世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1057信(2011.04.25)

  • 混乱の中、世界各地でイースター祝う
  • 教皇、イタリア放送番組で質問に回答
  • キリスとの再臨を携帯電話で?とF・グラハム氏
  • バチカンが『国際カトリック報道連合』の認可取り消す
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎混乱の中、世界各地でイースター祝う

 【CJC=東京】日本の大地震・津波被災、さらには原子力発電所の破壊が世界の混乱をさらに深刻にする中、4月24日、各地でイエス・キリストの復活を祝う「イースター」(復活祭)が祝われた。
 イースター(パスハ)は、キリスト教会ではクリスマスより重視され、早くから祝われてきた。太陰暦で「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝うように定められたが、それを太陽暦によって算出する際、ユリウス暦による東方教会とグレゴリオ暦による西方教会では異なる日に祝うことにもなった。今年は昨年の4月4日に続き24日で同日。
 教皇ベネディクト16世は、24日朝、「復活の大祝日のミサ」をバチカンのサンピエトロ広場で捧げた。正午には、教皇は大聖堂の中央バルコニーから、復活祭のメッセージを述べた。
 「キリストは復活された!」という知らせは20世紀の時間を隔て、今日も教会に響き続けると述べた教皇は、先進的コミュニケーション技術の現代にあってもなお、キリスト教信仰は、キリストの復活を体験した聖母マリアやマグダレナら女性たち、そしてペトロをはじめとする使徒たちの証しに基づいていると指摘した。
 教皇の復活祭メッセージは通常、世界各地の問題に触れる。今年は特に中東とアフリカ諸国の緊張を憂慮、リビアに非暴力と対話、コートジボアールに和解を訴えた。被災した日本に対する教皇の思いは「最近の地震で深刻な被害を受け、悲しみと苦しみの中にある日本の地に、慰めと希望がもたらされますように」との祈りに示された。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、「兄弟姉妹の皆さん、復活されたキリストは、私たちの前を、新しい天と地に向かって歩いておられます。この傷ついた世界を、キリストの後ろに従って、ハレルヤを歌いながら歩いていきましょう。私たちの心には喜びと苦しみ、私たちの顔には微笑みと涙があります。これが私たちの地上の現実です。しかし、キリストは復活され、私たちと共に歩いておられます。ですから、この世の自分の仕事に忠実に、眼差しを天に向けながら、歌い、歩いていきましょう」と教皇は語った。
 教皇は、続いて、世界の65言語で復活祭の祝いを述べた。日本語でも「ご復活祭おめでとうございます」と挨拶、そしてローマと世界に向けた教皇祝福「ウルビ・エト・オルビ」を発表した。
 正教会の霊的指導者、コンスタンチノープルのデメトリオス・エキュメニカル総主教は、パスハに際してのメッセージを発表、今、起きていること、出来事は、復活の喜びにそぐわないように見える。核爆発による荒廃の可能性もある地震や津波による災害は、武力抗争やテロ行為による犠牲と共に、この世界が悪魔の力による恐るべき苦難にさらされていることを示した。それでもキリストの復活は、大災害や精神的な異常の不幸な結果を超越する、誠実なキリスと者には確かさであり、全ての人類には可能性なのだ、と語った。
 エルサレムでは、聖墳墓教会の礼拝に、世界各地からの巡礼が参加、巡礼が灯す蝋燭の煙が立ち込める中、イエスが埋葬されたと信じられている墓の石にひたいを付けたり、キスする姿も見られた。
 聖墳墓教会は、ギリシャ正教会、ローマ・カトリック教会、アルメニア正教会、コプト教会、シリア正教会、エチオピア正教会が管理をめぐって抗争が絶えない。
 米国のバラク・オバマ大統領は、イースター礼拝に、ホワイトハウスからほど遠くない黒人系のシャイロー・バプテスト教会で守った。盛装した会員たちの歓迎を受けた。牧師は、祈祷でオバマ一家に触れ、神の執り成しを願ったという。

