世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1021信(2010.08.16)

  • 米イェール神学校が教会の将来調査
  • 『国際生物多様性年』の9月22日に教会も「警告の鐘」
  • 神への完全な愛の形としての殉教を考える=教皇一般接見
  • 性的虐待問題で教皇訴追は取り下げ
  • ホームレスの相談相手に改宗勧めるのは解雇理由に
  • 「教会はストリッパーに手を差し伸べるべき」
  • 殺害にあっても「アフガニスタンでの活動続ける」
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎米イェール神学校が教会の将来調査

 【CJC=東京】米国文化の背景をなして来た「制度としての教会」、特に「主流プロテスタント」教会の将来はどうなるのか。コネチカット州ニューヘブンにあるイェール大学神学校が発行する雑誌『リフレクションズ』2009年秋号は、『基盤は固いか?
未来に直面する教会』という主題に編集されたが、学者、聖職、信徒が多彩な展望を展開しているだけに、熱心な議論と関心を呼び起こしている、とENI通信が報じた。
 『100年の推移=プロテスタント特権から文化的多元性へ』を執筆した同神学校のジョン・リンドナー渉外部長は、いわゆる主流教会の会員数減少に関するメディアの評価は、重要なポイントを見逃している、と言う。
 同氏は、「"エキュメニカル"な一致というメッセージを推進することで主流プロテスタント教会の成功は、多元性と包括という新時代をもたらし、さらに教派への忠誠度合いの低下の引き金にまでなった」のだ、と主張する。
 それは制度的プロテスタント教会にとっては調整を意味しているのだが、これは、多くの場合、健全な方法での教会に対する挑戦なのだ、と言う。
 ハロルド・アットリッジ教授は、教会指導者の間で、「教会の変容を人口や文化の側面から見た際に将来への不安が見られる」と指摘する。
 ジョージア州アトランタの第一コングリゲーショナル(会衆派)教会牧師である卒業生のドワイト・アンドリュース牧師は、『敵対的な文化の中での会衆派教会の力と恩寵』の中で、教会は「21世紀の文化の腐食に挑戦する、内的留保と対抗価値を持つ恐らく最後の制度」と見ている。
 礼拝の実践はなお「社会から急速に失われている共同体意識を生み出す」力を持っていることだと言う。それでも「教会生活の質」は圧力にさらされている。裕福な中産階級の多くは「予定表がびっしりの人生」と「やることがたくさん」で、凝集的な信仰共同体という布地を引っ張っている、と言う。


◎『国際生物多様性年』の9月22日に教会も「警告の鐘」

 【CJC=東京】国連が『国際生物多様性年』と定めた今年、9月22日には総会でも討議が行われるが、英国では多くの教会が当日、「警告の鐘」を鳴らすことにした。鐘はニューヨークの国連本部とケニアの首都ナイロビでも鳴らされる。
 英国最大の国教会も、1万6000教会のうち複数の鐘を鳴らせる6000教会が参加すると見られる。同日正午から午後2時まで、信者、学校、市民団体の手で鳴らされる。 


◎神への完全な愛の形としての殉教を考える=教皇一般接見

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は8月11日、水曜恒例の一般接見を滞在先のカステルガンドルフォで行った。
 バチカン放送(日本語電子販)によると、接見中の講話で教皇は、8月に記念される聖人たち、特に、初代教会の殉教者、聖ラウレンチオ助祭、聖ポンツィアーノ司祭、また20世紀の殉教者、聖マキシミリアノ・マリア・コルベ神父、十字架の聖テレジア・ベネディクタ修道女らを思い起こしながら、神に対する完全な愛の形である殉教についての考察を述べた。
 殉教は何の上に成り立つのか、という問いに対し、それはイエスの死、私たちが命を受けるために十字架の上で成し遂げられたイエスの究極の愛の犠牲にほかならないと、教皇は述べた。
 殉教に立ち向かう力はどこから生まれるのか。教皇はそれはキリストとの深く親密な一致から生まれると強調した。そして、殉教や、殉教への召命は人間の努力による結果ではなく、神の呼びかけへの答えであり、自身の命をキリストと教会、世界への愛のために差し出すことを可能とする、神の恵みによるものと説いた。


