世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1002信(2010.04.05)

  • 巡礼多数がエルサレムでイースター祝う
  • エルサレムの聖墳墓教会で「聖火の奇跡」
  • ルイス・パラウ氏、中国政府高官と会談、杭州で伝道
  • 中国の国家宗教事務局長が「家の教会」の役割軽視
  • 米で警官殺害計画、キリスト教過激派団体9人起訴
  • バチカンが6言語で『つぶやき』
  • 米ゾンダーバン社がキリスト教書1000点を電子ブックに
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎巡礼多数がエルサレムでイースター祝う

 【CJC=東京】聖地エルサレムで復活祭(イースター)を祝おうと世界各国から訪れた巡礼数千人は、十字架から降ろされたイエスを葬った場所と伝えられる『園の墓』に3月4日早朝集まり、復活を賛美した。
 その後、『聖墳墓教会』ではミサが行われた。カトリック教会、東方正教会、アルメニア使徒教会、コプト正教会、シリア正教会などの共同管理となっている同教会だが、今年は東西教会のカレンダー上の算定方法が一致したため、記念式典も同日になった。
 教会の中の洞窟は数千本もの蝋燭が灯され、詰め掛けた巡礼で一杯、そこに聖香がただよって独特の雰囲気をかもし出した。
 共同管理する各派の間の主導権争いが聖職者同士の暴力沙汰になり、イスラエル警察の介入を招いたこともあった。
 ラテン典礼カトリック教会のフアド・トゥワル総司教は、祝日が同時になったことで「今年は、喜びも二重になった。他の人たちの祈りや賛美の歌も耳障りのようだが、信仰の一致を表す交響曲とも言える」と説教で語った。
 イエスがゴルゴダの丘に向かって進んだ最後の道をたどろうとする巡礼のために、イスラエル警察は旧市街での警備を強化している。祝日の24時間に通った人は1万5000人と当局は推定している。
 イスラエルでは、ユダヤ教の「過越し」の祭りと重なっており、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区からの通行を遮断していたが、パレスチナ人キリスト者1万人以上のエルサレム訪問を認めた。
ハマスが実効支配しているガザ地区のキリスト者500人にもイスラエルと西岸地区への通行を許可された。ただ検問所で長時間待たされることにパレスチナ人は不満だ。


◎エルサレムの聖墳墓教会で「聖火の奇跡」

 【CJC=東京】エルサレムの『聖墳墓教会』で復活の主日前日の4月3日、ギリシャ正教会が今年も「聖火の奇跡」の儀式を行なった。信徒たちはエルサレム総主教が持つろうそくに天から火が送られると信じている。AFP通信が報じた。
 この行事は少なくとも、聖墳墓教会が建てられた紀元4世紀から行われてきたという。
 エルサレム総主教のテオフィロス3世が「アクシオス(汝はふさわしき者なり)」と唱えながら教会の中心にある装飾された墳墓の周囲を3回まわった後、イエス・キリストが埋葬されたとされる場所に入り、点火された数本のろうそくを持って再び現れた。
 消火器を持った警察官らが見守るなか、集まった大勢の信徒たちがろうそくの火を受け渡した。灰色の壁がオレンジ色の光で照らされ、あたりには煙が立ちこめた。
 AFP通信によると、ギリシャのアテネから来たという24歳の青年は「これは奇跡です。これができるのはギリシャ正教の総主教だけなんです。僕は火にさわってみましたが、火傷しませんでした」と語った。


