世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1013信(2010.06.21)

  • プロテスタント8000万人を1組織に
  • ハイチの「建設」を、WCC総幹事が訴え
  • 北米アングリカン教会が新たに2教区設立
  • バチカンとイスラエル関係改善協議進む
  • 教皇、ローマ教区会議で講話「聖体の力」を指摘
  • 米南部バプテスト連盟、会員数減少に奮起
  • 反アパルトヘイトの白人牧師ニコ・スミス氏死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎プロテスタント8000万人を1組織に

 【CJC=東京】プロテスタントの2大世界組織「世界改革教会連盟」(WARC)と「改革派エキュメニカル協議会」(REC)が、新組織『改革派教会世界共同体』(WCRC)結成を6月18日、合意した。
 聖書エフェソの信徒への手紙4・3の「平和のきずなで結ばれて、霊による一致を保つように努めなさい」を主題に、米ミシガン州グランラピッズのキャルヴィン大学で開催された会議には両組織の代表400人以上が参加した。
 新組織には、長老派、改革派、合同教会などの各派、世界108国、230教会、信徒8000万人が加盟することになる。
 WARCのクリフトン・カークパトリック議長は、合意を「分裂し紛争の絶えない世界」にあって達成されたもの、と地元紙『グランラピッズ・プレス』に語った。
 RECのリチャード・ヴァンホーテン総幹事は、「教会生活を含め、分裂と不和の時代に、二つの世界的教会組織が、高度なレベルで一致することが必要だ」と会議に先立ち、ENI通信に語っている。
 WARCのセトリ・ニョミ総幹事は、「共同体」(コミュニオン)という語が新組織の名称に採用されたことについて、「活動する関係の新しい形」を目指したものだ、と指摘している。「"共同体"として、私たちは共通の洗礼、主の食卓を共に囲むことを認め、それによって、より良い証と実際的な世界変革を目指す」と言う。
 両組織の代表はまず18日にそれぞれ会合を開き、その後、新組織発足に先立って合同礼拝を行った。会場には米国先住民の太鼓が鳴り響いた。礼拝実施に協力した現地の先住民牧師マイク・ピータース氏は「太鼓を持ち込んだのは、世界に一致を発信しようという目的があったから」で、霊的覚醒の始まりになれば、と願ったものだ、と言う。
 会議組織者は、先住民の存在強調は、その文化を片隅に押しやり、不当に扱ってきた教会の歴史的役割を想起させるためのものだとしている。
 WARC太平洋地域代表のジュディ・フィッシャー副議長は、「世界の先住民、特に北アメリカの声を聞くことは、今私たちは彼らの土地で客として招かれて会合しているのであり、それは私たちへの挑戦でもあり、私たちを激励するものでもある」と語った。
 キリスト教一致を目指す連合組織『世界教会協議会』(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事も「改革派諸教会の一致、平和、正義への貢献を強める。神の教会の目に見える一致の新たな表現であり、神の賜物であると共に希望のしるしでもある」と歓迎している。
 WARCの起源は1875年に設立された改革派諸教会の連合と、1891年に初会合した国際コングリゲーショナル評議会にまで遡る。人種や性的差別の撤廃、環境保護、新国際経済秩序などに取り組んでいる。
 RECは1946年、WARC非加盟の改革派諸教会の組織として発足した。霊的革新と教理順守に力を入れている。ただ60年代以降、双方に加入する教会も出ている。


◎ハイチの「建設」を、WCC総幹事が訴え

 【ジュネーブ=ENI・CJC】世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事は6月14〜16日に、同協議会訪問団と共に地震被害地のハイチを訪問したが、世界各国政府と教会に、ハイチの市民がなお地震がもたらした破壊的な被害の苦難の下にあることを憶えるよう要請した。
 「今ではカメラのレンズにも捉えられなくなったものの、ハイチの人びとを忘れてはならない。私たちがハイチの人たちと一致と連帯することが重要だ。再建に当たってこのことが大事だ。人々は今もテント生活を余儀なくされており、その人たちを本格的な住宅に移動させなければならないのだ」と言う。


