世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1069信(2011.07.18)

  • バチカンが中国の教会に警告、「一致損なう」
  • 「司教たちは破門と見なされる」とバチカン
  • 中国関係は「50年代に逆行」と福音宣教省局長
  • 秘密叙階のスン司教が拘禁から解放
  • 中国で叙階式典参列強要のためか一部司教拘束
  • ポーランドの修道院で『悪魔ばらい会議』
  • ゴリアテの生地?ガテの発掘開始
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎バチカンが中国の教会に警告、「一致損なう」

  【CJC=東京】聖座(バチカン)報道事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は7月14日、中国で不当に司教叙階が行なわれたことに教皇ベネディクト16世が、悲しみの懸念を表明したことについて、それが「普遍的な教会の一致」を損なうものだ、と語った。
 中国天主教(カトリック)愛国会は14日、広東省汕頭(スワトー)教区で、教皇の任命を得ないままで、ヨセフ黄炳章(ファン・ピンザン)神父を司教に任命した。6月29日にも、四川省楽山教区で、パウロ雷世銀(レイ・シイン)神父を司教に任命している。一連の式典には、教皇に忠誠を示している司教たちが、拒否にもかかわらず参加を強制されたという。
 バチカンは、6月末の非合法な司教叙階に対し、7月4日付で声明を発表。この中で、教皇の委任無しで叙階された司教はカトリック司教区を司牧する権限を持たず、教皇庁はその司教を該当教区の司教と認めないこと、不当な叙階を行った司教らは教会法に基づく重い処罰を負わされること、教皇の委任のない司教叙階は教皇の精神的役割と直接対立し、教会の一致を損なうものである、と宣言している。


◎「司教たちは破門と見なされる」とバチカン

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省は、中国の司教で、6月末の違法叙階に参加した人を「破門」されたと見なす、と布告で明らかにした。「破門」が重過ぎるとするのなら、それを明確に主張出来なければならない、という。
 「この司教たちは、違法な叙階によって、秩序に従わないという重大な行為を実際に行ったのであり、そうではないことが実証されない限り、破門を自ら招いたものと推定される」と布告は述べている。この布告は7月12日、機関通信フィデスによって明らかにされた。
 布告では、四川省楽山教区で6月29日に司教に叙階されたパウロ雷世銀(レイ・シイン)神父は、すでに「ラタエ・センテンティアエ」(自動的)破門状態にあること、それを聖座(バチカン)が公式に宣言したことも、明らかにしている。
 福音宣教省は、雷世銀神父とその叙階式典に関係した司教は、バチカンに従わなければならない、と強調している。
 教会法では、関係した司教たちは「即時に聖座に赦しを求め、違法な叙階式典に参加した理由を明らかにし、聖座からの応答を待つ」ことが定められている。
またその間、ミサ執行、その他の秘跡の実施やそれを受けること、教務を行うことは禁止される。また信徒が、臨終など緊急事態を除いて、これら司祭から秘跡を受けたり、違法な宣教に正当性があるかのようなことをしてはならない、と同省は通知した。
 この措置が必要なのは、「司祭や信徒が、問題の司教の良心を判断する立場にないからではなく、『推定される処置』が今も取り消されていない」ため。
 バチカンとしては、雷神父に関しては司教叙階の有効性を否定はするものの、同神父を司教とは認めないが司祭ではある、としている。
 福音宣教省は、同神父にはローマとの関係を修復する道はあるものの、それが実現しても、正当な司教とされることを期待すべきではない、と強調している。


