世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1042信(2011.01.10)

  • 10月にアッシジで世界各宗教指導者会議開催、教皇が発表
  • 新求道共同体の日本での活動停止せず、とバチカン
  • 悪魔払いの番組とは無関係、とバチカン
  • 米で「繁栄福音」宣教団体の不正調査
  • 目立ちたがりや教会が今度は米銃撃事件で「神に感謝」と
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎10月にアッシジで世界各宗教指導者会議開催、教皇が発表

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は新年早々、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行われた式典の際、イタリアのアッシジでこの10月に世界各宗教指導者の会議を開催する、と発表した。あたかもエジプトのアレキサンドリアで教会前で自爆テロがあった直後だけに感慨をもって発表は迎えられた。
 1986年10月27日、教皇ヨハネ・パウロ2世が歴史的な超教派祈祷会を聖フランシスコの根拠地で開催したのが始まりで、今年は25周年にあたる。
 今回の開催は教皇ベネディクト16世の、宗教特にキリスト教が軽視されるようになり、政府や国際機関から十分な保護を受けられなくなったことへの懸念を反映している。


◎新求道共同体の日本での活動停止せず、とバチカン

 【CJC=東京】新求道共同体の日本での活動5年間停止を司教協議会が教皇ベネディクト16世に要請していたが、バチカン国務省長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿から停止しない、との決定が創設者キコ・アルグエリヨ氏、カルメン・エルナンデズ氏、マリオ・ペッジ氏宛に書簡で送られて来た、と共同体のアルヴァロ・ドファナ報道担当が明らかにした。
 書簡は、教皇が12月13日、日本カトリック司教協議会の池長潤会長(大阪大司教)らバチカン訪問団と会談、池長会長らが日本における新求道共同体の状況について説明したのを受けて出された。
 ドファナ報道担当は「聖座(バチカン)は一連の決定を行った」としそれはベルトーネ枢機卿の書簡でも明らかにされている、とカトリック通信ZENITに説明している。
 「最初に、新求道共同体の日本での5年間活動停止は許容されるべきではない、と示している」という。
 一方で、報道担当は、「日本の司教たちと新求道共同体との対話を、共同体を愛し、かつ司教たちの問題を考慮する適切な代表の助けを得て、可能な限り早急に再開されなければならない」と明確に指示している、と付け加えた。
 「最後に、必要なら、司教たちは共同体に、司教会議の決定としてではなく、各教区それぞれのために明確な指示を出さなければならない」と、報道担当は説明している。
 「聖座は付け加えて、国務省が福音宣教省と接触して、言及された国における共同体の存在に関する問題について、必要な指示を出し、意見する任に当たる」と報道担当は締めくくった。
 新求道共同体を最初に支持したのはマドリッドのカシミロ・モルシード大司教。まずスペイン北西部のサモラ、マドリッド、ローマに共同体が誕生、現在では世界各地の約5000小教区で活動している、という。


◎悪魔払いの番組とは無関係、とバチカン

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は、聖座(バチカン)が「エグゾーシスト・ファイルズ」というテレビ番組に関し『ディスカバリー・チャンネル』と公式に提携したことはない、と語った。番組宣伝のためであり、それは「誤りだ」と言う。
 『ディスカバリー・チャンネル』のW・クラーク・バンティング社長は、プロデューサーがバチカンから記録を見る許可を得たし、悪魔払いを行う司祭ではトップクラスの人とインタビューも認められたが、極めて稀なケースだ、と語った。「バチカンは特に取材の困難なところだが、人々にどう考えたら良いか、知らせたいのだと説明した」と言う。


◎米で「繁栄福音」宣教団体の不正調査

 【CJC=東京】テレビを通じた説教で得た献金を豪華な私生活に流用するなど、米国のキリスト教宣教6団体の不正財務を連邦上院経済委員会のチャールス・E・グラッスリー氏(アイオワ州選出、共和党)が、3年がかりで調査した結果を発表した。これら団体は免税宗教団体とされていることから、明確な説明を求める独立委員会の設定が必要だと結論している。立法や規制ではなく「自己規制」が望ましい、と言う。
 一般の非営利団体や慈善団体が詳細な財務報告をIRS(国税庁)に提出しなければならないのに比べると、宗教団体の免税措置は、事業内容をあいまいのままでも認められるなど優遇されている。
 「良質な管理と最上の実践に立ち向かうことが課題であり、それにより、宗教の自由を損なったり、非効率な活動を余儀なくされるような規制なしに、免税団体の信用を保持出来る」と言う。
 今回の調査は、6宣教団体が、信者からの献金を飛行機、高級住宅、宝石購入に用いたり、指導者やその一族のために営利事業を経営したりしていることについて、福音派キリスト者の中から疑問の声が上がり、それを受けてグラスリー議員が乗り出したもの。
 6団体は全て「繁栄福音」宣教を行っている。多額の献金を宣教団体にすれば、自身も繁栄する、と教えている。
 6団体の中で、調査に協力、改革を表明したのは『ジョイス・マイヤー・ミニストリーズ』と『ベニー・ヒン・ミニストリーズ』の2団体に留まっている。
 不満足な回答をした3団体は、ケネス・グロリア・コープランド夫妻の『ケネス・コープランド・ミニストリーズ』、ランディ・ポーラ・ホワイト夫妻の『ウイザウト・ウォールズ国際教会』、エディー・L・ロング監督の『ニュー・バース・ミニストリー・バプテスト教会』。ロング氏は、性的関係を迫られた、と青年4人から告訴されている。同氏は否認している。
 クレフロ・タッフィ・ダラー夫妻の『ワールド・チェンジャーズ国際教会』からは回答がなく、理事の氏名も報酬額も不明。報道担当者にコメントを求めて接触を図ったが、実現していない。
 調査を受けて、宗教団体の政策財務問題を審議する委員会が設立された。委員長には非営利団体の運営・財務・税務の専門家マイケル・バット氏が就任した。