◎北米アングリカン教会が新たに2教区設立

 【CJC=東京】同性愛者同士の「結婚」などをめぐって、米聖公会を離脱、独自に結成された『北米アングリカン教会』(ACNA)には約800教会が加入しているが、新たに32教会が加わり2教区を構成することになった。オハイオ、ミシガン、インディアナ各州の12教会で構成されるグレートレークス教区と、アラバマ、ジョージア、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テネシー各州の20教会で構成されるサウス教区。
 両教区とも、「正統派」の教会と聖職者の集まりで、世界聖公会共同体を構成している『北米アングリカン・コンボケーション』(CANA)に属している。CANAは2005年、米聖公会の活動や決定に同調出来ず、疎外されていた教会を「聖公会」の枠内に留めるためナイジェリア聖公会が設立したもので、2009年6月の『北米アングリカン教会』創設にも関与している。


◎バチカンとイスラエル関係改善協議進む

 【CJC=東京】聖座(バチカン)とイスラエルが関係改善に向けた協議を進めている。6月15日にバチカン(ローマ教皇庁)で行われた作業委員会は「相互理解の雰囲気」の中で行われた。
終了後に発表された共同声明は、「前回の全体会議以降、『作業レベル』委員会では前進が達成された」とし、「最終合意に向けての次の段階に進む」ことへ同意した、と述べている。
 ただ声明は同意の詳細を明らかにしていない。会合が「全てが同意されるまでは何も同意されていない」との原則の下に運営されているからだ、と言う。
 聖座とイスラエルは、外交関係樹立に関する「基本合意」が1993年に成立して以来、双方で免税、教会の財産権などについて協議を進めてきた。次回全体会議は12月6日に、イスラエル外務省で開催する。


◎教皇、ローマ教区会議で講話「聖体の力」を指摘

 【CJC=東京】カトリック教会ローマ教区は6月15日、教皇ベネディクト16世の出席のもと教区会議を開催した。
 3日間にわたるこの会議には、ローマ教区内の小教区やその他の共同体の代表者が参加し、「主日のミサと愛(カリタス)の証し」をテーマにこの1年間の司牧を検証しながら、今後の目標や方向付けを話し合った。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は初日、ローマの司教座大聖堂であるラテランの聖ヨハネ大聖堂で、祈りと講話をもって会議を開幕した。
 「聖体は単なる人々の集まりを教会共同体として形作る」と述べた教皇は、人々を個人主義から解放し、職業や国籍を超えた一致した共同体を作り出す聖体の力を指摘した。そのためにも、ミサを心をこめてとり行うと同時に、聖体礼拝のもたらす豊かさをすべての信者に再発見させるよう司祭たちに要請した。
 さらに、キリストのからだに養われた私たちは神のいのちを受け入れることで、自分たちもまた神の恵みと無償性を受け継ぐ、と教皇は話し、神の愛を証しし、人々の心に働きかけながら愛によって社会を変えていかなくてはならないと呼び掛けた。