※関連短信
▽ベトナム・ハノイで、キリスト者が4月15〜16日に復活祭の祝典を計画、当局に申請していたが、結局許可されなかった。コンパス通信。
▽カトリック教会の訴えにもかかわらず、今年もフィリピンでは受難週の金曜日に24人が実際に十字架にクギで磔された。
▽中国の非公認プロテスタント教会では最大と見られる『守望教会』の信徒30人近くが4月24日逮捕された。当局の警告を無視して公共の広場でイースター礼拝を行おうとしたため。北京市海淀区中関村一帯は警官で固められた。
▽イースター礼拝後、バグダッド中心部ケラダ地区のカトリック聖心教会付近で爆発事件があり、近くのビルのガラスが割れ、当局は警官2人、市民2人が負傷したと発表した。目撃者情報では、警官3人、市民4人負傷し病院に運ばれた。


◎教皇、イタリア放送番組で質問に回答

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が、イタリア放送協会(RAI)の信者向け番組『ア・スア・イマジネ』(彼のイメージ)で視聴者からの質問に答えた。同番組のインターネットサイトで公募された約2000のキリスト教に関する質問の中から選んで回答した。
 番組は事前にバチカン(ローマ教皇庁)で録画され、4月22日、キリストの受難を記念する聖金曜日に放映された。教皇がテレビを通して人々の質問に答えるのは初めて。
 質問は全部で七つあり、教皇は一番最初に、千葉市美浜区在住の松木エレナさん(7)が自宅マンションのベランダで撮った日本語のビデオレターによる質問に答えた。エレナさんの父親がイタリア人で母親が日本人という。
 エレナさんは地震発生時、10階の自宅に日本人の母親と一緒にいて、強い揺れを何度も経験。同年代の子どもがたくさん亡くなったことを知り、教皇に質問をしたような疑問を抱いた、とベネチア近郊に住む祖母ジアーナ・デル・リオさん(63)が語った。
 他には、イタリア人の母親から2年間植物状態にある息子について、イラクの信者から迫害下にあるキリスト者の状態について、コートジボアールのイスラム教徒の女性から分裂した国に平和を再びもたらすにはどうしたらよいか、などの切実な体験からくる質問、さらにイタリアの信者たちからイエスの復活や聖母マリアについて問うものが続いた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、エレナさんの質問と、教皇の回答は次のようなもの。
 質問=「私の名前はエレナです。日本人で7歳です。今、私はとっても怖いです。大丈夫だと思っていた私のおうちがとても揺れたり、私と同じ年くらいの子どもがたくさん死んだり、お外の公園に遊びにいけないからです。なんで子どももこんなに悲しいことにならなくてはいけないのですか。神様とお話ができるポープ(教皇様)、教えてください。」
 教皇の答え=「親愛なるエレナ、心からの挨拶をおくります。私も同じように自問しています。どうしてなのか? 他の人たちが快適に暮らしている一方で、なぜ皆さんがこんなにたくさん苦しまなくてはならないのか? 私たちはこれに対する答えを持ちません。でも、イエスが皆さんのように無実でありながらも苦しんだこと、イエスにおいて示された本当の神様が、皆さんの側におられることを、私たちは知っています。たとえ私たちが答えを持ち合わせていなくても、たとえ悲しみは残っても、このことは私にはとても大事なことに思われます。神様が皆さんのそばにおられるということ、これが皆さんの助けになることはまちがいありません。いつかなぜこうだったかがわかる時さえ来るかもしれません。今、大切なことは、「神様はわたしを愛しておられる」と知ることです。それはたとえ神様が自分を知っているように見えなくてもです。いいえ、神様は私を愛してくださり、私のそばにおられるのです。そして、世界で多くの人たちが皆さんに心を寄せ、皆さんのことを思い、皆さんを助けるために、何かできる限りのことをしようとしているということを知って、心強く思って欲しいのです。そして、いつか、この苦しみが無駄ではなく、そのあとに良い計画、愛の計画があることを理解できる日が来るでしょう。安心してください。私たちは、あなたと、そしてすべての苦しむ日本の子どもたちと共にいます。私たちは、祈りと行いを通して皆さんをお助けしたいと思っています。そして、神様が皆さんを助けてくださることを信じてください。その意味で、皆さんに一刻も早く光が訪れるよう一緒にお祈りしましょう。」


