世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1063信(2011.06.06)

  • 原発問題も討議、ドレスデンで『キルヘンターク』
  • 中国がまたバチカン同意なしに司教叙階へ
  • 「聖体としての教会」焦点に第3次ARCIC
  • 教皇、クロアチア訪問、ザグレブで歓迎式
  • メソジスト教職任命式典挙行にバチカンが反対
  • 欽定訳刊行400周年記念展がランベス宮殿で
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎原発問題も討議、ドレスデンで『キルヘンターク』

 【CJC=東京】旧東独ザクセン州の州都ドレスデンで第33回『キルヘンターク』(教会大会)が6月1日から5日まで開催され、1990年の東西ドイツ統一以来初めて東側のキリスト者が多数参加、全体では約12万人の大会となった。
 「1961年に『ベルリンの壁』が作られて以来、ドイツのキルヘンタークとしては今回初めて本物となった」と『緑の党』のカトリン・ゲリング・エッカルト連邦議員が語った。ルーテル派、カルヴァン派などプロテスタント諸教会の連合体である『ドイツ福音教会』の指導者でもある。
 ドレスデンは、1989年、プロテスタント諸教会がベルリンの壁撤去のため一連の祈祷会を開催するなどして、両独統合への道を開いたことで記念されるべき所。「今回のキルヘンタークは、20年前にここドレスデンに勇敢なキリスト者がいたからこそ可能になった」と、クリスティアン・ヴルフ大統領は参加者に語った。
 今日、ドレスデンは人口約50万人の僅か2割が教会員。それにもかかわらず、当地で大会が開催されたのには理由がある。
 ENIニュースによると、ザクセン州はかつてマルチン・ルターの故郷でもあり、重要な宗教論議もここで行われた。教会に行かない市民に、「今日の教会は若く、幸せで霊的であり、思慮深く世界に対している」ことをキルヘンタークという催しが伝えられれば、と福音ルーテル派のヨーヘン・ボール監督は言う。
 今大会のプログラムは地球規模の展望を反映するものとなった。3月に日本を襲った大地震と福島原発のメルトダウン(炉心融解)を受けて、脱原発環境をどのように創り出すかに関する討議も盛り込まれた。ドイツ政府が2022年までに、核エネルギー依存廃止計画と発表したばかりのこと。
 キルヘンタークはプログラムを、神学と信仰、政治と社会、世界と環境という3大テーマの下で討議した。


◎中国がまたバチカン同意なしに司教叙階へ

 【CJC=東京】中国政府公認のカトリック教会が新たに司教叙階の準備を進めている。有力候補はバチカン(ローマ教皇庁)の同意を得ていないことから、北京と聖座(バチカン)との緊張がさらに強まることは必至。
 問題の候補者は、武漢教区のジョセフ・シェン・グォアン司祭(50)。6月9日に叙階されるという。
 中国天主教(カトリック)愛国会のリウ・バイニアン名誉会長は情報を確認しなかったが、武漢教区は長年にわたって司教不在で、シェン司祭が暫定的に任務を果たしてきた、として「司教候補の1人として選出されており、準備をしてきている。叙階されてしかるべきだ」とAP通信に語った。
 香港の『聖霊調査センター』のアンソニー・ラム氏は、叙階に関する教皇の承認はシェン司祭に出ていないとして、「これから承認されるかも分からない。となると、この種類の叙階が困難を招き、誰にも利益をもたらさない」と語った。
 カトリック系UCAN通信によると、中国当局は各司教に叙階式典への出席するよう圧力を掛けている。
 バチカンの「中国の教会」に関する特別委員会は、司教・司祭に、バチカンの承認のない司教叙階式典に出席した場合、自動的に破門措置を受ける、と警告している。
 リウ氏は「中国のカトリック教会は、司教を自ら選び、叙階する」と語っている。


◎「聖体としての教会」焦点に第3次ARCIC

 【CJC=東京】第3次『英国国教会とローマ・カトリック教会の国際委員会』(ARCIC)の第1回会合が5月17〜27日、北イタリア・ボセで行われた。国教会のデービッド・モクソン大主教(ニュージーランド)とバーナード・ロングリー大司教(バーミンガム)が議長となり、世界各地から様々な分野の神学者18人が参加した。
 バチカン(ローマ教皇庁)のキリスト教一致推進評議会の発表によると、論議は2006年の共通宣言で示された計画に沿って、コミュニオン(聖体)としての教会、地域と普遍、そしてコミュニオンにおいて地域と普遍教会はどのようにして正しい倫理的な教えの認識に到達するか、に集中した。
 また信仰と神聖な生活において完全な聖体の再確立という共通の目標への関わりが今日どのように理解され、実行されるべきか、を再検討し、さらに第2次ARCICの成果を全面的に受け入れられるよう適切な注釈と共に提示することも課題とされた。
 委員会は2012年に予定されている次回会合で、これらの課題に引き続き取り組む。


◎教皇、クロアチア訪問、ザグレブで歓迎式

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は6月4日、クロアチアへ2日間の日程で司牧訪問した。今回の訪問は、クロアチア・カトリック教会主催の『家庭の日』行事への参加が主な目的。訪問のテーマは「キリストにおいて共に」。
 バチカン放送によると、教皇は両日とも首都ザグレブに滞在、この間、宗教行事として『若者たちとの前夜の祈りの集い』『第1回クロアチア・カトリック家庭の日記念ミサ』『教会関係者との夕べの祈り』を行った。また政府要人、各界代表者とも会見した。
 クロアチア語で行われた空港到着の挨拶で、教皇は、前任者の福者ヨハネ・パウロ2世の3回にわたる同国訪問を想起すると共に、クロアチアと教皇庁の13世紀以上にわたる誠実な友好関係に言及した。
 歓迎式典終了後、教皇はイボ・ヨシポビッチ大統領を官邸に表敬訪問、続いてバチカン大使館でヤドランカ・コソル首相および政府関係者と会見した。