◎中国関係は「50年代に逆行」と福音宣教省局長

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省局長のサヴィオ・韓大輝(ホン・タイファイ)大司教(香港出身)は、今後さらに教皇の同意なしに司教叙階が行われれば、中国とバチカンとの関係に「新たな逆行」となる、と7月12日語った。「政府と中国の為政者は、教会は政府によって管理されるべきだ、と確信している」とイタリア紙『ラ・スタンパ』とのインタビューで語ったもの。
 同大司教の指摘は、広東省汕頭(スワトー)教区で14日に、ヨセフ・黄炳章(ファン・ピンザン)神父が教皇の任命を得ないまま司教に叙階される僅か2日前に行われた。
 中国ではこの9カ月間、教皇の承認なしの司教叙階が相次いでおり、黄神父は3人目。いずれの叙階式典も中国政府公認の中国天主教(カトリック)愛国会が主宰した。同会は教皇の権威を認めていない。
 韓大司教は、「2010年11月と今年6月29日の不当叙階で、中国政府が『50年代』に状態を後退させた」と言う。「彼らは、司教を政府の監督下に叙階したいのだ。わたしたちは関係密接化を図って段階を踏んできたのに、と驚いている」として大司教は、カトリック教会が共産党政策の間接的な被害者となった、と信じると言う。
 「『政治局』で、最高指導者は課題を全部こなしている。中国で大変化が起きるまでにまだ18カ月ある。胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席(共産党総書記)の交代は必至だ。保身のため皆が非妥協的な左傾色を打ち出そうとしている。選挙運動の類型だ」とも韓大司教は指摘する。
 12日のインタビューは、福音宣教省が6月に楽山教区の不当叙階に関わった司教に警告を発した直後に行われていることが注目される。
 韓大司教は、問題の司教の中にはすでにローマに「圧力下にあること」や、「参画を強制された」と説明して来ている、ことを明らかにした。ただ中には「何事もなかったかのように自分の教区に戻った」司教もおり、「信徒の間に不安を引き起こしている」と言う。


◎秘密叙階のスン司教が拘禁から解放

 【CJC=東京】中国カトリック教会河北省邯鄲教区のジョセフ・スン・ジゲン補佐司教が拘禁状態から解放されたことが7月11日明らかになった。政府には連絡せず秘密裏に司教に6月21日叙階された、と教区が発表したのを受けてのものと見られる。
 叙階式典は教皇の指示により、邯鄲のステパノ・ヤン・シャンタイ司教(89)が司式した。
 教会側は、ヨハネ・ファイ・ジャンティン神父とペテロ・リュウ・シンファ神父が地元当局に、スン司教がすでに叙階されたことを伝えた。当局が河北省聖承徳からヨセフ・グォ・ジンツァイ司教を招くよう圧力を掛けるためか、司祭を連行していた。
 教区は聖ペテロ聖パウロの記念日の6月29日に叙階することを公式には計画していたが、当局は反対だった。同教区が昨年11月に教皇の承認を得ないままに叙階された司教を拒否していたためと見られる。当局はさらに、日程が共産党結成記念日の7月1日に近過ぎると指摘していた。
 秘密叙階の後、スン司教は河南省安陽に移り黙想に入ったが6月26日、黙想を終えた同神父は警察車両で河北省石家庄に連行されていた。


◎中国で叙階式典参列強要のためか一部司教拘束

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)の認知を受けた広東省江門のリャン・ジャンセン司教、同省梅州のリャオ・ホンキン司教、広州のヨセフ・ガン・ジュンキウ司教たちが警察に拘束され、連絡が取れなくなっている、とカトリック系通信『アジアニュース』が報じた。
 政府公認の天主教(カトリック)愛国会が広東省汕頭(スワトー)教区で、教皇の任命を得ないままで、ヨセフ黄炳章(ファン・ピンザン)神父を司教に7月14日任命したが、それへの参列を強要するためのものと教会筋は見ている。


