世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1019信(2010.08.02)

  • 世界YMCA新会長は「ユースが活動のリーダーシップを」と主張
  • 米フロリダ州の教会が『コーラン』焼却計画
  • 中国とバチカンは今も「綱引き」と陳枢機卿
  • トリノの聖骸布、エルサレムで関連展示
  • この暑さでもバチカンへは軽装ご注意
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎世界YMCA新会長は「ユースが活動のリーダーシップを」と主張

※世界YMCA同盟新総主事名を前信で《ヨハン・ヴィレルム・エルトヴィク》としましたが、加盟組織の日本YMCA同盟が文書で《ヨハン・ビルヘルム・エルツビック》としましたので、それに合わせます。

 【CJC=東京】YMCA世界同盟は、世界各地のYMCAの代表1000人以上が参加して、7月19日から24日まで、香港文化センターを会場に世界大会を開催した。
 大会では、新たにマカオ、東エルサレム、ベラルーシ、ロシアの各YMCAの正式加盟g発表された。
 世界同盟新会長に就任したケネス・コロトン氏は、米国の銀行家、1970年代以降、YMCA運動に関わっており、19日から24日まで香港で開催された同盟理事会で会長に選出された。2007年から10年まで米YMCAの理事長を務めた。
 中東問題では、世界同盟がパレスチナ寄りの姿勢を示すことに反発した米YMCAは、これまで世界同盟との距離を置いていると見られていただけに、コロトン氏の会長就任は、世界YMCAの動きが新段階に入ったことを示すもの。パレスチナ自治区にある東エルサレムYMCAの加盟にも、米YMCAの理解と支持があったとの情報もある。
 YMCAは、宗教、人種、性別、文化を問わず、若者とそのコミュニティに、社会的正義と平和をもたらすために働く世界的なエキュメニカル運動と自らを説明している。
 YMCA運動の中で変革を捉えるために、若いエネルギーとリーダーシップが必要だ、とヨハン・ビルヘルム・エルツビック新総主事は語っている。同氏はさらにボランテアの影響が強くなってほしいとして、「YMCAは、女性のリーダーシップへ道を開くことも加速しなければならない」と言う。
 任期満了で退任するバート(バーソロミュー)・シャハ総主事が提出した報告は、「YMCAのほとんどは、若い人たちの役割を、基本的にはボランティア・リーダーや参加者、と今なお捉えている。重要なレベルでの関与は極めてまれだ。戦略的な対応が必要だ」と指摘している。
 コロトン新会長も24日の閉会式で、YMCA運動が、助けを必要としている人たちへのサービスを提供することにさらに力を入れ、若い人たちがグローバルな活動のリーダーシップを発揮することを助けるために「緊急に活動」しなければならない、と語り、「史上初めて、世界の人口が都市、特に安全、衛生、保健医療が基本的に不足している最貧国の都市に集中している」と語った。「開発途上国の都市YMCAは、このような事態に対応する100年以上の経験があり、YMCAの努力を最適化するために他のNGO(非政府組織)との協働をより密接にしなければならない」と言う。
 さらに飢餓、栄養失調、HIV/エイズ、高齢化などを挑戦課題として、コロトン新会長は、YMCA運動のキリスト教アイデンティティが、貧困者と抑圧されている人たちを助けるという神の働きを行うことへの基本的枠組みである、として、「ユースを変革する世界に結びつけるために緊急に活動」しなければならない、と言う。「ヤングアダルトが、世界的な問題により大きなリーダーシップを発揮する時だ」
 経済的、政治的影響力が、アフリカ、中南米、アジアへ向けられるようになり、YMCAが「特に商業、社会奉仕などの点で、これらの地域で効果的に指導、奉仕するスキルを若者たちに備えさせなければならない」と新会長は指摘している。


◎米フロリダ州の教会が『コーラン』焼却計画

 【CJC=東京】ニューヨークで発生した同時多発テロ事件から9年、マンハッタン地区の現場『グラウンドゼロ』の近くにイスラム教のモスクを建設する話しが持ち上がり、保守派宗教団体の間で反イスラム運動の波が高まっている。
 その一環として、フロリダ州ゲインズビルの『ダブ・ワールド・アウトリーチ・センターが、9月11日に、イスラム教の聖典『コーラン』を燃やす計画を発表した。
 これに対し、イスラム教徒の権利擁護団体や、キリスト教組織は、反対を表明している。またイスラム教聖戦組織の中には、コーラン焼却が実行されれば復讐する、と公言するところも出ている。
 『アウトリーチ・センター』側は「イスラムという悪魔に対抗する」とネットに書き込んでいるが、これに批判が高まった。
 同教会には、全国福音同盟(NAE)も、「コーラン焼却の日は、イスラム教徒の隣人を侮辱するもので、世界中でキリスト者とイスラム教徒の間の緊張を強めることになる」と非難している。NAEのリース・アンダーソン議長は、「コーラン焼却とは復讐に根ざしているようだ。聖書は、キリスト者が『誰も過ちに過ちを返すことなく、いつも互いに、そして他人にも親切にすつように』と言っているではないか」と語った。
 コーラン焼却計画は、イスラム運動側の注目も集めている。中には、ネットに、実行されれば「お前(アメリカ人)の血が流れる」と書き込みも見られる。
 しかし、教会に計画中止の姿勢は見られない。「わたしたちは、イスラム教が10億もの人々を地獄に落とす、それは暴力宗教であり、そのことは何度も証明されている」と同教会のテリー・ジョーンズ牧師はCNNテレビに語った。
 同教会はまた、ゲインズビルのクレイグ・ロー市長が公然同性愛者だとして抗議する計画で、これも論議を呼んでいる。


