世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1032信(2010.11.01)

  • 米カトリックとプロテスタントが洗礼の相互認知へ動く
  • スマトラ沖地震、津波で死者・行方不明者多数
  • イラクの教会を武装組織が襲撃、人質7人以上が犠牲に
  • 中国山東省で、家の教会牧師襲撃受ける
  • 北京のNGO雑誌『聖山』編集部に手入れ
  • 教皇がホーキング氏に反論「宇宙は神の創造物」
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎米カトリックとプロテスタントが洗礼の相互認知へ動く

 【CJC=東京】米カトリック教会司教協議会と北米キリスト教改革派教会、長老教会(PCUSA)、アメリカ改革派教会、合同キリスト教会が、洗礼を相互に公式に認知する方向で準備を進めている。
 米国でのカトリックと改革派の公式対話は10月8日に第7回を終了した。今回は『この生きる水=洗礼の相互認知に関する合意』とユーカリスト(聖体または主の晩餐)に関する『この命のパン』の2文書が作成された。『この命のパン』ではカトリックと改革派の教義の共通点と相違点を探った。
 カトリック司教協議会は11月にも、洗礼に関する合意採択を判断する。
 今回の動きは2002年、当時のバチカン(ローマ教皇庁)キリスト教一致推進評議会議長のワルター・カスパー枢機卿の提案で始まった。カトリックと諸教会の当局者、教区レベルや全国レベルでの交わりにおいて行なわれる洗礼の意義と有効な執行に関する対話を強く打ち出したもの。
 特定の洗礼の有効性に関して疑念が発生する事例を検討する手続きと共に、洗礼の相互認知を表明することで、共通の声明に到達出来よう、と言う。
 カトリック教会は、聖公会、ルーテル派ともそれぞれに対話を行なっている。


◎スマトラ沖地震、津波で死者・行方不明者多数

 【CJC=東京】インドネシア・スマトラ島のムンタワイ諸島沖で10月25日夜に起きたマグニチュード(M)7.7の地震で津波が発生した。また26日夕、ジャワ島中部の活火山、ムラピ山(2968メートル)で26日夕に起きた噴火、噴煙は1500メートルの高さまで達している。
 地震と津波により、付近では8割以上の家屋が倒壊したという。津波は3度襲来した。最初に来た一番高い波は高さ7メートルほどに達し集落の建物をなぎ倒したとの証言もある。家を失った村人らは掘っ立て小屋に避難していたが、食料も薬品もない状態。
 米地質調査所(USGS)によると、震源はスマトラ島中部パダンの南約280キロで、震源の深さは約20キロ。AFP通信によるとムンタワイ諸島の当局者は、高さ約4メートルの津波で10の村が壊滅したと語った。同諸島の人口は約6万6000人。
 AFP通信などによると、津波の死者数は30日、414人に達した。一方、行方不明になっていた住民135人が無事だったことが判明し、行方不明者は163人となっている。
 津波で損害を受けた地区に、国際カリタスなどが緊急救援活動を開始した。パダンのマルティヌス・シトゥモラン司教によると、カトリック救援組織『カリタス』のチームが津波被災地区にすでに入り、生存していた司祭4人、修道女4人と共に救援に当たっている。
 プロテスタント系の救援組織『教会世界奉仕』(CWS)翼下の『ACT(教会一致行動)連盟インドネシア』のスタッフも乳児用の救援キット140個と共に28日現地に入り、実態調査と援助の方向検討を開始した。
 一方、ムラピ山噴火では当初、計25人が死亡したとされたが、死者数は増える見込みで、負傷者も数十人に上る。噴火による火砕流も複数回発生しており、数千人がパニック状態で避難しているという。
 小規模な噴火が事前にあり、火口周辺では避難勧告が出されていたが、一部住民は避難勧告に応じなかったという。また、避難した住民の多くも昼間は農作業や牛の世話などのために避難先から自宅に戻っていた。