◎性的虐待問題で教皇訴追は取り下げ

 【CJC=東京】米ケンタッキー州のカトリック教会聖職者の性的虐待問題で、著名な弁護士ウイリアム・マクマリー氏が教皇ベネディクト16世も訴追する構えを見せていたが、取り下げる、と8月9日明らかにした。
 訴訟が取り下げられたことに、バチカン(ローマ教皇庁)のフェデリコ・ロンバルディ報道担当は、「まったく根拠のないこと」なので、決定は「良いニュース」と8月10日語った。


◎ホームレスの相談相手に改宗勧めるのは解雇理由に

 【CJC=東京】英ロンドン・ワンズワース区議会が2009年に、ホームレス対策委員のデューク・アマクリー氏を、相談相手に改宗を勧めたとして解雇されたことで、同氏が撤回を要求していたが、市南部雇用審判所は8月11日、正当解雇と判定した。
 相談相手が、住宅問題を同氏にもちかけた際、相手が不治の病にかかっていると知り、「神を信じるべきだ」と語ったとして、相手から苦情が議会に出されていた。


◎「教会はストリッパーに手を差し伸べるべき」

 【CJC=東京】米オハイオ州コロンバスの郊外ワルシャウの『ニュービギニングズ・ミニストリーズ』教会の前にストリッパーたちがここ数週間、抗議のため日曜日になると教会堂前にキャンプを張り、ビキニ姿で踊っていた。同教会が、存在そのものを迷惑だとして、4年前から近くのニューキャッスルにあるフォックスホール・ストリップ・クラブの閉鎖を経営者トミー・ジョージ氏に要求し、クラブ前で反対活動を「宣教」と称して続けていることに、抗議するもの。ストリッパーたちは「家族を養わなければ」と言う。
 8月15日、礼拝を終えて、ビル・ダンフィー牧師や女性の教会員は会堂から出て和解へ腕を広げた。牧師は「売春婦ではない」と繰り返し泣いているストリッパーを受け入れようとした。しばらくして2人は抱き合った。
 ただこれで和解が成立したというわけではない。話し合いを始めることに、双方は合意したとして、「もう終わった。戦いは終わった」とシェリ・ブラウン氏は語る。同氏はカリフォルニア州サンディエゴでストリッパーに宣教している。話し合いへの道をつけたのが彼女だ。しかし双方の確認は得られていないという。
 15日の礼拝では、ブラウン氏と、ストリッパーから転じてキリスト者になったミシガン州グランドラピッズのアンニー・ダンワルド氏がゲスト説教者として講壇に立った。
 2人は、ストリップクラブの駐車場で行っていた教会の抗議デモを再考するよう促し、ストリッパーたちに霊的に接する方法を示唆した。「女性たちに、今出て行けということがわたしたちのなすべきことではない。彼女たちをひたすら愛そう。聖霊が導き出すだろう」とダンワルド氏は説教で語った。
 ダンワルド氏とブラウン氏は前週末、クラブに行きストリッパーたちと会った。「2人はイエスを心に受け止めた」と、ブラウン氏は語り、歓迎の拍手を受けた。
 ただ彼女たちはそれでも仕事をすぐに止めるつもりはない、という。中の1人ジーナ・ヒューズさんは「私たちの心はイエスと共にあるが、私たちの身体は、フォックスホールにある」と述べた。彼女たちは、教会に抗議した際、礼拝出席を勧められたが、拒絶した。教会にとって勝利だ、と誤解されるのを避けたいからだという。


◎殺害にあっても「アフガニスタンでの活動続ける」

 【バンガロール(インド)=ENI・CJC】『国際アシスタンス・ミッション』(IAM)は、アフガニスタンで医療に従事していた活動家など10人が、イスラム教徒をキリスト教に改宗させようとしたという理由で、タリバン勢力に射殺されたものの、アフガニスタンでの活動を続ける意思を明らかにした。
 「わたしたちの信仰が、わたしたちを力づけてはいるが、わたしたちは改宗行為をしてはいない。わたしたちはアフガニスタンの法律を順守している」とIAMのダーク・R・フラン代表は8月9日、カブールで行ったメディア会見の際に公表した声明で述べている。


