世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1041信(2011.01.03)

  • 2010年キリスト教10大ニュース=世界キリスト教情報
  • カトリックへ英国国教会から転会の第1陣
  • 教皇の異例の信教侵害批判に中国が反論
  • バチカンが不正資金対策で新組織=国際ルールに基づき監視
  • エジプトのコプト教会前で車が爆発、死傷者多数
  • ムハンマド風刺画掲載した新聞社襲撃計画で5容疑者逮捕
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

      《新年にあたりご挨拶とお願い》

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◎2010年キリスト教10大ニュース=世界キリスト教情報

 2010年キリスト教10大ニュースを『世界キリスト教情報』が選定した。(順不同)
▽中国政府、カトリック教会にバチカンの影響排除する姿勢強化
▽『新求道共同体』の活動一時停止訴えた日本司教団に教皇難色
▽聖職者の児童性的虐待が各国の教会で相次ぎ発覚
▽女性聖職や公然同性愛者聖職認否で各派に分裂の動き
▽日本キリスト教協議会総幹事の長期不在など各派指導層人事に波乱
▽未受洗者の聖餐参加めぐり国内各派で対立深刻化
▽キリスト教系を名乗るカルト集団の活動活発に
▽日本聖書協会などが新たな聖書訳出計画発表
▽環境悪化の中でキリスト教学校教育同盟100周年
▽聖公会京都教区で聖職者が同僚から「暴行傷害」受けた、と被害届 


◎カトリックへ英国国教会から転会の第1陣

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が使徒憲章で承認した方式に従って、英国国教会(聖公会)の保守派が今年4月24日の復活祭までに50人が転会するものと見られているが、その第1陣、前主教3人、夫人2人、元修道女3人たちが1月2日、ロンドンのウエストミンスター大聖堂で、満員の会衆を前に聖体を受けた。正式にカトリック教会に帰属したのは12月31日、とアラン・ホープス司教。
 英国国教会離脱の最大理由は女性主教問題。ただ同司教は「真理の充満を求めて、彼らは旅をし、それをカトリック教会に見出したのだ」と言う。
 使徒憲章で、教皇は教会法上の組織の一つ、属人的司教区(オルディナリアーティ・ペルソナーリ)の形を導入した。これまで聖公会に属していた信者がカトリック教会との完全な交わりに入ることを可能にすると同時に、これらの信者がアングリカンの精神遺産と典礼の要素を保つことが出来るようになる。
 今回の動きで懸念されることの一つは聖職者独身制。カトリック教会は、東方典礼の一部を除き、聖職者は独身であることを要件としている。これまで妻帯した聖公会司祭がカトリック教会に転会した場合、その権能が限定的なものだった。これが属人区とは言え、そこで妻帯司祭や司教が完全な機能を果たすことになれば、新たな混乱を生じかねない。
 聖公会の霊的最高指導者カンタベリー大主教ローワン・ウイリアムズ氏は、不満者の大量転会が実現すれば、司祭不在の教区が生まれることも有り得ると懸念を表明していた。


◎教皇の異例の信教侵害批判に中国が反論

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は12月25日、恒例のクリスマスメッセージを読み上げた際、中国が独自に選任した司教の任命式にバチカンが公認した聖職者の出席を強要した問題を間接的ながら批判、「信教の自由侵害に心を失うことなく、希望の炎をともし続けてほしい」と訴えた。
 間接的とはいえ教皇が中国政府への批判を公にするのは異例。中国とバチカンの間の緊張関係を示したもの。
 これに対し、中国外務省の姜瑜報道官は28日の定例記者会見で、「バチカンは中国の宗教の自由とカトリック教会が発展している事実を直視してほしい」として、「(バチカンは)実際の行動で中国との関係改善のために有利な環境をつくってほしい」と反論した。