◎キリスとの再臨を携帯電話で?とF・グラハム氏

 【CJC=東京】米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム牧師の長男で、援助団体『サマリタン・パース』を創設したフランクリン・グラハム氏(58)。ABC放送の番組『ジスウイーク』で、ホストのクリスチャン・アマンプール氏に、「聖書にはキリストの再臨を誰もが目撃すると書かれている。キリストは雲に乗ってやってくると書かれている」と語った。
 AFP通信によると、グラハム氏は「世界中がいっせいにキリストを目撃するとはどういうことか。わからないが、誰もがいっせいに(携帯電話で)写真を撮り始め、世界中のメディアにそれが掲載される、ということ以外に考えられないのだ」と語った。
 さらに「よくわからないが、ソーシャルメディアも大きな役割を果たすだろう」と述べ、中東・北アフリカでの反体制運動を世界中に広めるために携帯電話が果たした役割を指摘した。


◎バチカンが『国際カトリック報道連合』の認可取り消す

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)信徒評議会は、『国際カトリック報道連合』(UCIP)の運営に問題があるとして、教会法に基づく「カトリック団体」としての認可を取り消した。
 同評議会議長のスタニスワフ・リュウコ枢機卿と局長ヨーゼフ・クレメンス司教は3月23日、UCIPのバーンハルト・サスマン会長に、バチカンの懸念を書簡で伝えた。そのコピーは25日に会員にも送られた。
 リュウコ枢機卿らの書簡は、信徒評議会が広報評議会と国務省と協議の上で、「認可命令」を取り消し、「今後、UCIPはカトリックという名称を外せ」と命令したもの。
 同評議会のグスマン・カリキリィ次長は米CNS通信に4月20日、評議会の決定は、信仰や倫理に関する問題としてではなく、会員の権利や上層部の活動があいまいにされているためだ、として、「UCIPは機能不全の期間が長過ぎた。カトリック・ジャーナリストや関係組織の脱退が相次いでいる」と語った。
 信徒評議会は書簡で、2010年にブルキナファソで開いたUCIP世界大会と総会に1000人が出席したとの報告を受けたが、「投票権のあるメンバーは僅か14人」で委任状を提出したのも24人しかいなかったことは知らせて来なかった、と指摘している。
 書簡はさらに、UCIP執行部6人の中で2人が総会に出席しただけで、しかも議長は欠席したので、運営はヨーゼフ・カルスタス=チッティラッピリ書記長が行った、と指摘している。
 ブルキナファソでの集会を、UCIPがメンバーに対して責任を果たす場とするように、さらにUCIPただ1人の有給スタッフで、しかも15年にわたって在任しているカルスタス=チッティラッピリ書記長の交代も評議会が求めていたのに、当の書記長が大会運営の責任者となったことで「懸念が大きくなった」と、書簡は指摘している。
 「UCIPが書記長の手中に完全にあることは明白だ。書記長がその職に留まろうとしていることを、さまざまな事実が示している。透明性とコミュニケーションを欠き、偏向し誤った情報によって書記長はUCIPの組織的生命をほしいままにした」と言う。
 UCIPのサスマン会長は20日、旅行先のスペインで、イースター後に詳細な声明を発表する、とCNS通信に語った。信徒評議会の行動は「不快な誤報と虚偽」に基づいている、と言う。


