世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1030信(2010.10.18)

  • ケープタウンで第3回世界宣教ローザンヌ国際会議
  • 中国語『和合本』聖書の改訳が27年掛けて完成
  • カンタベリー大主教がインド訪問
  • 教皇、マキロップ修道女ら6人を聖人に
  • カトリック香港教区正義と平和委も劉氏釈放を呼び掛け
  • チリ落盤事故の救出作業員と家族が感謝のミサ
  • 世界キリスト教コミュニケーション連盟に女性総幹事
  • マニラで反ギャンブルの牧師が白昼射殺される
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎ケープタウンで第3回世界宣教ローザンヌ国際会議

 【CJC=東京】第3回世界宣教ローザンヌ国際会議が10月16日、南アのケープタウンで開幕した。世界198国・地域から代表ら5000人が参加した。
 アフリカ流のドラムが響く中、参加者は賛美し、手をあげて闇の悪霊と闘うことを誓い、グローバリゼーション、世俗化、経済的抑圧、エイズ、貪欲、商業主義に、イエス・キリストの福音という生き方を変えるメッセージで立ち向かう時をつかもう、との決意を明らかににした。
 世界的に著名な大衆伝道者ビリー・グラハム牧師は、92歳と高齢で病身にも関わらず、第1回会議からの関係者としてメッセージを寄せ、若い新世代の福音派代表に、救世主イエス・キリストへの信仰を堅くし、全世界に行って福音を伝えよとの負託に応えるよう呼び掛けた。
 福音派は霊的なことに力を入れる一方、社会的なことに無関心とされるが、17日の世界貧困デーを控え、最低限の必要も満たされない人のことを覚えよう、との声も聞かれた。
 ダグ・バーザル議長は、今回が教会史上で最も多彩な集会で、世界に対し教会の一致を最も示した、と語った。
 「198国の代表は、世界のキリスト教のほとんど全ての流れから来ている。96カ国には700のチャンネルを通じて会議が報じられ、10万人が視聴する。代表の4割は20代、30代、40代であり、3分の1は女性。宣教師が1200人、牧師1200人、学者1200人のほかビジネス界、政府、メディア関係600人が参加した。代表4200人に奉仕者1100人」と言う。会議は24日までの日程。総経費は1650万米ドル(約13億5000万円)。
 今回会議には中国の教会からの参加が期待され、関心も高まっていたが、実現しなかった。中国では約200人が参加したいと募金までしていたが、公安当局は規制の構え、とコンパス通信が報じた。中国の『家の教会』指導者アブラハム・リュー・グアン氏ら5人は、会議出席のため10月10日、北京から空路出国しようとしたが、拒否されたという。


◎中国語『和合本』聖書の改訳が27年掛けて完成

 【CJC=東京】全世界の中国語聖書の親しむ人を結びつけることを願って、普及している『和合本』の改訳が27年掛けて完成、献呈式典が香港聖公会の聖ヨハネ大聖堂で9月27日行なわれた。
 献呈式典には聖公会、ルーテル派、メソジスト、カトリック各派、本土教会代表、本土政府宗教事務局関係者が出席した。
 聖書協会世界連盟(UBS)のノーラ・ルセロ議長は、インタビューで、改訳が聖書学者30人以上により、全世界のさまざまな教派の中国人に受け入れられるよう細心の注意を払って完成されたもので、中国語を読めるキリスト者が用いる唯一のものとなる、として中国のキリスト者は「その歴史を通じて和合本を所持し読むために高い代価を払ってきた。それは価格だけでなく経験してきた苦難でもある」と語った。
 『和合本』は1904年から訳出が始まり、19年に完成した。当時使用されている漢字(繁体字)で縦書きだったが、現在中国本土では簡体字、横書き、句読点付きが発行されている。
 今回の改訳は香港聖書協会が企画したもので繁体字だが、本土でも年末までに新約聖書の簡体字版が刊行される。
 現在中国語聖書は分冊、新約、旧約など合わせて1億冊、中国には5000万冊あると推定され、毎年400万冊が発行されている。