◎バチカンが不正資金対策で新組織=国際ルールに基づき監視

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は12月30日、バチカン(ローマ教皇庁)がテロ資金対策やマネーロンダリング(資金洗浄)防止に協力する教令を発した。バチカン内のマネーロンダリング(資金洗浄)防止と財務の透明性向上のために財務監視機関『財務情報局』(FIA)を設立する。新機関は2011年4月に創設、マネー・ローンダリング対策の国際協調を推進するための枠組み『金融活動作業部会』(FATF、本部パリ)のルールに基づいて不正資金の取引を監視する。教皇庁のすべての部署が対象となる。メンバーは教皇が任命する。
 バチカンの財政管理組織『宗教事業協会』(通称バチカン銀行)は1942年に設立され、資金調達のほか投資銀行を通じてバチカンの資産を運用してきたが、マネーロンダリング疑惑が発覚、2010年9月、イタリア当局の捜査を受け、2300万ユーロ(約25億円)の資金を押収され、金融面の公開性向上を求める声が上がっていた。
 教皇庁の報道担当者は「バチカンは、国際社会、国際当局と連係したシステムに全面的に組み込まれた」と述べた。


◎エジプトのコプト教会前で車が爆発、死傷者多数

 【CJC=東京】エジプト北部アレクサンドリアのアルクッデスィーン(聖人)・コプト教会前で1月1日午前0時半ごろ、車が爆発、会堂内でも火災が発生、21人が死亡、負傷者79人を出た。教会には約1000人が集まり、新年ミサを終えて退出するところだった。
 爆薬はエジプト製で、治安当局は自爆テロの可能性が高いとみている。事件前、イラクのアルカイダ系組織『イラク・イスラム国』(ISI)がコプト教会を「イスラム教に改宗した女性を拘束している」と主張、解放しなければ攻撃すると警告していた。
 事件後、怒ったコプト教徒が警官と小競り合いになり、近くのモスクでイスラム教徒と衝突した。
 信者たちが街頭で抗議し、一部で警官と小競り合いになり、近くのモスクでイスラム教徒と衝突した。
 ホスニ・ムバラク大統領は、コプト教徒とイスラム教徒に対し「協力して国家の安全と安定を脅かす攻撃に対処しよう」と呼びかけた。
 教皇ベネディクト16世は、アルクッデスィーン教会前で発生した爆破事件について、新年のミサでテロ行為を非難した。国連の潘基文(バン・キムン)事務総長も2日、爆破を強く非難、責任者を追及する当局の姿勢を支持する声明を発表した。
 2日、日曜ミサは、公安警察の装甲車などが取り囲む中で行われた。会堂内部も、キリストや処女マリアの像が倒れ、椅子などが散乱、爆発のすさまじさを示していた。
 治安当局は、襲撃の容疑者17人を逮捕した、と発表した。
 エジプトは人口の約1割がコプト教徒。多数派のイスラム教徒との衝突が続発している。昨年1月7日には乱射事件でコプト教徒7人が死亡、首都カイロでも11月に教会の建設をめぐり暴動騒ぎが起きている。


◎ムハンマド風刺画掲載した新聞社襲撃計画で5容疑者逮捕

 【CJC=東京】2005年にイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載したデンマークの新聞『ユランズ・ポステン』社に武装襲撃を計画したとして、デンマークで4人、スウェーデンで1人が逮捕された。両国の治安当局が12月29日発表した。
 逮捕されたのはチュニジア人(44)やレバノン生まれのスウェーデン人(29)ら5人の男性。新聞社の建物に押し入り、多くの人々を殺害しようと計画したという疑い。襲撃は1月1日までに実行される可能性があったという。
 風刺画掲載当時、イスラム諸国で侮辱的だとして同紙への抗議運動が広がり、デンマークとの間で外交問題にもなった。


≪短信≫CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。

≪アジア≫
▽イタリアの有力誌『ベネルディ』は12月24日、日本のクリスマスについて「クリスマスの東京 愛を祝う」との見出しで、イブに「家族や友人と外食に出かけ酒を好きなだけ飲む」「安価な人形からダイヤモンドをちりばめた宝石まで、プレゼントを贈り合う」と特集で紹介した。
▽ベトナムの非公認教会が結成した『アセンブリーズ・オブ・ゴッド』がホーチミン市で12月26日、2万人のクリスマス礼拝を申請していたが、政府宗教局から開催の5時間前になって許可が出された。
▽インドネシア・ジャバ島西部パルンの『洗礼者聖ヨハネ・カトリック教会』では12月26日のミサを小学校の駐車場に設置したテントで行なった。無許可建築として教会堂使用を認められなかったため。

