世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1051信(2011.03.14)

  • 巨大地震・津波被害に世界のキリスト教指導者が支援と激励
  • 津波、太平洋を越える
  • 「日本には救援体制が存在」と『教会行動一致』
  • 米長老教会が同性愛者などの受容へ進むか
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎巨大地震・津波被害に世界のキリスト教指導者が支援と激励

 【CJC=東京】マグニチュード8・9という日本の観測史上最大規模の「東北地方・太平洋沖地震」は、巨大な津波を誘発、岩手・宮城・福島の各県を中心に大被害を招いた。
 この惨事に世界のキリスト教指導者が支援と激励の意向を示している。
 教皇ベネディクト16世は、地震と津波被災者に、この難局に当たり、「共にある」と励まし、力つけられるよう神の祝福と慰めがあるよう祈る、と表明した。
 英国国教会(聖公会)の霊的最高指導者カンタベリー大主教は、日本聖公会の植松誠首座主教に宛て、現状況下の日本の人々への支持と祈りを表明するメッセージを3月11日送った。
 米聖公会のジェファート・ショリ総裁主教は、「行方不明者を捜索し、死者の埋葬を始める」日本の人々と共にあり、その人のために祈る」と語った。
 カナダ福音ルーテル教会のスーザン・C・ジョンソン監督は、教会員に日本の人々のために祈るよう呼び掛けた。
 国際赤十字委員会(ICRC)は、今回の東北・太平洋沖地震被災者が家族・友人と連絡が取れるように英語ウエブサイト(https://www.icrc.org/eng/familylinks-japan)を立ち上げた。

※関連短信
▽世界のツイッター・ユーザーが、「地震と津波に直面している人たちのために祈ろう」とツイートしている。ハッシュタグは、#PrayforJapan
▽世界YMCA同盟のヨハン・エルトビック総主事が日本YMCA同盟に宛て「地震のニュースに触れ、その被害の大きさに驚いています。連帯の祈りを送り、今後支援できることがあれば知らせて欲しい」とのメールを送った。
▽米、中、ハイチのYMCA同盟などは、日本YMCA同盟に安否を懸念するメールを発信した。


◎津波、太平洋を越える

 【CJC=東京】東北地方・太平洋沖大地震によるとみられる津波が米ハワイ諸島やアラスカ州のアリューシャン列島、インドネシアやにも到達した。
 米太平洋津波警報センターは米西海岸やロシア、台湾、ニュージーランド、メキシコ、チリ、フィリピン、インドネシア、オーストラリアなど約50の太平洋沿岸諸国・地域(各国領土含む)に津波警報を発令した。
 米ハワイ諸島では、津波の第1波が11日午前3時(日本時間11日午後10時)過ぎに到達。ハワイ島の西側では、高さ3メートルを超える津波が観測された。沿岸部の住宅が屋根の部分まで水につかり、車やボートが押し流されるなどの被害が出たが、ケガ人は報告されていない。ハワイ州知事はワイキキなど海岸沿いの住民に避難命令を発令。住民はコンビニエンスストアに並んで飲料水や非常食品を買い込み、学校などに設けられた避難所に移動した。カトリック教会ホノルル教区は、現地の学校のほとんどが休校となった、と伝えた。高台にあるセント・スティーブン教区センターを避難所として開放した。
 津波は日本時間12日未明にアメリカ西海岸にも到達した。オレゴン州やカリフォルニア州では約2メートルの津波が観測され、カリフォルニア州では、津波の写真を撮影していた男性1人が死亡した。
 メキシコ北西部沿岸にも津波が届いたが、潮位の変化は軽微で被害はなかった。南米チリでは太平洋に浮かぶイースター島で小規模な津波が観測された。
 北方領土の色丹島で3メートル、択捉島で2メートル、国後島で1・62メートルの津波を観測。クリル諸島(北方領土を含む千島列島)では沿岸住民の約1万1000人が避難した。極東のカムチャツカ地方や沿海地方、サハリン島南部でも最大1メートルの津波が観測された。
 インドネシア東部・パプア州では高さ1.5メートルの津波が観測された。この津波で1人が死亡、5人が行方不明となった他、住宅20軒が壊れたり水につかった。


◎「日本には救援体制が存在」と『教会行動一致』

 【CJC=東京】世界のプロテスタント各派の連合救援団体『教会行動一致』(アクション・チャーチ・ツゲザー=ACT)は3月11日、加盟団体に、日本のための救援訴えは行わない、と連絡した。「日本は既発展国(先進国)であり、救援体制が存在している」からとしている。ただ津波が太平洋全域に広がっており、そこにはすでにACTが活動している国々もあるので、そこへの人道的な援助が必要になると思われる」と指摘した。


◎米長老教会が同性愛者などの受容へ進むか

 【CJC=東京】米長老教会(PCUSA)が、同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーを排除する規則撤廃に進む可能性が高まった。2010年の総会で、同性愛者などの教職任命を認める修正案が可決され、173中会の過半数の批准を待っているが、現在48中会が批准、34中会が反対に回った。
 排除条項の削除案は、この14年間に4回、総会で承認されているが、これまでは過半数の中会の批准を得られなかった。
 今回は、アラバマ、ジョージア、オクラホマ各州の9中会が、2009年の反対から批准に回った、とRNS通信が報じている。
 2009年にも修正案に賛成した中会はそれまでの最高だったが、今回はさらに賛成が増えそうだ。


≪短信≫CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽中国河北省の地下カトリック教会の指導者アンドリュー・ハオ・ジンリ司教(95)が3月9日死去した。
▽フィリピン・マニラのサントトマス大学の競技場で3月9日、「灰の水曜日」にちなんだイベントが行われ、約2万人が集まって人間十字架が作られた。ロイター通信報道。

