世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第998信(2010.03.08)

  • 米ルーテル保守派が8月『北米ルーテル教会』結成へ
  • イスラエル文化財修復計画にパレスチナが反発
  • ハイチの救世軍にUPSがバーコードシステム提供
  • 北朝鮮で性的拷問か、越境した韓国系人権運動家が入院
  • フランスに「告解専用電話」登場
  • 仏司教会議は「電話告解」に警告
  • イスラム学者も、空港での全身スキャンに反対
  • WCCのトゥベイト新総幹事、気候変動問題で各宗教に協力要請
  • スペインで司祭がネット上に「売春」メッセージ
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎米ルーテル保守派が8月『北米ルーテル教会』結成へ

 【CJC=東京】米福音ルーテル教会(ELCA、信徒460万人)の保守派が内部改革への努力を続けてきたが、今後は8月をめどに独自組織『北米ルーテル教会』の結成を目指すことが明らかになった。新組織は、性問題については伝統路線に立つものと見られる。
 ELCAは昨年夏、同性愛聖職を制限しないとの決定をしたことから、これまで少なくとも7教会が離脱を決定している。さらに28教会が離脱の意向を示している。離脱には教会員の3分の2以上の賛成が必要。
 新組織は、教義と実践の双方で聖書とルーテル諸信条に忠実だ、と呼び掛け人は主張する。ただELCAに留まることになっても個人として1教会として信仰に忠実ではある、としている。
 これまで離脱運動を指導して来た『ルサランCORE』のマーク・シャベズ牧師は、キリスト教信仰の共通の告白と信仰の全ては神の言葉の権威に従うという誓約とで新組織に連なるものは結びついている、と語った。『ルサランCORE』は今後もELCA、カナダ福音ルーテル教会、北米ルーテル教会だけでなく、最保守派のルーテル教会ミズーリ・シノッドも含めたルーテル派のネットワークとして存続させる、とシャベズ氏は言う。
 『ルサランCORE』常置委員会議長のポウル・スプリング前監督も、新組織とは福音伝道、神学教育、社会奉仕などで協力することになるので、解散して新組織に合流する計画はない、と語った。
 同性愛をめぐる教会分裂としては、米国では2009年に聖公会保守派が『北米アングリカン教会』を結成に続くもの。
 『北米アングリカン教会』は、米国とカナダで800教会が加入したとしているが、聖公会側は数十教会と見ている。


◎イスラエル文化財修復計画にパレスチナが反発

 【CJC=東京】ヨルダン川西岸地区にあるユダヤ教とイスラム教共通の聖地2カ所を、イスラエルが自国の文化財として修復計画の対象にすると発表したことを受け、パレスチナ自治政府高官は2月24日、和平交渉の再開を非常に困難にする動きだ、と述べた。
 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフが、ベツレヘムにある『ラケルの墓』とヘブロンの族長たちの墓『マクペラ洞窟』を文化遺産修復計画に加える意向を示した。
 これに対しパレスチナ解放機構(PLO)幹部のヤセル・アベド・ラボ氏は「イスラエルの極右政権が、環境の悪化を狙っている意図的な行為の一環だ」と述べ、たとえ間接的な和平交渉であっても再開を「不可能とは言わないが、非常に難しくするだろう」と語った。AFP通信が報じた。
 アブラハムが葬られたと信じられているマクペラ洞窟は、数十年前からイスラエルとパレスチナの衝突の舞台となってきた。
 AFP通信によると、ヘブロンには16万人を超えるパレスチナ人が暮らす一方、ユダヤ人入植者数百人が軍の保護の下、マクペラ洞窟付近に住んでおり、洞窟の上に建つモスクの一部をシナゴーグとして使用している。


◎ハイチの救世軍にUPSがバーコードシステム提供

 【CJC=東京】米貨物輸送会社UPSは2月23日、ハイチで地震災害の救援活動を行っている救世軍に、災害援助の配給活動に利用できる最新のバーコードシステムを寄付したと発表した。
 従来の手書きの登録カードからバーコードシステムに移行することで、救世軍のスタッフは避難所内の4000世帯以上がどのような物資を受け取ったかを、ラミネート加工したカードに記録された情報を追跡して確認できる。
 システムには、ラミネートカード4000枚、携帯用スキャナ2台、ノートパソコン1台が含まれる。


