世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1068信(2011.07.11)

  • ユダヤ教超正統派が反キリスト者キャンペーン
  • 中国・楽山司教は自動的に破門
  • 米UCCが教憲から「天におられる父」表記外す
  • 『クリスタル・カテドラル』をカトリック教会が買収へ
  • 米国人の3割は聖書を文字通りに理解
  • 教皇、創刊150周年迎えたバチカン機関紙を訪問
  • 教皇、カステルガンドルフォの離宮へ
  • 聖座財産管理局局長にカルカーニョ大司教
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎ユダヤ教超正統派が反キリスト者キャンペーン

 【CJC=東京】ユダヤ教超正統派グループ『ヤド・ラフィム』が6月29日、キリスト教宣教師と「メシアニック・ジュー」と呼ばれるユダヤ人キリスト者への反対キャンペーンを始めたことを確認した。米宣教通信ワージー・ニュースが報じた。
 その一例として、エルサレム西郊のセルゲ・コゲン、ナアマ・コゲン夫妻が、16歳のドンナ・ルボフスキーさん(16)をキリスト教信仰に強制的に導いたとして、夫妻宅周辺で気勢を上げたという。
 コゲン夫妻は、ドンナさんが教会の礼拝に出席したいと意思表示したので、両親の許可も得ている、と言う。ドンナさんがアルコール依存症やその他の自傷行為などの問題を抱えており、それを克服しようとしていたのだ、と夫妻は語っている。
 一方、『ヤド・ラフィム』は、驚いた両親がすぐに連絡して来たもので、調査の結果、見過ごせない問題と判断したと言う。弁護士を家族のもとに派遣、宣教団体による虐待として警察に訴えるよう助言することも明らかにした。
 またイスラエル議会(クネセト)に、ユダヤ教国イスラエルでの宣教活動を厳しく規制するよう働きかける意向。すでに全国紙『ハアレッツ』に広告を出し、宣教師が破壊的な活動をしている、と警告した。


◎中国・楽山司教は自動的に破門

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所は7月4日、中国天主教(カトリック)教会四川省楽山教区で行われたパウロ・レイ・シイン神父の司教叙階に関するコミュニケ(英語)を発表した。
 同神父は、教皇の指示なしで違法に叙階されたので、教区を統治する権限はなく、聖座(バチカン)はシイン神父を楽山教区司教とは認めない。それは教会法1382条の違反としている。
 同司教は自動的に破門されたことになるが、その具体的な内容は示されず、また叙階式典に参加した司教7人の処遇も明らかにされていない。この7人はいずれもバチカンが承認している。


◎米UCCが教憲から「天におられる父」表記外す

 【CJC=東京】米合同キリスト教会(UCC)は、フロリダ州タンパで開催した第28回総会で7月4日、教憲・教規修正案を賛成613、反対171、棄権10で採択した。今回の修正には、「天におられる父」という神の表記を外すことも含まれている。キリスト教の根本にかかる三位一体説にも触れることとして注目される。
 同派のバーブ・パウエル報道担当は、「UCCでは、神・キリスト・聖霊のイメージは三位一体のさまざまな表現を可能にしようということで、天におられる父はその一例なのだ」と言う。
 さらに同派は、伝統的な用語も、より包括的なものにしようしていると述べた。例として神を「創造者」とか「父母」という用語で表現する、をあげている。
 同派内で告白運動を展開している『バイブリカル・ウイットネス・フェローシップ』のデビッド・ラニオン=ベアフォード代表は、「イエス・キリストという名でいのちを差し出した息子を犠牲とすることでわたしたちの父となった。......わたしたちの父を否定することは、文化的適合いう名の尊大な反抗であり、会員や教会を疎外させるだけでなく神自身を遠ざけることになる」と言う。


◎『クリスタル・カテドラル』をカトリック教会が買収へ

 【CJC=東京】米カリフォルニア州オレンジ郡のカトリック教会が、破産したメガチャーチ『クリスタル・カテドラル』の買収を計画している、とカトリック通信CNAが報じた。
 信徒120万人と、全米で11番目のオレンジ教区は7月7日、規模にふさわしい会堂を捜している、と発表した。同教区は、サンタアナに2500席規模の大聖堂建設を10年越しに計画していたが、方針を変更したものと見られる。
 『クリスタル・カテドラル』は、大衆伝道者ロバート・シュラー氏が設立した教会の「目玉」として、著名な建築家フィリップ・ジョンソン氏に設計を依頼して完成した総ガラス貼り、3000席の会堂。
 ガーデングローブにある『クリスタル・カテドラル』は、一時信徒数約7000人を擁していた。しかし宣教活動の主体となったテレビ番組『力の時』の負担が大きく、献金減少もあって、負債が5000万ドル(約40億円)を超え、支払いも滞るまでになり、連邦破産法第11章の適用申請を行っている。
 米国だけでなく、世界的に知られた『クリスタル・カテドラル』だけに、それをカトリック教会が買収するとなると、様々な反響が出て来ることは必至だ。


