世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第989信(2010.01.04)

  • 2009年・世界キリスト教10大ニュース
  • 通う教会なお決まらぬオバマ大統領、クリスマスは...
  • リック・ウォレン牧師のメガチャーチが緊急献金要請
  • リック・ウォレン牧師の呼び掛けに応え240万ドル献金
  • マレーシア高裁が、イスラム教徒以外にも「アラー」認める
  • 韓国系米国人を拘束、北朝鮮国営通信が確認
  • アイルランドのデイリー枢機卿死去
  • インド福音ミッションの創設者セオドア・ウイリアムズ氏死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎2009年・世界キリスト教10大ニュース

 『世界キリスト教情報』が2009年の「世界キリスト教10大ニュース」を選定した。
 1位は一般ニュースでも注目される世界規模の大不況がキリスト教界にも影響を与えたこと。教会に救いを求める人が増える一方、教会員の多くが職を失ったり、収入減少に見舞われ、献金も減少する中で、その支援に追われる実情が伝えられた。キリスト教系の学校閉鎖も多く、宣教・奉仕団体の中にはスタッフの大量削減を迫られる所も出ている。
 10大ニュースは次の通り。
(1)大不況の波はキリスト教界をも襲う
(2)聖公会の対立深刻化と離脱派のカトリック教会受け入れ
(3)新型インフルエンザ流行にミサや聖餐式の変更迫られる
(4)ガザ地区の紛争激化でイスラエルとパレスチナの和解遠のく
(5)イラク、ソマリア、インドなどで少数派キリスト者への迫害強まる
(6)教皇がヨルダンとイスラエルを巡礼訪問
(7)バチカン、ロシアと外交関係樹立、正教会との和解に展望
(8)世界教会協議会の新総幹事にノルウェー教会のトゥヴェイト牧師
(9)聖職者による児童の性的虐待隠蔽をアイルランド・カトリック教会が謝罪
(10)米国で「同性愛者保護法」が成立           (CJC)


◎通う教会なお決まらぬオバマ大統領、クリスマスは...

 【CJC=東京】「教会が、実際のところオバマ一家にとっては想像以上に難問になっている」と米週刊誌タイムが報じるほどに米国市民の関心の的だ。
 大統領就任前にはシカゴのトリニティ合同キリスト教会に通っていたが、ジェレミア・ライト牧師の過激な発言の連続もあってか脱会した。
 ホワイトハウスに住むようになってから首都ワシントンの教会の日曜礼拝に出たのは3回。アフリカ系市民が圧倒的な19番街バプテスト教会に1回、ホワイトハウスからは程近いセントジョンズ・エピスコパル教会に2回だった。
 記者会見でロバート・ギブス報道担当は、まだ加入教会を捜しているのか、との質問に「大統領はキャンプデービッドでは1教会に常に出席しており、喜んでいる」と述べるに留まった。
 クリスマスはどこの教会に行くか、注目が集まる中でオバマ一家はハワイへ向かった。ブッシュ前大統領一家は8年、連続で保養地のキャンプデービッドにあるエバグリーン・チャペルで過ごした。一方クリントン一家はワシントン・ナショナル大聖堂の深夜ミサに出席、レーガン大統領はワシントンに留まってはいたが、礼拝には出かけなかったようだ。
 ハワイは大統領が育った所だが、当時、ホノルルの第一ユニテリアン教会の日曜学校に熱心に教会に通っていた。大統領の祖母の記念礼拝も行われたが、今回は高級な借り上げ住宅に留まり、静かにクリスマスを迎えたが、25日にはデトロイト上空でノースウエスト航空機爆破未遂事件が発生、慌ただしい日常に戻った。