◎北朝鮮で性的拷問か、越境した韓国系人権運動家が入院

 【CJC=東京】北朝鮮に徒歩で入国、43日間の抑留から解放された韓国系米国人の人権運動家ロバート・パク氏(韓国名パク・ドンフン)が、北朝鮮で受けた拷問の後遺症で精神病院に入院した。朝鮮日報(日本語電子版)が報じた。
 パク氏の師とされているジョン・ベンソン牧師は3月4日、米VOA放送とのインタビューで、「(パクさんは)恐怖に直面したような不安症状を見せており、会話時にも呼吸が乱れるほど落ち着かない状況だ。両親や知人が先月27日にカリフォルニア州内の病院に入院させた」と語ったという。
 韓国でパク氏と共に北朝鮮の人権運動を繰り広げている市民団体『パックス・コリアナ』のチョ・ソンレ代表も入院の事実を認めた上で、「平壌に護送された後、口に出せないような性的な拷問を受けた。パクさんは北朝鮮について、ナチスドイツよりも悪らつな政権だと話している」と語った。
 パク氏は昨年12月25日、金正日総書記に人権問題の改善を求めるために中朝国境の豆満江を渡り入国したところを逮捕され、2月6日に釈放された。
 パク氏は釈放直前、北朝鮮の朝鮮中央通信とのインタビューで、「北朝鮮は人権を守った。信仰の自由が保障された」と答えている。一方で北朝鮮消息筋は「パクさんは北朝鮮入りした後、北朝鮮の警備兵に『半殺し』状態にされたと聞いている」と語った。
 ベンソン牧師はVOA放送に、パクさんが心的外傷後ストレス障害(PTSD)による不安症状で意思疎通が容易にできない状況だ、と説明している。


◎フランスに「告解専用電話」登場

 【CJC=東京】フランスに告解専用電話が登場した。『神様の電話』に電話すると、男性の声で「ざんげに関するアドバイスは1を、ざんげをする場合は2を、ほかの方のざんげを聞きたい場合は3を、それぞれ押してください」とメッセージが伝わる。さらに「ただし、われらの主キリストに背くような重大な罪の場合は、必ず司祭に直接打ち明けてください」と告げられる。
 パリの電話メッセージサービス会社『AABAS』が、四旬節に合わせて提供を始めた。最初の1週間で約300回の利用があったという。
 と言って電話の向こうに司祭が待機しているわけではない。応答装置があるだけだ。ただ祈とうや荘厳な音楽が流れ、雰囲気は十分。自分のざんげを録音したり、他人が録音したざんげを聞くことも可能。
 料金は、通話料に1分あたり0・34ユーロ(約41円)のサービス料がかかる。収益の一部は慈善団体に寄付されるという。


◎仏司教会議は「電話告解」に警告

 【CJC=東京】仏カトリック教会司教会議は、受難週から開設された有料の「電話告解」サービスは、教会の承認を受けたものではない、と警告を発した。
 「電話告解」サービスの発案者は名前を「カミーユ」としているだけ。すでに脅迫を受けたためという。
 カミーユさんは「このアイデアは大罪ではなく小さな罪を神に直接告白しようとするものだ」としている。
 司教側は、電話サービスが高齢者や孤独な人、障害を持っている人たちの声に耳を傾けるための役を果たすものとは見ているが、「告解と紛らわしいものを許可することなど受け入れられない。カトリック信者にとって、告解は秘跡としての意味があり、本物の司祭がいなければならない」としている。


◎イスラム学者も、空港での全身スキャンに反対

 【CJC=東京】『北米イスラム法評議会』は、米国などの空港で導入されることになった新型の全身スキャン装置は教義に反するとして避けるように、その代わりに手で接触して検査するよう申し出ることを提唱している。
 同評議会は声明で「男であれ女であり、他の男女によって裸体を見られることはイスラムの教義に明確に違反する」と指摘している。それは「イスラムの教え、自然法、礼儀と貞節の基準に反している」という。