◎米国人の3割は聖書を文字通りに理解

 【ニューヨーク=CJC】米国では、10人に3人は聖書を文字通りに理解しており、実際に神の言葉だ、と言う。ギャラップ調査社が5月5〜8日に行った調べでは、この20年間ほぼ同率だが、1970年代や80年代よりは低下している。これまでの最高は80年と84年で、それぞれ40%、最低は2001年の27%だった。
 一方、米国人の約半数49%は、聖書を神の霊感による言葉、とするものの、文字通りに受け取るべきではない、という。また別の17%は、聖書を人間が記録した古代の物語、と見なしている。
 教派別に見ると、カトリック者の3分の2が、聖書を神の霊感による言葉と信じている。プロテスタントでは、「キリスト者」と自認している人も含めて、聖書を文字通り真実と信じる人が多く41%に達しており、さらに46%は聖書を神の霊感による言葉と信じている。
 宗教と関係のない人では63%が聖書は全く神の言葉ではない、としている。


◎教皇、創刊150周年迎えたバチカン機関紙を訪問

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は7月5日、バチカン(ローマ教皇庁)機関紙『ロッセルバトレ・ロマノ』創刊150周年を迎えたのを機に、同紙本部を訪問した。
 教皇は、関係者に挨拶を伝え、「あなたたちの、見えない所での疲れを知らない日常作業が、使徒ペテロの後継者の宣教の働きに奉仕するという、この独特な形のコミュニケーションを作り出しており、福音宣伝と真理の証しに重要な貢献をしている。教皇の教えを広め、教皇やローマ教皇庁の活動に関する情報を提供し、さらには世界のカトリック生活を反映させることで『ロッセルバトレ・ロマノ』は信者に、キリストの言葉と教会の教導職の光の下で、信徒が現実の諸問題を考えるのを助けている。この点で、聖座の新聞は重要なリソースであり、さらに理解、認識される必要がある」と語った。


◎教皇、カステルガンドルフォの離宮へ

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は7月7日、夏期休暇のためローマ郊外カステルガンドルフォの離宮に移った。同日夕、現地に到着した教皇は、町の広場に面した離宮のバルコニーから市民に挨拶した。
 教皇のカステルガンドルフォ滞在は、9月末頃までの予定。7月中、教皇による毎週水曜日の一般謁見は行わない。8月3日(水)から再開される。
 日曜正午の祈りの集いは毎週、カステルガンドルフォの離宮中庭で行われる。
 カステルガンドルフォは、ローマ南部の丘陵地帯、カステリロマーニの一角にある、人口およそ9千人の町。17世紀から、夏の滞在地として歴代教皇を迎えてきた。


◎聖座財産管理局局長にカルカーニョ大司教

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は7月7日、聖座財産管理局局長アッティリオ・ニコラ枢機卿の同職引退願いを受理、同局次長ドメニコ・カルカーニョ大司教を新局長に任命した。
 教皇は同局の新次長に、ミラノ大司教区『ヴィッラ・カニョーラ宗教高等研究所』および『パウロ6世基金』所長で、同大司教区の教会財政支援推進部責任者ルイジ・ミスト神父を任命した。
 ニコラ枢機卿は、昨年末の教皇自発教令により発足した聖座財務情報監視局の局長を兼任していたが、今後、後者の任務に専念する。


◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪欧州≫
▽バチカン(ローマ教皇庁)の秘密文書の一部が来年2月、ローマのカピトリーネ博物館で展示される。
▽教皇ベネディクト16世は、南スーダン独立に祝意を表すため、使節団を新首都ジュバに派遣した。同国はキリスト者が大多数で、その主流はカトリックという。
▽教皇ベネディクト16世は7月7日、カステルガンドルフォの離宮に移り、夏休みに入った。
▽オーストリア・カトリック教会では250人以上の司祭が、教会改革案を一方的に発表した。教会当局に正面から挑戦した形だ。改革案には、カトリック信者以外にも聖体を授けること、女性や既婚男性も司祭に叙階することも含まれている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月10日)=https://www.cwjpn.com
★被災者の新生活を応援=教会近くの避難所ホテル閉鎖で=東京・麹町教会
★広島教区叙階式=9月23日に決定=前田万葉被選司教
★宮城・気仙沼市=仮設商店街建設へ=被災前より夢ある街を若手経営者中心に=仙台教区SCも支援
★2010年教会現勢=信者数、前年比0・3%減=10年前より洗礼、結婚など大幅減
★中国で違法叙階=他教区では受階予定者連行

 =キリスト新聞(7月9日)=https://www.kirishin.com
★『新約全書』を今読む="良いわざ生き続けて"=ブラウンの功績偲び出版記念礼拝=横浜
★「路上生活者支援連絡会」が講演会="いのちの使い方問われている"
★メーリングリスト通じメッセージ収集=学生の強み生かした支援=青山学院大学
★3刷重ねる『ふしぎなキリスト教』="事実誤認"と憤慨の声も
★中国カトリック教会×バチカン=教皇承認なしの叙階で混沌

 =クリスチャン新聞(7月10日)=https://jpnews.org
★茨城・鉾田教会=風評被害の農家を支援=教会間で野菜直販プロジェクト
★アルジェリアで教会に閉鎖命令=祈り要請
★内村鑑三生誕150年の課題=鈴木範久氏講演=文明に頼る現代への批判と回復策
★陸前高田で福祉家「留岡幸助」上映会=出身の主演・村上弘明さんも参加
★ビュン宣教師が反訴=名誉毀損で被害者、支援者らを


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