世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第987信(2009.12.21)

  • 2010年世界平和の日教皇メッセージ発表
  • 教皇、アイルランド教会の性的虐待問題に「恥と怒り」
  • 教皇がベトナム国家主席と初会談
  • 次期教皇選出出来る枢機卿は112人に
  • ウガンダでエイズ防止へ同性愛を犯罪視する法案提出へ
  • ベッドの聖母マリアとヨセフのポスターがニュージーランドで物議
  • ニュージーランドの教会、問題のポスター撤去
  • 霊的な癒しで知られたオーラル・ロバーツ牧師が死去
  • 《メディア展望》

◎2010年世界平和の日教皇メッセージ発表

 【CJC=東京】2010年の世界平和の日に向けた教皇ベネディクト16世のメッセージが発表された。バチカン放送(日本語電子版)が12月15日報じた。
 カトリック教会は、毎年1月1日を「世界平和の日」とし、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界が来るように祈っている。この記念日は、ベトナム戦争下の1968年、時の教皇パウロ6世の呼びかけによって始められた。
 43回目にあたる2010年度世界平和の日に教皇が選んだテーマは「平和を育てるために、被造物を守りなさい」(仮訳)。
 教皇は14章にわたるメッセージの中で、創造主である神の愛を反映するものとして、環境と人間の絆を新たにし、被造物を尊重しながら責任をもってそれを無関心や搾取から守ることは、人類の平和的共存に不可欠な要素であると説いている。
 教皇は、今日人類を苦しめている経済・環境・食糧・社会等の問題は、倫理的危機と根底においてつながっていると強調、社会において人間が尊重される時、環境もまた尊重されると教皇は述べ、環境保護に留意すると同時に、貧しい人々に連帯し、次世代に配慮した自然の利用、生活スタイルや消費と生産モデルの再考を呼びかけた。


◎教皇、アイルランド教会の性的虐待問題に「恥と怒り」

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は、司祭の性的虐待問題にアイルランド教会が30年間も隠蔽を続けて来たことに、「恥と怒り」をアイルランドの人々と共にしている、とバチカン(ローマ教皇庁)が12月11日、声明で明らかにした。
 教皇がアイルランド教会の指導者と会見した後に声明を発表したが、さらにアイルランド市民に向け、性的虐待問題とこの危機へのバチカンの対応を記した司牧書簡を発する意向を明らかにした。これは、聖職者による児童への性的虐待に集中して書かれるものとして初めてになる。
 教皇との会見に出席したのはアイルランド司教会議会長のショーン・ブレイディ枢機卿とダブリンのディアミューイッド・マーティン大司教。


◎教皇がベトナム国家主席と初会談

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は12月11日、イタリア訪問中のベトナム社会主義共和国グエン・ミン・チェット国家主席とバチカン(ローマ教皇庁)で会談した。教会と国家の協力に関するいくつかのテーマについて意見交換がされたほか、現在の国際情勢、特にベトナムとバチカンの多国間分野における役割が話題となった。
 同国家主席はまた、バチカン国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿と外務局長ドミニク・マンベルティ大司教とも会談した。
 現在、両国間には正式な外交関係はない。ベトナムのカトリック者は共産主義政権による抑圧に抗議の声を上げて来た。しかしこの所、和解の動きが出ている。教皇およびバチカン国務省高官とベトナムの国家主席の会談は今回が初めてだが、首相レベルでは2007年、教皇とグエン・タン・ズン首相間で初の会談が実現している。
 バチカンは、今回のチェット国家主席の訪問をベトナムとの関係進展の意味ある一歩として満足を表明すると共に、諸懸案についても早期解決を期待している。


◎次期教皇選出出来る枢機卿は112人に

 【CJC=東京】次期教皇を選出出来る枢機卿は112人になったことが明らかになった。バチカン放送が12月18日、ワルシャワの名誉大司教ヨーゼフ・グレンプ枢機卿が同日80歳を迎えた、と報じた。
 次期教皇は枢機卿による会議で選出されるが、1996年以来、80歳を超えた枢機卿の投票は禁止されている。現在、枢機卿は185人で、80歳以上は73人。
 バチカン放送はまた、ポーランドの枢機卿8人の内、5人が80歳以上と伝えている。


◎ウガンダでエイズ防止へ同性愛を犯罪視する法案提出へ

 【CJC=東京】HIV・エイズ(後天性免疫不全症候群)被害が蔓延しているウガンダで、当局が同性愛行為を婦女暴行に相当する犯罪として死刑の可能性もあるという法案を1月にも提案する構えが明らかになった。患者は拘束し、友人や隣人、聖職者、医師などが同性愛者を当局に引き渡さない場合は処罰するという。
 この法案の正当性をめぐり欧米の政府は教会が不審の声を上げている。ただウガンダのある神学者は、反対を「一種の帝国主義であり、相対主義」と決め付けている。
 ウガンダ議会は2007年4月、HIV陽性者が未成年者に対して性交渉を通じて故意に感染させた場合、死刑を適用するという法案が全会一致で可決されている。
 また09年12月10日、女子割礼(女性器切除)の禁止法案を全会一致で可決した。今後、女子割礼を実施した者には禁固10年、割礼を強制した者には終身刑が、それぞれ科されることになる。影の内閣で保健相を務めるフランシス・エペタイト議員は、「割礼は多くの女性たちを悲惨な状況に陥れている。女性たちの人間性を奪うような行為は許されない」と語った。割礼の際に消毒不十分からエイズに感染する可能性も大きいという。