◎WCCのトゥベイト新総幹事、気候変動問題で各宗教に協力要請

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥベイト総幹事が2月23日、ジュネーブで正式に就任した。
 同氏は就任に際し記者団に、気候変動問題に関する国際会議が大胆で維持可能な目標設定に合意するために、世界の指導者を説得する必要があるが、それには仏教徒、ヒンズー教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒もキリスト者と協力してほしい、と述べた。


◎スペインで司祭がネット上に「売春」メッセージ

 【CJC=東京】スペイン中部トレド地方のカトリック教会のサムエル・マルチン・マルチン司祭(27)が、インターネットに灰色のパンツ1枚の自身の写真と、「女性とセックス可能、料金は1時間120ユーロ(約1万5000円)」という女性向けメッセージを掲出していた事がわかった。
 ネット上では「ヘクトル」と名乗り、「女性とカップルの為の異性愛者、喜びと至福をあなたへ」とアピールしていた。
 大多数がカトリック信者のスペインでは一大スキャンダルと、各紙は写真やメッセージを詳細に報じた。メッセージには「SM以外なら何でも。ホテルでも個人宅でも。24時間いつでも、あなたが体験した事の無い至福の時間を提供」と書かれているという。
 同司祭は、トタネス村とノエズ村の教会に着任して1年足らず。両村併せて人口1000人にも満たない所で、セックス・ポルノ依存症で献金から1万7000ユーロ(約210万円)も散財してきたと言い、ミサの際に教会員に罪を告白、赦しを求めている。
 トレド大司教区は、教会員に赦さなければいけない、と語ったが、ある女性信者は「盗むという悪魔の誘惑に負けたことはそれとして、その金を女性に使うとは」と現地メディアに語った。
 司祭は現在、姿を見せていないが、盗んだ金は償うと誓っているという。


《短信》CJC通信Twitter速報から。

▽教皇ベネディクト16世は、サンチャゴ・デ・コンポステラ、バルセロナなどスペイン各地を11月6〜7日に訪問する。
▽教皇ベネディクト16世は、典礼の「改革の改革」を提案することを望んでいる、とバチカンの高位聖職者。
▽英上院は、教会が同性間の結婚式を行うことを認める、平等法修正を95対21で可決した。
▽スペイン上院は2月24日、人工妊娠中絶の条件を緩和する法案を可決し、妊娠中絶を事実上承認した。カトリック教会や保守派は激しく反発している。
  スペインの首都マドリードで7日、人工妊娠中絶を自由化する政府方針に抗議する大規模なデモが行われた。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(3月7日)=https://www.cwjpn.com
★出会い 語り 学んだ=第16回 日韓学生交流会
★教会の統合=一致へ 続く歩み=福島・いわき教会
★チリで大地震発生=教皇、被災者支援誓う
★広島・長崎の司教=核兵器廃絶に向け要請=米大統領と日本政府などに
★韓国憲法裁=死刑「合憲」と判断=教会の希望打ち砕く
★世界の信者数 微増=08年

  =キリスト新聞(3月6日)=https://www.kirishin.com
★「闇の中」に光輝かせる40年=日本バプテスト連盟「靖国・天皇制・信教の自由」で記念誌
★卞容疑者="説教通じて服従させた"=支援団体が地検起訴受け会見
★関西学院大神学セミナー=「子どもと教会」で小見のぞみ氏が講演="愛と受容の共同体"となる使命
★牧会塾 公開講演=丸山忠孝氏がM・ブツァーの「牧会論」語る="教会訓練でキリストの愛を"
★青学・小原信氏が司会=世田谷区主催シンポ=「看取り」のあり方模索
★メノナイト派=米ゴシェン・カレッジ=国歌への姿勢転換、反発も

  =クリスチャン新聞(3月7日・休刊)=https://jpnews.org


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