世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1036信(2010.11.29)

  • 韓国で国際キリスト教教育者会議
  • 教会堂建設めぐりエジプトでキリスト者が公安当局と衝突
  • 教皇のインタビュー本、各国で売れ行き好調
  • 教皇が文化・学術奨励の財団設立
  • 教皇の印税収入5・6億円、神学研究やチャリティーに
  • 教皇、2011年にベナンを訪問
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎韓国で国際キリスト教教育者会議

 【CJC=東京】北朝鮮による砲撃事件で緊張高まっている中、韓国のソウル近郊水原で、国際キリスト教教育者会議(ICEC)が行なわれ、世界各地から教育者880人が参加した。米宣教通信ANSが報じた。
 主題講演は、米『ムービーガイド』誌発行人で『メディアワイズ・ファミリー』の著者テッド・ベール氏が行なった。子どもたちや青少年をメディアに振り回されない「メディアワイズ」に教育し、メディア選択に際して良い決定を下せるようにするための教育について、ベール氏は語り、メディア・ウィズダムに関しても4回講義した。
 「マスメディアは子どもと青少年の心と精神に影響を与える文化を形づくる」とベール氏。「それだからこそ、親や教師は子どもや学生を、メディアに賢明に、注意深く接触するよう、情報を身に付けるように教育することが重要なのだ」と言う。
 ベール氏は韓国訪問中に、家庭向け映画や信仰映画作成の重要性について、急成長している映画業界の製作者、監督、トップスターなどと会談、「信仰や価値を扱った家庭映画は世界規模で歓迎されると聞いて関心を示した」と語った。
 教育者会議には、韓国では著名な伝道者ビリー・キム氏も参加した。韓国の『若者をキリストへ』の設立者で水原中央バプテスト教会牧師。2000年から05年まで、『世界バプテスト連盟』議長に初めてアジアから選出され就任している。


◎教会堂建設めぐりエジプトでキリスト者が公安当局と衝突

 【CJC=東京】エジプトのギザ近郊タルビヤの聖マリア聖ミカエル教会の建設を認めない当局に対し、キリスト者(コプト教徒)が抗議行動を行なったところ11月24日午前3時ごろ公安当局が5000人規模で出動、信者2人が死亡、負傷者数百人を出し、200人以上が逮捕された、とアッシリア国際通信(AINA)が報じた。
 当局側は催涙ガス、ゴム弾丸の他実弾も発射した模様。イスラム教徒も加勢して教会に投石したという。
 信徒の1人ワギ・ヤクウブ氏は「カラス神父が、外に出て、子どもがいるから催涙ガスを止めるよう要求すると、1発が神父の足に命中した」と言う。
 エジプト人権連合のナギブ・ゴブリアル会長は、カスル・エルアイニ病院に収容された信者93人は皆銃撃され、破裂により眼球が傷ついている、と言う。
 事件は当局側が同教会の建設を認可したにも関わらず、差し止めようとしたことから11月11日に発生した。続いて22日にギザ県知事が現場を訪問、再申請すれば建設を認める、と発言した直後の出来事。
 今回のようなコプト教徒の抗議はエジプトでは稀だが、背後には、多数派のイスラム教徒には優遇措置が講じられるものの、少数派コプト教徒に対しては差別がある、との感情的な不満もある。


◎教皇のインタビュー本、各国で売れ行き好調

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が初めて性や神父による児童性的虐待の問題を語った書籍『世の光=教皇、教会、時の徴』が18言語で出版され11月24日、各国の書店に並んだ。ドイツ人ジャーナリスト、ペーター・ゼーバルト氏が教皇に延べ20時間のインタビューを行ってまとめたもの。
 発売前に公開された抜粋で、教皇が従来のカトリック教会の信条を越えて条件付きながらコンドームの使用を容認する発言をしていたことが明らかになった。教皇は、売春を職業とする男性についてはコンドームの使用が正当化される場合もあるかもしれないと語ったが、イタリア語版では、これが女性のセックスワーカーの場合と誤訳されたため、同書に強い関心が集まった。
 米国の出版元『イグナシアス・プレス』によると、事前予約だけで1万2000件入っていたという。
 これについて教皇庁は23日、HIV・エイズ感染を防ぐ目的でのコンドーム使用は、全ての性産業従事者にとって妥当だとする声明を発表。フェデリコ・ロンバルディ広報事務所長は「男性、女性、性転換者であれ違いはない。教皇のメッセージは、他人の生命を危険にさらすリスクは避けるべきだということだ」と語った。
 インタビューでは退位についても質問され教皇は「あり得る」と答えたが、「肉体的、心理的、霊的に教皇の職務続行が困難だと自覚したとき」との条件を付け加えた。
 ゼーバルト氏は以前にも、教皇とのインタビュー集を2冊出している。


◎教皇が文化・学術奨励の財団設立

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が文化・学術奨励のための財団『バチカン基金=ヨーゼフ・ラッツィンガー=ベネディクト16世』を設立した。バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所が11月27日発表した。教皇は財団設立をこの3月1日に指示していたという。
 同財団の資金は、教皇自身の著作の印税でまかなわれる。