◎メソジスト教職任命式典挙行にバチカンが反対

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)が、英リバプール教区のパトリック・ケリー大司教に、司教座聖堂でメソジスト教会の教職任命式典の挙行を許可しないよう指示した。
 ケリー大司教は昨年秋、リバプール・メソジスト教区議長のジェームズ・ブース牧師の要請に応え、同派の教職任命式を司教座聖堂で行なうことを許可した。
 大司教の許可は、カトリック内部からの批判にさらされた。「神聖冒涜」とされたり、混乱をもたらす、などの声がインターネットのブログにも書き込まれた。
 これに対し、同大司教は象徴的なこととして、式典執行を認めると明らかにしていた。


◎欽定訳刊行400周年記念展がランベス宮殿で

 【CJC=東京】800年にもわたってカンタベリー大主教の拠点として知られるランベス宮殿で、『ジェームズ王聖書』(欽定訳)の刊行400周年を記念した展覧会が5月25日から7月29日まで開催されている。
 14世紀にジョン・ウイクリフがラテン語から訳出したものから、1961年のNEBまで展示した狙いは、聖書訳出に至るさまざまな動機や技術を探ることにある。
 学芸員のジャイルズ・マンデルブローク氏は、聖書が手書きから印刷になった今日まで変化してきた点が二つある、と言う。一つは、聖書の原義を確認しようとする事実と確実性への探索であり、もう一つは教会や国家の助成なしに聖書が作られたこと、と語った。
 展示の見所は、欽定訳の1611年版と手書きの草稿。当時用いられていたジュネーブ聖書が傍注付きだったが、王権を損なうとして傍注に反対だったという。


≪短信≫CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から

≪アジア≫
▽中国の一人っ子政策は、女性(ウイメン)と少女に対する暴力だ、と『国境なき女性の権利』の創設者レッギー・リトルジョン氏がローマでZENIT通信に語った。
▽北朝鮮は不法にキリスト教を伝道したとして昨年11月以来拘束していた韓国系米国人のビジネスマン、チョン・ユンス氏を釈放、同氏は5月28日、北京に到着した。

≪パキスタン≫
▽イスラム教を侮辱したとしてパキスタンで死刑宣告されたアシア・ビビさん(45)は身辺無事だが、なお援助を要請。

≪中東≫
▽エジプト司法長官が、昨年12月31日に発生したアレキサンドリアの教会爆破事件の捜査を再開。
▽イスラエルが占領するゴラン高原のシリアとの境界付近で6月5日、イスラエル軍がデモ隊に発砲、23人が死亡、350人以上が負傷。

≪欧州≫
▽戦争や内乱以外に、キリスト教信仰を理由に殺害される人は毎年10万5000人。欧州安全保障・協力機構(OSCE)のマッシモ・イントロビーニュ氏が推定。
▽教皇ベネディクト16世は6月3日、バイデン米副大統領と会見。内容は非公開。c
▽グレゴリオ聖歌は、典礼に最高のもの、と教皇ベネディクト16世。
▽教皇ベネディクト16世は、新福音化推進評議会スタッフに、伝統的なキリスト教国でも進む深刻な世俗化への対応を要請。

≪北米≫
▽米司教協議会はシアトルで6月15〜17日に総会を開催。医師の手による安楽死問題を討議する。
▽カナダ・ケベック州でカトリックとユダヤ教徒の親が、公的補助金を受けているデイケアセンターで宗教教育を禁止していることで訴訟。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月5日)=https://www.cwjpn.com
★被災地ボランティア支える仙台教区SC(サポートセンター)=総計千人を現場へ派遣
★男子修道会・宣教会の管区長 集い=典礼の力と宣教 学ぶ=日本カトリック管区長協議会総会
★教皇=宇宙飛行士たちとビデオで交信
★中国「最大の秘密」はキリスト教の急成長=信者の劇作家が指摘
★金曜は肉類控えて=イングランド/ウェールズ=司教ら「義務復活」決定

 =キリスト新聞(6月4日)=https://www.kirishin.com
★心の葛藤解明に踏み込まず=水戸地裁土浦支部=準強姦容疑の卞被告に「無罪」
★青森地裁=江原元塾長の解職無効=東奥義塾=理事会は即日控訴決める
★青山学院大学総合研究所=「大学教員の課題」でシンポ
★東日本大震災=チャイルド・ファンドなど=大船渡で教会、学校、NPOが協働
★世界の改革派共同体が戦略計画採択="やるべきことを選び備える時"

 =クリスチャン新聞(6月5日)=https://jpnews.org
★JEA青年宣教セミナー=若者のモデルになろう=世代超えたコミュニティー大切
★「日本青年伝道会議」来秋開催=準備からつながり一緒に
★卞牧師に準強姦無罪判決=水戸地裁土浦支部=「アリバイ」を認定=「被害事実は揺るがない」=民事被告弁護団
★「君が代」条例で強制を批判=同盟基督教団「教会と国家」委=橋下府知事に抗議
★朝祷会50年=発祥の地大阪に結集=全国大会で大震災のため祈る


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