世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第990信(2010.01.11)

  • マレーシアで教会への攻撃続く
  • 各地で正教会がクリスマス祝う
  • ギリシャ正教会は神現祭を6日守る
  • エジプトでイスラム教徒とコプト教徒の抗争激化、42人逮捕
  • バチカンが13世紀の書簡など秘密文書の一部を複製出版
  • 教皇ベネディクト16世と「会った」人は2009年に224万人
  • 紀元前2000年のシュメール人集落跡がイラクの砂漠で発見
  • 米聖書学者が世界の終わりが来年5月21日に来ると発表
  • 大みそかに教会にいた坊やが流れ弾に当たり死ぬ
  • 《短信》

◎マレーシアで教会への攻撃続く

 【CJC=東京】マレーシアでカトリック教会への攻撃が続いている。同派が発行する週刊紙(マラヤ語版)が「神」を表現する言葉に「アッラー」を使用したことが問題となったが、クアラルンプール高裁が、キリスト者も神について「アラー」という呼称を使う憲法上の権利がある、と12月31日判示したことに反発するイスラム教徒によるもの。
 首都クアラルンプールで1月8日、教会4カ所に火炎瓶が投げ入れられた。
 クアラルンプール北方約300キロのペラ州タイピンで教会と修道院学校に爆弾が投げ入れられた。聖公会教会でも割れたビンやシンナーが発見された。タイピンでは他2カ所の教会も襲撃された。ボルネオ島サラワク州の教会も被害にあった。マラッカ州では、バプテスト教会の外壁が黒色のペイントで塗りたてられた、など教会や関係施設への攻撃が続いている。
 マレーシア人口2800万人の9・1%を占めるキリスト者は中国系かインド系で、その大半がサラワク州と隣接するサバ州に居住している。
 マレーシア教会協議会のヘルメン・シャストリ総幹事は、「過激派による脅威を絶つことに共に立ち上がる必要がある。キリスト者は攻撃に脅えるな」と述べた。


◎各地で正教会がクリスマス祝う

 【CJC=東京】ロシア正教会、グルジア正教会、コプト正教会は、ユリウス暦の12月25日に当たる1月7日にクリスマス(降誕祭)を祝った。ロシアや東欧諸国など世界各地でさまざまな行事が行われた。
 正教会では、降誕祭と神現祭(主の洗礼祭、降誕祭の12日後)は一連のものと捉える。
 ロシアのウラジーミル・プーチン首相はコストロマ州の教会でクリスマス礼拝に参加した。セルビアのボリス・タディッチ大統領は6、7の両日、セルビア正教会のクリスマスに合わせ、同国からの独立を宣言したコソボ西部にある同正教会のデチャニ修道院を訪問、ミサに出席した。


◎ギリシャ正教会は神現祭を6日守る

 【CJC=東京】1月6日、正教会は「エピファニー」(テオファニア=神現祭)を守った。イエスがヨルダン川で洗礼を受けたことを記念する日。
 AFP通信によると、ギリシャ各地では、川辺や海辺、湖畔などで司教が水中に投げ入れた木製の十字架を男性たちが競って拾い上げた。ブルガリアでは、極寒の川に投げられた十字架を探し当てた者と、冷水の中で民俗舞踊「ホロ」を踊った者は1年を通じて健康になるというので踊りを披露する姿が見られた。


◎エジプトでイスラム教徒とコプト教徒の抗争激化、42人逮捕

 【CJC=東京】エジプト当局は、南部ルクソール北方キナ近郊バージョラ村で発生したイスラム教徒と少数派コプト教徒による宗教抗争の激化に伴ない1月8日、コプト教徒28人、イスラム教徒14人を逮捕した。国営MENA通信が報じた。
 バージョラ村では7日、少数派コプト教徒の店舗11カ所と住宅8軒が放火された。イスラム教徒の仕業だ、とコプト側の非難が高まった。
 前日、近くの町で降誕祭を祝って教会から帰る途中のコプト教徒を狙ったイスラム武装勢力による乱射事件が発生、コプト教徒6人とイスラム教徒警察官1人が殺害されたことにキリスト教側が反発,街頭で抗議デモを行ったが、警察がデモ隊を解散させるため催涙ガスを使用したことから、憤まんが高まっていた。
 コプト教会は、ロシア正教会などと同様、ユリウス暦の12月25日に当たる1月7日にクリスマス(降誕祭)を祝っている。


◎バチカンが13世紀の書簡など秘密文書の一部を複製出版

 【CJC=東京】13世紀にチンギス・カンの孫が敬意を払うよう当時の教皇に要求した文書など、これまでバチカン(ローマ教皇庁)の『秘密文書館』が所蔵していたものの中から105点を高精度に複製し「バチカン秘密文書」として刊行された。その中の19点は初公開という。
 『秘密文書館』とはいうものの、1881年以来、研究者には公開されているが、一般には門を閉ざしたままだった。
 「バチカン秘密文書」は、ベルギーの出版社VdHが2009年10月1日刊行したもので240ページ(ISBN9789088810077)。米ボーダーズ書店は167・95ドル(約1万5000円)、米アマゾンでは99・50ドル(約9200円)で販売している。
 今回収録されたものの中で、注目されるのは1246年11月11日と記されているチンギス・カンの孫モンゴル帝国第3代皇帝グユクからインノケンティウス4世に宛てた書簡。日付が確定出来る同帝国の公文書として現存するものの中では最古。書簡は教皇に、その"諸王"と共に「礼を尽くし、敬意をはらうため」に「服従」の行為として中央アジアを訪問するよう要求したもの。そうしなければ「敵と見なす」と脅迫している。
 教皇の政治的役割を浮き彫りにしたものもある。1863年、米国南部11州が結成したアメリカ連合国(南部連合)のジェファーソン・デービス大統領は、教皇ピオ9世に、米国に荒れ狂ってりう内戦は全て「北側の侵略」のためだ、と書き送っている。ナチの指導者ヒトラーにピオ11世が1934年に書いた書簡、昭和天皇からピオ12世に宛てた書簡もある。
 サンピエトロ大聖堂を手がけたミケランジェロが資金難を訴えた手紙、北米先住民の部族が樺の樹皮に書き付けたローマに宛てた請願、スコットランドのメアリー女王からの訴えも見られる。
 「謎のオーラがいつも聖座のこの重要な文化施設を取り巻いていた。それは名称自体によって立ち入ることの出来ない秘密だとほのめかされていたためだ。文学作品やメディアの報道のおかげで有名にもなったためでもある」と、バチカンの文書管理責任者ラファエレ・ファリーナ枢機卿が同書の序文に記している。