◎米南部バプテスト連盟、会員数減少に奮起

 【CJC=東京】米南部バプテスト連盟はフロリダ州オーランドで6月5日、年会を開催した。ジョニー・ハント議長は、会員に対し、「安全地帯」に留まるのではなく、そこを出て伝道し、洗礼数の低下と戦う道を新たに探るよう、呼び掛けた。
 「教勢が退潮している教会の会員であることはもうたくさんだ。十代の若者をイエス・キリストに向かわすことに重きを置かないのはもうたくさんだ。イエスの名の下に使命を果たすことではなく、カネの問題で悩むことはもうたくさんだ。皆がもっと献金をしたくなるようなビジョンを持とうではないか」と言う。
 ハント議長の指摘は、『復活タスクフォース委員会』報告をめぐって2時間以上にわたる討議の後に出された。
 報告は、同派の十代受洗者数が1970年の14万人から2008年には7万5000人にまで減少しており、また会員の平均献金額が年収の2・5%である、と指摘している。
 反対派は、報告が、常置委員会の予算削減や、州レベルの活動に内国宣教部会を関与させるなど悪影響を及ぼす、と指摘していた。今回で任期を終えるモリス・チャプマン常置委員会議長も強硬な反対派。「構造的な問題ではなく、機構改革では解決出来ない」として、私たちの思いを主イエス・キリストのみ旨に沿わせることがまず必要だ、と言う。
 報告は結局過半数で採択された。
 ハント議長の後任には、ジョージア州マリエッタのブライアント・ライト牧師(5)が他の3人の候補を抑えて選出された。放送・インターネット伝道に力を入れている『ライト・フロム・ザ・ハート・ミニストリーズ』の創設者。


◎反アパルトヘイトの白人牧師ニコ・スミス氏死去

 【CJC=東京】南アがアパルトヘイト(人種隔離政策)実施時代に、政治的影響力を発揮していた白人系オランダ改革派教会牧師でありながら、アパルトヘイトに反対、黒人居住区に夫人と共に移住したニコ・スミス氏が、心臓発作のため6月19日死去した。
 スミス氏は、プレトリアで開かれた友人の誕生日パーティーに参加したところ倒れ、病院に運ばれる途中死去した。長女のマリタ・ラウブシャー氏が20日明らかにした。


《短信》CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。

▽北朝鮮の朝鮮中央通信は、韓国の市民団体幹部、韓相烈牧師が6月12日、平壌を訪問したと伝えた。
▽教皇ベネディクト16世は7月4日、イタリア・アブルッツォ州スルモーナを司牧訪問する。教皇聖チェレスティーノ(ケレスティヌス)5世の生誕800年を機会として行う。
▽ノーベル賞受賞者3人も含む英国のトップクラスの科学者や教育者が、学校教育で進化論を含め科学教育を推進するよう政府に呼び掛けた。
▽サッカー・ワールドカップ熱はアフリカでも高まっているが、ソマリアのイスラム教反政府勢力は、市民に観戦しないよう警告している。サッカーの起源がキリスト教伝統に基づいたものだからだ、と言う。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(6月20日)=https://www.cwjpn.com
★司祭年 閉幕=教皇 ミサで性的虐待に謝罪=不祥事は「清めへの呼び掛け」
★国内各地でも閉幕ミサ=大阪教会管区=全5教区が共に
★広島教区=3姉妹教区 交流10年=三末司教叙階25周年とともに祝う
★浜松に司牧センター=横浜教区とサレジオ会=外国籍の人多い地域
★韓国総人口の10%=信者500万人超す

  =キリスト新聞(6月19日)=https://www.kirishin.com
★亡命したエチオピア人が難民の現状語る="教会の絆は家族と同じ"=日本の制度は「閉鎖的」
★東奥義塾=解職の江原元塾長が提訴=「神の義」が行われますように=教会員有志が「支える会」
★全国自死遺族連絡会シンポジウム=「二次被害者」の保護目指す
★三原康可さん『ヤコブの梯子』="闇から光へ魂の姿を音に"
★英エディンバラで「世界宣教会議」100周年=「今日、キリストを証する」

  =クリスチャン新聞(6月20日)=https://jpnews.org
★「生きていればいいよ」=サイト訪問者と本音の交流から=「死にたい気持ち」に寄り添いたい
★信仰の軌跡をたどる旅=メノナイトブレザレン創立150年=ドイツで
★日本福音同盟第25回総会=JCE5後の計画を展望=竿代輝夫宣教委員長「危機を逆手に取る協力を」=新理事長に原田憲夫氏
★迫害、移住、信仰復興の歴史学び未来の宣教ビジョンへ=MB150年記念大会
★JOCS50年で中村哲氏講演= 「みんなで生きる」世界へ医療協力


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