◎ルイス・パラウ氏、中国政府高官と会談、杭州で伝道

 【CJC=東京】世界規模で伝道を展開するルイス・パラウ氏が3月に中国を訪問、同行したジェームス・ミークス牧師と共に、20、21の両日、浙江省杭州の教会で伝道集会を開催、延べ1万4000人が参加した。この伝道にはシカゴのセイラム・バプテスト教会聖歌隊52人も協力した。
 それに先立ち、パラウ氏は北京で、ジョン・ハンツマン・ジュニア米国大使と共に、中国政府高官と会談した。パラウ氏は将来、中国の公共の場で音楽伝道を実施したいとの希望を語った。
 「キリスト教はもう中国では外国の宗教とは見なされていない。中国人数百万人が、イエス・キリストは中国のためにおられ、中国はイエス・キリストのためにある、と言っている」と語るパラウ氏。この10年間で、中国政府指導者と大きな友情が生まれ、中国の人々によって、特に教会と政府指導者双方から中国の友人と受け止められるようになった、と述べた。
 2009年9月、葉小文氏の後任として中国国務院国家宗教事務局長に就任した王作安氏とも会談した。王氏は、中国社会における宗教の積極的な役割と調和の取れた社会を目指す中国の目標に宗教がどのように貢献出来るかを評価する新政策をパラウ氏に語った。王氏は、キリスト教会の慈善活動を賞賛した。「良いキリスト者は善良な市民」と言う。中国で成長しつつある市民社会には調和と安定性が非常に重要であり、キリスト教会は、慈善と社会奉仕でますます脚光を浴びるようになっている。
 パラウ氏は、教会の登録をより容易にするよう訴えた。現状は、政府の登録要件を満たしていない。王氏は、登録した教会は米国と同様に財政的責任を果たすのだ、と述べたが、パラウ氏も、財務の透明性が公共に奉仕する団体には重要、とする点では意見が一致した。


◎中国の国家宗教事務局長が「家の教会」の役割軽視

 【CJC=東京】中国国務院国家宗教事務局の王作安局長は、3月26〜31日に香港を初めて公式訪問したが、その際、本土の非公認「家の教会」の役割を軽視する発言を行い、現地のキリスト者の反発を買った、と世界キリスト教協議会系のENI通信が報じている。
 王局長は3月27日、香港プロテスタント教会の指導者と会見した。王氏は、教会共同体は、中国では自身の保護のために登録する必要があると、語った。
 「家の教会」が登録しないのは、教会の名のもとに集めた金を自分の収入としたいためでもあり、紛争を起こして所属していた教会から独立したり、神学上の不一致だとか、理由はさまざまだ、と言う。
 王氏は、人々が海外のグループに影響されて、「家の教会」こそ真の教会だと信じている、と語った。香港の『クリスチャン・タイムズ』(電子版)が3月29日報じた。
 「中国は宗教的な領域で非常に多くの課題に対処する必要がある。香港の宗教的多様性は分かるが、中国は地理的に広大であり、状況は複雑だ」と言う。
 中国にはキリスト者が2000万人以上いるが、登録教会で礼拝しているのは1600万人。残り400万人が登録教会に属していない、という。政府は、キリスト者を正確に集計したいが、それが誤解されることを懸念している、と王氏は語った。
 王氏の発言に、北京の「家の教会」の指導者ユー・ジェ氏が反論、そのような登録は合憲で聖書の原則に従うものでなければならない、とENI通信に電子メールでメッセージを寄せた。
 「私たちは、民間の機関に登録するなら良いが、宗教関係の当局に登録したくはない。市民の信教の自由に介入することで、"違憲"だからだ」と言う。登録が三自愛国運動と関連するものなら、「それは本質的に政治的なものであり、聖書の教えによれば教会組織とは認められない」、と理由を挙げている。
 ユー氏は、「家の教会」の登録が当局に認められなかった事例もあり、それで非難されたり、「家の教会」に攻撃が加えられるのは根拠がない、とも付け加えている。
 今回の王局長訪問は、香港の仏教、カトリック、儒教、イスラム教、プロテスタント、道教の指導者会議の招待によるもの。香港には、中国本土の宗教関係法が適用されていない。
 王氏は、社会の発展のための宗教間の協力を評価、中国本土と香港の宗教間のさらなる協力にも期待を表明した。


◎米で警官殺害計画、キリスト教過激派団体9人起訴

 【CJC=東京】米国で「キリスト教戦士」を名乗る過激派武装グループ『フタリー』のメンバー9人が、警察官を殺害し、葬儀を爆破する計画をたてていたとして、扇動共謀罪、大量破壊兵器使用未遂罪、爆発物の使用方法を教示した罪、暴力的不法行為時の銃所持などで起訴された。同グループは米政府に対する武装蜂起を起こすことを標榜していた。
 3月29日に公表された起訴状によると、この武装組織『フタリー』は警察官を連邦政府の「歩兵」とみなし、またグループの信念に賛同しない者や、湾岸戦争終結後に当時のブッシュ大統領が提唱した「新世界秩序」に反対し、その支持者をすべて敵とみなしていたという。ウェブサイトの自己紹介欄では「我々は、預言者が語るようにある日、反キリストが現れると信じる。全てのキリスト者は、キリストが命令されたように、このことを覚え、それに備えなければならない」と記すほか、終末論的な世界観に基づいた文書を多数掲載している。
 『フタリー』は少なくとも2008年から訓練を続け、警察官を殺害してその葬儀を手製爆弾で攻撃する計画を立てていた。計画実行後には複数の「結集地」の一つに退却、「政府に対して開戦し、仕掛け線や爆破装置のついた対人簡易爆発物や奇襲、構築した陣地などを使って徹底抗戦する」計画だったという。
 連邦捜査局(FBI)は、同グループが4月に「隠密偵察作戦」を予定しており、これを妨害する人を殺害する計画を立てていたため、9人が居住していたミシガン、オハイオ、インディアナの各州で強制捜査したと説明している。
 米国内のヘイトグループ(人種や宗教に基づく差別・排斥を扇動する集団)に関する調査を行っている人権団体『南部貧困法律センター』(SPLC)によると、2008年に149団体だった過激な反政府主義と陰謀論を掲げる過激派グループや武装民兵組織は、09年には512団体に増えている。