≪太平洋≫
▽ニュージランド・クライストチャーチの英国国教会大聖堂が地震で崩壊した際、20~22人が閉じ込められた、と見られていたが、捜査の結果、遺体は全く発見されなかった。

≪中東≫
▽イラン・キリスト教会(ペンテコステ派)のベールーズ・サデグ=ハンジャニ牧師らキリスト者5人が、「反イスラム秩序罪」で禁固1年の判決を受けた。

≪欧州≫
▽バチカン(ローマ教皇庁)広報評議会議長のクラウディオ・マリア・チェッリ大司教が機関紙ロッセルバトレ・ロマノ、バチカン放送、宣教通信FIDESなどの情報を一本化したサイトを構築する計画を発表した。
▽バチカン(ローマ教皇庁)は新設した財務情報局の局長に、銀行関係に詳しいフランチェスコ・デパスカーレ弁護士を任命した。
▽国際カリタスのナイト総主事の再任に難色を示したバチカンは3月7日にも、なお別の候補者を捜していることを明らかにした。
▽教皇ベネディクト16世の新著『ナザレのイエス』が近く電子書籍としても刊行される、とバチカン出版部門『リベリア・エディトリチェ』のジュセッペ・コスタ責任者が3月9日明らかにした。
▽教皇ベネディクト16世は、3月10日発売された新著『ナザレのイエス』の中で、神や宗教の名の下で行われる暴力は「反キリストの得意な道具」だ、と述べていることが分かった。
▽教皇ベネディクト16世が4月22日に国営イタリア放送協会(RAI)のカトリック番組に出演して、一般の視聴者から寄せられたイエス・キリストに関する三つの質問に答える。イタリア紙が報道。
▽カトリックとユダヤ教指導者が、宗教的少数派に対する迫害と暴力を非難し、北アフリカと中東における民主化運動の支持を表明した。パリで2月27日から3月2日まで開催された国際カトリック・ユダヤ教連絡委員会の声明。
▽英カトリック週刊誌『タブレット』は、国教会からカトリック教会への転会を望んでいるのは現在、聖職者約20人、信徒約600人と報道。

≪アフリカ≫
▽エジプトのコプト派キリスト者約1000人が3月7日、教会焼き討ち事件に抗議してカイロ中心部の国営テレビ局前に集まり抗議の声を上げた。夜には5000人がテレビ局前に集まった。
▽エジプトの首都カイロで3月8日、抗議デモを行っていたコプト派キリスト者がイスラム教徒と衝突し、少なくとも13人が死亡、45人が負傷した。AFP通信報道。
▽エジプトのイサム・シャラフ首相が、イスラム教徒によって焼き討ちされたコプト派キリスト者と会談、安全確保と会堂再建援助を約束した。
▽米福音ルーテル教会(ELCA)の宣教師6人が3月末までに、エジプトでの宣教活動に復帰する。騒乱回避のため、米政府が差し向けた飛行機で2月1日、カイロから脱出していた。
▽エチオピア西部でイスラム教過激派数千人が3月2日からキリスト教会焼き討ちを始め、すでに59カ所が被害にあり、少なくとも死者1人が出ている。

≪北米≫
▽米国の教会指導者が、今年イースターを各派が算出する基礎の暦で同じ4月24日にに守ることになったことから、今後も同一日に守ることを提案している。
▽米カトリック教会ボストン大司教ショーン・オマリー枢機卿が、「カトリック者よ帰り来れ」という伝道番組をラジオ・テレビで展開する、と発表した。経費60万ドル(約5000万円)。
▽米カトリック教会フィラデルフィア大司教区は3月8日、司祭21人を聖務停止処分にした。児童への性的虐待や不当行為に関わったとして告発されたことに関連したもの。
▽米宣教専門アシスト通信(ANS)のパキスタン通信員が脅迫を受け、声明の危機に直面して、出国を図っているが、手段が見つかっていない、と同通信が協力を訴えている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月13日)=https://www.cwjpn.com
★バチカン高官=リビア情勢に懸念表明
★キリスト教学校で学んだこと=卒業生の俳優ら 体験語る=キリスト教学校教育懇談会シンポジウム
★正平協=「基地のない沖縄」目指し=全国会議 講演会で 学ぶ
★カトリック学校教職員懇談会教育研究大会=講演テーマに「発達障害」=理解深め 必要な支援考える
★ヨハネ・パウロ2世 列福感謝ミサ=5月14日=東京カテドラル

 =キリスト新聞(3月12日)=https://www.kirishin.com
★"キリスト教学校と私"=学校教育懇談会が東京でシンポ=神は見ていてくださる吉行和子=感謝して正しい人間に香川照之
★「無縁社会」めぐり宗教者がシンポ=遺骨の引き取り拒否も
★入試問題 ネットで漏えい=同志社、立教でも対応協議
★食糧不足による餓死 深刻化=北朝鮮への人道支援に祈りを=NCCが緊急アピール
★WCC中央委が総会主題決定=「平和と正義」を正面に

 =クリスチャン新聞(3月13日)=https://jpnews.org
★ニュージーランド地震=「笑顔で"大丈夫"と伝えたい」=日本人牧師が留学生ら支える
★イスラエルで千500年前の教会発掘
★米国朝餐祈祷会でオバマ氏=「大統領職で信仰深まる」
★日本宣教60年 献身者30人=ユーレラ・スプア宣教師="火の国"から凱旋
★内外の聖書百数十点=南青山にバイブルハウス開店


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