◎イラクの教会を武装組織が襲撃、人質7人以上が犠牲に

 【CJC=東京】イラクの首都バグダッド中心部で10月31日夕、銃を持った武装グループがサイダート・アルネジャル・カトリック教会を襲撃し、信者など約120人を人質にして立てこもった。数時間後にイラクの治安部隊が突入した。犯人らは手りゅう弾などを身にまとい、自爆攻撃を行ったという。
 イラク警察によるとして報じられたところでは、武装グループは、拘束されているアルカイダのメンバーを釈放しなければ人質を殺害すると脅迫していた。この事件で容疑者8人が逮捕された。
 現場に居合わせた英紙ガーディアンの記者は、同日夜のミサが始まろうとしたところへ銃を持った男たちが乱入した。当時教会の中には約50人がいて、神父が奥の部屋へ誘導したという。人質になっていた男性の証言によると、神父は武装集団が教会を急襲した直後に殺害された。
 米CNN放送が警察調べとして報じるところによると、37人が死亡、57人が負傷した。犠牲者の中には犯人と治安要員のほか、人質少なくとも7人が含まれるという。
 現地の米軍当局は、救出作戦の際に人質7〜10人のほか、イラク治安部隊7人、武装グループ5─7人が死亡したと発表。負傷者は最大30人に上るとしている。
 今回の攻撃については、事件後にスンニ派の武装集団で結成されたアルカイダの関連組織『イラク・イスラム国』と名乗るグループがウェブサイトに犯行声明を掲載した。
 武装集団は同日午前、中心部にある証券取引所を襲撃した後、近くにある教会に押し入ったと見られる。取引所を襲撃した武装集団は、イラク政府に人質の解放と引き換えに刑務所に収監されている受刑者らの釈放を要求していたという。


◎中国山東省で、家の教会牧師襲撃受ける

 【CJC=東京】米国に本拠を置く中国のキリスト教抑圧監視団体『対華援助協会』の発表によると、中国山東省餃州教会のザン・ガン(戦剛)牧師が10月26日、恒例の朝の聖書研究のために、教会員と一緒に教会に到着した際、平服の暴漢に襲撃された。同牧師は家の教会連合の総幹事を務めており、『対華援助協会』は暴漢が地元の公認・三自愛国運動教会に雇われたものと見ている。教会員たちは会堂として使用している建物から強制的に排除されたという。
 襲撃は三自愛国運動指導者の子息たちにより組織されたものと見られるが、いずれもキリスト者ではない、という。同協会は、国務院宗教局の関係者が背後にいる、と報じた。この関係者は、ザン牧師を教会に立ち入らせないのは、彼が三自愛国運動教会の指導者ではないからだ、と語った。結局、ザン牧師に導かれているキリスト者1000人近くは、通常の集会は出来なくなった。
 同協会は、山東省の三自愛国運動関係者に、家の教会キリスト者への攻撃中止を要請した、と語った。


◎北京のNGO雑誌『聖山』編集部に手入れ

 【CJC=東京】北京のNGO(非政府組織)『中福聖山研究所』の雑誌『聖山』編集部が北京市公安当局によって10月27日捜索された。言論・宗教の自由などを求める『08憲章』を起草した人権活動家で作家・詩人の劉暁波(リウ・シアオ・ポー)氏(54)がノーベル平和賞受賞者に決定したことへの反発が影響したものと見られる。
 このほどアフリカのケープタウンで行なわれた第3回世界宣教ローザンヌ会議には当初大代表団が参加するものと予想された中国だが、直前になって出国許可が差し止められるなど、中国政府のキリスト教抑圧姿勢が公然化している。


◎教皇がホーキング氏に反論「宇宙は神の創造物」

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は10月28日、バチカン(ローマ教皇庁)科学アカデミーで講演し、理論物理学者スティーブン・ホーキング氏の説に間接的な反論を展開、宇宙は神の創造物だと言明した。
 ホーキング氏は9月出版した著書「グランドデザイン」で、宇宙誕生に神が必要ないことは物理学の法則に示されていると主張している。
 米CNN放送(日本語電子版)によると、教皇は、「科学者は世界を創造しているわけではなく、それについて学び、まねようとしている」とし、科学者の役割は普遍の法則を創造することではなく観察することにあると強調、そこから導き出される結論として「人間ではない全能の知恵が存在し、それが世界を支えていることを認めざるを得ない」と述べた。
 教皇は、科学アカデミーについても「教会が科学研究を重んじ、科学の熱意に感謝していることの証」だとしている。


《短信》CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。

≪アジア≫
▽昨年末、中国から福音を大声で叫びながら渡河、北朝鮮に入国しようとして逮捕、43日間拘禁された、韓国系米国人ロバート・パク氏(28)が韓国を訪問、AP通信に、犯罪を認め痛恨したのは強制的なものだった、と語った。
▽北京最大のカトリック教会『北堂』(救世主堂)の修復が10月23日完成した。ゴシックスタイルで、北京在住の信徒の拠り所としての栄光が再現された。2年がかりで経費3000万元(約6億4000万円)。