◎リック・ウォレン牧師のメガチャーチが緊急献金要請

 【CJC=東京】バラク・オバマ米大統領の就任式で祈りを捧げたリック・ウォレン牧師はカリフォルニア州レイクフォレストに巨大な『メガチャーチ』を設立、牧会しているが、同教会の赤字回避に緊急献金を要請している。
 オレンジカウンティー・レジスター紙によると、緊急要請は12月30日出された。ウォレン牧師は、教会員家族の1割が失業し、その支援のための支出は急増している。年末までの献金が例年の半額未満にまで激減しており、支払わなければならない90万ドルのために、1月1日を迎えるまでの最後の2日間で献金を要請したもの。
 ウォレン牧師は「パーポス・ドリヴン・ライフ」(邦訳:人生を導く5つの目的)などのベストセラー著作でも知られている。同書は売り上げ3000万部以上の記録的なベストセラーになった。


◎リック・ウォレン牧師の呼び掛けに応え240万ドル献金

 【CJC=東京】自ら創設したサドルバック教会が資金難に陥り、越年出来ないとして90万ドルの献金を「緊急要請」したリック・ウォレン牧師、1月2日夕の週末礼拝で、インターネットと教会が配布した献金袋による申し込みが240万ドル(約2億2300万円)を超えた、と発表した。
 ウォレン牧師は「奇跡」という主題で説教したが、数字が奇跡なのではなく、ここに示された「徹底的な寛大」こそが奇跡なのだ、と語った。説教の終わりに牧師は頭を下げ、声を詰まらせながら、これからの10年、人々を祝福し護るよう神に呼び掛けた、と米紙USAツデーは報じている。


◎マレーシア高裁が、イスラム教徒以外にも「アラー」認める

 【CJC=東京】マレーシアのクアラルンプール高裁が、キリスト者も神について「アラー」という呼称を使う憲法上の権利がある、と12月31日判示した。イスラム教徒以外が「アラー」を使用するのを禁止したことを違憲としたもの。
 カトリック教会が発行する週刊英字紙『ヘラルド』編集者のローレンス・アンドリュー神父は2007年12月、「アラー」の使用許可を求め裁判を起こした。
 イスラム教徒が国民の多数派を占めるマレーシアで、政府は、イスラム教関係以外のメディアがイスラム教の唯一神を示す「アラー」という言葉の使用を禁じていた。その後、制限事項を撤廃するなど出版規制が改定され、アンドリュー編集長は、発行許可更新の際に制限が付けられなかった、として使用したことが問題となった。
 アブドラ・モハメド・ジン首相府相は08年1月の会見で、「内閣は昨年、2度にわたり同誌の『アラー』使用禁止を決議しており、この決定は依然、有効だ」と使用停止を求めた。さらに国内治安省(内務省)が2月、「イスラム関係者のみ使用できる表現」とし、禁止を命令した。
 政府側は、「アラーという表現を使用する権利の問題は裁判になじまない」と主張したが、ラオ・ビーラン判事は、裁判で争われるべき権利として5月、クアラルンプールで政府側の請求を退け、提訴を認めると判示し、今回の決定となった。


◎韓国系米国人を拘束、北朝鮮国営通信が確認

 【CJC=東京】北朝鮮の朝鮮中央通信は12月28日、先ごろ中国から不法に越境した米国人を逮捕した、と発表した。詳細は明らかにしていないが、12月25日に、北朝鮮の人権改善を求め、凍結している中朝国境の豆満江を「神の愛を伝えるために来た」と叫びながら歩いて渡り、北朝鮮内に入った韓国系米国人の人権活動家ロバート・パク氏(28)と見られる。
 米国務省は28日、パク氏が北朝鮮にいると確認してはいないが、関心を持っていることを明らかにした。北朝鮮で米国の利益を代表しているスウェーデンが情報を得ようと努力している。
 2009年3月に不法入国したとして逮捕、重労働12年の判決を受けた米国人ジャーナリスト2人は、8月になってビル・クリントン元大統領の介入で釈放されている。