◎ベッドの聖母マリアとヨセフのポスターがニュージーランドで物議

 【CJC=東京】ニュージーランドのオークランドで、裸と見られる聖母マリアと夫ヨセフが一つのベッドにいる所を描いた進歩的な教会のポスターが物議を醸している。
 問題のポスターは、聖公会聖マタイ・イン・ザ・シティ教会が12月16日に掲げたもの。AFP通信によると、悲しげな表情のヨセフの隣でマリアは天を見上げている。その上には「かわいそうなヨセフ。神には太刀打ちできないのだ」との言葉が書かれている。
 同教会のグリン・カーディ牧師は、ポスターはイエス・キリストの誕生についての固定観念に挑戦する目的で掲げたとして、聖書の言葉を文字通りうのみにするような考えを見直してほしいのだという。
 一方、保守派からは抗議の声が上がっている。カトリック教会オークランド教区のリンゼー・フリアー広報担当は、現地紙ニュージーランド・ヘラルドに、「カトリックでは、マリアは生涯、処女であり、イエスは神の子であってヨセフの子ではない。従って、このようなポスターは不適切で冒とく的なもの」と語っている。


◎ニュージーランドの教会、問題のポスター撤去

 【CJC=東京】ニュージーランドのオークランドにある聖公会聖マタイ・イン・ザ・シティ教会は、裸と見られる聖母マリアと夫ヨセフが一つのベッドにいる所を描いたポスターを12月16日掲示して物議を醸したが、20日になって撤去を決めた。
 ナイフを持参してポスターをはがそうとする動きが続出したが、老婦人まで出てきて、教会が撤去を決めたもの。
 問題のポスターは、聖公会聖マタイ・イン・ザ・シティ教会が12月16日に掲げた。AFP通信によると、悲しげな表情のヨセフの隣でマリアは天を見上げている。その上には「かわいそうなヨセフ。神には太刀打ちできないのだ」との言葉が書かれている
 同教会のグリン・カーディ牧師は、「ナイフが神の名において振り回された。公衆や教会員の安全を考えなければならず、またどんな信仰的立場であってもそれを傷付けたくないとする教会でこのような事が起きたことは悲しい。教会は神についての論議が白熱化することを遺憾とはしない」 カーディ牧師は、世界中から支援のメッセージも多数来ている、と語った。


◎霊的な癒しで知られたオーラル・ロバーツ牧師が死去

 【CJC=東京】米国の大衆伝道者オーラル・ロバーツ牧師が12月15日、カリフォルニア州ニューポート・ビーチで、肺炎の合併症で死去した。91歳。1918年1月24日、オクラホマ州生まれ。17歳で結核が奇跡的に治癒したことを契機に聖職に入り、大学で学ぶ傍ら同州やジョージア州の教会で牧師を務めた。
 47年にオクラホマ州タルサでオーラル・ロバーツ福音協会を設立し、米国内外で伝道活動に携わった。54年には礼拝のテレビ放送を開始した。「霊の賜物」による癒しや異言、預言の実践などで知られている。
 子息のリチャード氏は「世界的に伝道を展開する一方で大学を設置するなどは、同世代の中では父だけだった。この世での父であるだけでなく、霊的にも父であり助言者だった」と語った。
 12日に転倒して骨折し、14日に入院。霊的な癒しを主張していた人自身が医学的治療を受けたことが、米国では話題になった。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(12月20日)=https://www.cwjpn.com
★地元の中学生招待=宮崎県唯一の女子校 都城聖ドミニコ学園高=「クリスマス体験」
★憲法9条の支持誓う=韓国=アジア諸宗教者が会議
★医療と宗教の接点求めて=漢方内科・中田英之さん=「見えないものこそ大事」
★日本キリスト教協議会、日本カトリック司教協議会=小沢幹事長と面談=「キリスト教は排他的」発言
★東京・世田谷=みょうじょう幼稚園=自然に触れる生活体験=「神様からのプレゼント」
★神奈川・川崎=広大な敷地の「柿の実幼稚園」=豊かな自然で思いっきり遊ぶ

  =キリスト新聞(12月25日)=https://www.kirishin.com
★NCC総幹事ら 小沢幹事長に真意問う=「政治家の発言慎重に」
★信教の自由求め 超教派で「祈りの会」=キリスト者教員支える会を=東京
★ロシア大統領がバチカン訪問=正式外交関係樹立へ
★DVD版「内村鑑三全集」発売=出版界変革のモデルケースにも
★国会クリスマス晩餐会に議員や大使=日野原氏、石破氏らがスピーチ
★インドネシア元「慰安婦」が来日=国会や教会で証言集会

  =クリスチャン新聞(12月20・27日)=https://jpnews.org
★小沢民主党幹事長に"排他的"発言の真意質す=「一神教の魅力」も語る
★12年ぶりに大法廷で「政教分離」弁論を開廷=北海道砂川市の神社に市有地提供を問う訴訟
★「殉国・殉教のない社会」めぐりシンポ=「キリシタン列福」でカトリック内に疑問
★政権交代後の国会クリスマス晩餐会=与党も野党も祝キリスト降誕
★イブに三浦綾子の童話を上演=町田クリスチャンセンターで戯曲「したきりすずめのクリスマス」
★NCC訪中団報告:信徒増え牧師不足深刻=「日中で神学生養成協力を」


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