≪中東≫
▽10月24日閉幕した中東特別司教会議(シノドス)について、反イスラエル感情に支配された、とイスラエル政府のダニー・アヤロン外務副長官がエルサレム・ポスト紙上で批判した。
▽イスラエルとパレスチナ自治区のキリスト教聖地の管理者としてバチカン(ローマ教皇庁)が任命したペイルバチスタ・ピッザバッラ神父(フランシスコ会)が、中東特別司教会議(シノドス)が偏見に満ちたものだというイスラエルの批判に反論した。
▽パレスチナ自治区政府は、古代都市エリコを観光名所として再開発する。総額5億ドル(約400億円)の資金は民間に頼る。

≪欧州≫
▽バチカン(ローマ教皇庁)は、イタリア警察が2300万ユーロ(約24億円)のバチカン銀行資産を凍結したのを受け、欧州連合の規定に準拠する方針を明らかにした。
▽教皇ベネディクト16世は次回司教会議を「キリスト教信仰を伝えるための新しい福音宣教」主題に2012年に開催する、と10月24日、中東特別司教会議の閉会式典で発表した。
▽教皇ベネディクト16世が来年前半にクロアチアの首都サグレブを訪問する、とクロアチアのイヴォ・ヨシポヴィッチ大統領と司教協議会会長のヨシップ・ボツァニック枢機卿が10月29日発表した。
▽教皇ベネディクト16世がスペインを訪問、11月6日には聖地サンチャゴ・デ・コンポステラを訪れるが、それを機会に同地に集まる巡礼・観光客は20万人と予想されている。
▽スイス・ルツェルンのカトリック教会がバチカンの意向に反し、HIV/エイズ感染防止キャンペーンの一環として、コンドームを配布した。
▽英カトリック教会ヨークシャー州ミドルスバラ教区は、コミュニティホーム運営の責任を問われ、性的虐待を受けた生徒142人へ800万ポンド(約10億4000万円)賠償へ。

≪アフリカ≫
▽南ア・ケープタウンのオペラ座がイスラエルで公演する計画に、ノーベル平和賞受賞者のデズモンド・ツツ大主教が、キャンセルを呼び掛けた。
▽南アのユダヤ人代表者会議は10月27日、「平和と理解は、イスラエル、南ア、パレスチナ自治区の間の建設的、積極的な関わりによって得られるもので、ボイコットによってではない」と、ツツ大主教のオペラ公演中止の呼び掛けを批判した。

≪米州≫
▽米・南部バプテスト連盟はセントルイスで開いた総会で、新会長にマシュー・C・ハリソン氏を任職した。
▽ブラジル北東部フォルタレサ大司教区のサンルイスドクルで、ホセニール・モライス・サンタナ神父(48)が、10月25日朝、車中で死んでいるのを発見された。背後から打ち込まれた弾丸が心臓を貫通していた。1995年に司祭に叙階された同神父、簡素な生活で知られていた。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(10月31日)=https://www.cwjpn.com
★聖性の「輝かしい模範」と称賛=イエズス孝女会創立者聖クララ会修道女ら=教皇、6人を列聖
★来年の「教区宣教大会」に向け=ことしのテーマは「養成」=高松教区民の集い=高知地区
★ホームレスの15%に自殺の危険=高齢、障がい、家族なく...=路上に"引きこもり"=難民移住移動者委員会道の司牧研修会
★教皇=24人を新枢機卿に=アジアからはただ1人
★フィリピン=台風13号でカトリック系援助団体=被災者数万人を支援へ

  =キリスト新聞(10月30日・休刊)=https://www.kirishin.com

  =クリスチャン新聞(10月31日)=https://jpnews.org
★「韓国を祝福します」=併合100年=ソウル、仁川でGod Bless You コンサート=作者の岩淵さんも感涙
★第3回ローザンヌ会議開幕=中国代表ら参加足止め
★「強い円への信念 一貫」=福井前日銀総裁 速水優氏の思い出語る
★ISC大会に向けネットワーク強化=スポーツネットがカンファレンス
★TCU20周年=宣教200年へ使命検証=11月 記念行事開催


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