◎バチカンが6言語で『つぶやき』

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)が3月20日、6言語でツイッター(つぶやき)を始めた。いずれも「news_va_」の名で、その次に英語チャネルは「en」、イタリア語は「it」、スペイン語は「es」、フランス語は「fr」、ドイツ語は「de」、ポルトガル語は「pt」が付く。
 「これらのツイッター・チャネルを通じて、バチカン放送など聖座(バチカン)の他のメディアは教会の生命に特に関わるニュースやマルチメディア・コンテンツの発行に関する情報を広める」と言う。
 バチカンはすでに最近のトピックをマルチメディアで提供するウエブ・ページも立ち上げている。


◎米ゾンダーバン社がキリスト教書1000点を電子ブックに

 【CJC=東京】キリスト教書専門の米ゾンダーバン社が1000点以上を電子ブックにする、と発表した。米アップル社が電子ブックなどを読む装置『iPad』発売を機に同社が4月3日に発足した『iBookstore』で販売する。ゾンダーバン社は今後刊行する電子ブックは全部『iPad』で読めるようにする。今回に続きさらに150点以上を3カ月内に電子化する。
 『iPad』は文字だけでなく絵画もカラーで見ることが出来る。本自体を購入出来るだけでなく、ゾンダーバン社刊行書の梗概や書評、著者に関する情報も得られる。
 「ハーパーコリンズ社の一部門として、大きく展開できることは幸運だ」と同社の販売責任者スティーブ・サモンズ氏。電子ブックには聖書の3種類の訳、リック・ウォレン著「パーパス・ドリブン・ライフ」などの近刊書、児童書150点も含まれる。


《短信》CJC通信Twitter速報から。

▽ヨルダン川西岸地区のパレスチナ市民と同様、イースター期間中にエルサレムを訪問するには、イスラエル政府の許可が必要だが、聖地のキリスト教指導者が抗議声明を3月20日発表した。
▽ロバート・シュラー牧師が設立したクリスタル・カテドラルが負債未払いで訴えられる。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(4月4日)=https://www.cwjpn.com
★日韓司教、中国で平和祈る=大連(ターリエン)教会=安重根(アンジュングン)没後100年目にミサ
★5月に迫ったNPT再検討会議=核兵器廃絶に向けて
★教皇、被害者に謝罪=性的虐待
★日本カトリック信徒宣教者会=派遣者の帰国後=今では迷いも「肯定」

  =キリスト新聞(4月3日)=https://www.kirishin.com
★NCC×カトリック対話集会=裁判員制度で橋爪大三郎氏=「疑わしきは罰せず」
★教皇=性的虐待被害者へ謝罪=司牧書簡、アイルランドに限定
★ドイツでも=司教会議会長が性的虐待隠ぺい
★『納棺夫日記』の青木新門氏="悲しみの彼方にこそ"=クリスチャンアカデミーで講演
★聖学院大シンポ=自殺予防と自死遺族支援の現状と課題=斎藤友紀雄氏ら「市民の意識向上を」
★東京ディズニーランド=春の訪れ祝う?=初のイースターイベント開催

  =クリスチャン新聞(4月4日)=https://jpnews.org
★何が問題? 「天皇制」=NCC靖国委「Q&A」で警鐘=「象徴」の今も根深い"タブー"
★新生活に神の祝福 贈ろう!=God Bless Youプロジェクト
★東京ミッション研究所創立から20年=出版と講演で宣教学・平和つくりに貢献
★不況下の企業人は聖書を求めている=成功の原則にビジネス書注目


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