◎カンタベリー大主教がインド訪問

 【CJC=東京】16日間の日程でインド訪問を始めた英国国教会の霊的最高指導者カンタベリー大主教ローワン・ウイリアムズ氏は10月9日、インド北東部コルカタに到着した。念願だったマザー・テレサの墓を訪ねてから、マザーが創設した『神の愛の宣教者会』を訪問、会員たちに挨拶、『マザーの家』や隣接したシシュババン孤児院を訪問した。
 翌10日、大主教は聖パウロ大聖堂で行なわれた国連『ミレニアム開発目標』(MDGs)のための祈祷日ミサで説教した。大主教はキリスト者が貧困撤廃目標を単に政府の関心事と見るのでなく、自らの共同体内部で推進すべきものだ、と語った。
 その後、大主教は北インド教会が運営するエイズ患者のためのホスピス、看護学校を訪問した。
 大主教は14日、中部ナグプールで北インド教会40周年記念式典に列席した。同教会は英国国教会、バプテスト、ブレスレン、会衆派、デサイプル、メソジスト、長老派の連合体。


◎教皇、マキロップ修道女ら6人を聖人に

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は10月17日、新たに6人を聖人に列した。その中の1人、十字架のマリア・マキロップ修道女は、オーストラリア生まれでは最初の聖人。サンピエトロ広場で行なわれた列聖式には、巡礼や観光客約5000人が集まった。
 マキロップ修道女は1842年、スコットランドからの移民の家に生まれた。『イエズスの聖心の聖ヨセフ』会設立に尽力した。独特の修道生活を推進したためか司教団から破門されたことがある。


◎カトリック香港教区正義と平和委も劉氏釈放を呼び掛け

 【CJC=東京】カトリック教会香港大司教区正義と平和委員会は、ノーベル平和賞受賞が決まった中国の民主活動家で作家の劉暁波氏(54)の釈放を呼び掛ける声明を10月14日発表した。カトリック通信Zenitによると、香港のキリスト教諸団体、カトリック指導者も釈放呼び掛けに賛同している。
 劉氏は2008年12月、三権分立など共産党の一党独裁体制の撤廃を求め、中国人学者や作家など303人が連盟した『08憲章』を発表したことで、懲役11年、政治権利剥奪2年の有罪判決を言い渡され服役中。


◎チリ落盤事故の救出作業員と家族が感謝のミサ

 【CJC=東京】チリ北部サンホセ鉱山落盤事故で、地下から救出された作業員33人の生還に感謝するミサが10月17日、同鉱山のテント村『エスペランサ』(希望)で開かれた。作業員に配慮してミサは非公開だったが、少なくとも15人の作業員とその家族さらに救出活動に携わった関係者ら約200人が集まった。
 テント村は、家族たちが作業員の無事救出を祈って、10週間も生活を続けてきた場所。
 作業員らは地下での生活について口を閉ざしている。最年長のマリオ・ゴメスさんは、地下での生活について「われわれは語らない」と述べた。一方で、アリエル・ティコナさんは、作業員らが本の出版を計画していることを明らかにした。
 救出当時、作業員が着ていたシャツには「主に感謝」「主に栄光と誉れを」とか「イエス」といった文字が記されており、地底生活の一端を示してはいる。
 19歳のジミー・サンチェスさんは地底から送った手紙に「私たちは実際には34人だ。神が私たちをここに置き去りにはされなかった」と書いた、との情報もある。


◎世界キリスト教コミュニケーション連盟に女性総幹事

 【CJC=東京】『世界キリスト教コミュニケーション連盟』(WACC)はカナダのトロントで開催した常議員会で、ランディ・ネイラー総幹事の後任に、ルーテル世界連盟の前コミュニケーション部長、カリン・アクテルステッター氏を選任した。女性の総幹事就任は初めて。
 デニス・スミス会長は「カリン牧師は、適任であることは元より、最初の女性であることを誇りとする」と語った。