◎目立ちたがりや教会が今度は米銃撃事件で「神に感謝」と

 【CJC=東京】1月8日、米アリゾナ州ツーソンのショッピングモールで、民主党の女性下院議員ガブリエル・ギフォーズ氏(40)が有権者との対話集会を開いていたところ、男が突然拳銃を乱射、連邦判事や9歳の少女を含む6人が死亡した。
 ギフォーズ議員は銃弾が頭を貫通する重傷を負ったが、緊急手術で一命を取り留めた。男はその場で取り押えられた。
 この事件で米国では銃規制問題がまた浮上することは確かだが、一方でいつも事件の度に話題になる教会の一つ、カンザス州トピカの『ウエストボロ・バプテスト教会』(WBC)とフレッド・フェルプス牧師(71)が、「銃撃犯のため神に感謝―死者6人、WBCは犠牲者の葬儀にはピケをはる」と声明を発表したことから、今回もメディアの注目を集めることになった。
 声明は、「神が銃撃犯を送られた。あなたの愛煙家の女性議員は人生かけて闘った」とも述べている。
 同教会は「バプテスト」を名乗ってはいるが、教派的なつながりはなく、会員はほとんどがフェルプス牧師の一族。


≪短信≫CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。

≪アジア≫
▽2日朝、ソウル市江南区新沙洞の所望教会で、金枝喆(キム・ ジチョル)担任牧師(62)に暴行を加えたとして、副牧師J容疑者(61)と元副牧師 C容疑者(53)を逮捕した、と警察が発表した。朝鮮日報報道。
▽中国の公認カトリック教会がバチカンの意向を無視して独自に司教を選任した背景には、司教の多くがバチカンとの関係悪化を恐れ、代表会議や愛国会などの幹部就任を嫌がったため、と朝日新聞・小山謙太郎記者が8日報道。
▽ベトナム・ホーチミンのカトリック書店が新約学者ウイリアム・バークレーの新約聖書注解を置いていたところ、ポール・ヴィ・バンドク司教が排除を命じた。
▽米国務省は、駐ベトナム大使館員が自宅軟禁されている人権活動家グエン・バンリ神父と面会しようとしたところ警察に阻止され、その際に攻撃を受けたとして、「強く抗議した」と1月5日発表した。

≪中東≫
▽イラン・テヘラン州のモルテザ・タマッドン知事は福音派キリスト者70人を逮捕した。「キリスト教の名の下に英国の手先」として、宣教師は「イスラム国家への文化的攻撃」を行っている、と非難している。IRNA通信報道。
▽イスラエルが東エルサレムのアラブ人地域で1月9日、休業したホテルの取り壊し作業が始まった。ユダヤ人住宅20戸の建設が目的。パレスチナ側はイスラエルのネタニヤフ首相が和平推進を口にしながら「実際にはパレスチナ国家樹立を妨げようとしている」と強く非難している。ロイター=共同通信。

≪欧州≫
▽イタリアのバチカン専門記者によると、故教皇ヨハネ・パウロ2世に帰せられる奇蹟を列聖省の専門かが認めた。2011年中に列福の可能性も出て来た。
▽ENI通信再建の一環として、編集長代行にニューヨーク在住のジャーナリスト、ソランジ・ドサンティスさんが任命された。最近まで『エピスコパル・ライフ・メディア』編集長を務めていた。
▽英国の受胎可能年齢の女性の2割が事後服用型の避妊薬を使用していることが調査で判明した。
▽守護天使にいつも守られていると信じている英国人は、全体の29%とする調査結果が発表された。「デイリー・メール」紙報道。

≪アフリカ≫
▽エジプト各紙は、アレキサンドリアの教会前の爆発事件を、エジプトの一致を破壊しようとするものとして非難の論調。
▽エジプト政府は、アレキサンドリアの教会前での爆発事件を「アルカイーダ」の仕業と判断、同派が戦闘員を組織していると見られる国からの入国検査を強化している。
▽エジプトの弁護士協会が、アレキサンドリアの教会前の爆発事件の背後にイスラエルが存在している、と非難した。
▽世界教会協議会のトゥヴェイト総幹事らは1月8日、カイロを訪問、コプト教会の最高指導者シェヌーダ3世教皇と会見、アレキサンドリアの教会前の自爆テロ被害者に哀悼の意を表明した。
▽エリトリアの首都アスマラで1月2日、キリスト者30人が個人宅で祈祷会を行っていたところを逮捕された。

≪米州≫
▽ボーンアゲインのー流れに属すキリスト者は7億人を超し、中国やインドなどで急拡大している。成長率8%が続くと、2032年に全世界がキリスト教になる、と指導者ジェームス(ジム)・ラッツが新著「メガシフト」で主張。
▽米カトリック教会ミルウォーキー大司教区は、聖職者による性的虐待被害者への対応などから、破産が必至になった。オレゴン州ポートランド教区、カリフォルニア州サンディエゴ教区、ワシントン州スポーケン教区、デラウエア州ウイルミントン教区、アイオア州ダベンポート教区などに次ぐもの。
▽米福音ルーテル教会で同性愛聖職を擁護してきたポール・エイガーソン牧師が心不全で1月5日死去した。75歳。南カリフォルニア・シノッド監督に1994年選出されたが、2001年、独身を誓約しない同性愛者アニタ・ヒルさんを牧師に叙階したことから辞任を余儀なくされた。


《メディア展望》※各紙、年始休刊。



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