≪インド≫
▽インド・シッキム地方は仏教が優勢。宣教団体『ゴスペル・フォア・エイジア』関係のナンダン・レッディア牧師は、教勢が伸びるにつれ他宗教からの反対が盛んになり、特にチベット仏教の指導者ダライ・ラマの訪問を機会に圧力が強まった、と言う。

≪中東≫
▽ヘンデルのメサイア。イスラエルで今年初めてヘブル語で歌われた。米CBN放送が伝えた。

≪欧州≫
▽ベルギー南部ロシュフォールのトラピスト会修道院が、強風の最中に出火、木造建物の多くを消失した。名物のビールにも損失が出たが、貴重な文献を保存していた図書館は無事だったという。
▽カトリック教会の典礼様式が、音楽からミサで使用される言語、さらには聖体の受け方まで、教皇ベネディクト16世の下で「復古」色を強めていることに、教会内で論議が高まっている。米紙ワシントン・ポストが経緯を紹介。
▽教皇ベネディクト16世は聖職者省次長のケルソ・モルガ・イルズビエタ司祭を同省長官に昇任したマウロ・ピアチェンツァ局長の後任に、列聖省次長のマルチェッロ・バルトルッチ司祭を同省局長ミケーレ・ディ・ルベルト大司教の引退に伴い後任に任命した。
▽ローマ市内の外国公館が爆破テロの標的になり、爆破物が相次いで発見されている中で、バチカン駐在米国大使館でも12月29日、探索が行われたが、爆破物は発見されなかった。
▽第二バチカン公会議で「ペリトゥス」(専門助言者)を務めたベルギーのフランソワ・フタール神父(85)が、1970年代、当時8歳の甥に性的虐待を加えたことを認めた。

≪アフリカ≫
▽ナイジェリア中部ジョスでは12月24日、爆弾が爆発、80人が死亡して以来、別の中部の都市でも、キリスト教会が放火されるなどして、計13人が犠牲になった。31日夜には首都アブジャの市場で爆発があり、4人が死亡、26人が負傷した。
▽ナイジェリア北部ボルノ州のマイドゥグリでは、クリスマス・イブにバプテスト派の牧師ら6人が殺害されて以来、紛争が拡大、死者も80人に達した模様。

≪北米≫
▽米カリフォルニア州グレンデールのパンケーキ店の略称はIHOP。カンサスシチーの教会が同じ略称で誤解される、とクレームをつけ裁判に持ち込まれたが、このほど和解に入った。
▽米国で著名なゴスペル・シンガー、ジョージ・ビバリー・シェーに、2011年のグラミー賞の一環として「生涯功績賞」を授賞する、とレコーディング・アカデミーが決定した。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(1月2日)=https://www.cwjpn.com
★信教の自由は、平和への道=「世界平和の日」教皇メッセージ
★司教のための社会問題研修会=沖縄の各地を訪問=市庁舎、南部戦跡、テント村...
★待降節に岡田大司教が講演=差別の苦しみを共に=さいたま教区部落差別人権委員会
★司教ら教皇と会談=「新求道共同体」問題で
★ソウルの枢機卿に辞任要求=「大司教職退いて」=韓国の司祭ら記者会見

  =キリスト新聞(1月2日・休刊)=https://www.kirishin.com

  =クリスチャン新聞(1月2・9日)=https://jpnews.org
★韓国初の民営刑務所を開設=キリスト教団体が更生へ"希望"
★日本バプテスト連盟56回総会=中長期活動方針大綱を承認=新理事長に奥村敏夫氏
★日本ホーリネス教団=11年前の元牧師性加害で謝罪
★コレラ大流行に対処=国境なき医師団の根本律子さん再びハイチへ
★「憲法で守る」へ積極展開を=大阪宗教者9条ネット


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