◎マニラで反ギャンブルの牧師が白昼射殺される

 【CJC=東京】フィリピンで、ギャンブル反対の姿勢を強く打ち出しているジョセフ・サリバ牧師(42=バプテスト派)が10月13日昼、マニラのケゾン地区を自動車で走行中、ガンマンに射殺された。犯人が平然とオートバイで立ち去った、と目撃者が語っている。
 サリバ氏は北部パンガシナン州ダグパン市の教会で牧会に当たっていた。正義、人権擁護の分野や、ギャンブルなど不道徳な犯罪行為への反対活動で知られている。
 パンガシナン州は、違法ギャンブルが盛んなところとしてはフィリピンで第2位ということから、超教派でキリスト教会が対応に当たっていた。


《短信》CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。

《中東》
▽聖地の宗教団体協議会が10月3日、過激イスラエル入植者がベツレヘム近くのベイト・ファジャル村でモスクを焼きうちしたことを非難した。

《欧州》
▽故教皇ヨハネ・パウロ二世の列福に必要な奇跡が認定されたことから、2011年にも福者とされる可能性が高まった。
▽サンタクロースは商業主義の発明だ、として代わりに子どもたちに内面的豊かさを教える聖ニコラスを推進する動きがドイツで始まった。
▽欧州での反キリスト教言動を監視する『偏狭と差別観測所』がウイーンで発足した。

《アフリカ》
▽アフリカ南部マラウィのマンゴチ地方で、多数派イスラム教徒が聖書を引き裂いたことに、イスラム教を含む各宗教指導者が警告している。

《米州》
▽公立学校での宗教曲使用を禁止している米ニュージャージー州サウスオレンジ・メイプルウッド校区の措置取り消しを求めた訴訟を最高裁が却下した。
▽米カリフォルニア州中部地区連邦裁判所は10月12日、同性愛者の兵役を禁じた米軍規定の執行中止を命じる差し止め命令を出した。同規定に基づいて開始された調査や除隊などの処分の即時執行中止を命じた。裁判は同性愛者の権利団体が米軍を相手取って起こしていたもの。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(10月17日)=https://www.cwjpn.com
★WYD=来年夏のマドリード大会に向け=日本巡礼団の準備会議
★バチカン高官が批判=「体外受精」開発者へのノーベル賞
★聖母マリアへの祈り(天使祝詞)改訂案決定=12月8日発表へ=特別臨時司教総会
★難民移住移動者委員会=なぜAOSなの?=船員司牧の重要性、再確認
★宗教者ら平和巡礼=憲法9条支持訴える=長崎

  =キリスト新聞(10月16日)=https://www.kirishin.com
★「宗教者九条の和」シンポジウムと平和巡礼="最後の被爆地"で非戦誓う
★霊感商法対策弁護士連絡会=全国集会で紀藤正樹氏指摘="政府・市民・被害者の連帯を"
★研究者・学生を支援する「志学会」=講演会で学生・院生らが交流
★"ふつうの日本人のため"のメルマガ「聖書&キリスト教ナビ」創刊
★無神論者の方が宗教知識豊富?=米『プーリサーチセンター』が調査

  =クリスチャン新聞(10月17日)=https://jpnews.org
★困難が生んだ協力の輪=キリスト教学校教育同盟100年
★阪神マット・マートン選手シーズン最多安打数の新記録=神の御名を知らせる時となったことが感謝
★「神の言葉、世界のための命」=聖書協会世界連盟が韓国で総会
★卞在昌牧師=準強姦事件の公判大詰め=容疑否認しアリバイが焦点に
★日本で信仰育つ各国留学生ら=青年修養会KOSTA-JAPANますます盛ん


           ●世界キリスト教情報●ご案内
 ☆活動紹介・購読(無料)お申し込みは
         ........................... https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/
 ☆既刊号をご覧頂くには ..............................
   (FAX版=PDF)https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
      (総合版=整形テキスト) https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
          (総合版=非整形テキスト) https://cjcskj.exblog.jp/
 ☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
             ........................... https://www.kohara.ac/church/
        ●CJC通信●ご案内(転載使用はご遠慮願います)
 ☆掲出サイト ................................. https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
 ☆速報をTwitterで発信しています ............ https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