見られる。
 永年、イスラム教徒や移民の危険に関するインターネット上のフォーラムで議論に参加していたことは確か。ただどの段階で、欧州文明を引き裂いていると自ら信じる病気を解決するのは暴力だと決断したのか、はなお明らかではない。
 2000年代初めに保守系の『進歩党』の党員だった容疑者を知っている人も「目立つ発言はしなかった。その他大勢の1人で、印象に残らなかった」と言う。
 ただ当時、ヨーロッパのイスラム化を危惧した運動が起こり、それに刺激されたことは確かなようだ。


◎バチカン開発援助促進評議会が創設40周年

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)開発援助促進評議会は今年で創設から40年を迎えた。
 正式名称を『コール・ウーヌム(一つの心)』という同評議会は、教皇パウロ6世によって、1971年7月15日創立された。主な活動目的は、慈愛(カリタス)の教えを推進し、福音的な愛の証しを信徒に促すこと、教会の支援事業を助け、人間的発展のために連帯と兄弟愛の業を推進することにある。
 バチカン放送によると、同評議会議長ロベール・サラ枢機卿は、創設40周年に際し、機関紙『ロッセルバトレ・ロマノ』にメッセージを寄稿した。
 同枢機卿は、開発援助促進評議会の歩みを振り返りながら、教会における愛の業を励まし、教皇庁と教会の様々な支援組織の間に、出会いと対話、計画の調整の場を作り出すというその役割を強調した。
 また、これからの同評議会の目標として、ベネディクト16世の最初の回勅にあるように「神は愛」であることを証しし、福音と愛の業を結びつけると共に、教会内の連帯を強化し、支援のために働く人々の「心の育成」をすること、の4点を挙げた。
 サラ枢機卿は、今年5月、教皇代理として東日本大震災の被災地を訪問している。


◎ベネディクト16世の兄が新著『わたしの弟、教皇』

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世の兄、モンシニョール・ゲオルグ・ラッツィンガーが、『わたしの弟、教皇』(仮訳)という著作をジャーナリストのミハエル・ヘーゼマン氏と共著で完成した。独出版社ヘビック社から、教皇の訪独直前の9月12日に発売される。
 兄弟は1951年6月29日にフライジングで司祭に叙階された。今年は60周年ということもあり、著作出版が企画されたようだ。256ページの同書には写真40点も挿入されている。


◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽聖座(バチカン)は7月16日、中国広東省スワトー教区で14日に行なわれたヨセフ・ファン・ビンザン神父の不当叙階に関する宣言(英語)を発表した。バチカンの機関通信VISが報じた。「破門」を確認したもの。
▽中国でさらに独自司教、ハルピン教区に誕生へ。仏通信報道。
▽中国の英字紙『チャイナ・デイリー』は7月22日、中国天主教(カトリック)愛国会が、さらに7教区で司教叙階の準備を進めている、と報じた。

≪欧州≫
▽教皇ベネディクト16世は9月22日から25日まで、母国ドイツを訪問する。
▽報道団体『UCIP』は「カトリック」名乗れない、とバチカンが7月15日声明。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月24日)=https://www.cwjpn.com
★全教区の担当者ら一堂に=今後の支援策共に探る=震災から4カ月
★平和旬間=司教協議会会長談話=「平和を願うすべての人々へ」=歴史的悲劇の年 イエスの愛こそ平和の理想
★井上神父と岡田大司教対談=心情に合った信仰を=日本文化の中のキリスト教とは
★「ハリー・ポッター」最終作=「友情と犠牲の価値を擁護」=バチカン日刊紙が評価
★中国でまた違法叙階=別の新司教破門から10日後

 =キリスト新聞(7月23日)=https://www.kirishin.com
★原発に「被造物のうめき」=明治学院大学キリスト教研究所が講演会
★映画『はだしのゲンが見たヒロシマ』完成=中沢啓治さん"原発は制御できない"
★日基教団=全17教区で総会終える=被災地支援と「免職」めぐり議論
★クリスチャンアカデミー関東活動センター=関東大震災の教訓を今に
★「クリスタル・カテドラル」=カトリック教会が買収へ

 =クリスチャン新聞(7月24日)=https://jpnews.org
★DV卒業した夫婦の軌跡="共依存"気づき「暴力受けぬ」決意
★教会の復興支援に優遇税制=震災で「指定寄附金」特例措置
★廃校に おともだちの歓声=北海道新冠町でMEVIG view開設
★戦災児に延べた手から愛の感化が...=橋の下のみかん箱から始まった「深川愛隣学園」創立60周年
★玉川聖学院=学校教師と教会教師=震災を通して共に学ぶ


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