◎ポーランドの修道院で『悪魔ばらい会議』

 【CJC=東京】ポーランドの古都クラクフ近郊チェンストホーヴァのヤスナ・グラ修道院で、世界各地のエクソシスト(悪魔ばらいの祈祷師)たち約300人が参加して『悪魔ばらい会議』が行われた。同修道院は『黒い聖母』のイコンが祭られていることで有名。
 AFP通信が同修道院のラジオ放送によるとして報じるところでは、今年の会議では「欧州や世界全体の吸血鬼たちの最近のトレンドや心の病、悪魔ばらい実施中の悪魔による妨害」などについて話し合われた。この会議は2年に1回開催されている。
 インドのルーファス・パレイラ司祭や、オーストリア・ウイーン大司教区のラリー・ホーガン主任エクソシストなど悪魔ばらい界の著名人も参加している。
 会場のヤスナ・グラ修道院にある『黒い聖母』のイコン画には奇跡を起こす力があると、多くのポーランド人が考えている。ポーランドは国民の9割がローマ・カトリック教徒であることを自認している。


◎ゴリアテの生地?ガテの発掘開始

 【CJC=東京】イスラエル・バルイラン大のアレン・メイア教授ら考古学者が、聖書の登場人物ゴリアテの生地とされるガテの発掘を開始した。メイア教授がAP通信に語ったところでは、「ダビデの投石で穴があいたゴリアテの頭蓋骨がいつか発見されることを予想しているわけではないが、発掘で当時の状況が判明するかも知れない」と言う。
 ペリシテ人はギリシャから到来したとされているが、学者たちはガテが紀元前9世紀に、アラム王ハザエルによって破壊されたとされる痕跡を発見したとの報道もある。


◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪欧州≫
▽ハンガリーで『良心と宗教の自由の権利、教会・宗教・宗教団体に関する法律』が成立。共産主義政権当時同様に宗教抑圧色が強い、と教会など反発。
▽オーストリア・カトリック教会の司祭4200人の中で6月に提唱された『不服従への呼び掛け』に参加すると誓約した人が300人を超えた。
▽バチカン(ローマ教皇庁)新福音化推進評議会は7月12日、ヨーロッパの主要都市で再宣教を展開する計画を発表した。
▽ジュネーブ近郊ボセーのエキュメニカル研究所で7月4〜29日に行われている『多信仰社会の建設』を課題として夏季コースには学生23人が参加した。
▽ベルギーのブリュッセルにある欧州連合(EU)本部で『北朝鮮人権国際シンポジウム』が開催された。韓国の国家人権委員会とEUが共同で北朝鮮の人権問題を正式に取り上げるのは初めて。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月17日)=https://www.cwjpn.com
★仙台教区宮城県大会=震災越え「新しい創造」へ=方針確認し祈りのうちに
★常任司教委員会=震災後半年の礼拝=NCCとの共催を承認
★社会や制度の変化踏まえ=「愛」テーマに全国研修=日本カトリック保育施設協会=長崎
★京大の小出裕章さん招き講演会=原発廃止に向け広島で=正義と平和広島協議会が市民団体と共催
★バチカン高官が言明=聖ピオ10世会の叙階は「違法」

 =キリスト新聞(7月16日)=https://www.kirishin.com
★上智大学グリーフケア・セミナー=専門家が指摘=支援者の「心のケア」を
★靖国問題考える学習会で西川重則氏=「憲法生かした平和づくりを」
★「見えない脅威」に怯えるフクシマ="このまま突っ走っていいのか"
★川端純四郎氏 被災地から発言=「苦しめるものへの怒り必要」=キリスト教出版販売協会
★バチカン・WCC・WEA=「改宗」問題で共通指針

 =クリスチャン新聞(7月17日)=https://jpnews.org
★ホーリネス弾圧記念聖会20回="傍流"である重要性=上中栄氏=教派性の特色継承を強調
★美濃ミッション励ます中田重治の手紙発見=排撃に「裁判」勧め=神社参拝拒否で共闘
★「らい予防法」廃止から15年=国賠訴訟勝訴10年=隔離政策の責任 私たちにも
★仙台で復興支援礼拝・ライブ=「被災して神様に出会った」=高校生証し
★東京福音リバイバル聖会=2千人の大会=運営すべて中高生で


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