◎教皇の印税収入5・6億円、神学研究やチャリティーに

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は11月26日、教皇ベネディクト16世が2005年の着座後、自著の印税などの収益が約500万ユーロ(約5億6000万円)だったと発表した。
 約240万ユーロ(約2億7000万円)が教皇の名前を冠した財団を通じ自身の神学思想の研究に使われ、残りはチャリティーに充てられる。
 23日から世界各国で発売された『世の光=教皇、教会、時の徴』は、昨夏、カステルガンドルフォの離宮で1週間、教皇とドイツのジャーナリスト、ペーター・ゼーヴァルド氏が行ったインタビュー形式の対話を記録したもの。
 バチカン出版局から24日発売されたイタリア語版は、約280ページ。その中で教皇はゼーヴァルト氏の90以上に及ぶ質問に率直に答えている。
 同書が扱うテーマは、教皇の日常生活から今日のカトリック教会や人類が直面する重要な諸問題に至るまで多岐にわたり、教皇はこれらのテーマに対し非常に平明な言葉で語っている。
 バチカン放送によると、教皇は今日の希望のしるしとして、組織や形式主義の結果としてではなく、教会の内側や、若者たちから生まれてくる新しい試みを歓迎している。そして、キリスト教が世界を変えるこの新しい活力をもって、新たな役割を担うことを期待している。
 教皇の不謬性とはごく限られた状況と条件の中で有効であることを想起しながら、教皇であっても個人的な意見や間違った意見はありうると説明。また、教皇は体力的・精神的・霊的に託された職務を果たせないとの自覚に至った時、辞任する権利があるとも述べている。
 聖職者による未成年の性的虐待を愕然とする出来事と述べた教皇は、教会は罰することを知り、今を清めの時としなければならないとしている。
 エイズ問題に触れた教皇は、教会が他のどの組織よりも、これまでいかに具体的に人々に寄り添い、患者をケアしてきたかを示した。そして「エイズ問題はコンドームの配布では解決できず、さらに多くの努力が必要」と強調。「感染の危険を減少させる」という動機のために個々のケースでその使用が正当化されることはあるかもしれないが、「教会はコンドームを真の倫理的解決とは見なさない」と語った。
 この他、教皇は、離縁・再婚したカップルの司牧や、ルフェーブル派の問題、イスラム教徒の対話やエキュメニズム、典礼問題など、幅広いテーマに答えている。


◎教皇、2011年にベナンを訪問

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が2011年11月18〜20日に西アフリカのベナン共和国を訪問する。バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所のフェデリコ・ロンバルディ所長が確認した。
 訪問の際、教皇は「和解、正義、平和に仕えるアフリカの教会」を主題に2009年10月に開催した第2アフリカ特別司教会議後の「使徒勧告」を発表するものと見られる。


≪短信≫CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。

≪アジア≫
▽フィリピン大統領府の高官が、カトリック教会に11月22日、エイズ感染防止のため、教皇発言に添ってコンドーム使用を認めるよう呼び掛けた。

≪中東≫
▽バグダッドの教会襲撃事件の容疑者12人を逮捕、と英BBC放送。
▽国外脱出から帰国したイラク市民に再出国の動き、と米紙ニューヨーク・タイムズ。
▽イスラエル考古局が、エルサレムの第2神殿を破壊したローマ軍兵士が使用したと見られる浴室跡を発見。

≪欧州≫
▽中国でバチカンの承認なしに司教任命式典を実施、さらに司教に出席を強要したことに、バチカンが11月24日、カトリックの教義を侵害し、宗教の自由を無視した、と抗議した。
▽世界教会協議会のオラフ=フィクセ・トゥヴェイト総幹事が、南北朝鮮間の対立で武力に頼ることに懸念表明。
▽北朝鮮の砲撃に関し、改革派諸教会で結成している世界宣教協議会のデス・ヴァンデルワーテル会長が、事件再発への懸念を表明。

≪米州≫
▽コンドームを禁止するカトリックの教義は教皇でも変更出来ない、とニューヨークのティモシー・ドーラン枢機卿が、使用容認との誤解に警告。
▽米ノースカロライナ州のメガチャーチ「ヒッコリーグローブ・バプテスト教会」のジョー・ブラウン牧師(62)が26年間の牧会から引退すると発表した。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(11月28日)=https://www.cwjpn.com
★中米ハイチ=コレラの感染拡大=緊急物資は現地に
★教皇が釈放要求=パキスタンで死刑判決のキリスト者女性
★ドン・ボスコの聖遺物=サレジオ会施設を巡回=来年2月に日本へ
★外国人支援など情報交換=難民委、全国担当者会議で=東京
★教皇ベネディクト16世=完全一致への決意固い=キリスト教一致推進評議会のメンバーたちに語る

  =キリスト新聞(11月27日)=https://www.kirishin.com
★イスラームとの共生模索=教団東京・西南支区社会担当委=内藤正典氏を招き平和講演会
★KAY合唱団、62年の歴史に幕=キリスト教文化の歩みとともに
★新作能「ルター」を礼拝で初公開 上村敏文氏="日本人の心持つ響きを"
★恵泉女学園中学・高等学校で平田オリザ氏講演=「社会性」と「対話」と
★クリスマスチャリティーコンサート=ホームレス支援と福音宣教に

  =クリスチャン新聞(11月28日)=https://jpnews.org
★韓国発の新異端勢力=「新天地」に対策窓口=日本キリスト教異端相談所開設
★東京キリスト教学園20周年="破れ口"に立つ人材育成を=宣教200年へ 使命と役割確認
★福音功労賞=湊晶子、ダグラス・ヘック、伊藤顕榮の各氏に
★中国へ漫画聖書頒布などで合意=中国教会訪日団迎え日本聖書協会が発表
★死海文書の高画質画像をネットで公開へ


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