◎中国とバチカンは今も「綱引き」と陳枢機卿

 【CJC=東京】香港の引退司教・陳日君枢機卿は、中国政府がカトリック教会司教の任命でバチカン(ローマ教皇庁)と協力する意向だと信じられていることに反対し、強く警告している。
 現役時代から、北京政権が宗教の自由を制限していることを厳しく批判することで知られていた陳氏だが、カトリック系アジア・ニュースへの寄稿で、中国政府当局者は、司教団のコントロール問題で、バチカンと「綱引き」しているのだ、と指摘したもの。
 バチカンの承認の下に任命される司教が増えていることで、管理権争いは終わったとして、同枢機卿は、北京側は今も自らが管理することを求めている、と言う。


◎トリノの聖骸布、エルサレムで関連展示

 【CJC=東京】『トリノの聖骸布』は長らく、神学者、科学者、歴史学者の論議の的となってきた。聖骸布に焦点を当てた展示をエルサレムで行えば、信者、非信者を問わず、イエスの理解を深めることになる、として『ノートルダム・センター』が、2006年以来、聖地巡礼のために実施してきた。
 エルサレムの中心部にある『ノートルダム・センター』での展示は、イエスを十字架から降ろした際にその身体を包んだとされる布が、本物だと結論づけているわけではない。ただ、イエスと同じように鞭打たれ、十字架に掛けられた1人の男の苦難を示そうというもの。
 展示は、聖骸布の実物大の複製を初め、発見からトリノの聖ヨハネ大聖堂に保管されるまでの歴史、布に記されている様々な特徴や科学的な調査などに関する情報など多彩。呼びものはホログラムを使った立体画像で、布に包まれた身体を見ることが出来る。
 『いばらの冠』や十字架刑に使われたクギ、鞭などローマ帝国時代の刑罰道具なども展示され、その昔、ここエルサレムで行われたイエスに対する苦難を偲ばせるに十分。ローマ時代の十字架刑の歴史を説明するガイドもいる。
 展示は入場無料、日曜休館。詳細は同センターのサイト(www.notredamecenter.org.)で。


◎この暑さでもバチカンへは軽装ご注意

 【CJC=東京】夏の暑さにローマを訪れる観光客やローマ市民は軽装がほとんど。バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂に入ろうとすると、ショーツ姿の男性や肩・膝を露出した女性はスイス人衛兵に制止されていた。
 聖なる場所に立ち入る心得として、納得する人が多かったが、バチカンは「ドレスコード」(服装規制)を市国全体に広げることにしたようだ。
 市国と言ってもローマ市内の一角だけに、意識せずに立ち入る人もおり、境界線付近で衛兵に制止されてとまどう人も。処方箋を持って薬局へ行ったり、郵便局で手紙を出したり、売店でみやげものを買うためだけでも、軽装はだめとされては、不便この上ないが......。


《短信》CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。

▽バチカン(ローマ教皇庁)の初代駐ロシア教皇庁使節アントニオ・メンニニ大司教が7月15日、信任状を提出した。同氏はロシア連邦への『教皇代表』。
▽ウクライナ東部ザポリージャの『神の母の聖保護教会』の入り口付近で7月28日、爆発があり、近くにいたリュドミラ尼僧(80)が火傷を負った。病院に運ばれたが、死亡した。
▽世界聖公会共同体常置委員のダート・スタンリー・イサーク氏(東南ア管区)が米聖公会の「分離」を提案していたが、7月24日の委員会で否決された。
▽バチカン博物館に、アンリ・マチスの作品『十字架の道行き』を展示する部屋が出来る。遺族から寄付された。
▽修復のため3年間休館していたバチカン図書館が9月20日から開館する。
▽伊カラブリア州ロクリ・ゲラーツェのジュセッペ・フィオリーニ・モノシーニ司教は、「ゴッドファーザー」ドメニコ・オッペディサーノ(80)らが逮捕されたのを機会に、マフィアの式典を教会堂で行うのが慣習になっていたのを、今後は断ち切ると通告した。
▽アントニオ・ガウディの『聖家族教会』(サグラダ・ファミリア)が、付近で高速鉄道のトンネル工事が始まり、基礎が危険にさらされている、と建築家が英BBC放送で訴えた。 
▽仏アビニヨン近郊にあるベネディクト派ノートルダム・ド・ラノンシアシオン修道会の修道女が録音したグレゴリオ聖歌が11月にデッカ社から発売される。
▽カナダ聖公会の教会で、司祭が聖餐式の際に信者が連れていたイヌに聖体を与えたことに、一部の信者から怒りの声が上がり、信者団体の代表も、「イヌに聖体を与えるなんて、世界中どこのキリスト教会でもありえない」と批判。司祭は謝罪する結果になった。 


《メディア展望》

  =カトリック新聞(8月1日)=https://www.cwjpn.com
★パキスタン中部=キリスト者兄弟射殺=イスラムとの緊張高まる
★教皇庁諸宗教対話評議会=アジアの諸宗教との関係話し合う=対話の必要性再確認
タイ
★「社会教説を中心」に=正平協が黙想会開催
★仙台=米国での祈りに連帯して始まった=核廃絶と平和祈るミサ
★「福音」から政治を見る=東京=社研夏季セミナー

  =キリスト新聞(7月31日・休刊)=https://www.kirishin.com

  =クリスチャン新聞(8月1日)=https://jpnews.org
★福祉国家から福祉社会へ=「友愛」を現実化する思想書に期待=稲垣久和氏『公共福祉という試み』
★自然に囲まれ静かに祈れる=「日光オリーブの里」施設が拡充
★私を救った1個のおにぎり=寿町でイエスと出会った記録制作
★カンパは「つながり」の第一歩=路上生活者支援連絡会=米不足深刻
★イエスと歩く旅=今年は中山道へ=沿道で伝道 教会交流


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