《短信》CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。


▽中国のディン・ウェイ新駐イタリア大使は、『30ジオルニ』誌とのインタビューで、中国はカトリック教会に「善意」を持っており、聖座(バチカン)との関係改善を望んでいる、と語った。
▽マレーシアの裁判所がイスラム教徒2人に禁固5年の判決を8月13日下した。イスラム教徒以外が、神について語る時に「アラー」という言葉を使って良いとの、判断に反対する動きが高まっている中で、キリスト教会に放火したとの容疑で起訴されていたもの。
▽パキスタン・パンジャブ地方の洪水被害に、キリスト教救援団体も、バルナバ・ファンドなど活動開始。
▽レバノンのマロン典礼教会主教が、ヒズボラ・テレビに、ラマダン期間にイエスを題材にした番組を放映しないよう訴え。
▽教皇はアイルランド・ダブリン教区の補佐司教の辞任申し出を認めず。
▽バチカン機関紙ロッセルバトレ・ロマノが8月13日付けで、近代看護教育の生みの親フローレンス・ナイチンゲールを評価する記事を掲載。
▽ロシア正教会は、酷暑と干ばつの中、雨乞いの祈りを続けている。
▽『対日勝利記念日』の礼拝が英リバプールの『クライスト・ザ・キング教会』で行われた。
▽英ダラムのクリス・ジュビー氏(30)が、聖書全巻の1189章を1章ごとに英字で140字に要約して、トゥイッターに8月8日から「つぶやく」ことにした。これまでも毎朝、1章ずつ読むのを日課にしていたという。
▽世界はソマリアを忘れている、と教会援助関係者が警告。
▽米バージニア州のバプテスト教会の元会計が30万ドル横領の容疑で逮捕。
▽米カトリック教会が、信徒呼び戻し運動「カトリックス・カム・ホーム」。
▽米国のヒスパニック(スペイン系市民)の多くはカトリックだと自認し、倫理的には保守だが、世代間の差が大きい、と調査。
▽アラスカ聖公会主教の任職式をカトリック教会堂で行う計画だったが、カトリック信徒の中から反対の声が出て、キャンセルとなった。改めて9月4日に、アンカレッジの第1合同メソジスト教会で執行する。
▽メキシコ最高裁は8月5日、メキシコ市が同性間の結婚を認めたことを合憲、と判断した。中南米各国では初めて。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(8月15日)=https://www.cwjpn.com
★国連事務総長=長崎・被爆マリア小聖堂で=核廃絶への思い 明言
★常任司教委=研究目的のヒト胚作成=「認められない」と意見
★広島=平和行事=核めぐり 新たな流れ=NPT再検討会議関連の報告も
★死刑執行に抗議=正平協=死刑廃止を求める部会
★ES細胞の人体臨床実験=バチカン関係者が非難

  =キリスト新聞(8月14日)=https://www.kirishin.com
★WCRP=40周年学習会=核廃絶への取り組みふり返る="被爆国としての発信を"
★100年前の「併合」は無効=日韓の学者、宗教者ら1000人が署名
★青山学院=理事会が理事長再任を否決=後任人事は次回審議へ
★原告団が上京=普天間爆音訴訟で島田牧師ら会見="沖縄だけの重荷か"
★難民雇用支援でネイルサロンがオープン"カッコいい難民目指したい"

  =クリスチャン新聞(8月15日)=https://jpnews.org
★戦犯108人解放へ導いた犠牲的行為=『ジョナサン・正武・藤田追悼集』に戦争秘話
★日韓台青年が国際交流=「ジョイジョイキャンプコリア」韓国で
★人権闘争貫く「生きること」=崔昌華牧師を動かした象徴行為=企画展で同士が回顧
★共通認識こそ和解の基本=併合100年 日韓千人が署名=牧師も参加=「日韓知識人共同声明」
★NCC教育部=「平和のきずな献金」募る=世界の平和つくる働きに


           ●世界キリスト教情報●ご案内
 ☆速報をTwitterで発信しています ............ https://twitter.com/cjcpress/
 ☆活動紹介・購読(無料)お申し込みは
        ........................... https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/
 ☆既刊号をご覧頂くには ..............................
             (閲覧用) https://blog.livedoor.jp/skjweekly/ 
             (転載用、非整形) https://cjcskj.exblog.jp/
 ☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
            ........................... https://www.kohara.ac/church/

月別の記事一覧