≪短信≫CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽ネパールのキリスト者が、墓地設置を申請していたが拒否され続けていたことから、ついに最高裁に救済を申請した。コンパス通信。
▽バチカン(ローマ教皇庁)の中国教会委員会が発したメッセージは、現地の教会には、特に目新しいものではない、と受け止められている。UCAN通信。

≪インド・パキスタン≫
▽イスラム教侮辱容疑によりパキスタン・ファイサラバードで不法拘束されたマシ氏が4月17日釈放された。コンパス通信。

≪欧州≫
▽教皇ベネディクト16世は米デトロイト補佐司教にホセ・アウトゥロ・セペダ神父を任命した。司教として最年少の41歳。
▽教皇ベネディクト16世が、英国国教会(聖公会)離脱者受け入れのため設置した『オルディナリアーテ』、英国では聖職者60人以上を含め、約1000人が転会したと推定されている。
▽バチカン機関紙ロッセルバトレ・ロマノの日刊ウエブ版が4月19日開始された。イタリア語版だけでなく英語を始め各国語版も刊行される予定。
▽伊ジャーナリスト、カルメロ・アッバテ氏の著作『性とバチカン』が、ローマでは司祭の多くが同性愛だ、としたことで論議が巻き起こっている。ただバチカン(ローマ教皇庁)はコメントを出していない。
▽『エキュメニカル憲章』が仏ストラスブールで欧州教会会議とカトリック欧州司教会議協議会によって2001年4月22日に調印されて10周年を迎えた。
▽イタリア・トリノの名誉大司教ジョヴァンニ・サルダリーニ枢機卿が4月18日、入院先のミラノ市内の病院で逝去した。87歳だった。
▽スペイン・バルセロナの聖家族教会(サグラダ・ファミリア)で4月19日朝、開門前に火災が発生、観光客ら約1500人が避難した。火は間もなく消し止められたが、教会関係者4人が煙を吸って救急車で搬送され、調度品の一部が焼けた。
▽英ケンブリッジ大学のコリン・ハンフリー教授が、イエスの最後の晩餐は受難週の木曜日ではなく、1日早い水曜日だとする説を提唱した。

≪北米≫
▽コーランを燃やすなどイスラム教への過激な抗議行動を続けている米フロリダ州のテリー・ジョーンズ牧師が一時、ミシガン州の司法当局に身柄を拘束された。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月24日)=https://www.cwjpn.com
★鶴岡八幡宮で祈り=鎌倉=震災1カ月 宗教者ら集う
★岩手・宮古教会を拠点「微力ですが...」=札幌教区もボランティア派遣
★支援活動中のカリタスジャパン=毎日奔走してます
★「主の晩餐」の献金 日本へ=教皇ミサ ネット放送も
★記念日決まる=新福者ヨハネ・パウロ2世=5月、長崎・東京でも感謝ミサ

 =キリスト新聞(4月23日)=https://www.kirishin.com
★"3・11"から1ヶ月=鎌倉の宗教者、共に復興願う=賛同する市民ら1万人も参列
★救世軍の給食車が活躍
★大阪府警=公務執行妨害容疑=大谷隆夫牧師を逮捕=投票所で野宿者らの選挙権主張
★文藝春秋で特集「信仰入門」=池上彰氏が宗教者と対談
★アムネスティ=世界の死刑動向を報告=中国は数千人を昨年処刑か

 =クリスチャン新聞(4月24日)=https://jpnews.org
★津波にさらわれた気仙沼第一聖書バプテスト教会跡の床上に建てられた十字架
★震災当日、駅前で帰宅難民に賛美の「種まき」=町田deリバイボー
★宮古コミュニティチャーチ=「復興へ」奮闘する被災教会=避難所巡り耳傾ける
★地域教会を復興の拠点に=KGK=学生が支援活動
★不安に苦しむ日本に復活したキリストを=首都圏イースター決起祈祷


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