◎アイルランドのデイリー枢機卿死去

 【CJC=東京】独立闘争などでアイルランドの緊張が高まる中でカトリック教会を指導して来たカハル・デイリー枢機卿が死去した、と教会が12月31日明らかにした。92歳。
 北アイルランドを英国から分離させアイルランドと統合しようと武力に訴えていた『アイルランド共和軍』(IRA)を厳しく批判したことで知られる。
 北アイルランドの首府ベルファストを含むダウンとコナー司教を1982年から90年まで務めた。当時、講壇からIRAの殺害や関係政党シンフェイン党の政策を繰り返した。教皇ヨハネ・パウロ二世が1979年にアイルランドを訪問した際、紛争停止を訴えたが、その主要演説作成に関与したと伝えられている。
 90年にアルマ大司教に任命され、それ以来、南北アイルランド全体の首座司教を務め、91年に枢機卿に選任、96年引退した。
 北アイルランド最大のプロテスタント教会のスタッフォード・カーソン議長は、デイリー氏が英国のプロテスタント社会とアイルランドのカトリック社会の関係と協力を改善した、として、プロテスタント側の恐れと「プロテスタントが果たして来た歴史に深い理解」に示した感覚は稀に見るものだった、と語った。
 遺体は1月5日、アルマの歴代首座司教の眠る墓所に埋葬される。


◎インド福音ミッションの創設者セオドア・ウイリアムズ氏死去

 【CJC=東京】インド福音ミッション(IEM)の創設者セオドア・ウイリアムズ総幹事が12月29日、カルナタカ州バンガロールで死去した。73歳。
 インド福音連盟の大会が開催されたのを機会に1965年1月にインド福音ミッションを創設した。宣教師1人、僅かな資金と自転車1台で始まった超教派の宣教団体が、今では宣教師580人、インドを始め英、スーダン、西アジア、タイ、パプアニューギニア、フィリピンなど37カ所で宣教活動を行うまでになった。


《短信》CJC通信Twitter速報から。

▽イスラエル考古局がナザレでイエスの時代の家屋を発掘した。
▽ポーランド首座司教にヘンリイク・ムスジンスキー大司教。
▽英人口の49%に当たる2400万人がクリスマスには教会に行くことを思い、実際に4分の1は行く予定であることがわかった。昨年は5分の1だった。
▽ユダヤ人差別監視団体サイモン・ウイゼンタール・センターは12月21日、バチカンが教皇ピオ12世を聖人にすることを目指していることに失望、落胆しているとの意向を表明した。
▽日本人では4人目の枢機卿、白柳誠一氏が12月30日、東京で死去した。81歳。葬儀ミサ・告別式は1月5日午前11時から東京都文京区のカテドラル聖マリア大聖堂で。喪主は岡田武夫・東京教区大司教。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(1月3日)=https://www.cwjpn.com
★世界平和の日(1月1日)=教皇 「環境保護は道義的責任」
★カトリックの老人ホームに入りたい!=桜町聖ヨハネホーム(東京)園長らに聞く
★社会司教委の「いのちを守る緊急アピール」受けて生活相談室開く=東京教区麹町教会
★路上生活者240人招待=麹町教会でクリスマス会
★被害家族/加害者=和解にも取り組む=韓国の司祭、死刑廃止で講演
★2教皇 尊者に=ピオ12世とヨハネ・パウロ2世=列福に向け一歩前進

  =キリスト新聞(年始休刊)=https://www.kirishin.com

  =クリスチャン新聞(1月3・10日)=https://jpnews.org
★日本福音同盟と韓国基督教総連合会=宣教協力「覚書」に調印=人材・情報交流の活性化へ
★軍事下地域に平和的生存権を=第2回9条アジア宗教者会議
★中国教会指導者が台湾基督長老教会を歴史的訪問
★日本聖書協会=マンガ聖書を児童養護施設120か所に贈呈★
★東山荘会議から25年=南北朝鮮教会代表ら香港で再会=朝鮮半島の平和統一へ祈り動く
★世界最古の外洋船ドゥロス号が隠退=タイタニック号と同世代船=青年の国際交流宣教32年


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