◎教皇ベネディクト16世と「会った」人は2009年に224万人

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世と何らかの形で「会った」人は2009年に224万人に達した、とバチカン(ローマ教皇庁)教皇公邸管理部が計算している。
 ただしこれはバチカン市国と夏の避暑地カステルガンドルフォでの話。イタリア始め各国への巡礼訪問は数えられてはいない。
 公式接見には170万人。日曜恒例の接見では112万人、水曜では50万人と推定されている。


◎紀元前2000年のシュメール人集落跡がイラクの砂漠で発見

 【CJC=東京】紀元前2000年ごろのシュメール人集落跡がイラク南部ディカル州の州都ナシリヤの南東方80キロで見つかった。シュメール文字が刻まれたウル第3王朝時代の壁や礎石が発見された、と地元の考古学当局が1月8日明らかにした。AFP通信が報じた。
 集落跡が発見されたのは、旧約聖書でアブラハムの生誕地とされる古代都市ウルに近いディカル州の砂漠地帯。
 かまやナイフなども発掘されたが、大半は紀元前2000年ごろの王アマルシン時代のものだという。
 これまでシュメール人は水辺に住んでいたと考えられていたが、今回集落が砂漠で見つかったことで、これまでの定説に影響を与える可能性もある。


◎米聖書学者が世界の終わりが来年5月21日に来ると発表

 【CJC=東京】米国のキリスト教ラジオ・テレビ番組制作会社『ファミリー・ステーションズ』社を設立した聖書学者のハロルド・キャンピング氏が、世界の終わりが2011年5月21日に来ると発表した。聖書を数学的に研究した結果という。
 ただし1990年代にキャンピング氏は、1994年9月6日が終末だ、と発表した前歴がある。
 同氏とその説を信じた数十人が、これで救われる、と集まり喜んでいたが、何事も起こらなかった。


◎大みそかに教会にいた坊やが流れ弾に当たり死ぬ

 【CJC=東京】米国南部ジョージア州アトランタ近郊デケイターのプロフェシー神の教会で開かれるコンサートに母親と一緒に待つ間ビデオゲームで遊んでいたピータース一家のマルケル坊や(4)が突然叫び声を上げ頭部から血を流し出した。事態が分からないまま坊やは救急車で児童病院に運ばれたが死亡が確認された。
 銃弾が摘出され、射殺されたことが確認されたが、犯人は分からずじまい。教会堂の屋根に銃弾が貫通した痕跡があり、1キロも離れた所で無責任にも発射されたものと見られる。
 流れ弾による被害はアトランタでは2005年の大晦日にもあったという。


《短信》CJC通信Twitter速報から。

▽無許可で北朝鮮に中国から歩いて入国、逮捕された韓国系米国人伝道活動家ロバート・パーク氏は、キリスト者としての義務からの行いであり、米国政府が釈放を働き掛けることを望まない、と知人に明らかにしていたという。
▽英ブリストルの数学教師オリーブ・ジョーンズ氏(54)が闘病中の14歳の生徒に祈る、と言ったことがノースサマセット地区の教育評議会で問題になっている。
▽ケアリー前カンタベリー大主教が、英国に移住して来た人は、そのキリスト教的な「遺産」を理解してほしい、と語った。
▽聖職者の児童性的虐待を隠ぺいしていたアイルランドのカトリック教会で、司教への辞任要求が高まり、すでに4人が教皇に辞表を提出した。
▽バチカン(ローマ教皇庁)機関紙『ロッセルバトレ・ロマノ』が、ビートルズ、ローリングストーンズ、U2などに関する書籍を相次いで書評欄に取り上げている。
▽教皇ベネディクト16世は1月17日、ローマ市内のユダヤ教会堂(シナゴーグ)が確定した。故教皇ピオ12世のナチへの許容姿勢を疑うユダヤ人社会内部の反対が懸念されていた。
▽マラウィの牧師が、同性愛者間の「結婚」式を理由に訴追されたカップルに、教会は歓迎しないと通告した。
▽米ノースカロライナ州ステイツビルの合同メソジスト教会に12月31日、男が押し入り、女性2人に金を要求した。男は女性を連れ出し自動車に乗せて銀行のATMに向かい、女性のカードで現金を引き出し、さらに市内を運転し、女性を車から追い出し逃走した。 
▽家族を福音で強化する宣教活動『フォーカス・オン・ザ・ファミリー』を進めて来たジェームズ・ドブソン氏が3月から、新たに米コロラドスプリングで『ジェームズ・ドブソン・オン・ザ・ファミリー』という新団体を立ち上げることを明らかにした。子息のライアン氏と共にラジオ伝道も開始するという。
▽ メキシコ中部プエブラのカトリック教区が司祭4人の聖務を停止した。独身誓願を破ったため。


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